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【発明の名称】 吸盤部付きマット
【発明者】 【氏名】光山 永男

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高分子材料で形成されたマットにはその片面における全面又は一部面に吸盤部が形成されていることを特徴とする吸盤部付きマット。
【請求項2】 高分子材料が合成樹脂、合成ゴム又は天然ゴムである請求項1に記載の吸盤部付きマット。
【請求項3】 吸盤部が複数の吸着面を備えるものである請求項1又は2に記載の吸盤部付きマット。
【請求項4】 吸盤部がマットの片面に一体成形によって形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸盤部付きマット。
【請求項5】 吸盤部がエンボス加工によって形成された複数のボスとこの各ボス内の穴部で構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸盤部付きマット。
【請求項6】 吸盤部がマットの片面に形成された穴部より構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸盤部付きマット。
【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸盤部付きマットにおいて、その吸盤部の形成面側に対して反対側面に、装飾用の毛を植設したり、装飾用の毛を植設したシート又はプレートを敷設したり、又は天然繊維、再生繊維、半合成繊維または合成繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維で形成された装飾用のフェルト、織布又は不織布を敷設したり、或いは合成樹脂製装飾用のシート又はプレート、装飾用のコルクシート、紙、木製単板又は合板のうちの1種或いは複数種が敷設されている吸盤部付きマット。
【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸盤部付きマットが、カーペット、カーペットピース、タイルマット、玄関マット、キッチンマット、バスマット、トイレ用マット又は車両の室内のフロアマット或いは座席マットである吸盤部付きマット。
【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の吸盤部付きマットにおいて、その吸盤部の形成面側に対して反対側面に、滑止め用の凹凸が形成されていたり、或いは水捌け用の溝や貫通孔が形成されている吸盤部付きマット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸盤部付きマットに関し、高分子材料製のマットにはその片面における全面又は一部面に吸盤部を形成することにより、この吸盤部がマットを床面上等に着脱自在に密着させ、その上を、人が歩いたり或いは座る等の使用中にマット自体が滑ったり、移動して人が転んで怪我をするのを防止するための吸盤部付きマットであって、特に高齢者や身体障害者更に子供達にも安全に使用できるだけでなく、その取り換えや汚れた際の洗浄が簡便に行える吸盤部付きマットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーペット、カーペットピースにおいてはその下面に滑り止めを施すという考え方は見当たらなかった。つまり、幅広いカーペットであれば4隅が壁等に接当して突っ張り易いため横擦れし難いが、仮に横擦れや撓(たわ)みが生じる虞れがある場合には、これを防ぐために、以下の方法が採用されていた。
【0003】即ち、従来より、洋室の場合には、カーペットの下面と床面とを両面粘着テープで粘着、固定するという手段が採用されており、一方、和室の場合には、畳の上にカーペットを敷いた後、長針の鋲をカーペットの上から畳に向けて押し込んで止めるという手段が採用されていた。
【0004】又、高分子材料を正方形のタイル状小片に成形したもので、これを多数枚床面上にカーペット状に敷き詰めて使用するカーペットピースの場合には、そのまま床面上に敷き詰めても横擦れや剥がれが発生し易いので、従来より、その防止手段として、上述した両面粘着テープで個々のピースを床面に粘着、固定したり、或いは個々のカーペットピースを接着剤で床面に吸着ないし接着によって固定していた。
【0005】これに対し、玄関マット,キッチンマット,バスマット,トイレ用マット,車両の室内用マットなどのマット類においては、これらマット類がさほど大きくないことから、これらの上を人が歩いたりすることによって、横擦れしたり、撓んだりすることが多く、その結果、従来より、これらマット類の下面に滑り止めを施したものが数多く見られる。
【0006】具体的には、これらマット類の下面にゴム引き加工したものが殆どで、このゴム面を下にしてマットを床面に置くと、その上を人が歩いたりしてマットに横滑り方向への力が加わっても、ゴムと床面との摩擦抵抗が高く、しかもマットに体重が加わっているために、マットが横擦れしたり、撓んだりし難くなるように構成していた。
【0007】又、この場合において、更に、ゴム面に微細なゴム突起を等間隔毎に多数形成することによって、この突起による床面への引っ掛かりを生じさせて、一層横擦れや撓みを防止するようにしたマットも提案されている。
【0008】そして、最近では、カーペットピース、玄関マット、キッチンマット、バスマット、トイレ用マット等では、これらの下面に感圧粘着性の高分子材料層を形成して、マットを床面に吸着ないし粘着させることによって、横擦れや撓みを防ぐ工夫を施したり、剥がれ難くしたマットも見られる。
