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【発明の名称】 額 縁
【発明者】 【氏名】山田 紘

【要約】 【課題】内周部を嵌め込み部とする方形枠状の枠材に対し、背面側からカバー部材、展示物、裏板を嵌め込んで、展示物を挟んで保持する額縁において、展示物の厚みが厚くても薄くても良好に保持できるようにすること。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】内周部を嵌め込み部とする枠状の枠材に対し、該枠材の背面側から上記嵌め込み部に裏板を嵌め込み展示物を挟んで保持する額縁であって、前記枠材または裏板のいずれか一方に、辺に沿って所定距離移動するスライダを設けるとともに、該スライダには、他方の裏板または枠材に向けて突出する係合片を形成し、上記他方の裏板または枠材の厚み方向の中間部に、上記スライダの係合片の挿入を許容し辺方向に沿う係合溝を形成し、前記スライダの係合片と上記係合溝との対向面の少なくともいずれか一方に、上記スライダを一方向に摺動したとき上記裏板を正面側に押さえ付ける方向に相対移動させる傾斜面を形成した額縁。
【請求項2】前記傾斜面を、係合溝と係合片との双方に形成し、同一の傾斜角に設定した請求項1記載の額縁。
【請求項3】前記傾斜面に、相互間の摩擦抵抗を大とする凸凹を形成した請求項1または請求項2記載の額縁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、書画等の展示物を展示するための額縁に関し、より詳しくは様々な厚みの展示物を展示できるような額縁に関する。
【0002】
【従来の技術】額縁には様々な形態のものがあるが、最も一般的なものは、断面L字状をなす方形枠状の枠材を有する額縁である。この額縁では、枠材の内周部の嵌め込み部に対し、背面側から透明のカバー部材と、展示物と、裏板とを順に嵌め込んだ後、所謂トンボを用いて裏板を押さえ付けて枠材に固定して使用する。
【0003】しかしこの種の額縁では、枠材の嵌め込み部の深さは一定であり、例えば賞状や写真を一枚展示するのに適するように設定されている。このため様々な厚みには容易には対応できない。つまり嵌め込み部の深さが深い場合には何かを挟み込んで調整すればよいが、嵌め込み部の深さが足りないときには保持できない。
【0004】
【解決すべき課題及びそのための手段】そこでこの発明は、上述のタイプの額縁において、様々な厚みの展示物を挟み込んで保持し展示できるようにする額縁の提供を主たる課題とする。
【0005】そのための手段は、内周部を嵌め込み部とする枠状の枠材に対し、該枠材の背面側から上記嵌め込み部に裏板を嵌め込み展示物を挟んで保持する額縁であって、前記枠材または裏板のいずれか一方に、辺に沿って所定距離移動するスライダを設けるとともに、該スライダには、他方の裏板または枠材に向けて突出する係合片を形成し、上記他方の裏板または枠材の厚み方向の中間部に、上記スライダの係合片の挿入を許容し辺方向に沿う係合溝を形成し、前記スライダの係合片と上記係合溝との対向面の少なくともいずれか一方に、上記スライダを一方向に摺動したとき上記裏板を正面側に押さえ付ける方向に相対移動させる傾斜面を形成した額縁であることを特徴とする。
【0006】なお、前記傾斜面は係合溝と係合片との双方に形成し、同一の傾斜角に設定するも、前記傾斜面に、相互間の摩擦抵抗を大とする凸凹を形成するもよい。
【0007】
【作用及び効果】すなわち上述の構成によれば、展示物を保持するには、枠材の嵌め込み部に対し背面側から展示物や裏板を嵌め込んでから、スライダを、移動可能な位置まで一方向に向けて移動すればよい。スイラダの係合片が係合溝内を摺動し、傾斜面によって枠材と裏板との間で額縁の正面側に向けての相対移動が起こる。つまり裏板が正面側に移動する。このため、スライダの移動量に比例して裏板を押さえることとなり、嵌め込み部に挟み込む展示物の厚みが厚くても薄くても、適宜の押圧力で適正に保持でき、展示が可能となる。
【0008】請求項2のように傾斜面を係合溝と係合片との双方に形成し、同一の傾斜角に設定すると、スライダの移動に伴う押圧を相互に当接する傾斜面によって安定して行うことができるとともに、面接触により所定の押圧状態を保持できる。
