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【発明の名称】 プラスチックミラー
【発明者】 【氏名】椿 邦彦

【氏名】木原 光春

【要約】 【課題】取り付け時における外周枠部の変形に起因するミラー像の歪みの問題を解消する。

【解決手段】樹脂製基体10は中央板部11及び中央板部11の外周縁に形成された外周枠部12が射出成形により一体成形されてなる。中央板部10の一方の表面上には樹脂製フィルムミラー20が接合されている。外周枠部12は、中央板部11の他方の表面よりもプラスチックミラーの裏側に一体的に突出する環状突部13を有して、中央板部10よりも所定量厚肉とされている。取付面に対する取り付け部位となる外周枠部12の剛性の増大により、プラスチックミラーを大型化する場合であっても、取り付け時における外周枠部12の変形に起因して中央板部10や樹脂製フィルムミラー20が歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことを効果的に抑えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央板部及び該中央板部の外周縁に形成された外周枠部が射出成形により一体成形されてなる樹脂製基体と、該中央板部の一方の表面上に接合された樹脂製フィルムミラーとを備えたプラスチックミラーにおいて、上記外周枠部は、上記中央板部の他方の表面よりもプラスチックミラーの裏側に一体的に突出する環状突部を有していることを特徴とするプラスチックミラー。
【請求項2】 前記環状突部の幅は前記中央板部の肉厚と同等以上とされていることを特徴とする請求項1記載のプラスチックミラー。
【請求項3】 前記環状突部は中空部を有して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチックミラー。
【請求項4】 前記外周枠部は、前記樹脂製フィルムミラーの外周縁部において該樹脂フィルムミラーの外表面を被覆する環状被覆部を有していることを特徴とする請求項1記載のプラスチックミラー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチックミラーに関し、詳しくは射出成形により形成された樹脂製基体と、この樹脂製基体の一表面上に接合された樹脂製フィルムミラーとからなるプラスチックミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図6に示すように、射出成形により形成された樹脂製基体80と、この樹脂製基体80の一表面上に接合された樹脂製フィルムミラー90とからなるプラスチックミラーが知られている(特開昭60−244901号公報、特開昭54−89864号公報等参照。)。
【0003】ここに、樹脂製基体80は、樹脂製フィルムミラー90が一表面上に接合される中央板部81と、この中央板部81の外周縁に一体的に形成された外周枠部82とからなる。また樹脂製フィルムミラー90は、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性樹脂フィルムと、この熱可塑性樹脂フィルムの裏面に形成された銀、アルミニウム等の金属反射膜と、この金属反射膜の表面で中央板部との接合面に形成されたアクリレート系樹脂等の接着用プライマー層と、必要に応じて熱可塑性樹脂フィルムの外表面に形成されたハードコート層等とから構成されている。
【0004】このプラスチックミラーは、樹脂製フィルムミラー90を型内にインサートしつつ中央板部81及び外周枠部82からなる樹脂製基体80を一体的に射出成形することにより製造することができる。そして、このプラスチックミラーの取り付けは、樹脂製基体80の外周枠部82の裏面に接着剤83等を付けた後、この外周枠部82の裏面を家屋の内壁面等の取付面に押し付けることにより行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここに、プラスチックミラーとガラスミラーとを比較した場合、プラスチックミラーは、軽量で割れ難く、形状や色の自由度が高く、生産性も高い等の長所がある一方、ガラスミラーと比べて剛性が極端に低いため、歪みが発生しやすいという根本的な欠点がある。