【0009】この他、最近の浴室における洗い場は、例えばFRPなどのような樹脂製のもの、タイル張りされたもの、ステンレス製のものが殆どで、これらの床上面は滑らかであり、しかも浴湯で濡れていたり、まして湯垢などが付着していたりすると、極めて洗い場用マットが滑り易く、往々にして人の転倒を招いていたが、従来、これに対処する滑り止め用の具材としては、主に身障者用に開発された把手を浴室の壁面に取り付ける程度に過ぎなかった。
【0010】また、浴槽は、例えばFRPなどのような樹脂製のもの、タイル張りされたもの、ステンレスで一体成形されたもの、ホーロー製のものが殆どで、しかも足を体の前方に伸ばして使用する洋式のものが多いが、この種の浴槽の打ち底が円滑な面で形成されているために、人が浴槽内に入って湯に浸かるときに、足や臀部を滑らせて浴槽内で転倒し、頭が湯の中に浸かってしまったりすることが少なくない。最近では、このような事態に対処するために、浴槽内の上縁や浴槽の近傍における壁面に把手を設けたものが見られるに至っているが、多くの浴槽は何の対策も施されておらず、またこのような事態を防ぐ対策商品も存在していない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】カーペットと床面とを両面接着テープで粘着固定すると、カーペットの横擦れや撓みは防ぐことができる。しかしながら、この種、カーペットにおいては、その取り替え、或いは庭やベランダに持ち運んでの天日での乾燥、更にカーペットを剥がして掃除するときには、一旦両面粘着テープを剥がす必要があるが、カーペットが両面接着テープの粘着力によって強固に固着されており、しかも最近の床面は合板で形成されたものが多いことから、その剥離の際、床面のツキ板部分が剥がれたり、傷つけたり、更に両面粘着テープの粘着剤が床面に糊残りし、当該床面を汚損し易くなる等の問題が生じる。
【0012】また鋲を用いてカーペットを畳に固定する場合には、長針の鋲の頭部が露見して見苦しくなるだけでなく、この長針の鋲によってカーペットや畳みを傷つけたり、この鋲の長針箇所が錆び付き、この錆によってカーペットや畳みを汚損し、これらの結果、カーペットや畳みの寿命を著しく短くし、極めて不経済であるなどの問題も有った。
【0013】更に、カーペットに両面粘着テープの一部が付着し、洗濯してもその除去が完全にできなかったり、洗濯の際にゴミが粘着テープに付着し、カーペットを美麗にすることが至極困難であるなどの問題が有る。
【0014】カーペットピースと床面とを両面粘着テープで粘着固定すると、前述したような問題が生じるが、カーペットピースを床面に直接接着剤で接着固定すると、後においてカーペットピースを取り替えたり洗濯するときに、簡単にカーペットピースを剥がすことが出来なくなったり、また剥がしてもその後の床面に残った接着剤が床面を汚損したり、床面の接着剤を削り落とさなければ新しいカーペットピースを綺麗に貼ることができないない、などの問題が生じる。
【0015】なお、玄関マット,キッチンマット,バスマット,トイレ用マット,車両の室内マットなどのフロアマットなどのマット類の下面にゴム引き加工したものは、ある程度の滑り止め効果が得られるが、例えば、マットの上に片足を踏み入れるときに、マットが前方向に滑るのを十分に止めるまでには至っていない。このため、人が転倒しそうになったり、転倒することがあった。
【0016】また、マット下面にゴムの突起を形成したものは、例えば、車両の室内の床上に敷いてあるカーペット上に当該マットを敷くようなときには、カーペットの生地の目にマットの突起が引っ掛かって相当な滑止め効果が得られるが、フローリング等のような硬くて引っ掛かり面がない床面に直接これを敷いても、十分な滑止め効果が期待できないという問題がある。
【0017】このように、十分な滑止め効果が得られないこれらのマット上を、人が片足を踏み入れたり、歩いたり、足を載せたりすると、マットの位置がズレたり、マットが撓んだりするといったことが未だ残り、さらには、床面を滑って、人が転倒しそうになったり、転倒したりするなど、未だ安全性に欠けるという大きな問題が有った。
【0018】また、上述したように、マット下面に感圧粘着性の高分子材料層を形成したものは、夏場の高温時にこの層が溶けて、床面がベタ付き、両面粘着テープや接着剤で床面にマットを固着する場合と同様の問題が有り、冬場ではこの層が必要以上に硬化して吸着力ないし粘着力が著しく低下する結果、マットが滑ったり、移動して人が転倒しそうになったり、転倒したりするなど、安全性に欠けるという大きな問題が生じるのである。
【0019】また、上述したような浴室内の把手は、最初から浴室や浴槽に装備されたものが多く、未だ多くの家庭に普及していない。しかもこのような把手があるからといって、足元の滑りが無くなるわけではなく、把手を手で掴む前に転倒してしまうことが有った。
【0020】そこで本発明者は、このような課題を解決するために、鋭意検討を重ねてきた結果、マット全体またはその裏面層を柔軟性のある合成樹脂や合成ゴム或いは天然ゴムなどで形成すると共に、その下面に吸盤部を形成すると、床面に敷いたマットの上に片足を踏み入れたときなどに、マットにおける吸盤部が当該マットを床面に強く吸着して、マットの滑りや撓みが無くなるとの知見を得た。
【0021】ところで、ここで大きな要素となるのが吸盤部の形状とその大きさであり、仮に吸盤部を大きくしたり高さを高くするとマット全体が吸盤部で浮き、見苦しい状態になったり、ここに人が載るとマットが沈んでその上での歩行を不安定にさせる虞れが有る。
【0022】このため、本発明者は、マット下面に出来るだけ多くの吸盤部を形成し、しかも吸盤部の高さを吸着力を減退させない範囲で極力低く形成することによって、十分な吸着力を確保させ、しかもマット全体を安定させれば、このような課題が一挙に解決できるとの知見を得た。
