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【発明の名称】 物品係止装置
【発明者】 【氏名】濱田 矜次

【要約】 【課題】物品を垂直面に限定せず傾斜面や水平面に容易に係止すること、物品を容易に傾けたり脱落させたりしないこと、物品を一旦係止した後に傾きを容易に調整すること、物品係止装置が目視できない状態でも容易に係止できることを可能とする。

【解決手段】凸体1は半円以上の外周面11aを有する軸板11と、軸板11と同心の外周面12aを有する鍔板12と、鍔板12の内端面12bから突出する凸体突片13とを具備する。凹体2は凸体1の鍔板12と凸体突片13を収容する袋部21を具備する。袋部21は、物品取付体に取り付けられ座板22と、鍔板12の外周面12aに摺接可能な第一摺接面23aを有する底板23と、軸板11の外周面11aに摺接可能な第二摺接面24aを有する受板24とから成る。受板24には、凸体突片13の外周面13aに摺接可能な第三摺接面25aを有する凹体段部25と、凸体突片13に係合する凹体突片26とを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品及び物品取付体のうちの何れか一方の取付面に取り付けられる凸体と、他方の取付面に取り付けられる凹体とから成り、前記凸体と前記凹体を嵌合することにより前記物品を前記物品取付体に係止する物品係止装置であって、前記凸体は、半円以上の外周面を有し前記一方の取付面に取り付けられる軸板と、該軸板と同心の外周面を有する鍔板と、該鍔板の端面から突出する凸体突片を具備し、前記凹体は前記鍔板と前記凸体突片を収容する袋部を具備し、該袋部は、前記他方の取付面に取り付けられる座板と、前記鍔板の外周面に摺接可能な半円状の第一摺接面を有する底板と、前記軸板の外周面に摺接可能な半円状の第二摺接面を有する受板とから成り、前記座板又は前記受板には前記凸体突片と係合する凹体突片を設け、前記凸体突片と前記凹体突片は、前記軸板と同心の円弧状の外周面と内周面をそれぞれ有することを特徴とする物品係止装置。
【請求項2】 前記凸体突片の外周面に摺接可能な半円状の第三摺接面を有する凹体段部と、前記凹体突片の内周面に摺接可能な半円状の第四摺接面を有する凸体段部の両方、又は何れか一方を具備する請求項1に記載の物品係止装置。
【請求項3】 前記凸体突片と前記凹体突片は圧接するように係合する請求項1又は2に記載の物品係止装置。
【請求項4】 前記凸体突片と前記凹体突片のうちの少なくとも一方は他方を案内するガイド面を有する請求項3に記載の物品係止装置。
【請求項5】 前記凹体は前記凹体突片を含む可撓部を有する請求項1又は2に記載の物品係止装置。
【請求項6】 前記凸体突片と前記凹体突片の係合を外さないようにする手段を有する請求項1、2又は5に記載の物品係止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、額縁、時計等の物品を壁、天井等の物品取付体に係止するための物品係止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、額縁を壁に掛ける際には、額縁に紐又は金具を取り付けると共に壁に釘を打ち付け、紐又は金具を釘に引っ掛けることにより額縁を壁に係止するようになっている。また、時計を壁に掛ける際には、壁に打ち付けた釘を時計の穴に通すことにより、時計を壁に係止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の物品係止装置にあっては、額縁は紐又は金具で壁の釘に引っ掛けるだけであり、時計はその穴に壁の釘を通すだけであるので、額縁や時計は接触や振動によって容易に傾いてしまうという問題がある。
