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【発明の名称】 捺印装置
【発明者】 【氏名】佐久間 崇

【要約】 【課題】上下方向の寸法が縮小された捺印装置を提供する。

【解決手段】印面(S1)を装置前面側に向けて印鑑(S)を保持する印鑑ホルダー(1)を備え、この印鑑ホルダーに保持される印鑑の印面前側に受領書(R)を配置可能とする受領書スペース(2)が、装置前面側に形成されるとともに、捺印時に印鑑の印面に向かって移動し、受領書スペースに配置された受領書の裏面に接触して受領書を印面に押圧する圧接板(3)が、受領書スペースに臨んで前後動自在に配設される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 印面を装置前面側に向けて印鑑を保持する印鑑ホルダーを備え、この印鑑ホルダーに保持される印鑑の印面前側に受領書を配置可能とする受領書スペースが、装置前面側に形成されるとともに、捺印時に印鑑の印面に向かって移動し、受領書スペースに配置された受領書の裏面に接触して受領書を印面に押圧する圧接板が、受領書スペースに臨んで前後動自在に配設されていることを特徴とする捺印装置。
【請求項2】 装置前面を貫通し、受領書スペースに向かって後方に延びる押しボタンが前後動自在に配設され、その後端に圧接板が配設されている請求項1記載の捺印装置。
【請求項3】 装置前面部が、装置本体に軸支されて前後に回動自在とされ、この装置前面部に受領書スペースが形成されるとともに、圧接板が配設されている請求項1記載の捺印装置。
【請求項4】 印鑑ホルダーは、装置本体に対して前後方向に移動自在とされ、リブが印鑑ホルダーに外側に向けて突設され、このリブに接触してこれを押圧可能なカム面を外周面を有する回転可能なシャフトが、リブに対向し、交差する向きに配設され、シャフトは、さらにクランクピンを備えたクランクに固定され、このクランクピンが、前端が装置前面部後面に当接可能となる位置に配置された前後動自在なリンクに形成されたガイド穴に挿入されている請求項3記載の捺印装置。
【請求項5】 リンク前端に爪が突設され、この爪に係合可能な引っ掛け部を備えたリセット用リブが、装置前面部に後方に向けて立設されている請求項4記載の捺印装置。
【請求項6】 装置前面部は、表面パネルとその後方に配置されるとともに、表面パネルに上端において軸支され、前後に回動自在とされたカバーとからなり、カバー後面にストッパーが後方に向けて突設され、装置本体の前端にはそのストッパーが当たる位置にロック片が設けられ、かつ、ロック解除体がシャフトに接続されるとともに、カバー後面には、ロック解除体の前端に当接可能なロック解除用リブが後方に向けて立設されている請求項3乃至5いずれかに記載の捺印装置。
【請求項7】 装置前面部は、表面パネルとその後方に配置されるとともに、表面パネルに上端において軸支され、前後に回動自在とされたカバーとからなり、カバー後面にストッパーが後方に向けて突設され、装置本体の前端にはそのストッパーが当たる位置にロック片が設けられ、かつ、表面パネル後面に捺印時ロック解除用リブが後方に向けて立設され、この捺印時ロック解除用リブに捺印時に上方より接触可能な位置に、前後に回動自在としたロック解除シャフトが配設されている請求項3乃至5いずれかに記載の捺印装置。
【請求項8】 表面パネル後面に捺印時ロック解除用リブが後方に向けて立設され、この捺印時ロック解除用リブに捺印時に上方より接触可能な位置に、前後に回動自在としたロック解除シャフトが配設されている請求項6記載の捺印装置。
【請求項9】 印鑑ホルダーは、印鑑を保持する印鑑保持体を備え、印鑑保持体には内面が彫り込まれて凹所が形成され、この凹所の内部に、弾力性を有し、圧縮変形可能な弾力部材が、印鑑保持体の内面からはみ出して挿入されている請求項1乃至8いずれかに記載の捺印装置。
【請求項10】 印鑑ホルダーは、印鑑を保持する印鑑保持体を備え、印鑑保持体の前面に受け口が設けられ、この受け口は、後端から前端にかけて切り拡げられた内面を有している請求項1乃至8いずれかに記載の捺印装置。