【0023】本発明は、上述した各課題及びその対策に基づき完成されたものであって、マット全体又はその裏面層を柔軟性を有する合成樹脂や合成ゴム又は天然ゴムなどの高分子材料で形成すると共に、その下面に吸盤部を成形することにより、当該吸盤部による円滑な床面への吸着を確保し、しかも床面上のみならずカーペット等の上に敷いた時にはこの吸盤部がカーペット等の表生地などに引っ掛かって、その横擦れや撓みを防ぎ、さらには横滑りによる人の転倒などの危険な事態が生じるのを未然に防ぎ、またその滑り止めに両面粘着テープや接着剤などを使用しないために簡単に床等から剥がして洗濯や交換をしたり、敷設位置を変えることが可能となり、また床面を傷付けたり、汚損したりすることもなく、その使用も床面などに敷くだけで良く、その製造も安価にできる、極めて優れた吸盤部付きマットを提供することを目的とするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明に係る吸盤部付きマットにおいては、前記の目的を達成するため、高分子材料で形成されたマットの片面における全面又はその一部面に吸盤部が形成されていることを特徴とする。
【0025】本発明で用いられる高分子材料としては従来からカーペットやマットに用いられているものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば合成樹脂、合成ゴム又は天然ゴムが挙げられる。
【0026】この高分子材料としては、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、合成ゴム及び天然ゴム等が挙げられるが、本発明の吸盤部付きマットは、これら何れの素材で形成されたものであっても構わないが、高い柔軟性を有し、しかも生産・加工性が高く、安定した形状と弾性力を有し、しかも長期間の使用による劣化が少なく、耐洗濯性にも優れる、熱可塑性樹脂、特にポリ塩化ビニル樹脂やポリエステル樹脂更にポリプロピレン樹脂、或いはゴム、特に廉価である合成ゴムを素材としたものが好ましい。
【0027】この合成ゴムとしては、人工的に合成されたエラストマーとしての性質をもつものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、イソブチレンーイソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレンープロピレン・コポリマー、エチレンープロピレンージェン・コポリマー、アルリルゴム、シリコーンゴム、エチレンー酢酸ビニル・コポリマー等が挙げられるのであり、これらのいずれのものであっても良いが、成形性、加工性、経済性、耐熱性、耐油性、耐老化性、耐磨耗性に優れたスチレンとブタジエンの共重合体であるスチレンーブタジエンゴム、耐寒性、耐老化性、耐磨耗性に優れ、弾発力に富むブタジエンゴム等が好適である。
【0028】本発明に係る吸盤部付きマットにおいて、吸盤部としては、当該マットを床面に吸着し、その使用中に滑ったり、移動するのを防止するのであればその形状や数が特に限定されるものではないが、この吸盤部が複数の吸着面を備えるものがマットの下全面を床面に吸着し、安定するので望ましい。
【0029】また、この吸盤部としてはマットの片面に一体成形によって形成されているものが、当該マットに強固に固定されているので、この吸盤部がマットの使用中に脱落したり、剥がれることが無く、耐久性が著しく向上する上、一体成形によって吸盤部を形成できるので、生産工程の簡素化を図り、生産性を向上して生産コストの低減を図ることができるので望ましい。
【0030】即ち、本発明に係る吸盤部付きマットにおいては、特に、その下面に多数の吸盤部を形成して各吸盤部を床面に吸着させることが望ましく、これによって、マットを床面等に敷いたときに、その横擦れや撓み、強いては横滑りによる人の転倒を防ぐためのものであり、この吸盤部による吸着力を高めるという点に加えて、マットの下面に多数の吸盤部を形成するにはマットと吸盤部とを一体成形すれば良いとの観点から、マット及び吸盤部の形成素材としては、熱可塑性合成樹脂や合成ゴム更に天然ゴムが望ましい。
【0031】このように、吸盤部付きマットにおける当該吸盤部はマットの片面、つまり床面との接当面に形成されているが、好ましくはマット下面の略全面に等間隔毎に多数形成されていることが、吸着効率を向上させ、しかも吸盤部を一層低く形成できるので望ましい。
【0032】ところで、このようなマットは、吸盤部が形成された面を床面等に密着させて使用するのであるが、その使用においては、例えばマットを床面等に敷くと、この吸盤部が床面に密着し、しかもこの上を人が歩いたり座ったりして体重を加えることによって、対応箇所の吸盤部が下方に撓んで、吸盤部内の空気の一部が外部に流出することによって吸盤部内が減圧状態になり、しかも吸盤部の周囲が床面に強く密着してマットが確りと床面に固定するため、マットの横擦れや横滑り、撓みなどが防止されるのである。
【0033】なお、前述したように、吸盤部付きマットにおける当該吸盤部は、マット全体の安定性を高めるために、またマットのいずれの箇所でも吸盤部による吸着を確保するために、吸盤部は、吸着力を減退させない程度において、その高さを極力低く形成し、しかも小さなものをマット下面の全面に形成することが好ましい。又、各吸盤部の大きさは、特に限定されるものではないが、具体的には、一般に、3〜350mm2程度、好ましくは7.5〜100mm2程度で、高さが15mm程度以下、特に7.5mm程度以下のものが望ましい。