【0006】このため、上記従来のプラスチックミラーでは、接着剤等で取付面に取り付けられる際に、樹脂製基体80の外周枠部82が変形等し、この影響を受けて樹脂製フィルムミラー90が歪んでミラー像に歪みが発生するという問題があった。すなわち、上記従来のプラスチックミラーは、接着剤等が付けられて取付面に押し付けられる樹脂製基体80の外周枠部81について、剛性を高くしたり強度を向上させたりする等の工夫は特になされておらず、この外周枠部81とその他の部分(樹脂製フィルムミラー90及び中央板部81)とで肉厚(剛性)がほぼ同等である。このため、取付面に押し付けられる際に、壁面の凹凸や接着剤層の厚さバラツキ等の影響を受けて外周枠部81が変形し易く、上記ミラー像の歪みの問題が発生し易い。特にプラスチックミラーを大型化(大面積化)する場合は、外周枠部81に対して樹脂製フィルムミラー90の占める割合が大きくなることから、上記ミラー像の歪みの問題が顕著となる。
【0007】本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、プラスチックミラーを大化型する場合であっても、取り付け時における外周枠部の変形に起因するミラー像の歪みの問題を解消しうるプラスチックミラーを提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)請求項1記載のプラスチックミラーは、中央板部及び該中央板部の外周縁に形成された外周枠部が射出成形により一体成形されてなる樹脂製基体と、該中央板部の一方の表面上に接合された樹脂製フィルムミラーとを備えたプラスチックミラーにおいて、上記外周枠部は、上記中央板部の他方の表面よりもプラスチックミラーの裏側に一体的に突出する環状突部を有していることを特徴とするものである。
【0009】このプラスチックミラーは、外周枠部の環状突部を家屋の内壁面等の取付面に当接、固定することにより取り付けられ、使用に供される。外周枠部と取付面との固定は、例えば環状突部と取付面との当接面に接着剤等を塗布することにより行うことができる。また、後述する実施例に示すようにボルト及びナットを利用することも可能である。
【0010】本発明のプラスチックミラーでは、内壁面等の取付面に当接して取り付け時に押圧力が付与せしめられる部分、すなわち外周枠部が、中央板部よりもプラスチックミラーの裏側に突出する環状突部を有している。このため、プラスチックミラーの表裏方向(図1の上下方向。以下、同様)における外周枠部の肉厚が中央板部の肉厚よりも環状突部の突出分だけ厚肉とされ、厚肉とされた分だけ外周枠部の剛性が増大している。したがって、この外周枠部は、取付面の凹凸や接着剤の厚さバラツキ等の影響により変形し難く、またプラスチックミラーの取り付け時に過大な力で押圧されたりしても変形し難い構造となっている。
【0011】しかも、環状突部はプラスチックミラーの裏側に突出しているため、仮に取り付け時の押圧力や取付面の凹凸等により環状突部が多少変形したとしても、この環状突部の変形による影響が中央板部や樹脂製フィルムミラーにまで及び難い構造となっている。すなわち、プラスチックミラーの裏面が中央板部と外周枠部とで面一になっていると、取付面の凹凸等の影響を受けて外周枠部が変形すれば、この外周枠部の変形による影響が中央板部にまで直接的に及ぶため、中央板部が変形し易くなる。しかし、本発明ではプラスチックミラーの裏側に環状突部が突出しているので、仮に取付面の凹凸等の影響を受けて環状突部が変形したとしても、この変形を環状枠部の内部で吸収することにより、中央板部に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0012】したがって、プラスチックミラーを大型化する場合であっても、取り付け時における外周枠部の変形に起因して中央板部や樹脂製フィルムミラーが歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことを効果的に抑えることができる。
(2)請求項2記載のプラスチックミラーは、請求項1記載のプラスチックミラーにおいて、前記環状突部の幅は前記中央板部の肉厚と同等以上とされていることを特徴とするものである。
