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【発明の名称】 神 棚
【発明者】 【氏名】杉本 可六

【要約】 【課題】大型の御札を納める場合であっても神棚を前方にずらしたり、棚から下ろしたりすることなく、正面から御札を納めることのできる神棚の開発を技術的課題とした。

【解決手段】本発明の神棚1は、社殿を模した本体棟2等の内部を御札Aの収納室とするとともに、本体棟2の前面部11には一カ所または二カ所にわたり扉部15が設けられて成り、前記前面部11には扉部15を含み少なくとも扉部15上方の範囲まで一体的に開く前面可動部16を設けたことを特徴として成る
【特許請求の範囲】
【請求項1】 社殿を模した本体棟等の内部を御札の収納室とするとともに、本体棟の前面部には一カ所または二カ所にわたり扉部が設けられて成り、前記前面部には扉部を含み少なくとも扉部上方の範囲まで一体的に開く前面可動部を設けたことを特徴とする神棚。
【請求項2】 前記前面可動部は上端部を回動支点として、下端を前方へ跳ね出し状に開くものであることを特徴とする請求項1記載の神棚。
【請求項3】 前記前面可動部は、本体棟が三社型である場合において、中央前面部に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の神棚。
【請求項4】 前記前面可動部は、本体棟が三社型のものである場合において、脇部前面部にも設けられて脇部前面可動部を形成し、且つこれら脇部前面可動部は、各々本体側いずれか一方または双方が本体棟側端部において上下方向に設定された軸を回動支点として開き扉状に開放されるように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の神棚。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は御札を収納し、家庭祭祀の際に用いられる神棚に関するものである。
【0002】
【発明の背景】家庭祭祀のために広く用いられている神棚には、通常、大神宮などの御札が収納される。そして従来この御札を収納するには神棚の本体棟正面に設けられた観音開き状の扉を開け、収納部に納めるのが一般的であった。しかしながら御札が比較的大きな寸法であると、たとえ内部に収納スペースが充分あったとしても神棚の本体棟の扉を開けた際の開口部の大きさが御札を差し入れるに充分ではなく、結果的に扉から御札を納めることができない場合も生じていた。
【0003】このため従来から例えば背面板を障子状にスライドさせて背面部を開放できるように構成したり、あるいは特開平9−289943号のように屋根部をヒンジ状に取り付け、あたかも神棚の上方に蓋を開けるような状態に開放自在に構成し、ここから御札を納めるというような試みもなされていた。しかしながらこのような対策をとったとしても、家庭で祀られる実際の状況からすると、充分な解決策とはなっていない。
【0004】すなわち神棚を室内に設ける場合、多くは図7に示すように室内の鴨居20に支承させるように棚21を設け、ここに神棚1′を設置するようにすることが最も一般的に行われている。このような祀り方の場合には、神棚1′はその背面部13′が壁面Wにほぼ密着するように置かれるとともに、その上方直上部は天井部T近くに位置した状態となる。このため、たとえ神棚1′の背面部13′を開放自在に構成したとしても神棚1′を前方にずらせるようにした上でないと後方から御札を納めることはできない。また上方の屋根部14′を開放したものにあっては天井部Tが至近の直上部に位置するから、屋根部14′を開放しようと思っても充分な開放ができなかったり、また開いたとしても御札Aがそのままでは入らない場合があり、いずれにせよ結果的に神棚を一旦前方にずらしたり、棚21から下ろした上で御札Aを納めなければならないという不都合があった。
【0005】そして何よりも御札を納めるという行為自体、儀典的、祭儀的なものであるから、その作法もあまりに不自然なものであることは好ましくない。従って本来的には前面の扉から入れるのが好ましいが、それが不可能であれば、少なくとも自然に前方から納められるものであることが望ましい。