【0034】ところで、吸盤部を小さくし、しかも高さを低く形成するには、どのような形状の吸盤部を形成すれば良いのかという点では、マットの肉厚によっても異なるが、とくに薄い肉厚のマットに吸盤部を形成する場合には、このマットの肉厚を利用してこのような穴部を形成することはできないため、このような場合にはマットの片面の個々の吸着該当箇所に、例えば環状に盛り上がったボス部を一体形成し、このボスで囲まれた穴部によって吸盤部を形成することが望ましい。尚、このように肉厚の薄いマットは、それ自体でもマットとしての使用が可能であるが、後述するように、このマットの上面に装飾用の素材を積層して使用するための下地素材としても良いのである。
【0035】このボス部の高さは、穴の大きさによっても異なり、特に限定されるものではないが、一般に15mm程度以下、特に7.5mm程度以下のものが挙げられる。ボス部をこれ以上高くしても構わないが、高くなり過ぎるとマット全体の高さが高くなり、安定性を欠いて却って使い勝手が悪くなったり、またマットとして使用したときにこのマットの上に大きな重みが加わった場合にボス部が座屈して吸着力が低下する虞れが有る。特にマットが肉厚である場合には、このように高さの低いボス部を形成すると、極力マットの高さを低く押さえることができ、マット全体の安定性を高めることができる上、外観も優れたものとなるのである。
【0036】上述したように、この場合、吸盤部はマットの下面に形成したボス部からなるのであるが、マットの高さを極力低く押さえること、また極力高い吸着力を確保する必要性があることから、マットの肉厚を利用してボス部の内側を大きく窪ませたものが好ましい。
【0037】ところで、このようなマットの形成方法であるが、上述したように、高分子材料からなるマットに吸盤部を一体成形しており、しかもマットのみならず各吸盤部の高さが低く、各吸盤部がマットの下面に幅広く多数形成するといった観点から考慮すると、高分子材料を押出成形した後、マット形状の基材をエンボス加工機によって、その片面の全面又は一部面に多数のボスからなる吸盤部を形成することが望ましくい。
【0038】即ち、本発明に係る吸盤部付きマットは、吸盤部がエンボス加工によって形成された複数のボスとこの各ボス内の穴部で構成されているものが望ましい。
【0039】高分子材料を押出し成形するには、押出機で行われ、高分子材料に加えて必要な必要な配合剤や着色剤更に老化防止剤等を押出機のホッパー内に投入し、これらを高分子材料を溶融し、均等に混合しながら、この溶融混合樹脂を押出機内のスクリュコンベアによって所定圧を以て押出機内の前方に送り出しながら当該押出機の前端部に装着されているフラットダイ(Tダイ)内に送出し、このフラットダイの先端部に装着されている左右に幅広い上下のリップ間の隙間からシート状に成形してマット基材が得られる。
【0040】これに続いて、このように押出し成形したマット基材は、さらにエンボス加工機の2本のローラーによって加圧されて所望のマットの厚さに均一に形成されるのであるが、このときの1本のローラーが前述した多数の吸盤部に対応した凹凸が形成されたエンボス加工の金型であるために、この金型によってマット基材の片面の一部面又は全面に前記吸着面が多数形成される。
【0041】このように押出機前端のフラットダイ(Tダイ)内から送出されたマット基材をエンボス加工機によって吸盤部付きマットを形成する場合、マット基材が押出成形された熱いままの状態でエンボス加工機で成形する方法と、フラットダイ(Tダイ)内から送出されたマット基材を一旦冷却し、エンボス加工機で加熱成形する方法の2通りの方法があるが、いずれの方法を採用しても良いのである。
【0042】本発明に係る吸盤部付きマットにおいては、当該吸盤部がマットの片面に形成された穴部でも良く、このマットを床面に敷設後、当該マットを床面に押し付けると、穴部からなる吸盤部内の空気の一部が外部に流出することによって当該吸盤部内が減圧状態になり、その結果、各吸盤部が床面に強く密着してマットが確実に床面に吸着されるため、マットの横擦れや横滑り、更に撓みなどが防止されるのである。
【0043】この場合、各吸盤部の大きさは、特に限定されるものではないが、具体的には、一般に、3〜350mm2程度、好ましくは7.5〜100mm2程度で、深さが15mm程度以下、特に7.5mm程度以下のものが望ましい。
【0044】ところで、このようにして形成された吸盤部付きマットは、全体が高分子材料、特に、熱可塑性樹脂や合成ゴム更に天然ゴムで形成されている。勿論、これをこのまま吸盤部付きマットとして使用しても良いが、この吸盤部付きマットの上面に他の素材、特に装飾用の素材を積層して吸盤部付きマットの商品価値を一層高いものとしても良いのである。
【0045】即ち、本発明に係る吸盤部付きマットにおいては、その吸盤部の形成面側に対して反対面側に、装飾用の毛を植設したり、装飾用の毛を植設したシート又はプレートを敷設したり、又は天然繊維、再生繊維、半合成繊維または合成繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維で形成された装飾用のフェルト、織布または不織布を敷設したり、或いは合成樹脂装飾用のシート又はプレート、装飾用のコルクシート、紙、木製単板又は合板のうちの1種或いは複数種が敷設されているものも、至極有益なのである。
【0046】なお、このように吸盤部付きマットの上面に他の素材、特に装飾用の素材を積層して吸盤部付きマットを製造するにあたり、両者を、用いられている高分子材料の軟化点以上の温度で熱接着したり、接着剤で接着しても良いのである。
【0047】本発明に係る吸盤部付きマットはそのようとが特に限定されるものではないが、具体的には、例えばカーペット、カーペットピース、タイルマット、玄関マット、キッチンマット、バスマット、トイレ用マット又は車両用の室内のフロアマット或いは座席マット等として用いられる。