【請求項11】 印鑑保持体の前面に受け口が設けられ、この受け口は、後端から前端にかけて切り拡げられた内面を有している請求項9記載の捺印装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、捺印装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、上下方向の寸法が縮小された捺印装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】宅配物については、一般に、これを受け取る際に、受取人の受領印が必要になっているが、このシステムでは、受取人が留守の時には受領印が得られないため、宅配物を配達できず、受取人及び配達人の双方に大変不都合となっている。そこで、最近、留守中にも宅配便を配達及び受領できるように、宅配ボックスが提供され始めている。この宅配ボックスには、受領印を捺印できるようにした捺印装置が組み込まれており、配達人は、宅配物をボックス内に収納後、受領書を捺印装置に入れ、これを操作して受取人の受領印を捺印することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、宅配ボックス等に組み込まれている従来の捺印装置は、そのほとんどが、図16に示したように、捺印方向を下向きとしている。すなわち、印鑑(S)が、捺印装置において上下方向に移動可能にセットされ、捺印時に、操作により受領書(R)に向かって下方に移動し、捺印するようになっている。捺印装置の捺印方向が下向きとされているのは、下向きに捺印するのが明瞭な印を得るのに適しており、また、捺印習慣によるためと考えられる。
【0004】だが、印鑑(S)を上下方向にセットすると、捺印装置には、印鑑(S)を収納するためのスペースを上下方向に必要とし、少なくとも印鑑(S)の長さ分の収納スペースが必要となる。このため、捺印装置の上下方向の寸法は印鑑(S)の長さに制約を受けている。たとえば宅配ボックスでは、捺印装置のスペースを確保するよりは、宅配物の収納スペースを十分に確保するのが好ましく、そのためにも上下方向の寸法が縮小された捺印装置の実現が期待される。
【0005】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来の捺印装置の欠点を解消し、上下方向の寸法が縮小された捺印装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するものとして、印面を装置前面側に向けて印鑑を保持する印鑑ホルダーを備え、この印鑑ホルダーに保持される印鑑の印面前側に受領書を配置可能とする受領書スペースが、装置前面側に形成されるとともに、捺印時に印鑑の印面に向かって移動し、受領書スペースに配置された受領書の裏面に接触して受領書を印面に押圧する圧接板が、受領書スペースに臨んで前後動自在に配設されていることを特徴とする捺印装置を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿ってこの発明の捺印装置についてさらに詳しく説明する。図1a及びbは、各々、この発明の捺印装置の一実施形態を示した要部断面図である。また、図2a及びbは、この発明の捺印装置の別の実施形態及びその動作状態を示した要部断面図である。
【0008】この図1a及びb、そして、図2aに示したように、この発明の捺印装置には、印面(S1)を装置前面側に向けて印鑑(S)を保持する印鑑ホルダー(1)が設けられている。この印鑑ホルダー(1)に保持される印鑑(S)の印面(S1)の前側に受領書(R)を配置可能とする受領書スペース(2)が、装置前面側に形成されている。そして、受領書スペース(2)に臨んで圧接板(3)が前後動自在に配設されている。圧接板(3)は、捺印時に印鑑(S)の印面(S1)に向かって移動し、受領書スペース(2)に配置された受領書(R)の裏面に接触して受領書(R)を印鑑(S)の印面(S1)に押圧する。