【0006】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、大型の御札を納める場合であっても神棚を前方にずらしたり、棚から下ろしたりすることなく、正面から御札を納めることのできる神棚の開発を技術的課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の神棚は、社殿を模した本体棟等の内部を御札の収納室とするとともに、本体棟の前面部には一カ所または二カ所にわたり扉部が設けられて成り、前記前面部には扉部を含み少なくとも扉部上方の範囲まで一体的に開く前面可動部を設けたことを特徴として成るものである。この発明によれば、本体棟の前面部に充分な開口を確保できる前面可動部が具えられることとなるから、大型の御札等の収納が容易に行える。
【0008】また請求項2記載の神棚は、前記請求項1記載の要件に加え、前記前面可動部は上端部を回動支点として、下端を前方へ跳ね出し状に開くものであることを特徴として成るものである。この発明によれば、前面可動部を上端部を回動支点として前方に跳ね出し状に開くものであり、比較的簡単な構成の下に大型の御札を納めるのに充分な開口部が確保できる。
【0009】更にまた請求項3記載の神棚は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記前面可動部は、本体棟が三社型である場合において、中央前面部に設けられていることを特徴として成るものである。この発明によれば、三社型の神棚においては最も大型の御札が納められる中央部が開口するので、大型の御札であってもその収納が確実に行い得る。
【0010】更にまた請求項4記載の神棚は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記前面可動部は、本体棟が三社型のものである場合において、脇部前面部にも設けられて脇部前面可動部を形成し、且つこれら脇部前面可動部は、各々本体側いずれか一方または双方が本体棟側端部において上下方向に設定された軸を回動支点として開き扉状に開放されるように構成されていることを特徴として成るものである。この発明によれば、前面可動部のうち脇部部可動部のいずれか一方または双方は、横開き状に開放され御札を受け入れるための開放部を構成する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。符号1は本発明たる神棚であって、このものは全体として社殿を模した形態をとる。すなわち本体棟を床台3上に形成し、この床台3に至る階段を前方中央に配置するとともに、前記床台3の一部である周縁の濡縁状の外廊下3aと、その外側の階段5とには欄干6を設ける。
【0012】以下本発明が主として適用される本体棟2について更に説明する。この本体棟2は社殿を模した形状である本体棟2の内部空間は御札Aの収納部10とされるとともに前方に前面部11が配置されるとともに、その脇部を妻面部12とし、更に背面部13によって四周を囲み、更にその上方に屋根部14を設ける。なお以下述べる実施の形態はいわゆる三社型のものであり、以下このものについて説明するが、更に後述するように一社型あるいはそれ以上に本体棟2が連設した五社、七社等のタイプであってももとより差し支えない。
【0013】まず代表的な実施の形態を図1に基づいて説明すると、前面部11は、三社型の神棚1の場合、中央前面部11Aとその脇部に幾分か後方に下がった脇部前面部11Bとにより構成される。前面部11には扉部15が設けられるものであって、それぞれ中央前面部11Aに対応して中央扉部15Aを有し、また脇部前面部11Bに対して脇部扉部15Bが設けられる。なおこの扉部15はそれぞれ扉体15Pが観音開き状に組み合わされて構成されるが、この扉部15における扉体15Pは後述するように前面可動部16が開放自在に開放されるときには扉体15P自体が実際に開放しないいわゆるダミー状のものであっても差し支えない。
【0014】以下この前面部11における前面可動部16について説明する。前面可動部16は、要は既設の扉部15より充分に大きな開口を得るための構成であり、この前面可動部16は三社型の神棚1の場合、中央前面可動部16A、脇部前面可動部16Bを有する。まず前面可動部16の第一実施の形態としては、前記中央前面可動部16Aと脇部前面可動16Bとが各々独立的に開放するタイプであって、それぞれは扉部15より上方の範囲を伴っており、中央前面可動部16Aはその上方において水平方向を軸とした回動支点17を具えることによりその下端が前方上方に跳ね上げられるような開放形態をとる。なお回動支点17は前面可動部16が中央前面可動部16Aと脇部前面可動部16Bとを具える場合においては、それぞれに対応して中央回動支点17A、脇部回動支点17Bとする。なお具体的な回動支点17の構成は図2(a)に示すように釘状のピンPや図2(b)に示すような蝶番Hを適用する。またこのような前面可動部16の跳ね上げ状態の開放状態を維持するために、この回動支点17近くに磁石片を用いてキャッチ状のストッパ18を設けたり、中折れ式のいわゆる頬杖タイプの支持杆19を設けてもよい。