【0013】ここに、環状突部の幅とは、外周枠部の幅方向(上記プラスチックミラーの表裏方向に対して直交し、かつ、外周枠部が周方向に延在する方向に対して直交する方向、すなわち図1に表されている外周枠部の左右方向。以下、同様)における環状突部の幅をいう。このプラスチックミラーでは、環状突部の幅が中央板部の肉厚(上記プラスチックミラーの表裏方向における肉厚)と同等以上とされており、所定以上の剛性を発揮する。このため、外周枠部の変形に起因して中央板部や樹脂製フィルムミラーが歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことをより効果的に抑えることができる。
(3)請求項3記載のプラスチックミラーは、請求項1又は2記載のプラスチックミラーにおいて、前記環状突部は中空部を有して形成されていることを特徴とするものである。
【0014】環状突部を射出成形により外周枠部等とともに一体的に形成する場合、環状突部の幅には、溶融樹脂の流動性や冷却性等の観点から一定の成形限界がある。この点、このプラスチックミラーでは、環状突部が中空部を有して形成されていることから、上記外周枠部の幅方向における中空部の幅寸法分だけ、環状突部の外形状における幅寸法を増大させることができ、環状突部の剛性増大を図ることが可能となる。したがって、外周枠部の変形に起因して中央板部や樹脂製フィルムミラーが歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことをさらの効果的に抑えることができる。
(4)請求項4記載のプラスチックミラーは、請求項1記載のプラスチックミラーにおいて、前記外周枠部は、前記樹脂製フィルムミラーの外周縁部において該樹脂フィルムミラーの外表面を被覆する環状被覆部を有していることを特徴とするものである。
【0015】このプラスチックミラーでは、樹脂製フィルムミラーの外周縁部の外表面が外周枠部の環状被覆部により被覆されているため、樹脂製フィルムミラーの外周端面と外周枠部との境界部から水分等が浸入することを規制することができ、樹脂製フィルムミラーの劣化を効果的に防止することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のプラスチックミラーは、樹脂製基体と、樹脂製フィルムミラーとを備えている。樹脂製フィルムミラーは、透明な樹脂フィルムと、この樹脂フィルムの裏面に形成された金属反射膜と、この金属反射膜の表面で樹脂製基体との接合面に形成された接着用プライマー層と、必要に応じて樹脂フィルムの外表面に形成されたハードコート膜、防曇膜、反射防止膜や帯電防止膜等の機能性膜とから構成される。
【0017】上記樹脂フィルムの樹脂の種類としては、透明なものであれば特に限定されず、樹脂製基体との熱融着性や製品として要求される特性(機械的強度、耐衝撃性、耐熱性や耐薬品性等)等を考慮して、適宜選択可能である。例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリスチレン(PS)等から適宜選択可能である。
【0018】上記金属反射膜としては、銀膜やアルミニウム膜等とすることができる。この金属反射膜は、銀鏡反応や蒸着等により樹脂フィルムの裏面に形成することができる。上記接着用プライマー層としては、金属反射膜との接着性を有し、樹脂製基体の溶融樹脂が射出成形時に熱融着し、かつ、該射出成形時の高温に耐えうるものであれば特に限定されない。例えば、アクリレート系樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂の溶液等を通常の方法で塗布し、乾燥又は硬化させることにより上記金属反射膜の表面に形成することができる。
【0019】上記機能性膜は、必ずしも必須のものではないが、耐擦傷性、防曇性、帯電防止性や反射防止性等の所望の機能を樹脂製フィルムミラーの表出面に付与せしめたい場合に必要に応じて形成することができる。例えば、耐擦傷性を高めたい場合は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂やシリコン系等のハードコーティング剤を樹脂製フィルムの外表面にコートし、次いで熱又は紫外線等の手段で硬化することによりハードコート膜を形成すればよい。また、防曇性を高めたい場合は、水溶性樹脂系のコーティング剤をコートし、次いで熱又は紫外線等の手段で硬化することにより防曇膜を形成すればよい。
