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【発明の名称】 開閉型直交鏡
【発明者】 【氏名】小林 茂樹

【要約】 【課題】2枚の表面鏡の鏡面の厳密な直交状態を再現することができる開閉型直交鏡を提供する。

【解決手段】それぞれ表面が鏡面21,22である表面鏡r,lを内部に保持する表面鏡保持具23,24と、表面鏡保持具23,24を、双方の表面鏡r,lの鏡面21,22が対向する閉状態と直角に密接する開状態とに移動させることができるように表面鏡保持具23,24を相互に可動連結する蝶番25とを備える。保持具23,24を開くと、磁石29と鉄鋼片30が引き合い、調整ネジ27が保持具24の内側面26lに当接して、鏡面21,22の精確な直交状態が強制的に且つ容易に得られ、その直交状態が保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】表面を光反射面とする2枚の表面鏡と、各表面鏡をそれぞれ内部に保持する表面鏡保持具と、両表面鏡保持具を双方の表面鏡の鏡面が対向する閉状態と直角に密接する開状態とに移動させることができるように両表面鏡保持具を相互に可動連結する連結具とを備えることを特徴とする開閉型直交鏡。
【請求項2】前記表面鏡は、各々の内端部が表面鏡保持具の内側面から突出しており、この表面鏡の内端突出部分が前記開状態で直角に密接することを特徴とする請求項1記載の開閉型直交鏡。
【請求項3】前記連結具は、両表面鏡保持具の内側(鏡面側)に取付けられた蝶番であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の開閉型直交鏡。
【請求項4】前記表面鏡保持具は、各々の内側面が鏡面に対して斜めに交差する傾斜面であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の開閉型直交鏡。
【請求項5】前記表面鏡保持具は、前記開状態を保持する開状態保持部材を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の開閉型直交鏡。
【請求項6】前記開状態保持部材は、一方の表面鏡保持具の内側面に設けられた磁石と、この磁石に対応して他方の表面鏡保持具の内側面に設けられた磁石又は磁性体とで構成されることを特徴とする請求項5記載の開閉型直交鏡。
【請求項7】前記表面鏡保持具は、各々の内側面間の間隔を調節する間隔調節部材を有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5又は請求項6記載の開閉型直交鏡。
【請求項8】前記間隔調節部材は、一方の表面鏡保持具の内側面に設けられた進退可能な調整ネジであることを特徴とする請求項7記載の開閉型直交鏡。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2枚の表面鏡の鏡面を直立姿勢において左右対向して平面直交させ、両表面鏡間で生じる二重反射を介して対象像の左右が正位化した像を得る対象像正位化直交鏡に関し、特に左右表面鏡の鏡面交差角を可変とすることによって開閉を可能とした開閉型直交鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】2枚の表面鏡を左右に平面直交配置して対象像を正位化する従来の直交鏡では、2枚の表面鏡の配置が固定されていた(例えば、本出願人による特願平7−217034号:「視角決め装置、観測視野位置決め観測装置、撮像視野位置決め撮像装置、及び対象像正位化直交鏡」参照)。それは、従来の対象像正位化直交鏡に関する技術が計測装置や観測装置等の専門的な業務用技術の範疇に限定されていたためである。
【0003】この技術は鏡を平面直交型に固定化した立体形状として実現される技術であるため、コンシューマ・ベースや一般業務用の使用条件から見ると、その大きな空間容積は、運搬や収納保存にとって不都合な形態となっていた。そこで、本出願人は、先に一般用の折り畳み直交鏡を実現すべき技術の提案に関する出願を行った(特願平9−209536号:「折り畳み型直交鏡」参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記先願に係る折り畳み型直交鏡では、その構造から、折り畳んだ状態から直交状態に開く動作、及び直交状態から折り畳んだ状態に閉じる動作が面倒であり、一般のユーザが日常的環境で使用するのには使い勝手が余り良くない。又、直交鏡では、一般に両表面鏡を開いて双方の鏡面を正確に直交状態に再現する必要があるだけでなく、その直交状態を保持する必要があるが、上記直交鏡では構造的に、より一層良好な直交状態の再現性や保持性が得られるようにするのが難しい。