【0015】また脇部前面可動部16Bについては、このものは中央前面可動部16Aのように跳ね上げ状に上開き状とするものではなく、脇部回動支点17Bを脇部前面可動部16Bの両側端部に上下方向を軸として配置し、横開き扉状に開く形態としてもよいのである。もちろんこのバリエーションとして一方の脇部前面可動部16Bが跳ね上げ式であり、他の一方の脇部前面可動部16Bが横開き扉状であってもよい。
【0016】なおこのような前面可動部16の開放に伴い、その開放を妨げるように干渉する部材、例えば欄干6が存在する場合、これら欄干6については図1に示すように端部を回動軸として大きく開くように構成したり、あるいは床台3に対し差し込み自在あるいは単に載置した状態としておき、御札を納める都度、欄干6を取り外して前記前面可動部16の開放を行わせるようにすることは言うまでもない。なお請求項1に定義する前面可動部16は回動支点17を要件としていないことから、前記前面可動部16については、例えば完全に前方に取り外すような態様としてももとより差し支えない。
【0017】本発明の代表的な実施の形態は以上述べたような構成を有するものであり、この神棚1に対して比較的大型の御札Aを納める場合には次のように用いる。まず神棚1が室内の鴨居20の後端で支承された棚21に載置されている場合においては、その高さがほぼ2m程度であるから、通常、踏台等に立ち、神棚1の前面可動部16をそのまま開放して御札Aの上端から本体棟2の収納部10に差し込み、その後、御札Aの下方を内部に移動させて収納するのである。従ってこの作業の際、必要に応じて欄干6等の移動ないしは取り外し作業はあるにせよ、神棚1自体の移動が伴わずに前面可動部16を大きく開放させるものであり、神棚1の前面から神棚1を動かすことなく御札を納めることが行われる。また脇部前面可動部16Bを開放するには脇部回動支点17Bにおいて回動させ扉状に開放させる。
【0018】
【他の実施の形態】本発明は以上述べたような形態を基本的な実施の形態とするものであるが、更に次のような改変も可能である。まず図3に示すものは前面可動部16のうち、脇部前面可動部16Bも上方水平方向を軸とした脇部回動支点17Bにより中央前面可動部16Aと独立して跳ね上げ式に開放するように構成したものである。また更に図4に示すものは前面部11における前面可動部16を中央前面部11Aから脇部前面部11Bにわたって一体のものとして開放させることが可能である。すなわち中央前面可動部16Aと脇部前面可動部16Bとが一体となって共通の回動支点17において回動自在に支持され、前方に開放されるのである。
【0019】また図5に示すものは主として大型の御札Aは中央の収納部10に納められることから、少なくともこの部分のみに前面可動部16を設けておくだけでもよいのである。
【0020】更に図6に示す実施の形態は、例えば前面可動部16の回動支点17を上部水平軸方向に配置した場合、更に大きな開口状態を得るためこれと干渉する屋根部14を回動自在あるいは取り外し自在に構成しておくものであっては、前面可動部16の開放を図るときには屋根部14を上方に退去させるように操作する。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上述べたように神棚1における本体棟2の前面部11が前面可動部16において大きく開放されるから、比較的大型の御札Aであっても神棚1における収納部10に対し神棚を移動させることなく、且つ最も自然な祭祀姿勢である正面から御札Aを納めることが可能となったものである。
【出願人】 【識別番号】597082946
【氏名又は名称】有限会社静岡木工
【出願日】 平成10年(1998)3月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開平11−267004
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−92502