【0004】また、特開平6−113939号公報は、物品を傾き難くする物品係止装置を開示している。ところが、この物品係止装置は物品を天井等の水平な面に係止することが不可能であるという問題を有している。このような問題に対処するため、照明器具を天井に取り付けるためのローゼットを応用することも考えられるが、ローゼットは係止穴を目視できる状態で係止作業を行えるが、物品が物品係止装置よりも大きい面積を有する場合、物品に隠れて係止穴が目視できない状態になるためローゼットの係止作業はきわめて難しい作業になるという問題がある。また、ローゼットは係止後に物品の傾きを調整できないという問題がある。
【0005】本発明の目的は、物品を垂直面に限定せず傾斜面や水平面に容易に係止すること、物品を容易に傾けたり脱落させたりしないこと、物品を一旦係止した後に傾きを容易に調整すること、物品係止装置が目視できない状態でも容易に係止できることを可能とする物品係止装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の物品係止装置は、物品及び物品取付体のうちの何れか一方の取付面に取り付けられる凸体と、他方の取付面に取り付けられる凹体とから成り、前記凸体と前記凹体を嵌合することにより前記物品を前記物品取付体に係止する物品係止装置であって、前記凸体は、半円以上の外周面を有し前記一方の取付面に取り付けられる軸板と、該軸板と同心の外周面を有する鍔板と、該鍔板の端面から突出する凸体突片を具備し、前記凹体は前記鍔板と前記凸体突片を収容する袋部を具備し、該袋部は、前記他方の取付面に取り付けられる座板と、前記鍔板の外周面に摺接可能な半円状の第一摺接面を有する底板と、前記軸板の外周面に摺接可能な半円状の第二摺接面を有する受板とから成り、前記座板又は前記受板には前記凸体突片と係合する凹体突片を設け、前記凸体突片と前記凹体突片は、前記軸板と同心の円弧状の外周面と内周面をそれぞれ有するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は物品Aを物品取付体Bに係止して示す第一実施例の構成断面図であり、物品係止装置は物品Aに固定した凸体1と、物品取付体Bに固定した凹体2とから成っている。これらの凸体1と凹体2は、嵌合した後、回転することにより物品Aを物品取付体Bに安定して係止するようになっている。
【0008】物品Aは額縁、時計、ケース、プラモデル等とすることができ、物品取付体Bは垂直な壁、水平又は傾斜した天井等とすることができる。凸体1と凹体2は物品Aと物品取付体Bに接着剤、ねじ、その他の任意の固定手段によりそれぞれ固定することができる。そして、凸体1と凹体2は任意の材料から形成することが可能である。
【0009】図2、図5及び図6に示すように、凸体1は軸板11を備えており、この軸板11は略半円弧状の外周面11aを有している。軸板11には鍔板12を設けており、この鍔板12は軸板11の中心と同心の略半円弧状の外周面12aを有している。そして、鍔板12の内端面12bの略中央には、周方向に長さを有する凸体突片13を設けている。凸体突片13は円弧状となっており、その外周面13aと内周面13bの中心は軸板11の中心に一致している。
【0010】一方、図3、図5及び図6に示すように、凹体2は凸体1の鍔板12と凸体突片13を収容する袋部21を備えている。この袋部21は、物品取付体Bに固定される例えば矩形の座板22と、凸体1の鍔板12の外周面12aに摺接可能で半円弧状の第一摺接面23aを有する底板23と、凸体1の軸板11の外周面11aに摺接可能で半円弧状の第二摺接面24aを有する受板24とから成っている。そして、凹体2の受板24の内面には、凸体突片13の外周面13aに摺接可能な半円弧状の第三摺接面25aを有する凹体段部25と、凸体突片13に係合する凹体突片26とを設けている。
【0011】図4に示すように、凹体突片26は軸板11と同心の外周面26aと内周面26bを有しており、凹体突片26の内周面26bは受板24の第二摺接面24aと平坦な面で連なっている。そして、凸体突片13と凹体突片26は、凸体突片13の内周面13bと凹体突片26の外周面26aが圧接するように位置している。