【0005】従って、本発明は、従来の鏡で得られる左右反転像ではなく、対向する相手が見る正しい左右関係を持った自分の顔像や全身像等を、一般生活の場でも容易に得られるように、対象像正位化直交鏡を開閉可能とするための形態上の課題を解決しようとするものである。対象像正位化直交鏡を開閉可能とするためには、従来固定配置されていた左右の表面鏡を分離し、再連結しなければならない。本発明は、分離された左右の表面鏡を開閉可能な対象像正位化直交鏡とすることを課題とし、よって次の課題(1)〜(4)を解決する開閉可能な直交鏡を提供することを目的とする。
(1)分離した左右の表面鏡を、鏡面同士が密接直交するようにそれぞれ保持するための課題(2)分離した左右の表面鏡を、両鏡面が対向する状態で開閉可能に再連結するための課題(3)両表面鏡の開状態において、鏡面直交状態を安定的に再現するための課題(4)両鏡面の交差角を調節して精確な鏡面直交状態を再現するための課題【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る開閉型直交鏡は、表面を光反射面とする2枚の表面鏡と、各表面鏡をそれぞれ内部に保持する表面鏡保持具と、両表面鏡保持具を双方の表面鏡の鏡面が対向する閉状態と直角に密接する開状態とに移動させることができるように両表面鏡保持具を相互に可動連結する連結具とを備えることを特徴とし、前記技術課題(1)〜(4)を同時に解決することができる。
【0007】この直交鏡では、表面鏡を内部に保持する表面鏡保持具が閉状態と開状態とに変化させることができるように連結具により相互に可動連結されているので、閉状態と開状態との間を変化させる動作を容易に行えるだけでなく、鏡面直交状態を安定して再現したり保持したりすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態により、この発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係わる開閉型直交鏡の作用原理を説明する概念図である。私たちが通常の鏡で見る自分の顔の像は、左右が反転した像である。対象像から入射した構造化光(structured lights )は、鏡面によって正反射されるので、反射像の左右関係は、対象像が鏡の側からこちらを向いたときに見える像とは左右反転のいわゆる鏡像(ミラーイメージ)になる。
【0009】これに反して本発明に係わる直交鏡は、図1Aに示すように2枚の平面表面鏡11,12を、鏡面が平面直交する姿勢(π/2の内角)に配置した鏡である。この鏡面直交鏡の配置によって、図1Bに示すように例えば右鏡面11へ入射角θで入射した光は、反射角θで反射して左鏡面12へ入射する。その入射角は{(π/2)−θ}となるので、左鏡面12による反射角も{(π/2)−θ}となり、右鏡面11への入射光と平行かつ逆方向ベクトルを持つ光が出射される。即ち、右鏡面11にπ/4で入射した直進入射光は、両鏡面境界線15に対して丁度対称の左鏡面位置から直進反射光として反射される。
【0010】このようにして、二重反射を介して対象像13からの構造化光の左右が反転されるので、鏡の向こう側からこちらを向いているかのような対象像14が得られる。つまり、顔像の場合であれば、この直交鏡によって他人が見る自分の顔像を見ることができる。ここで、上述の左右両鏡面の役割が互換的であることは言うまでもない。但し、表面鏡11,12は表面を光反射面とする表面鏡であることが必要である。一般的に使用されている、裏面を金属蒸着や鍍金等により鏡面とした裏面鏡では、前面のガラス等の透明体を透過する際に入射光が二重屈折し、反射像の質を著しく低下させるため、使用に耐えない。