【0048】即ち、本発明に係る吸盤部付きマットは、人の転倒や剥がれが防げるだけではなく、本来の使用目的、すなわち室内の外観を良くしたり、床面から足裏等に伝わる冷気を遮断したり、床面が汚れるのを防いだりすることができる。
【0049】特に、本発明の各構成の吸盤部付きマットは、床面とマット面との間に吸盤部が突出していると、この吸盤部によって床面とマット面との間に空気層が形成され、この空気層が断熱層としての機能を発現するから、冬場における床面から足裏等に伝わる冷気を相当程度遮断するという利点もある。
【0050】なお、このような各構成の吸盤部付きマットは、その下面の吸盤部による滑り止め効果だけでなく、この吸盤部が形成されていることから、例えばカーペットやソファー及び畳等のような目のある生地の上に敷いたときでも、吸盤部がこの生地の目に引っ掛かって優れた滑り止め効果が得られるのである。
【0051】ところで、本発明に係る吸盤部付きマットにおいては、浴室の洗い場や浴槽の内底に敷く滑り止め用のマットとして使用することもできる。しかしながら上述した各構成のままではマット上部面の排水性に問題が残るため、その上部の排水性を高くする必要がある。従って、この種、マットにおいてはこの対策を施したものが好ましく、この構成において、その吸盤部の形成面に対して反対側面に、滑り止め用の凹凸が形成されていたり、或いは水捌け用の溝及び/又は貫通孔が形成されているものが望ましい。
【0052】またこの種、吸盤部付きマットは、冬場での浴室内の洗い場の床面から体に伝わる冷えをも防ぐことが出来るのである。さらに、最近多く普及している洋式浴槽において、体が湯内に浸かるときに体全体が滑って頭を浴槽内に沈めてしまうようなことも防止できるのである。
【0053】
【発明の実施の形態】本発明の目的及び構成は以上の如くであり、次に本発明の具体的な構成を添付図面に示した各実施例に従って詳述する。
【0054】先ず吸盤部付きマットの製造方法について説明する。図1は本発明の吸盤部付きマットの製造装置を示した左側面図、図2は同じく右側面図、図3及び図4は何れも斜視図である。
【0055】図1乃至図4に示す製造装置は、高分子材料からなる主原料と配合剤及び着色材等、必要な材料を混練加熱した状態で加圧送出する押出機1と、押し出されたこれら材料を平坦なシート状態にして押し出すべくこの押出機1の前端部に装着されたフラットダイ(以下、Tダイと略称する)15と、このTダイ15から押し出されたマット基材を必要な厚さに均等に成形し、且つその片面の全面又はその一部面に多数の吸盤部をエンボス加工して形成するエンボス加工機30とによって構成される。
【0056】この押出機1の後端上部には高分子材料等を投入するホッパ2が備えられており、ペレット状の高分子材料と所定割合の配合剤等がホッパ2内に投入されると、これら材料はホッパ2内からその下方の搬送ケース6内に落下し、加熱、攪拌されながら押出コンベアケース8内に投入される。3はホッパ2内に備えられている攪拌機(図示せず)及び前記搬送ケース6内に備えられているスクリュー7を駆動させるモータである。
【0057】押出コンベアケース8内に投入された各材料は、さらに押出コンベアケース8内に備えられているスクリュコンベア9によってさらに攪拌されながら所定圧を以て前方に圧送され、しかも粘状に溶融されるまで加熱され且つ加圧されて押出機1の前端部に装着されている前記Tダイ15内に圧送される。
【0058】Tダイ15は、図1乃至図3を参照しつつ図5に示すように、平面視略T形状を有しており、左右の側板16,17間に、溶融された前記材料の流通路19,20が形成された金属ブロックからなるダイ本体部15aが備えられており、このダイ本体部15aの前端部に、左右方向に長く構成され位置する金属製の上下のリップ21,22が備えられており、この上下のリップ21,22間の隙間27と前記流通路19,20とが連通してなる。
【0059】図中、80は重量のあるTダイ15を外部から吊り下げるための金具であり、この金具80に室内の上方から吊り下ろしたフック81を掛けて、Tダイ15と押出機1との接合を補強している。
【0060】さらにこのTダイ15には、溶融された前記材料Raがこの流通路19,20内で冷却されないようにするための加熱装置(図示せず)と、溶融された高分子材料などの材料が前記流通路19,20内において所定の圧力を受けて前記リップ21,22間の隙間27から送出されるようにするための圧力計(図示せず)が備えられている。
【0061】このTダイ15について、さらに詳しく説明すると、前記流通路19,20内を流通する前記材料Raの流通量の調整は、この流通路19,20に備えられたチョークバー27によって行われる。このチョークバー27の調節は、チョークバー27からダイ本体部15a外方に向けて突出している調節ボルト26の操作して行われる。
【0062】前記リップ21,22のうち下部側のリップ22は、ダイ本体部15aにボルト24によって締結された固定リップとなっている。これに対して上部側のリップ21は、ダイ本体部15aにボルト23によって締結されながらも該リップ21の上部から上方に向けて突出して位置する調節ボルト25によって上下位置の微調節を行うことができるアジャストリップとなっており、この上下の微調節は前記ボルト23とその挿通穴の隙間の幅で行われ、前記調節ボルト25は上部側のリップ21の左右方向に等間隔毎多数備えられている。
【0063】Tダイ15のリップ21,22間の隙間27から外部に送出されるマット基材Rbは、外気に触れることにより除々に冷却されつつその前方のエンボス加工機30によってその片面の全面又は一部面に吸盤部が形成される。