【0009】このように、この発明の捺印装置では、印鑑(S)を上下方向ではなく、前後方向に配置し、捺印方向を捺印装置の後ろ向きとしている。このため、捺印装置の上下方向の寸法が縮小されている。捺印装置が組み込まれる宅配ボックス等は、一般に、奥行きは十分に取られており、印鑑(S)を前後方向に配置することにより捺印装置の前後方向の寸法が若干拡大されることがあっとしても、間口は十分に確保されるので宅配ボックス等に何ら影響しない。
【0010】また、この発明の捺印装置では、圧接板(3)が設けられているために、捺印方向を後ろ向きとしても、圧接板(3)にともなわれて受領書(R)が印鑑(S)の印面(S1)に押圧され、捺印時に明瞭な印が得られる。より具体的には、図1a及びb、そして図2aに示した実施形態では、印鑑ホルダー(1)は、装置本体(4)内部の捺印可能な位置に固定される。装置前面部(5)は、装置前面を形成する表面パネル(51)とその後方に配置されたカバー(52)から構成されている。受領書スペース(2)は、これら表面パネル(51)とカバー(52)の間に形成されている。表面パネル(51)には、受領書スペース(2)に連通する挿入口(53)が開口形成されている。カバー(52)は、挿入口(53)から挿入される受領書(R)を受領書スペース(2)に誘い込むガイドとしての機能を有する。このカバー(52)には、印鑑ホルダー(1)に保持される印鑑(S)の印面(S1)が対向する部位に開口(54)が形成されている。この開口(54)によって、印鑑ホルダー(1)に保持された印鑑(S)の印面(S1)は、受領書スペース(2)に臨み、また、圧接板(3)に対向する。
【0011】そして、図1a及びbに示した実施形態では、装置前面を形成する表面パネル(52)を貫通し、受領書スペース(2)に向かって後方に延びる押しボタン(6)が前後動自在に配設されている。この押しボタン(6)の前端は、表面パネル(52)より前方に突出して配置され、一方、後端には圧接板(3)が配設されている。
【0012】図1a及びbに示した実施形態では、受領書(R)を、表面パネル(51)に形成された挿入口(53)から受領書スペース(2)内に差し込んだ後に、押しボタン(6)を後方に押すことにより受領書(R)に捺印できる。すなわち、押しボタン(6)を後方に押すことにより、その後端に配設された圧接板(3)が、印鑑(S)の印面(S1)に向かって移動し、受領書スペース(2)に配置された受領書(R)の裏面に接触し、印鑑(S)の印面(S1)と平行に配置されて、受領書(R)を印鑑(S)の印面(S1)に押圧するのである。
【0013】この押しボタン(6)には、図1a及びbに示したように、一端を固定端としたスプリング(61)の他端を接続することができる。こうすることで、スプリング(61)の弾性力を利用して押しボタン(6)を初期位置に復帰させ、操作の簡便化を図ることができる。なお、図1aに示した実施形態と図1bに示した実施形態との構造上の差は、主に、表面パネル(51)に形成された挿入口(53)の位置となっている。すなわち、図1aの実施形態では、挿入口(53)は表面パネル(51)の下側に位置し、図1bの実施形態では上側に位置している。このような挿入口(53)の位置の違いは、捺印時の操作に若干の差を生じる。つまり、図1aの実施形態では、受領書(R)の裏面を上にして挿入口(53)より受領書スペース(2)内に差し込むことになるが、図1bの実施形態では、受領書(R)の表面を上にして差し込むことになる。
【0014】一方、図2aに示した実施形態では、カバー(52)が表面パネル(51)に接続され、表面パネル(51)が、回転軸(7)により装置本体(4)に軸支されて前後に回動自在とされている。このため、表面パネル(51)及びカバー(52)により構成され、受領書スペース(2)が形成された装置前面部(5)は、装置本体(4)に対して前後に回動自在となっている。圧接板(3)は、このように回動自在とされた装置前面部(5)に配設されている。具体的には、表面パネル(51)に配設することができる。