【0011】この直交鏡に一般的実用性を付与した直交鏡、即ち鏡面の開閉動作が容易で、鏡面の直交状態の再現性・保持性を高めた本発明の開閉型直交鏡の概念的構成を図2に示す。図2において、表面が鏡面21である右表面鏡rは表面鏡保持具23に保持され、同じく表面が鏡面22である左表面鏡lは表面鏡保持具24に保持されている。両表面鏡保持具23,24は蝶番(ヒンジ)25で開閉可能に連結されている。又、表面鏡r,lの鏡面21,22が直角に密接する開状態となるように、両表面鏡保持具23,24の内側面26は、鏡面21,22に対して斜めに交差する傾斜面となっている。
【0012】次に、実施形態に係る具体的な開閉型直交鏡について、その上方より見た模式図を示す図3〔閉状態の部分断面図(c)、開状態の部分断面図(d)〕を参照して説明する。但し、各部分の相対的な寸法比率、各部品の取付位置、左右の表面鏡保持具の内側面の傾斜角度は、説明の便宜のために示された一例であって、適宜変更可能であるのは勿論である。
【0013】図3において、表面が鏡面21である右表面鏡rが表面鏡保持具23の内部に保持され、同様に表面が鏡面22である左表面鏡lが表面鏡保持具24の内部に保持されている。両表面鏡r,lは、それぞれ表面鏡保持具23,24の内側(鏡面側)寄りの部分に位置決めされている。又、表面鏡r,lの内端部は、それぞれ表面鏡保持具23,24の内側面26r,26lから若干突出している。この実施形態では、右表面鏡rの内端突出部分の長さが、左表面鏡lの内端突出部分の長さより表面鏡lの厚さ寸法だけ長く設定されている。このため、鏡面21,22の直交状態において、左表面鏡lの内側端面が右表面鏡rの内端突出部分の鏡面21に密接できる。この密接は、直交鏡の安定的な成立のために必要な条件である。仮に、両表面鏡r,lの内端部のエッジ同士が接する構造であると、エッジ同士の接触は非常に不安定であるから、両表面鏡r,lの直交状態でも全面的な間隙無しの直交状態が得られない。
【0014】両表面鏡保持具23,24は、その内側の内端部に取付けられた連結具としての蝶番(ヒンジ)25により開閉可能に連結されている。蝶番25は、前記のように表面鏡r,lの内端部が密接して接触するように、一方及び他方の翼片が表面鏡保持具23,24の内側の内端部に精確に位置決めされている。この蝶番25により、鏡面21,22が対向する閉状態(図3のC)と直角に密接する開状態(図3のD)とに、表面鏡保持具23,24を蝶番25を支点として相互に開閉(回転)することができる。勿論、両表面鏡r,lの内端突出部分同士の密着直交が実現されるならば、図3に示した以外の位置と姿勢で蝶番25を取付けても構わない。
【0015】両表面鏡保持具23,24の内側面26r,26lは、それぞれ鏡面21,22に対して斜めに交差する傾斜面である。この傾斜面26r,26lの傾斜角度は、鏡面21,22の直交状態において両表面鏡r,lが直交し得る角度に設定されている。この実施形態では、傾斜面26r,26lの傾斜角度の合計は90度となるように設定され、実用上の便宜から、各傾斜面26r,26lの傾斜角度は、それぞれ鏡面21,22に対して共に45度である。
【0016】ところで、両表面鏡保持具23,24は、前記のように表面鏡r,lの内端突出部分の密接直交を許容する形状を持たなければならない。そこで、表面鏡保持具23は、表面鏡rの外端部と上下端部(3つの端部)がフレーム(図示せず)によって保持され、内端部のみがフレームで保持されずに内側面26rから突出している。同様に、表面鏡保持具24は、表面鏡lの外端部と上下端部がフレーム(図示せず)によって保持され、内端部のみがフレームで保持されずに内側面26lから突出している。このように、両表面鏡r,lの内端部を内側面26r,26lから露出させてあるので、鏡面21,22の直交状態で表面鏡r,lの内端突出部分が直接的に密接できる。
【0017】一方、直交鏡における鏡面交差角は厳密に90度であることが絶対条件であるから、一般ユーザの日常使用環境においても、鏡面を開くたびに鏡面密着状態が確実に再現されなければならない。そのためには、この実施形態の直交鏡でも、鏡面21,22の直交状態において表面鏡保持具23,24の内側面26r,26lが互いに強く押し付けられなければならない。