【0064】エンボス加工機30は、図1乃至図5に示すように、基台31上の左右端に立設して備えられている支持台47,47途上のTダイ15方向にそれぞれアーム46,46が突出しており、このアーム46,46上にそれぞれ油圧シリンダS,Sが搭載されており、支持台47,47に保持されつつこの油圧シリンダS,Sにより上下移動が自在となる支持板40,40にエンボス加工用ローラー52の駆動軸53の両端部が支持されている。
【0065】このエンボス加工用ローラー52の下方には、加圧ローラー56が位置し、この加圧ローラー56の駆動軸57は前記基台31上の左右端上方に立設した支持板41,41に支持されている。また、この支持台47,47後方にも支持台が立設しており、各前後の支持台47,48(47,48)間は連結され、左右一方の支持台47,48間に備えられているハンドル50の回転操作によってエンボス加工用ローラー52の位置調節が行えるよう構成されている。図中49は前記油圧シリンダS,Sの操作レバーである。
【0066】前記加圧ローラー56の駆動は、基台31上に備えられているモータ35を動力源としており、このモータ35の駆動力は、該モータ35前に備えられている減速装置34からチェーンケース36のチェーンスプロケット38に至り、さらに、このスプロケット38からチェーン37を介して加圧ローラー56の駆動軸57の一端部に装着されているチェーンスプロケット39に至る構造を有する。
【0067】なお、図示していないが、エンボス加工用ローラー52も同様にこのモータ35の駆動力により回転するが、その回転方向は加圧ローラー56であり、その回転速度は加圧ローラー56と送り速度を等しくしてある。
【0068】前記エンボス加工機30は、その下部に設けてある車輪60,60・・によって床面F上に備えられているレール70,70上を走行して、Tダイ15の前方から外れた位置からTダイ15前方に移動することができるように構成されており、しかも所望の停止位置において不用意に移動しないように、基台31下部と床面Fとには一対のロック装置63,64が備えられている。
【0069】エンボス加工用ローラー52は、金属製の筒形ローラー51の外周面に沿ってエンボス加工用金型52aが装着固定されてなるもので、このエンボス加工用金型52aには、Tダイ15から送り出されてきたマット基材の片面の全面又は一部面に吸盤部R1を形成する凸部52bが適宜間隔毎に多数形成されている。
【0070】エンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56との間の隙間は、マット基材Rbの成形肉厚によっても異なるが、少なくとも該基材Rbをシート状に加圧引き延ばしてその片面の全面又は一部面に前記吸盤部R1を形成するに十分な隙間であることが要求される。
【0071】なお、エンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56によるマット基材Rbの成形には、次の2通りの方法がある。その1つは、上下のリップ21,22間の隙間内から送出されてきた加熱状態のマット基材Rbが熱いうちに双方のローラー52,56によって加圧して前記吸着部R1を形成する方法であり、他の1つは、上下のリップ21,22間の隙間内から送り出されてきた加熱状態のマット基材Rbを一旦外気温で冷却し、この後にマット基材Rbを加熱・加圧して前記吸着部R1を形成する方法であり、前者の場合にはエンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56は冷却されており、後者の場合にはエンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56は加熱されている。
【0072】後者の場合のエンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56の加熱は、外部から各ローラー52,56内に、電熱用のヒータを装着したり又は加熱油を圧入循環させることによって行われる。この加熱温度はマット基材Rbの素材によって異なるが、少なくともマット基材Rbを成形するに十分な温度であることが要求される。図2に示す42,43、44,45は加熱油を圧入循環させるホースであり、各ホース42,43、44,45は各ローラー52,56の駆動軸(53,57)の中空軸と連通して装着され、各ローラー52,56の駆動に伴って各ホース42,43、44,45が捩じれないように構成されている。
【0073】なお、上下のリップ21,22間の隙間内から送出されてきた加熱状態のマット基材Rbを熱いうちに形成加工する場合には、エンボス加工用ローラー52と加圧ローラー56が常温であってマット基材Rbの温度が高いので双方のローラー52,56間を通すだけで吸盤部R1が形成される。
【0074】このようにして成形加工された吸盤部付きマットRは、図6及び図7に示すように、高分子材料製のマット面90における全面又は一部面に多数の吸盤部R1が集合、配列されており、この個々の吸盤部R1によって床面等に吸着、固定されマットRの滑りや移動更にたわみが防止される。
【0075】この吸盤部R1は、マット面90に形成された有底の穴Mとその周縁の盛り上がった部分であるボス部90aとが一体となって構成され、各種形状の吸盤部R1がその対象となる。次にこの吸盤部R1の各形状について説明する。
【0076】図8乃至図10に示す実施例の吸盤部R1は、マット面90に高さ2〜10mm程度の高さのボス部90aを直上方向に一体形成したもので、これによって形成される有底の穴Mの直径は、必ずしも限定されるものではないが、吸着効率とマット面90の安定性と凹みなどを考慮すると、数mm〜25mm程度のものが特に好ましい。
