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【発明の名称】 熱可塑性樹脂発泡マット
【発明者】 【氏名】井上 孝夫

【氏名】池田 泰成

【要約】 【課題】通気性、耐圧縮性、強度及び指圧効果による触感に優れ、かつ、軽量で折り畳み易く、取り扱い性に優れ、さらに、荷重分散性が良好で床ずれが生じ難い熱可塑性樹脂発泡マットを提供する。

【解決手段】熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、特定の凸部が形成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡マット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、中実の凸部及び中空の凸部が形成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡マット。
【請求項2】 熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、底面が円状で断面が半円状の凸部及び底面が楕円状で断面が半円或いは半楕円状の凸部が形成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡マット。
【請求項3】 熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、断面が略矩形状であり、底面が略四角形の凸部が略等間隔に、かつ、凸部間の隙間が格子状になるように形成されており、該凸部の高さが前記熱可塑性樹脂発泡シートの厚さの2〜10倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡マット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂発泡マットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マットレス、座布団、レジャーマット等の人の体を支持する発泡マットとして、衛生性、耐久性、耐圧縮性等に優れ、かつ、軽量で安価な熱可塑性樹脂発泡マットが多用されている。しかし、通常の平滑面を有するシート状の発泡マットでは、病気や怪我などのため、寝返り等により体の重心を変えることができなくなると、荷重を分散することができなくなり、体を支持している部位の血流が圧迫により阻害され、床ずれが生じるといった問題があった。
【0003】発泡マットの荷重分散性を向上する方法として、例えば、特公平6−61353号公報及び特公平6−61354号公報には、熱可塑性樹脂発泡マットを体形に合わせた形状に加工する方法が示されている。該方法では、体と発泡マットとの接触面積が大きくなり、荷重は分散され易くなるが、発泡マットと体との間に十分な隙間が確保できないため、通気性が極めて悪くなるといった問題があった。
【0004】特公平8−281667号公報では、連続したクッション体の形状を変化させることにより、腰部に対応する部分がその他の部分より硬く、指圧効果を有するマットが示されているが、該発泡マットも、発泡マットと体との間に十分な隙間が確保できず、通気性が十分ではないといった問題があった。
【0005】さらに、特公平6−34798号公報では、両面に凸部を有する熱可塑性樹脂発泡マットが示されているが、該発泡マットは耐圧縮性が十分ではなく、また、両面に凸部を有するので折り畳みが困難であり、取り扱い性が悪いといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、通気性、耐圧縮性、強度及び指圧効果による触感に優れ、かつ、軽量で折り畳み易く、取り扱い性に優れ、さらに、荷重分散性が良好で床ずれが生じ難い熱可塑性樹脂発泡マットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、中実の凸部及び中空の凸部が形成されていることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、底面が円状で断面が半円状の凸部及び底面が楕円状で断面が半円或いは半楕円状の凸部が形成されていることを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、断面が略矩形状であり、底面が略四角形の凸部が略等間隔に、かつ、凸部間の隙間が格子状になるように形成されており、該凸部の高さが前記熱可塑性樹脂発泡シートの厚さの2〜10倍であることを特徴とする。
【0010】請求項1〜3記載の発明で使用される熱可塑性樹脂発泡シート(以下、「発泡シート」と記す)は、独立気泡性のものが、耐圧縮性及び強度に優れへたり難く、成形も容易であるので好ましい。
【0011】発泡シートを構成する熱可塑性樹脂としては、従来使用されている任意のものが使用でき、例えば、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられ、中でもオレフィン系樹脂が、樹脂の流動性に優れ、成形し易いので好ましい。オレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂が一般的に使用される。
【0012】また、上記熱可塑性樹脂は、電子線架橋法、化学架橋法、シラン架橋法等の従来公知の任意の方法により架橋が施されているのが好ましい。架橋度は、一般には35〜50%が好ましく、より好ましくは35〜45%である。
【0013】熱可塑性樹脂には、抗菌剤、防かび剤、難燃剤、顔料等が物性を阻害しない範囲で必要に応じて添加されていてもよい。
【0014】発泡シートの見掛け密度は、小さくなると耐圧縮性及び強度が低下し、大きくなるとクッション性が低下するので0.03〜0.10g/ccが好ましく、より好ましくは0.04〜0.08g/ccである。