【0015】この図2aに示した実施形態では、受領書(R)を、表面パネル(51)の挿入口(53)から受領書スペース(2)内に差し込んだ後に、表面パネル(51)を後方に押すことにより受領書(R)に捺印できる。すなわち、図2bに動作状態を示したように、表面パネル(51)を後方に押すことにより、装置前面部(5)が後方に回動し、これにともなって配設された圧接板(3)が印鑑(S)の印面(S1)に向かって移動し、受領書スペース(2)に配置された受領書(R)の裏面に接触して受領書(R)を印鑑(S)の印面(S1)に押圧する。この捺印時に、圧接板(3)が受領書(R)を印鑑(S)の印面(S1)の全面に均等に押圧できるように、図2aに示した実施形態では、圧接板(3)を表面パネル(51)に軸支し、回動可能とすることができる。
【0016】このように、この発明の捺印装置は、装置本体(4)の前後方向に配置された印鑑(S)の印面(S1)に向けて圧接板(3)を後方に移動させるように操作することで捺印を可能とするものであるが、その細部には各種の機構を組み込むことができる。図3a、b、c及びd、そして図4は、各々、印鑑ホルダーとその周辺機構の一実施形態を示した正面図、左側面図、右側面図及び平面図と、概略斜視図である。
【0017】印鑑ホルダー(1)は、ホルダー本体(101)と、このホルダー本体(101)に軸支され、回動可能とされた印鑑保持体(102)と、ホルダー本体(101)の後端部から垂下延設された背板(103)から構成されている。印鑑保持体(102)は、図4に示したように、印鑑(S)をその外周より保持できるように、印鑑(S)の外形の一部に対応した形状に形成された内面(104)を有している。この印鑑保持体(102)が、印鑑ホルダー(1)において2体一対として所定間隔で対称配置されている。また、印鑑保持体(102)は、図示していないが、スプリングを介して相互に接続されており、内側に閉じる方向に付勢されている。
【0018】この印鑑ホルダー(1)では、印鑑(S)は、印鑑保持体(102)の前面側から背板(103)に向かって挿入される。この時、印鑑保持体(102)が外側に押し広げられ、スプリングに弾性力が発生し、印鑑保持体(102)が内側に閉じる方向に作用する。印鑑(S)の背面が背板(103)に当接したところで、印鑑(S)は、印鑑ホルダー(1)に安定して保持される。
【0019】なお、印鑑保持体(102)の前面には、印鑑(S)の挿入を円滑に行うために、図5にも示したように、後端から前端にかけて切り拡げられた内面(105)を有する受け口(106)を設けることができる。この受け口(106)により印鑑(S)の背面が誘い込まれ、印鑑(S)を印鑑ホルダー(1)に円滑に差し込むことができる。
【0020】このような印鑑ホルダー(1)は、図1及び図2に示した装置本体(4)に対して前後方向に移動自在に設けることができる。市販の印鑑(S)は長さが一定でないため、印鑑(S)の配置位置は、印鑑(S)の長さに応じて捺印可能な最適な位置に設定する必要がある。印鑑ホルダー(1)を装置本体(4)に対して前後方向に移動自在に設けることで、印鑑(S)の印面(S1)を常に捺印可能な所定位置に配置することが可能となる。
【0021】図3a、b、c及びdに示した実施形態では、印鑑ホルダー(1)は、前後両端が開放された支持フレーム(107)に前後方向に移動自在に支持されている。具体的には、印鑑ホルダー(1)の左右両側面にスライド片(108)が外側に向かって突設され、このスライド片(108)が、支持フレーム(107)の左右両側面に開口形成された長穴状のガイド穴(109)に差し込まれている。印鑑ホルダー(1)は、ガイド穴(109)の長さ以内に前後方向に移動可能となっている。そして、支持フレーム(107)が図1及び図2に示した装置本体(4)に固定されて、印鑑ホルダー(1)が装置本体(4)に対して前後方向に移動自在とされる。印鑑ホルダー(1)の装置本体(4)への組込み状態を具体的に示したのが、図6a、b、c及びdの正面図、左側面図、右側面図及び平面図である。