【0077】その使用方法としては、図10に示すように、円滑な床面F上に吸盤部R1を対向させる方向にマットRを置いて行なう。なお、この実施例による吸盤部R1のボス部90aはその高さが低いぶん弾性に欠けるが、例えば、その使用においてマットRの上に人が乗った場合、マットRは殆ど沈むことなく多少平坦なゴム面90が下方に撓む程度である。しかしながら、僅かながらの撓みによって吸盤部R1の穴M内の空気がボス部90aの先端部と床面Fとの間から強制的に外部に押し出され、しかも、円滑な床面Fとボス部90aの先端部とが略密着状態となっているため、この穴M内に外部からの空気が流入し難く、この穴M内は減圧状態となり、これがマットRの滑り止めとなるのである。
【0078】勿論、マットRにおける吸盤部R1は1個でも良いが、このような吸盤部R1をマット面90に多数形成されていると、さらに高い吸着効果が期待できる。なお、この吸着効果を高めるために、ボス部90aは人が乗ったときに受ける重みによってボス部90aが潰れる方向に変形しない程度の厚み、例えば数mm以上にしてある。またボス部90aの先端部と床面Fとの密着性を高めるために、ボス部90aの先端部を平坦な形状にしてある。
【0079】なお、このような大きさと形状を有する吸盤部R1は、床面Fとの吸着による滑り止め効果だけでなく、ボス部90aはその高さが低く、しかもその先端部と床面Fとの密着性が高くさらに加圧に対する強度が確りとしているため、マットRに横滑り方向への力が加わっても、ボス部90aの先端部と床面Fとの間に高い摩擦力が生じるといった点からも滑り止め効果が図られる。
【0080】また、円滑な床面だけでなく、例えば自動車の車内の床のカーペットの上にこのマットRを置いたような場合でも、この固くて小さな多数の突起からなるボス部90aがカーペットの生地に絡み合ってその滑り止め効果が図られるといった利点も有る。
【0081】図11乃至図13に示す吸盤部R2は、前述した実施例の吸盤部R1よりもボス部91aの高さを若干高くし、しかもその上部内側を斜面にて形成したものである。この吸盤部R2は図13に示すように、円滑な床面F上に吸盤部R2を対向させる方向にマットRを置くと、このマットRに重みが加わった場合、この斜面部があることによってボス部91aの先端部が多少外側に広がるように屈曲し、前述した以上の吸盤部R2による吸着効果が得られるのであるが、このようにボス部91aの先端部が多少外側に広がるように屈曲したことによって、この先端部と床面Fとの密着面が広くなり、その密着性は前述した実施例の場合よりさらに高まり、より高い滑り止め効果が図られる。なお本実施例のボス部91aの直径は前記実施例のボス部90aと略同じ大きさである。
【0082】図14乃至図16に示す吸盤部R3は、前記吸盤部R2と略同じ高さ及び直径のボス部92aが形成されている点では共通するが、本実施例R3の吸盤部R3において形成されている有底の穴Mは、前記各実施例に示した各穴Mと異なり、その形状を略半球面状に形成されたものである。
【0083】このように穴Mを略半球面状に形成したことにより利点は、その形状において必然的にボス部92aの基部の肉厚が厚く先端部に至るに従って肉薄になるため、図16に示すようにその使用において、ボス部92aの先端部が外側に広がって床面Fとの密着性が高くなると共に吸着効果も高くなる点にある。すなわち、マットRに受ける重みが増すに従ってボス部92aの先端部がさらに広く外側に座屈するため、受ける荷重に応じてその摩擦力が増し、しかも吸着効果が高まり、例えば体いっぱいの体重を受けて横滑りするような大きな荷重を受けるような場合でも、高い滑り止め効果が図られるものである。
【0084】図17乃至図19に示す吸盤部R4は、前記吸盤部R3と略同じ高さ及び直径のボス部93aが形成されており、しかも略半球面状の穴Mも形成されている点において極めて似た形状を有する点では共通するが、本実施例の吸盤部R4は、その穴Mの底部が肉厚のマット面90の肉厚方向に大きく位置する点において大きな違いがある。このため、図19に示すようにその使用において、穴M大きさが大きい本実施例のように肉厚のマット面90であると、穴Mの底部をマット面90の肉厚方向に深く位置させるに十分なマットRの強度が維持され、しかも肉厚のあるマット面90によるマットR自体の厚みを低減させ且つボス部93aの高さを低くしても十分な吸着力が得られる大きさの穴Mが形成されるのである。
【0085】図20乃至図22に示す吸盤部R5は、とくに肉厚のマット面90に好適なもので、肉厚のマット面90に穴Mを形成し、さらにこの穴Mの外周面を若干盛り上げ、しかもこの盛り上げた部分94aの外周りに沿ったマット面90に溝95を形成したものである。
【0086】このように肉厚のマット面90の場合、そのままマット面90に穴Mを形成することが考えられるが、この状態では穴Mの周りが平坦面となっているため、マットRの上から荷重が加わっても穴M内の空気を多少でも流出させるに十分な弾力がなく、しかも穴M内の空気が多少でも逃げるようなことがあってもその空気はマット面90の下面と床面Fとの間に溜まってそれ以上の逃げ口がないため吸着作用は大きく低減する。
【0087】このような点を考慮して、本実施例においては穴Mの外周面を若干盛り上げると共にこの盛り上げた部分94aの外周りに沿って溝95を形成することにより、マットRに荷重を受ける方向への弾力を保有させ、この溝95内に空気を流出させることができるようにしたものである。しかも、この溝95があることによって穴Mの周りに前記各実施例で説明した作用を有するボスができ、一層高い吸着効果が得られるのである。そしてこの実施例においては、肉厚のゴム製のシート又はプレートに前述した実施例の吸盤部(R1〜R4)ような高いボス部を形成しないため、必要以上にマットRを厚くしない点においても大きな特徴を有する。