【0020】上記樹脂製基体の樹脂の種類としては、射出成形可能なものであれば特に限定されず、射出成形時における溶融樹脂の流動性、樹脂製フィルムミラーとの熱融着性や製品として要求される特性(機械的強度、耐衝撃性、耐熱性や耐薬品性等)等を考慮して、適宜選択可能である。例えば、ポリカーボネート(PC)や飽和ポリエステル樹脂(PBT)等のポリエステル系樹脂、メチルメタアクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂や、6ナイロンや6−6ナイロン等のポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂から適宜選択可能である。
【0021】樹脂製基体は、中央板部と、この中央板部の外周縁に形成された外周枠部とから構成され、中央板部及び外周枠部が射出成形により一体成形されてなるものである。上記中央板部の外形状は特に限定されず、例えば、長方形や正方形等の矩形状の他、楕円形状や真円形状等とすることもできる。また、プラスチックミラーの表側、すなわち樹脂製フィルムミラーが接合される側の中央板部の表面は、平面又は曲面とすることができるが、プラスチックミラーを平面ミラーと曲面ミラーとの組み合わせよりなる複合ミラーとすべく、後述する実施例に示すように平面と凹状又は凸状の部分球状曲面との複合面としてもよい。
【0022】また、中央板部の肉厚については、特に限定されず適宜設定可能ではあるが、必要な剛性を確保できる範囲内でなるべく薄くすることがプラスチックミラーの軽量化を達成する上で好ましい。ここに、ミラー像の歪みの問題を直接的に解決するには、樹脂製フィルムミラーが接合される中央板部の肉厚を厚くして、この中央板部の剛性を高くすればよい。しかし、プラスチックミラーのうち大部分を占める中央板部の肉厚を厚くすることは重量化に直結するため、軽量化を図れるというガラスミラーに対するプラスチックミラーの優位性が減少してしまい、プラスチックミラーとすること自体の意義が薄れる。この点、本発明では外周枠部に所定の環状突部を形成することによりミラー像の歪みの問題を効果的に解消しうることから、ミラー像の歪みを防止すべく、敢えて中央板部の肉厚を厚くする必要はない。このため、中央板部の肉厚については、中央板部として本来的に要求される剛性を確保しうる範囲内で、なるべく薄くすることが好ましい。具体的には、3〜6mm程度とすることが好ましい。
【0023】さらに、中央板部の大きさも特に限定されず適宜設定可能である。ただし、中央板部の大きさとミラー像の歪みの問題との間には相関関係があり、中央板部が大きくなるほどミラー像の歪みの問題が発生し易くなる傾向がある。このため、中央板部を大きくしてプラスチックミラーを大型化することは、ミラー像の歪みの問題との関係で一定の限界がある。この点、本発明では外周枠部に所定の環状突部を形成することによりミラー像の歪みの問題を効果的に解消しうることから、ミラー像の歪みを防止しつつプラスチックミラーを従来より大型化することが可能である。
【0024】上記外周枠部は、中央板部よりもプラスチックミラーの裏側に一体的に突出する環状突部を有している。この外周枠部は、中央板部の外形状に対応させた外形状とすることができる。プラスチックミラーの裏側に突出する環状突部は、中央板部よりも所定量突出している。この環状突部の突出量は、取付面の凹凸等の影響で中央板部が変形すること、ひいてはミラー像が歪むことを効果的に防止すべく、取付面の凹凸等の影響で外周枠部自身が変形することを効果的に防止するのに十分な剛性を外周枠部にもたせることのできる量とされる。
【0025】また、環状突部の幅は、環状突部の剛性を所定以上に確保すべく、中央板部の肉厚と同等以上とすることが好ましい。ただし、環状突部の幅については、環状突部は外周枠部とともに射出成形により形成されることから、一定の成形限界がある。この点に鑑みれば、環状突部の幅は、中央板部の肉厚の1.2倍程度(中空にすることでさらに肉厚を大きくすることが可能)とすることが好ましい。環状突部の幅が小さすぎると、環状突部の剛性が不十分となり、取付面の凹凸等の影響で外周枠部自身が変形し易くなる。一方、環状突部の幅が大きすぎると、溶融樹脂の流動性や冷却性等との関係で歪みや引け等の欠陥が発生し易くなる。