【0009】請求項3のように傾斜面に凸凹を形成すると、係合溝と係合片との間の摩擦抵抗が大きくなるので裏板による押圧状態を確実に保持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。額縁11は、内周部を嵌め込み部12aとする長方形枠状の枠材12に対し、この枠材12の背面側から上記嵌め込み部12aに裏板13を嵌め込み、シート状の展示物14を挟んで保持するもので、図1に分解斜視図で示したような各部材で構成される。すなわち、断面略L字形で正面側の内周縁に係止段部12bを有する枠材12と、この枠材12の背面側の嵌め込み部12aに嵌める透明のカバー部材15と、(展示物14と、)補助板16と、裏板13である。
【0011】そしてこの額縁11では、厚みの厚い展示物14でも薄い展示物14でも保持できるようにするため、枠材12と裏板13とに次の構成を有している。裏板13には、図2に明らかなように4つの各辺にそれぞれスライダ21を形成し、また枠材12は、その嵌め込み部12aの深さを上記カバー部材15と補助板16と裏板13の厚みを合計した厚みよりも深く設定するとともに、内周面に係合溝22を有している。
【0012】スライダ211は、辺に沿って所定距離摺動するもので、外側面には、枠材12に向けて突出する係合片23を形成している。上記係合溝22はこの係合片23の挿入を許容するもので、辺方向に沿ってスライダ21のスライド部位24に対応させて形成している。図3は額縁11の縦断面図であり、この図に示したように、枠材12の嵌め込み部12aに嵌め込んだ補助板16と裏板13は、展示物14を正面側に押付けるようにするわけであり、この押付け量がスライダ21の移動量に比例して増加するのである。
【0013】図4は要部を示す断面図、図5はその斜視図、図6は作用状態の断面図である。これらに示されるように、スライダ21は本体21aをコ字状に形成し、上面に手で摺動操作する際の便宜のため凹凸のスベリ止め面21aを形成している。図中21cは摺動のためのガイド突起である。そしてこの本体21aの外側面に上記係合片23を形成するわけであるが、この係合片23は、その上面23aを、スライダ1の作用方向に行くほど低くなるように傾斜したブロック状で、上面23aには係止のための凸凹23bをスライド方向とは直角の方向に沿って形成している。裏板13の上記スライド部位24は、図示したように本体21aの肉厚分、上面、下面、外側面ともに小さく形成して、スライダ21を取付けたときに面一になるようにしておく。
【0014】前記係合溝23は、スライダ21が、スライド部位24の作用方向a(図5参照)とは反対側の端に位置したときに、上記係合片23を嵌合する凹溝25の下部から作用方向aに向けて形成しており、その天井面22aが作用方向aに行くほど低くなるように、先の係合片23の上面23aと同じ傾斜に形成し、ここにも係止のための凸凹22bをスライド方向とは直角の方向に沿って形成して、係合片23の上面23aとの間の摩擦抵抗を高められるようにしている。
【0015】また、この額縁11では、別途にフック部材を用意せずとも吊掛展示ができるようにするとともに、水平面に立てる展示も行なえるようにすべく、次の構成を有している。
【0016】すなわち、壁面等の額縁吊掛位置に固定する掛止部材31を設けるとともに、該掛止部材31を係合する係合凹部32を前記裏板13に形成している(構成1)。また、前記掛止部材31および係合凹部32間に、額縁11の面方向における相互間の角度を調整する角度調整機構33を形成している(構成2)。
【0017】さらに、前記係合凹部32を、額縁11の吊掛方を変更できるよう異なる方向性を以て複数箇所に形成している(構成3)。そしてまた、前記掛止部材31に、額縁11の背面側に取付けた吊り紐34を掛止するフック部35を形成している(構成4)。
【0018】そしてさらに、前記額縁11を立てるべく、左右方向に弾性変位する左右一対の枢着片36,36を上端部に有した支持脚37を形成するとともに、上記枢着片36,36の外側面の上端に、外方へ突出する枢着軸36a,36aを形成し、該枢着軸36a,36aを挿嵌する枢着穴38を左右両側面に有した枢着部39を前記裏板13に形成するとともに、前記係合凹部32を上記枢着部39に形成し、前記掛止部材31が上記枢着片36,36間に位置するように設定している(構成5)。