【0015】以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1は請求項1記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットの1実施例を示した断面図であり、熱可塑性樹脂発泡マット1は、発泡シート2の片面に中実の凸部31及び中空の凸部32が形成されてなり、中実凸部31及び中空凸部32には貫通孔41及び42が形成されている。
【0016】図1中、t1 で示した中実凸部31及び中空凸部32の高さは、低くなるとクッション性及び通気性が低下し、高くなると強度及び指圧効果が低下するので3〜30mmが好ましく、より好ましくは7〜15mmである。中実凸部31及び中空凸部32の直径は、小さくなると成形性が低下し、大きくなると通気性が低下するので5〜28mmが好ましく、より好ましくは8〜20mmである。尚、中実凸部31と中空凸部32の高さ及び直径は、成形性が向上するので、同一であるのが好ましい。
【0017】中実凸部31及び中空凸部32の合計個数は、少なくなると耐圧縮性が低下し、多くなると通気性及び成形性が低下するので10〜200個/100cm2 が好ましく、より好ましくは10〜60個/100cm2 であり、全体の面積の40〜65%が好ましい。
【0018】中実凸部31と中空凸部32の割合は特には限定されず、用途に応じて適宜設計してよい。例えば、マットレスの場合は、人が横たわった際に高荷重がかかる部位(頭部、肩部、仙骨部、踵部等)には中空凸部32を形成し、その他の部位には中実凸部31を形成するのが好ましい。中空凸部32を高荷重部分に形成することにより、中空凸部32がへたり、荷重分散性が向上する。
【0019】中実凸部31及び中空凸部32には、通気性を向上させるために貫通孔41及び42を形成するのが好ましい。貫通孔の大きさは、耐圧縮性、強度等を阻害しない範囲であれば特には限定されない。
【0020】図2は請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットの1実施例を示した平面図であり、図3は図2のX−X’線での断面図である。熱可塑性樹脂発泡マット5は、発泡シート6の片面に、底面が円状で断面が半円状の凸部(以下、「円状凸部」と記す)71及び底面が楕円状で断面が半円或いは半楕円状の凸部(以下、「楕円状凸部」と記す)72が交互に形成されてなる。
【0021】図3中、t3 で示した円状凸部71及び楕円状凸部72の高さは、低くなると通気性が低下し、高くなると成形性が低下するので5〜15mmが好ましく、より好ましくは8〜12mmである。尚、円状凸部71及び楕円状凸部72の高さは、成形性、指圧効果及び耐荷重性が向上するので、同一であるのが好ましい。
【0022】円状凸部71の直径は、小さくなると通気性及び成形性が低下し、大きくなると通気性及び指圧効果が低下するので15〜30mmが好ましく、より好ましくは15〜25mmである。
【0023】楕円状凸部72の短径は、小さくなると成形性、耐圧縮性及び指圧効果が低下し、大きくなると通気性及び指圧効果が低下するので15〜30mmが好ましく、より好ましくは15〜25mmであり、円状凸部71の直径と同一であるのが、成形性、耐圧縮性及び指圧効果が向上するので好ましい。楕円状凸部72の長径は、小さくなると耐圧縮性及び指圧効果が低下し、大きくなると通気性及び指圧効果が低下するので、短径の1.1〜3倍が好ましく、より好ましくは1.4〜2.5倍である。
【0024】円状凸部71と楕円状凸部72の配置は特には限定されず、用途に応じて適宜設計してよいが、図2に示すように交互に配置するのが、意匠性、成形性、通気性、耐圧縮性等が向上するので好ましい。
【0025】円状凸部71及び楕円状凸部72の合計個数は特には限定されず、用途に応じて適宜設計してよいが、少なくなると通気性及び指圧効果が低下し、多くなると通気性及び取り扱い性が低下するので、全体の面積の30〜60%であるのが好ましく、より好ましくは45〜55%である。
【0026】図4は請求項3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットの1実施例を示した断面図であり、熱可塑性樹脂発泡マット8は、発泡シート9の片面に断面が略矩形状であり、底面が略四角形の凸部10が、略等間隔に、かつ、凸部10同士の隙間が格子状になるように形成されてなる。
【0027】上記凸部10は断面が矩形状であるが、角にあたる部分は滑らかな曲面となっている。
【0028】図4中、t5 で示した凸部10の高さは、低くなると通気性、指圧効果及びクッション性が低下し、高くなると耐圧縮性及び強度が低下するので、後述する図5中t6 で示した発泡シート9の厚さの2〜10倍に限定され、好ましくは3〜8倍であり、一般には3〜30mmが好ましく、より好ましくは4〜15mmである。
【0029】凸部10の大きさは、小さすぎたり大きすぎたりすると、通気性及び指圧効果が低下するので、底面の1辺の長さが10〜30mmが好ましく、より好ましくは15〜25mmである。
【0030】凸部10同士の間隔は、狭くなると通気性及び指圧効果が低下し、また、折り畳み難くなり取り扱い性が低下し、広くなると耐圧縮性及び指圧効果が低下するので1〜5mmが好ましく、より好ましくは2〜4mmである。
【0031】また、凸部10は、凸部同士の隙間が格子状になるように形成されている。このように形成することで、熱可塑性樹脂発泡マットが折り畳み易くなり、取り扱い性が向上する。
【0032】図1中、t2 で示した発泡シート2の厚さ、図3中、t4 で示した発泡シート6の厚さ及び図4中、t6 で示した発泡シート9の厚さは、薄くなると成形性が低下し、厚くなると折り畳みが困難になり、重量も増加して取り扱い性が低下するので1〜7mmが好ましく、より好ましくは2〜5mmである。