【0018】即ち、この実施形態の直交鏡では、表面鏡保持具23の内側面26rに磁性体としての鉄鋼片30が取付けられ、表面鏡保持具24の内側面26lに磁石29が取付けられている。開状態保持部材を構成する磁石29と鉄鋼片30は、それぞれ内側面26l,26rと同一平面となるように埋設されている。従って、表面鏡保持具23,24を開くと、磁石29と鉄鋼片30が接近し、磁石29が鉄鋼片30を強く引きつける結果、表面鏡保持具23,24が常に所定の開状態になり、予め製造工程において設定された鏡面21,22の直交状態が確実に保持される。このため、ユーザは、意識して鏡面21,22を直交状態にする必要がなく、磁石29と鉄鋼片30を引き合わせるだけで、厳密な直交状態が得られ、しかも直交状態が保持される。なお、内側面26r,26l間の引力をより強化するために、鉄鋼片30を磁石で置換してもよい。
【0019】前記したように、直交鏡における鏡面交差角は厳密に90度であることが絶対条件であり、このためには、まず製造工程において、鏡面密着の準直交状態で交差角を微調整し、厳密な直交状態を実現できるようにしなければならない。この実施形態の直交鏡では、それを実現するために、表面鏡保持具23の内側面26rに、雌ネジ(ナット)28が同一平面となるように埋設され、雌ネジ28に調整ネジ(間隔調節部材)27が螺合されている。表面鏡保持具23には調整ネジ27のストロークに応じた深さの溝が形成され、この溝に調整ネジ27が嵌入している。表面鏡保持具23,24の内側面26r,26lを磁石29と鉄鋼片30の磁力により引き合わせたときに、調整ネジ27の頭部が内側面26lに当接することで、鏡面21,22の厳密な直交状態が再現される。
【0020】調整ネジ27による鏡面21,22の交差角の微調整は、次のように行う。まず鏡面21,22の密着状態において、直交鏡にスケール像を映し、調整ネジ27を例えばドライバで回転させ、スケール二重反射像が左右整合すれば、精確な直交状態が実現される。製造工程において、この精確な直交状態で調整ネジ27の突出度合を一度固定すれば、以降はユーザの開放動作が多少不正確であっても、表面鏡保持具23,24を開くたびに必ず精確な鏡面21,22の直交状態が再現される。なお、調整ネジ27は、内側面26r,26l間の間隔を調節し得る部材であれば、必ずしもネジの形態を持つ必要がないことは勿論である。例えば、雌ネジ28を設けずに、調整ネジ27を表面鏡保持具23又は24に直接螺合させてもよい。
【0021】更に、調整ネジ27の頭部が表面鏡保持具24の内側面26lに当接することで、両表面鏡保持具23,24の更なる拡開を抑制することができ、無理な拡開による破損を防止できる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1記載の直交鏡によれば、次の効果が得られる。
(1)左右の表面鏡を、鏡面同士が密接直交するようにそれぞれ保持することができる。
(2)左右の表面鏡を、両鏡面が対向する状態で開閉可能に再連結することができる。
(3)両表面鏡の開状態において、鏡面直交状態を安定的に再現することができる。
(4)請求項2の構成とすることで、両表面鏡の鏡面を安定的な直交状態に密接させることが可能となる。
(5)請求項3の構成とすることで、両表面鏡の開閉動作が容易となる上に、連結具を簡素にすることができる。
(6)請求項4の構成とすることで、両表面鏡の鏡面の直交状態を確実に得ることができる。
(7)請求項5,6の構成とすることで、ユーザが鏡面直交状態を特に意識しなくても、鏡面直交状態に強制的且つ容易にすることができ、しかも直交状態が保持される。
(8)請求項7,8の構成とすることで、精確な鏡面直交状態を再現できるだけでなく、たとえ鏡面同士の交差角がずれても、精確な直交状態に容易に微調整することができる。
【出願人】 【識別番号】594077024
【氏名又は名称】小林 茂樹
【識別番号】598014582
【氏名又は名称】中元 義隆
【識別番号】595018813
【氏名又は名称】林 敦史
【識別番号】598014593
【氏名又は名称】永原 富士子
【出願日】 平成10年(1998)2月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 茂信
【公開番号】 特開平11−216050
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−20658