【0022】装置本体(4)は、前面が開放された箱体であり、印鑑ホルダー(1)を支持した支持フレーム(107)は、その前端開口から装置本体(4)の内部に挿入され、ビス等の固着具(110)により固定されている。このように装置本体(4)に対して前後方向に移動自在とされた印鑑ホルダー(1)は、印鑑(S)の装着時に、図1及び図2に示した捺印時と同様に、受領書(R)を受領書スペース(2)に差し入れない状態のまま、圧接板(3)を印鑑(S)の印面(S1)に押し当てることで捺印可能な最適な位置に配置される。これは、図1a及びbに示した実施形態では押しボタン(6)を後方に押す、図2aに示した実施形態では表面パネル(51)を後方に押すという操作で実現される。
【0023】印鑑ホルダー(1)には、また、一端を支持フレーム(107)に固定したスプリング(111)の他端に接続することができる。このスプリング(111)に発生する弾性力により印鑑ホルダー(1)が常に最前位置に押し出され、圧接板(3)が印鑑(S)の印面(S1)に確実に当たるようにすることができる。この場合、スプリング(111)の他端は、たとえば、印鑑ホルダー(1)のスライド片(108)に固定することができる。
【0024】なお、図3に示した実施形態では、スライド片(108)は2つ配設され、これに対応してガイド穴(109)も2箇所形成されているが、これらの個数は特に制限はない。印鑑(S)は、そのようにして得られる最適位置に保持固定されなければならないが、そのための機構が、図3に示した実施形態にはまた組み込まれている。この印鑑ホルダー(1)の固定機構は、図2aに示した実施形態に特に効果的に機能する。
【0025】印鑑ホルダー(1)の固定機構は、印鑑ホルダー(1)に外側に向けて突設されたリブ(8)と、このリブ(8)に接触し、これを押圧可能な外周面を有する回転可能なシャフト(9)と、クランクピン(10)を備えたクランク(11)と、前後動自在なリンク(12)とから構成されている。リブ(8)は、たとえば印鑑ホルダー(1)の上面に突設することができる。
【0026】シャフト(9)は、リブ(8)に対向し、交差する向きに配設されている。好ましくは、直交方向である。リブ(8)が、印鑑ホルダー(1)の上面に設けられる場合には、シャフト(9)はリブ(8)の上側に配置することができる。また、この場合、シャフト(9)は、支持フレーム(107)に横架して回転可能とすることができる。
【0027】このシャフト(9)には、図3aに示したように、リブ(8)に対向する一部の外周面が切り欠かれ、図4に示したように平面部(91)が形成されている。それ以外の外周面は円柱面となっており、これら平面部(91)と円柱面からカム面を構成している。そして、シャフト(9)は、クランク(11)に固定されている。
【0028】クランク(11)に備えたクランクピン(10)は、リンク(12)に形成されたガイド穴(121)に挿入されている。ガイド穴(121)は、リンク(12)の長さ方向に延びる長穴状となっており、クランクピン(10)は、ガイド穴(121)にある程度の遊びを持って挿入されている。一方、リンク(12)は、図7aに示したように、その前端が装置前面部(5)を構成するカバー(52)の後面に当接可能となる位置に配置されている。
【0029】この印鑑ホルダー(1)の固定機構では、図7aに示したように、非固定時には、シャフト(9)は、平面部(91)が、印鑑ホルダー(1)に突設されたリブ(8)に対向して配置される。平面部(91)とリブ(8)の間に隙間が形成され、シャフト(9)はリブ(8)に接触しない。印鑑ホルダー(1)は、装置本体(4)に対して前後方向に移動自在となっている。
【0030】印鑑(S)の装着時に、その配置位置を調整するために、表面パネル(51)を後方に押し、装置前面部(5)を後方に回動させると、カバー(52)の後面がリンク(12)の前端に接触し、次いで接触しながら、図7bに示したように、リンク(12)を後方に移動させる。この時、図2bに示したように、圧接板(3)は、印鑑ホルダー(1)に保持された印鑑(S)の印面(S1)に接触し、印鑑ホルダー(1)を後方に押し込む。