【0026】かかる構成を有するプラスチックミラーは、樹脂製フィルムミラーを型内にインサートしつつ樹脂製基体を射出成形することにより製造することができる。すなわち、樹脂製フィルムの表面に所定の膜を形成して樹脂製フィルムミラーとした後、この樹脂製フィルムミラーを所定の射出成形型内に配置した状態で、樹脂製基体の溶融樹脂を型内に高圧で射出することにより、樹脂製フィルムミラーと樹脂製基体の中央板部とが熱融着により接合されたプラスチックミラーを製造することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明のプラスチックミラーの実施例について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
(実施例1)図1及び図2に示す本実施例のプラスチックミラーは、樹脂製基体10と、樹脂製フィルムミラー20とを備えている。
【0028】樹脂製フィルムミラー20は、透明な樹脂フィルム21と、この樹脂フィルム21の裏面に形成された金属反射膜22と、この金属反射膜22の上で樹脂製基体10との接合面に形成された接着用プライマー層23と、樹脂フィルム21の外表面に形成された機能性膜としてのハードコート膜24とから構成されている。
【0029】上記樹脂フィルム21は透明なポリカーボネート(PC)樹脂よりなり、その膜厚は0.15〜1.0mmである。上記金属反射膜22は、樹脂フィルム21の裏面に蒸着により形成した銀膜である。上記接着用プライマー層23は、アルキッド樹脂よりなり、この樹脂の溶液を通常の方法で塗布、乾燥させることにより上記金属反射膜22の表面に形成したものである。上記ハードコート膜24は、樹脂製フィルムミラー20の耐擦傷性を向上させるべく、樹脂フィルム21の外表面にハードコーティング剤をコートし、次いで熱硬化することにより形成したもので、アクリレート系樹脂よりなる。
【0030】上記樹脂製基体10は、ポリカーボネート(PC)樹脂よりなり、中央板部11と、この中央板部11の外周縁に形成された外周枠部12とから構成され、中央板部11及び外周枠部12が射出成形により一体成形されてなるものである。上記中央板部11は長方形状の外形状とされ、またその肉厚(プラスチックミラーの表裏方向(図1の上下方向)における肉厚)は均一肉厚とされている。上記外周枠部12は、中央板部11の外形状に対応させた外形状とされ、その幅は均一幅とされている。
【0031】外周枠部12は、中央板部11よりもプラスチックミラーの裏側に一体的に突出する環状突部13を有している。この環状突部13は中央板部11よりもプラスチックミラーの裏側に突出しており、外周枠部12全体の肉厚(プラスチックミラーの表裏方向における肉厚)は中央板部11の肉厚よりも所定量厚肉とされている。また、外周枠部12の幅方向(図1に表される外周枠部12の左右方向)における環状突部13の幅は、中央板部11の肉厚の1.2倍程度とされている。
【0032】なお、樹脂製フィルムミラー20の外周縁部20cは、金属反射膜22等への水分等の浸入を規制して該金属反射膜22の錆を効果的に防止し得るように、外周枠部12の内周縁に一体的に形成された環状被覆部14により被覆されている。上記構成を有する本実施例のプラスチックミラーは、樹脂製フィルムミラー20を型内にインサートしつつ樹脂製基体10を射出成形することにより製造した。まず、樹脂フィルム21の一面にハードコート膜24を形成するとともに、他面に金属反射膜22及び接着用プライマー層23を形成した後、所定形状に切断することにより樹脂製フィルムミラー20を準備した。そして、図3に示すように、この樹脂製フィルムミラー20を所定の射出成形型30内に配置した状態で、樹脂製基体10の溶融樹脂Pを型内に高圧で射出することにより、樹脂製フィルムミラー20と樹脂製基体10の中央板部11とが熱融着により接合されたプラスチックミラーを製造した。
【0033】ここに、樹脂製基体10の射出成形型30において、樹脂製フィルムミラー20に対応する第1キャビティ型面31は、その中心部を頂点として極微小な凹形状となるような、極めて大きな曲率半径を有する凹状の球面形状とされており、また該第1キャビティ型面31に対向し中央板部10の裏面に対応する第2キャビティ型面32は、該第1キャビティ型面31の凹状の球面形状と対応する凸状の球面形状とされている。このように、中央板部10及び樹脂製フィルムミラー20の成形形状をプラスチックミラーの表側が凸状となるような球面形状とすることにより、射出成形時にプラスチックミラーの表側が凹状となるような中央板部11の引け変形を相殺することができ、したがって射出成形時の引け変形に基づく歪みの発生を抑えることが可能となる。