【0088】以上において示した各実施例のマットは、そのまま滑り止め用のマットとして使用しても構わないが、さらに次のように加工することによって、さらなる高い利用価値が生まれる。
【0089】その1つは、図示しないが、自動車の室内のフロアのマットとして使用することができるように、それに見合った大きさ及び形状に形成し、しかもその吸盤部が形成されていない面に、従来より使用されている自動車のゴムマットと同様な形状の凹凸模様を形成すると、従来のフロアマットのような平坦な底面ではなく滑り止め効果の高いしかも弾力のあるフロアマットが出来上がる。
【0090】以上の各実施例は滑り止め用のマットとして使用する場合を挙げたが、本発明の滑り止めが施されたマットは、さらに次のように加工することによってさらなる高い利用価値のある製品とすることができるのである。
【0091】その1つは、図示しないが、その吸盤部が形成されていないマットの吸盤部の形成面側に対して反対面側に、装飾用の毛を植設したり、装飾用の毛を植設したシート又はプレートを敷設したり、又は天然繊維、再生繊維、半合成繊維または合成繊維から選ばれた少なくとも1種の繊維で形成された装飾用のフェルト、織布または不織布を敷設したり、或いは合成樹脂装飾用のシート又はプレート、装飾用のコルクシート、紙、木製単板又は合板のうちの1種或いは複数種を敷設したものである。
【0092】このように構成することよって、図23に示すようなフロアマットA1や、図24に示すような滑り止めが施されたトイレ用マットA2や、図25に示すような滑り止めが施されたキッチンマットA3を製造することができるのである。また、図示しないがカーペットや自動車の室内のフロアマットを製造することができるのである。
【0093】また、マットの吸盤部が形成されていないマット面に、動物の毛或いは絹などを接着剤で接着すると、高級なフロアマットや畳の上に敷くマット、自動車の室内のフトントガラス下に敷くマットを製造することができるのである。
【0094】また、図26及び図27に示すように、マットの吸盤部が形成されていないマット面に、装飾用の合成樹脂製シート又はプレート、或いはコルクシート又はプレート、或いは木製の単板又は合板よりなる板材などからなる被覆材のうちのいずれか1種を接着剤で接着固定し、或いはこれらのうちの複数を接着剤で接着固定することによって、両面テープによる床面への接着固定が不要なカーペットピースA4を製造することができるのである。
【0095】このような構造を有するカーペットピースA4は、図28及び図29に示すように、それぞれ隣り合わせて隙間なく敷きつめられており、しかもカーペットピースA4自体にも吸着力を保有しているため、不用意な剥がれや横滑りなどはなくなるのである。しかもこのような構成を有するカーペットピースA4は両面粘着テープや接着剤によって床面に固定しないため、フローリングの床などにも簡単に貼れ、また剥がすことができるため、汚れに応じて必要箇所のカーペットピースA4を剥がして洗濯したり交換することができるのである。また、冬の床冷えに対処するための断熱用マットして一時期のみに使用することができるのである。
【0096】その2つは、図30乃至図32に示すように、吸盤部Rが形成されていないマット面に小さな凹凸(図示せず)を形成したり、水を流れをよくする溝100を形成したり、或いは又はこれに加えて、吸盤部を避けたマット箇所に排水用の貫通孔101を多数形成すると、これを図33及び図34に示すように浴室の洗い場110や浴槽111内に敷く吸盤部付きマットA4,A5として使用することができる。
【0097】昨今の浴室や浴槽はFRPやタイル、或いはステンレスやホーロー等できたものが多く、特に洗い場では湯垢や石鹸水が湯水と共に溜まって濡れているため、浴室の洗い場や浴槽は一層滑り易い状態となっている。このような場合、前述したように浴室用に加工した吸盤部付きマットを、吸盤部を円滑な洗い場の床面や浴槽の内底に確実に吸着させるようにして敷くと、滑りや転倒などが未然に防止されるのである。
【0098】この他、高分子材料からなるマットをそのまま利用して、或いは吸盤部が形成されていないマット面に断熱シートを接着固定して、冬の窓の硝子面に吸着させて使用する断熱シートとすることができる。
【0099】
【発明の効果】以上説明した本発明に係る吸盤部付きマットは、フローリングやタイル床やタイル床、大理石などのような石材若しくは疑似石材の床、ユニット形式の化粧室などのようなFRP製の床など、床面に吸着してその横滑りや撓みや剥がれを防いで安定した敷位置を維持する共にその横滑りによる人の転倒などの危険性を確実に防ぐことができるようになり、しかも、従来のように両面粘着テープや接着剤などを使用しないために簡単に剥がして、洗濯や交換をしたり敷位置を変えることができるため、床面を傷めたり汚したりすることがなく、常に綺麗な状態で使用することができる上、その用途もカーペットやカーペットピース、各種フローマットの他、浴室や浴槽内での滑りによる転倒防止用マット、窓ガラスに吸着して使用する断熱用プレートなど、その利用範囲は多岐にわたる、極めて優れた各種効果を奏するのである。
【出願人】 【識別番号】398009948
【氏名又は名称】株式会社丸正
【出願日】 平成10年(1998)1月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】澤 喜代治
【公開番号】 特開平11−216060
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−33598