【0019】図7は上記掛止部材31の斜視図である。この掛止部材31は合成樹脂製で、下部31aよりも上部31bを肉厚に形成して、この上部に3本の釘40…を真っ直ぐと斜めとに差し込む直孔41および斜孔42,42を形成し、前面の中央部には材料弾性で前後に弾性変位する、先端面が半球状の弾性突起43を形成している。また、両側の前面側には、翼状の差し込み片44,44を横に張り出すように形成し、この差し込み片44の裏面に、図8(掛止部材の背面図)に示した如く、上記弾性突起43を回動中心とするような断面三角形の凸凹44aを形成している。この凸凹44aと上記弾性突起43とが前記角度調整機構33の一部をなす。さらに、下部31aの前面には、前記フック部35を形成している。
【0020】図9は、上記掛止部材31を係合する係合凹部32と、前記支持脚37の上端部を示す斜視図である。このように係合凹部32は、掛止部材31の前側半分程が入る深さで、掛止部材31の上部31bが対応する位置には、その上部31bの前面を受ける段部45を形成するとともに、上記差し込み片44の裏面に対応する位置には、これと対接する押さえ片46,46を形成している。上記段部45には掛止部材31の弾性突起43が係合する凹面部45aを形成している。また、上記押さえ片46の下面には、上記掛止部材31の凸凹44aと噛合する凸凹46aを形成している。以上の各部で前記角度調整機構33を構成する。
【0021】上述の係合凹部32は、図1、図2にも示したように、額縁11の吊掛方を変更できるよう、横長に吊掛けるときに使用する第1の位置のほか、縦長に吊掛けるときに使用する第2の位置にも形成している。第1の位置からは、支持脚37を没入する収納凹部47を連接している。また、各係合凹部32,32の下部の両側壁には、前記枢着穴38を形成して、該部位を、支持脚37を枢着する枢着部39としている。
【0022】上記支持脚37は、上端部に左右方向に弾性変位する枢着片36,36を有したもので、各枢着片36,36の外側面に形成した枢着軸36aを、上記枢着穴38に挿嵌するようにしている。また、支持脚37の下端の両側部には、接地部37a,37aを形成しており、上記収納凹部47に回動して収納したときに、この接地部37a,37aが収納凹部47の下端部内側面に当接して収まった状態を維持できるようにしている。引き出すときには接地部37a,37a間に指を引掛ければよい。さらに、図3等に示したように、支持脚37内の下部には、C字形のクリップ部37bを形成して、前記掛止部材31を釘で止めるときに使用する棒状の治具48を装填できるようにしている。
【0023】上記掛止部材31の取付けは、支持脚37を枢着部39に枢着した後、図10に示したように行なう。すなわち支持脚37の上端部の枢着片36,36間に掛止部材31を入れた後(図10の実線参照)、上へ押し上げればよい(図10の仮想線参照)。掛止部材31の弾性突起43が係合凹部32の凹面部45aに係合するとともに、掛止部材31における差し込み片44と係合凹部32における押さえ片46の凸凹44a,46aが相互に噛合する。
【0024】図11は、吊掛けた額縁11の面方向における角度を調整するための前記角度調整機構33の作用状態を示した断面図である。つまり、額縁11を前から押さえ付けると、裏板13が掛止部材31の弾性突起43を押して弾性変位させる。すると係合凹部32の押さえ片46の凸凹46aが、掛止部材の31差し込み片44の凸凹44aから離れ、噛合が解除される。この状態で額縁11を傾けると、弾性突起43を中心に回動し、額縁11の角度を調整できるわけである(図12参照)。
【0025】なお、図1、図2に示したように裏板13には、吊掛に際して吊り紐34を利用できるように、掛け渡す吊り紐34を結び付ける紐挿通部49…を、4か所、すなわち額縁11を横長に吊るときと、縦長に吊るときに使用できるように形成している。また、裏板13の背面は、図示したように必要な部位を凹ますように形成して全体的に平らに形成するとよい。意匠感が良いからである。
【0026】以下、上記額縁11の展示例を説明する。図13は、額縁11を壁面50に密着したように展示した例であり、額縁11から掛止部材31を分離してから、石膏ボード等よりなる壁面50に対し、まず掛止部材31を釘で止める。このとき掛止部材31はなるべく真っ直ぐになるようにするが、厳密でなくともよい。そして、額縁11の裏板13の係合凹部32をこの掛止部材31と係合する。係合した後、角度調整機構33を利用して、額縁11が真っ直ぐになるよう調整すればよい。
【0027】このようにして額縁11を展示したときには、掛止部材31のフック部35が利用されていない状態になるので、例えば、図14に示したような使用ができる。すなわち、このフック部35に別の吊り紐51を掛止して、額縁11の下に適宜のプレート52が位置するように吊下げる。上記プレート52には、額縁11に保持した展示物14の説明等を記載しておく。