【0031】リンク(12)に形成されたガイド穴(121)は遊びを持っているため、クランクピン(10)はすぐにはガイド穴(121)前端に位置するリンク(12)に当たらないが、リンク(12)の後方移動にともなってやがてリンク(12)に当接する。クランクピン(10)がリンク(12)に当接した後には、リンク(12)がカバー(52)により後方に押し込まれると、クランクピン(10)がリンク(12)にともなわれて後方に移動する。その結果、シャフト(9)が回転する。リブ(8)にはシャフト(9)の円柱面が接近してくる。
【0032】そして、リンク(12)がさらに後方に押し込まれ、表面パネル(51)が押し込まれきると、図7cに示したように、シャフト(9)の円柱面がリブ(8)に当接し、これを押圧する。この押圧力により印鑑ホルダー(1)が固定される。印鑑(S)は、その長さに応じた、捺印可能な最適な位置に配置され、印鑑ホルダー(1)に保持固定される。長穴状のガイド穴(121)によるリンク(12)の遊びは、印鑑(S)の長さの違いを吸収するのに効果的となっている。
【0033】このような印鑑ホルダー(1)の固定機構には、クリックバネ(13)を付設することができる。このクリックバネ(13)は、一端をクランクピン(10)に接続し、他端を支持フレーム(107)に固定することができる。クリックバネ(13)に生ずる弾性力は、クランクピン(10)の移動を抗する向きに作用し、シャフト(9)の回転を規制する。このため、シャフト(9)がリブ(8)に接触、押圧する時には、シャフト(9)は、クリックバネ(13)の弾性力によって固定され、印鑑ホルダー(1)が安定して固定されることとなる。
【0034】また、リンク(12)には、図3a、b及びdに示したように、印鑑ホルダー(1)の位置設定に際して、その前端が確実にカバー(52)の後面に接触し、また、接触状態を保ちながらカバー(52)にともなわれて後方に移動するように、スプリング(14)を接続することができる。この場合、リンク(12)は、後方に移動する際にスプリング(14)に発生する弾性力により、印鑑ホルダー(1)が固定された時、ガイド穴(121)の後端にクランクピン(10)が接触する位置まで前方に押し出されることとなる。
【0035】ところで、印鑑(S)を朱肉がなくなるなどして交換する際には、印鑑ホルダー(1)の固定状態を解除する必要があるが、これは、リンク(12)を前方に引き出すことにより実現される。リンク(12)を前方に引き出すと、図7に示した工程が、c→b→aの順に逆行し、印鑑ホルダー(1)の固定が解除される。図3c及び図4に示したように、スプリング(111)が付設される場合には、スプリング(111)の弾性力により印鑑ホルダー(111)は、最前位置に押し出される。
【0036】リンク(12)を前方に引き出すために、リンク(12)には、図3に示したように、その前端に爪(122)を突設することができる。そして、図8aに示したように、カバー(52)の後面に、爪(122)に係合可能な引っ掛け部(55)を備えたリセット用リブ(56)を後方に向けて立設することができる。リセット用リブ(56)は、その引っ掛け部(55)が爪(122)に係合可能な位置に配設される。
【0037】こうすることで、図8bに示したように、印鑑ホルダー(1)に保持固定された印鑑(S)を取り出す際に、表面パネル(51)を前方に回動させると、表面パネル(51)とともにカバー(52)が回動するにつれて、リセット用リブ(56)の引っ掛け部(55)がリンク(12)の爪(122)に接近し、接触して係合する。そして、引っ掛け部(55)により、爪(122)を介してリンク(12)が前方に引き出され、印鑑ホルダー(1)の固定状態を解除することができる。
【0038】図9a、b、c及びdは、各々、装置前面部の一実施形態を示した正面図、左側面図、右側面図及び平面図である。この図9に示した装置前面部(5)は、図6に示した装置本体の前端開口に装着されるものである。図9b、c及びdに示したように、引っ掛け部(55)を備えたリセット用リブ(56)は、装置前面部(5)を構成するカバー(52)の後面に後方に向けて立設することができる。