【0033】また、熱可塑性樹脂発泡マット全体の厚さは、薄くなるとクッション性及び耐圧縮性が低下し、厚くなると折り畳み難く取り扱い性が低下するので4〜35mmが好ましく、より好ましくは8〜15mmである。
【0034】請求項1〜3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットを得る方法としては特には限定されず、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、発泡シートを加熱した後、金型によりプレス成形する方法が挙げられる。
【0035】図5は請求項1記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットの製造方法の1例を示した概略断面図であり、発泡シート11を上型12及び下型13からなる金型でプレスしている状態を示している。上型12には脱気口14を有する任意形状の凹部15が形成されており、下型13には平滑面16に必要に応じて突起部17が形成されている。尚、発泡シート11の、突起部17に対応する部分には中空凸部が形成され、その他の部分では中実凸部が形成される。
【0036】尚、請求項2及び3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットの場合は、上記下型13として平滑面16のみを有するものを使用して、上記と同様にして得られる。
【0037】プレス成形する際、発泡シート11に加熱を施すが、その加熱温度は、低すぎたり高すぎたりすると成形性が低下し、成形後の発泡マットの凸部が形成されていない面(以下、「裏面」と記す)が荒れるので、発泡シートを構成する熱可塑性樹脂の融点よりも20〜50℃高くするのが好ましい。また、発泡シートの表面温度が150〜180℃、内部温度が110〜140℃であるのが好ましい。
【0038】プレス成形の際のプレス圧は、小さくなると凸部が形成され難くなるので4000kgf/cm2 以上であるのが好ましい。
【0039】プレス成形の際の圧縮速度は、遅くなると成形性が低下し、速くなると成形後の発泡マットの裏面が荒れたり、異常気泡が生じるために耐圧縮性が低下したりするので0.05〜0.2m/秒が好ましい。
【0040】また、圧縮の割合は、少ないと凸部が形成されなかったり、発泡マットの裏面が荒れたりし、多いと破泡が生じたり、発泡シートが破れたりするので、発泡シートの成形前の厚さの5〜40%が好ましい。
【0041】上記のような条件でプレス成形を行うことにより、凸部内の気泡が厚さ方向に配向し、厚さ方向での耐圧縮性が向上する。厚さ方向への配向の割合は、厚さ方向の気泡径が長さ方向又は幅方向の気泡径の1.1〜2.5倍であるのが好ましい。
【0042】また、上記熱可塑性樹脂発泡マットには、発泡シートよりも圧縮強度の小さい軟質発泡シートが裏面に積層されていてもよい。
【0043】図6及び図7は、図1及び3に示した熱可塑性樹脂発泡マットに軟質発泡シートが積層された状態を示した断面図である。
【0044】図6において、1は図1で示した熱可塑性樹脂発泡マットであり、裏面に発泡シート2よりも圧縮強度の小さい軟質発泡シート18が積層されている。
【0045】図7において、5は図3で示した熱可塑性樹脂発泡マットであり、裏面に発泡シート6よりも圧縮強度の小さい軟質発泡シート19が積層されている。
【0046】上記軟質発泡シート18及び19としては、独立気泡性のものでも連続気泡性のものでもよい。軟質発泡シート18及び19を構成する樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0047】軟質発泡シート18及び19の見掛け密度は特には限定されないが、小さくなると耐圧縮性が低下し、大きくなると圧縮による変形に追従できず、また、重量が増して取り扱い性が低下するので0.03〜0.08g/ccが好ましく、より好ましくは0.04〜0.06g/ccである。
【0048】軟質発泡シート18及び19の厚さは、薄くなると圧縮による変形に追従できず、厚くなると折り畳み難くなり取り扱い性が低下するので、熱可塑性樹脂発泡マットに形成された凸部の高さの2〜4倍程度であるのが好ましく、一般には15〜90mmが好ましく、より好ましくは30〜80mmである。
【0049】発泡シート2及び6と軟質発泡シート18及び19の積層の方法は、従来公知の任意の方法が採用でき、例えば、接着剤による方法、熱融着による方法等が挙げられる。
【0050】
【発明の効果】請求項1〜3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、上述したような構成であるので、荷重分散性が良好で床ずれが生じ難く、耐圧縮性及び強度に優れており、かつ、へたり難く、発泡マットと体との間に十分な隙間が確保できるので、通気性に優れている。また、凸部による指圧効果があり、触感に優れている。さらに、折り畳み易く、軽量で、取り扱いが容易である。
【0051】請求項1記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、高荷重のかかる部分に中空の凸部を形成しているので、荷重分散性が向上し、より床ずれが生じ難くなる。請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、楕円状凸部により耐圧縮性及び指圧効果が向上し、また、円状凸部が混在しているので、発泡マットと体との間に十分な空間が確保でき、通気性に優れている。請求項3記載の発明の熱可塑性樹脂発泡マットは、凸部間の隙間が格子状であるので、長さ方向にも幅方向にも折り畳み易く、取り扱い性に優れている。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−266996
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−70954