【0012】また、凹体突片26の外周面26aの両端縁にはガイド面26cを設け、凸体突片13と凹体突片26の係合を容易にしている。この種のガイド面は凸体突片13の内周面13bに設けてもよく、凸体突片13と凹体突片26の何れか一方に設ければよい。
【0013】次に、このように構成した物品係止装置の使い方を説明する。先ず、凸体1の軸板11の内端面11bに物品Aを固定し、凹体2の座板22を物品取付体Bに固定する。この際に、凸体1はその軸板11の中心が物品Aの重心に略一致するように固定することが好ましく、凹体2の向きは物品Aの最終姿勢を考慮して決定する。
【0014】そして、凸体突片13が凹体突片26の側方に進入し得るように物品Aを保持し、図7に示すように凸体1の鍔板12と凸体突片13を凹体2の袋部21に挿入する。このとき、凸体突片13が凹体突片26に衝突する場合には、物品Aを少々回転させればよい。そして、物品Aの移動が停止した後に物品Aを所望の姿勢に回転すると、図8に示すように凸体突片13が凹体段部25と凹体突片26の間に進入し、凸体突片13と凹体突片26が圧接状態で係合する。
【0015】このとき、座板22と凹体段部25が鍔板12に接触している上に、第一摺接面23a、第二摺接面24a、及び第三摺接面25aが鍔板12の外周面12a、軸板11の外周面11a、及び凸体突片13の外周面13aにそれぞれ摺接している。そして、物品Aの姿勢が十分でない場合には、物品Aを更に回転して最終的姿勢を調整する。
【0016】このように、第一実施例では座板22と凹体段部25が鍔板12に接触している上に、第一摺接面23a、第二摺接面24a、及び第三摺接面25aが鍔板12の外周面12a、軸板11の外周面11a、及び凸体突片13の外周面13aにそれぞれ摺接しているので、物品Aが接触、振動等によって容易に傾動したり脱落したりすることがない上に、物品Aの姿勢の微調整が可能となる。
【0017】また、凸体突片13と凹体突片26を圧接状態で係合させるので、物品Aの傾動や脱落をより一層防止できるとともに、物品Aを物品取付体Bの傾斜面又は水平面に係止することもできる。更に、物品Aに固定した凸体1を物品取付体Bの取付面に押し当ててから、取付面を滑らせながら移動すると凹体2の袋部21の位置を簡単に探り当てることができ、凸体1と凹体2を嵌合できるので、物品Aが物品係止装置よりも大きい面積を有し物品係止装置を目視できない状態でも、物品Aを物品取付体Bに容易に係止することができる。
【0018】図9は第二実施例の平面図、図10は断面図である。凸体3は第一実施例の鍔体12の内端面12bに、凹体突片26の内周面26bに摺接可能な半円弧状の第四摺接面14aを有する凸体段部14を設けている。凹体4の受板24には凹体突片26の両側に位置するスリット27、27を形成し、凹体突片26を有する可撓部28を設けている。可撓部28の弾発力を適切にするために、スリット27、27の深さを底板23に続けている。また、凸体突片13の外周面13aは、凹体突片26を押圧する案内のために大きく傾斜している。この種の案内面は凹体突片26に設けても良い。なお、前記各摺接面の形状は傾斜形状や曲面形状等とすることもできる。
【0019】凸体3と凹体4を物品Aと物品取付体Bにそれぞれ取り付け、物品Aの姿勢を定めて直線的に移動させると、凸体突片13は凹体突片26を押圧して可撓部28を外方へ撓ませ、凹体突片26を乗り越える。同時に、可撓部28が復元し、図11及び図12に示すように凹体突片26が凸体段部14と凸体突片13の間に圧入する。また、図13に示すように凸体段部14は、凸体3と凹体4の嵌合をより安定する効果がある。
【0020】この第二実施例では、物品Aを回転させることなく凸体突片13と凹体突片26を係合できるので、物品Aを物品取付体Bに第一実施例よりも容易に係止できる。そして、その他の効果は第一実施例と同様となる。