【0039】また、装置前面部(5)は、みだりに捺印されないように、非捺印時にはその回動が制止されることが望ましい。そのために、図9に示したように、カバー(52)の後面にストッパー(57)を後方に向けて突設し、装置本体(4)には、図6a、b及びcに示したように、その前端で、ストッパー(57)の後端が当たる位置に、内側に向かって延びるロック片(41)をたとえば設けることができる。そして、非捺印時には、ストッパー(57)の後端をロック片(41)の前端に当ててロックし、装置前面部(5)の後方への回動を制止する。
【0040】しかしながら、ストッパー(57)及びロック片(41)を配設すると、印鑑(S)の位置設定を行う際に支障をきたすこととなる。すなわち、図10aに示したように、ストッパー(57)の後端がロック片(41)に当たり、装置前面部(5)がロックされるため、装置前面部(5)を回動限界まで回動させることができず、印鑑(S)の位置設定が不可能となる。
【0041】そこで、図3に示した実施形態には、このような不都合を解消するために、図11aにも示しように、ロック解除体(15)を設けることができる。このロック解除体(15)は、シャフト(9)に接続される。一方、装置前面部(5)では、表面パネル(51)にカバー(52)をその上端において回転軸(58)により軸支し、回動自在とする。これとともに、カバー(52)の後面にロック解除用リブ(59)を後方に向けて立設する。ロック解除用リブ(59)は、ロック解除体(15)の前端に当接可能な位置に配設される。
【0042】こうすることで、図11aに示したように、印鑑(S)の位置設定を行う際に装置前面部(5)を後方に回動させた時に、ロック解除用リブ(59)の後部がロック解除体(15)の前端に当たり、さらに、図11bに示したように、ロック解除体(15)がロック解除用リブ(59)を下方に押し下げ、カバー(52)を後方に回動させる。図3に示したクリックバネ(13)が付設される場合には、クリックバネ(13)の弾性力がシャフト(9)に作用するため、ロック解除用リブ(59)がより大きな力でロック解除体(15)を押し下げる。カバー(52)の回動により、ストッパー(57)は、図10bに示したように、ロック片(41)の下方に回り込み、ロック片(41)の前端には当たらない。装置前面部(5)のロック状態は解除され、後方への回動が可能となる。図7a、b及びcに示した印鑑(S)の位置設定が行える。
【0043】なお、ロック解除用リブ(59)については、装置前面部(5)が回動してもロック解除体(15)の前端にある程度連続的に接触し、押し下げられるように、その後端部を曲面状に形成するのが好ましい。ところで、カバー(52)を表面パネル(51)に軸支することにより、表面パネル(51)に形成された挿入口(53)の開閉が可能ともなる。すなわち、図10及び図11に示したように、カバー(52)の前端頂部に遮蔽体(16)を上方に立設し、カバー(52)の上端を挿入口(53)の下端に当接配置することで、その遮蔽体(16)により挿入口(53)を閉鎖することができる。この閉鎖状態を維持するために、たとえば、スプリング(17)を設け、その弾性力でカバー(52)に前方に回動する方向のモーメントを付与することができる。このスプリング(17)は、たとえば、回転軸(58)上に配置し、一端を表面パネル(51)、他端をカバー(52)の適宜な部位に接触させることができる。一方、捺印時には、カバー(52)を後方に回動させる。この時、カバー(52)の上端は挿入口(53)の上端側に移動し、遮蔽体(16)が挿入口(53)から離れ、挿入口(53)が開く。
【0044】非捺印時における装置前面部(5)の回動制止は、図2bに示した捺印時にも支障をきたす。それと言うのも、図2aに示した状態では、装置前面部(5)は、図10aに示したように、ストッパー(57)の後端がロック片(41)に当たり、すでにロックされているからである。そこで、捺印時におけるロック解除をするために、図9に示した装置前面部(5)には、さらに、カバー(52)の後面に捺印時ロック解除用リブ(5a)が後方に向けて立設されている。そして、図12a及びbに示したように、この捺印時ロック解除用リブ(5a)に捺印時に上方より接触可能な位置に、前後に回動自在としたロック解除シャフト(18)が設けられる。