【0034】このようにして得られたプラスチックミラーは、樹脂製基体10の外周枠部12の裏面、すなわち環状突部13の先端面に接着剤40を付け、この環状突部13の先端面を家屋の内壁面等の取付面に押し付けることにより、使用に供することができる。本実施例のプラスチックミラーでは、内壁面等の取付面に当接して取り付け時に押圧力が付与せしめられる外周枠部12が、中央板部11よりもプラスチックミラーの裏側に所定量突出する環状突部13を有しており、またこの環状突部13の幅が中央板部11の肉厚よりも所定量大きくされている。このため、外周枠部12の剛性が所定量増大している。したがって、この外周枠部12は、取付面の凹凸や接着剤40の厚さバラツキ等の影響により変形し難く、またプラスチックミラーの取り付け時に過大な力で押圧されたりしても変形し難い構造となっている。
【0035】しかも、環状突部13はプラスチックミラーの裏側に突出しているため、仮に取り付け時の押圧力や取付面の凹凸等により環状突部13が多少変形したとしても、この環状突部13の変形による影響が中央板部11や樹脂製フィルムミラー20にまで及び難い構造となっている。したがって、本実施例のようにプラスチックミラーを大型化した場合であっても、取り付け時における外周枠部12の変形に起因して中央板部11や樹脂製フィルムミラー20が歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことを効果的に抑えることができる。
【0036】また、プラスチックミラーのうち大部分を占める中央板部81の肉厚を極力薄く維持したまま、ミラー像の歪みの問題を解消し得るため、軽量化を図れるというガラスミラーに対するプラスチックミラーの優位性を十分に確保することが可能である。さらに、引けが発生しにくい射出成形により樹脂基体10を成形することに加えて、中央板部11等の成形形状を射出成形時の引け変形を相殺しうる形状としていることから、射出成形時の引け変形に基づくミラー像の歪みを効果的に抑えることができる。
【0037】(実施例2)図4に示す本実施例のプラスチックミラーは、環状突部13の突出先端部に複数個のナット51をインサート成形したもので、他の構成は上記実施例1と同様である。本実施例では、接着剤を用いる代わりに、ボルト50及びナット51等を利用して取付面60にプラスチックミラーを固定する。
【0038】このようにボルト50及びナット51を利用すれば、取付面60と環状突部13との間にスペーサ(又はシム)52を介在させることが可能となるので、厚さ一定のスペーサ52の存在により、接着剤の厚さバラツキや取付面60の凹凸の影響によるミラー像の歪みの問題をさらに確実に抑えることができる。その他の作用効果は上記実施例1と同様である。
【0039】(実施例3)図5に示す本実施例のプラスチックミラーは、平面ミラーと曲面ミラーとの組み合わせよりなる複合ミラーとした例である。すなわち、プラスチックミラーの表側、すなわち樹脂製フィルムミラー20及びこの樹脂製フィルムミラー20が接合される側の中央板部11の表面は、平面部20a及び11aと、凹状の部分球状曲面部20b及び11bとからなる。
【0040】また、このプラスチックミラーでは、ガスインジェクション成形などにより中空部13aが環状突部13に形成されている。これにより、環状突部13の外形状における幅をさらに増大させて、環状突部13をさらに変形し難い構造としている。その他の構成及び作用効果は上記実施例1と同様である。
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように本発明のプラスチックミラーは、樹脂製基体において、プラスチックミラーの裏側に突出する環状突部を外周枠部に設けることにより、取付面に対する取り付け部位となる外周枠部の肉厚を樹脂製フィルムミラーが接合される中央板部の肉厚よりも所定量厚くして外周枠部の剛性を増大させたものであるから、プラスチックミラーを大型化する場合であっても、取り付け時における外周枠部の変形に起因して中央板部や樹脂製フィルムミラーが歪むこと、ひいてはミラー像が歪むことを効果的に抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開平11−239529
【公開日】 平成11年(1999)9月7日
【出願番号】 特願平10−45118