【0028】図15は、額縁11を壁面50から吊下げるように展示した例であり、額縁11から掛止部材31を分離してから、石膏ボード等よりなる壁面50に対し、まず掛止部材31を釘で止める。そして、額縁11の裏板13の紐挿通穴49に結び付けて掛け渡した吊り紐34の中央部を掛止部材31のフック部35に掛止する。
【0029】図16は、磁石が吸着する金属製の材料よりなる壁面50等に額縁11を密着したように展示した例である。額縁11の裏板13の上部など適宜位置に、両面テープを介して磁石板53を貼り付けている。磁石板53は、図17に示したようにあらかじめ掛止部材31の裏面に一体化しておくもよい。この時もちろん、釘40を挿通する直孔と斜孔は明けておく。
【0030】図18は、額縁11を机の上や箪笥の上などの水平面に立てた展示状態を示した例である。この場合には、支持脚37を収納凹部47より回動して引き出せばよい。
【0031】以上のように構成した額縁11で展示物を保持するには、枠材12の嵌め込み部12aに対し背面側からカバー部材16、展示物14、補助板16、裏板13を順に嵌め込んでから、スライダ21を、移動可能な位置まで一方向(作用方向a)に向けて移動すればよい。スイラダ21の係合片23が係合溝22内を摺動し、相互の傾斜面(上面23aと天井面22a)によって枠材12と裏板13との間で相対移動が起こり、裏板13が正面側に移動する。このため、スライダ21の移動量に応じて、展示物14を適宜の押圧力で適正に保持できる。また、上記補助板16を介在させることで、裏板13の前面側が凸凹であっても展示物14を綺麗に保持し、展示できる。
【0032】また、額縁11の裏板13には係合凹部32を形成し、この係合凹部32に、壁面等に固定する掛止部材31を係合するようにしたので、額縁11を吊掛て展示するときには従来のようにフック等を別途用意する必要はなく、展示の作業が円滑に進行する。しかも、紐等を用いて吊下げる吊掛展示のほか、壁面等に固定した掛止部材31に裏板13の係合凹部32を係合することによる、壁等に密着したような吊掛展示もでき、展示のバリエーションが広がる(前記構成1の効果)。
【0033】さらに、掛止部材31および係合凹部32間に相互間の角度を調整する角度調整機構33を形成すると、額縁11を掛止部材31に直接掛ける場合に、掛止部材31を真に正しく真っ直ぐに固定しなくとも、額縁11を掛けた後で調整することが可能で、作業性がよく、見栄えのする展示が行なえる。掛止部材31を額縁11に組み込むことによってはじめて達成し得る顕著な効果である(前記構成2の効果)。
【0034】また、係合凹部32を複数箇所に形成しているので、額縁11が長方形の場合には、縦長に展示したり横長に展示したりすることが適宜選択でき、さらに展示のバリエーションが広がる(前記構成3の効果)。
【0035】さらにまた、掛止部材31にフック部35を形成すると、上述の如く額縁11を壁に密着したような吊掛けのほかに、吊り紐34を介しての展示ができるとともに、上述のように壁に密着したような吊掛を行なった時には掛止部材31のフック部35があくので、吊掛けた額縁11の下に、そのタイトルや説明等のような付属物を吊下げることもできる(前記構成4の効果)。
【0036】そしてまた、支持脚37を取付けているので、水平面上での立てる展示も行なえる。その上、掛止部材31を係合する係合凹部32を支持脚37を枢着する枢着部39に形成して、掛止部材31を係合凹部32に係合したときに掛止部材31が支持脚37の枢着片36,36間に位置するようにしたので、掛止部材31を係合しているときには支持脚37が外れないようにすることができる。したがって、支持脚37の裏板13に対する枢着構造を簡素にしても、充分に強度のある支持構造を得られる。この効果も、掛止部材31を額縁11に組み込むことによって達成し得る顕著な効果である(前記構成5の効果)。なお、以上の発明の実施の形態における上面23aと天井面22aは、この発明の対向面に対応する。
【出願人】 【識別番号】392010522
【氏名又は名称】株式会社ニチエイ
【出願日】 平成10年(1998)2月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
【公開番号】 特開平11−216051
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−38072