【0045】非捺印時には、ロック解除シャフト(18)は、後方位置にあり、捺印時ロック解除用リブ(5a)とは非接触状態にある。一方、捺印時には、図12bに示したように、ロック解除シャフト(18)は前方に回動し、捺印時ロック解除用リブ(5a)に上方より接触し、これを押し下げる。すると、カバー(52)が後方に回動し、図10bに示したロック解除状態が得られる。カバー(52)の前端頂部に遮蔽体(16)が設けられる場合には、この時のカバー(52)の回動により挿入口(53)が開放される。表面パネル(51)を押して装置前面部(5)を後方に回動させることが可能となり、捺印可能となる。
【0046】このようなロック解除シャフト(18)の回動は手動又は自動のいずれであってもよい。自動式とする場合には、たとえば図13に示したようなモータ駆動機構(19)を採用することもできる。この図13に示したモータ駆動機構(19)では、モータ(191)の回転軸(192)にウォーム(193)が設けられ、このウォーム(193)に噛合するウォームホイール(194)の側面にロック解除シャフト(18)が立設されている。モータ(191)に電気信号が入力され、作動すると、その回転力が回転軸(192)を通じてウォーム(193)に伝達された後に、ウォーム(193)及びウォームホイール(194)により回転方向が変換され、ロック解除シャフト(18)の前後の回動が得られる。
【0047】このようなモータ駆動機構(19)は、捺印時のロック解除操作を簡便とする。また、ロック解除を宅配ボックスの動作に連動させることも可能となる。すなわち、宅配ボックスでは、一般に、宅配物が収納された後には宅配ボックス前面に設けられた蓋体はソレノイドの作動によりロックされるが、このロック時に発生する電気信号をモータ(191)に入力させることで、捺印装置のロック解除も行えるのである。モータ駆動機構(19)は、図3に示したように、たとえば、印鑑ホルダー(1)の支持フレーム(107)の側面に固定することができる。
【0048】このように、図1a及びb、そして図2aに示した実施形態は、印鑑(S)の配置位置をその長さに対応して最適な位置に設定することを可能としているが、これらの実施形態には、印鑑(S)の太さに対応して印鑑(S)を確実に保持できるように配慮を加えることもできる。たとえば図14に示したように、印鑑保持体(103)の内面(104)を外側に向けて彫り込み、凹所(113)を形成する。そして、この凹所(113)の内部に、スポンジ等の弾力性を有し、圧縮変形可能な弾力部材(20)を印鑑保持体(103)の内面(104)からはみ出すように挿入する。この状態を示したのが図15aの正面図である。
【0049】このように弾力部材(20)が取り付けられた印鑑保持体(103)では、印鑑(S)が2体一対の印鑑保持体(103)間に差し込まれた時には、太い印鑑(S)に対しては、図15bに示したように、弾力部材(20)は外側に大きく圧縮され、一方、細い印鑑(S)ではわずかに圧縮されるが、いずれの場合にも印鑑(S)を確実に保持する。市販の印鑑(S)には様々な径を有するものがあるが、どの太さの印鑑(S)も確実に印鑑ホルダー(1)で保持することができる。
【0050】もちろんこの発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によって、捺印装置の上下方向の寸法が縮小される。宅配ボックスでは、間口を大きく取ることができ、収納スペースを十分に確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 利夫
【公開番号】 特開平11−266999
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−78117