【0021】図14は第三実施例の平面図、図15は断面図であり、凸体5には鍔板12の外周面12aと凸体突片13の外周面13aとが平坦に連なるように凸体突片13を設けている。また、凸体5の軸板11と凸体突片13の間には、凹体突片26の外周面26aに摺接可能な半円弧状の第四摺接面14aを有する凸体段部14を設けている。一方、凹体6には凸体突片13を底板23と凹体突片26の間に圧入し得るように、凹体突片26を底板23に近設している。第一実施例と同様に凸体5と凹体6を嵌合して回転すると、凸体突片13が底板23と凹体突片26の間に圧入する。第三実施例も第一実施例と同様な効果を達成することができる。
【0022】図16は第四実施例の平面図、図17は図16のE−E線断面図、そして図18は図16のF−F線断面図である。凸体7は第三実施例の凸体5に1個の凸体小突起15を設けた構成とし、凹体8は第三実施例の凹体6に2個の凹体小突起29、29を設けた構成としている。この際に、凸体小突起15は凸体突片13の周方向の中心とその円弧の中心とを結ぶ線上で、軸板11と凸体段部14の交差部に設けている。また、凹体小突起29、29は、凹体突片26の周方向の両端とその円弧の中心とを結ぶ線上又はその内側に位置するように、第二摺接面24aに沿って受板24に形成した切欠部24bに設けている。
【0023】この第四実施例では、凸体7と凹体8を第三実施例と同様に嵌合して回転すると、凸体突片13と凹体突片26が係合すると共に、凸体小突起15が一方の凹体小突起29を乗り越え、両凹体小突起29、29の間に進入する。これにより、凸体小突起15と凹体小突起29、29は相互の移動範囲を規制し、凸体突片13が凹体突片26から外れることを防止する。その他の効果は第三実施例と同様になる。
【0024】図19は第五実施例の平面図であり、凸体9は第三実施例の凸体5の軸板11、鍔板12、凸体段部14を真円形状とした軸板11’、鍔板12’、凸体段部14’を具備している。また、鍔板12’には凸体突片13よりも幅の狭い例えば8個の凸体突起13’を周方向に等間隔で設けている。同様に、凹体10には第三実施例の凹体6に凹体突片26よりも幅の狭い例えば3個の凹体突片26’を、凸体突片13を挿通し得る間隔で周方向に設けている。この第五実施例では、凸体9は物品Aにその方向を複数選択して固定することができる上に、第三実施例と同様な効果を得ることができる。
【0025】以上、発明の最も好ましい実施の形態について詳細に説明したが、これまで使用した用語は説明を目的としたものであってその用語に限定するものでない。また、特許請求の範囲に反することなく形状、大きさ、配列等について種々の変更を可能とするものである。
【0026】例えば、第一実施例では凸体突片13を鍔板12の内端面12bに設けると共に、凹体段部25を受板24に設けたが、図20に示すように凸体1aには凸体突片13を鍔板12の外端面12cに設け、凹体2aには凹体段部25を座板22に設けることもできる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る物品係止装置では、凸体の鍔板の外周面と軸板の外周面が、凹体の第一摺接面と第二摺接面にそれぞれ当接するので、凸体と凹体の間に摩擦を発生させる面積が増加し、物品が接触や振動等によって傾動したり脱落したりすることを防止できる上に、物品の傾きを容易に微調整することが可能となる。また、凸体又は凹体に第三摺接面ないし第四摺接面を有する段部を設ければ、その効果をより大きくすることが可能となる。そして、凸体を物品取付体の取付面に押し当ててから、取付面を滑らせながら移動して凹体の袋部の位置を探り当て、凸体と凹体を嵌合するようにしたので、物品係止装置を目視できない状態でも容易に係止することが可能となる。また、凸体突片と凹体突片が係合するので、物品を傾斜面や水平面に係止することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】592004378
【氏名又は名称】濱田 矜次
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−266984
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−93921