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【発明の名称】 家庭用五輪塔
【発明者】 【氏名】明石 一朗

【要約】 【課題】日々の礼拝供養を家庭内において行うことができるようにする。

【解決手段】家庭用五輪塔Aにおいて、地、水、火、風、および空からなる五輪のそれぞれを表す方部8、円部7、三角部6、半円部5、および方部8部が、これらの順で積み上げられて形成された五輪部1と、直方体状とされた禄部3および福部2と、を備え、かつ、禄部3、福部2、および五輪部1を、これらの順で積み上げて形成するとともに、その内部に収容空間を形成した。好ましくは、上記収容空間内に所定の容器体90を収容するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地、水、火、風、および空からなる五輪のそれぞれを表す方部、円部、三角部、半円部、および宝珠形部が、これらの順で積み上げられて形成された五輪部と、直方体状とされた禄部および福部と、を備え、かつ、禄部、福部、および五輪部が、これらの順で積み上げられて形成されているとともに、その内部に収容空間が形成されていることを特徴とする、家庭用五輪塔。
【請求項2】 上記収容空間には、容器体が収容されているとともに、禄部または福部に形成された開口から上記容器体が出し入れ可能とされている、請求項1に記載の家庭用五輪塔。
【請求項3】 上記容器体は、有底円筒状とされており、この容器体が禄部の底部に形成された開口から出し入れ可能とされている、請求項2に記載の家庭用五輪塔。
【請求項4】 上記容器体には、上記収容空間内に上記容器体を固定保持する保持手段が設けられている、請求項3に記載の家庭用五輪塔。
【請求項5】 禄部、福部、および五輪部は、金属板によって形成されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の家庭用五輪塔。
【請求項6】 方部および福部は、それぞれ下部開放状とされており、禄部および福部の上面には、それぞれ方部および福部の断面形状に対応した矩形状の開口が形成されているとともに、これらの開口の周縁部には、方部および福部の下端部が嵌め込み固定される受け部がそれぞれ形成されている、請求項5に記載の家庭用五輪塔。
【請求項7】 上記容器体には、その半径方向に延出してフランジ部が形成されているとともに、このフランジ部の周縁部には、上記各受け部のいずれかを下方から挟み込む挟持部が形成されており、この挟持部によって上記保持手段が構成されている、請求項6に記載の家庭用五輪塔。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、地、水、火、風、および空からなる五輪のそれぞれを表す方部、円部、三角部、半円部、および宝珠形部が、これらの順で積み上げられて形成された五輪塔であって、家庭内において使用されるものに関する。
【0002】
【技術背景】いわゆる五輪塔は、たとえば没後50年以上を経過した先祖の供養塔として用いられるが、地(寿)、水、火、風、および空のそれぞれを表す方部、円部、三角部、半円部、および宝珠形部が、これらの順で積み上げられて形成されたものであり、これに福部および禄部を加えたものもある。この五輪塔は、石材などによってその高さが4尺以上として建立されることが多いが、各部の寸法には、一定の意味合いが込められており、でたらめにその寸法を設定すべきではない。たとえば、福部および禄部を加えた全高さを四尺五寸七分とすれば、成佛(大往生)した後に、正当な順生の種を残すことを表示することになる。このように、全高さを設定するのにも墓相上の意味があり、その他の部分の寸法を設定する場合にも墓相上の意味合いを考慮して五輪塔を建立することによって、その墓相を大事にする必要がある。
【0003】このようにして墓相を大事にして五輪塔を建立することにより、造塔供養という形で先祖を尊ぶことができ、五輪塔の内部に般若心経などが謹書された写経を収めることによって写経供養という形で先祖を尊ぶこともできる。そして、お経を読み礼拝するといった読経礼拝供養を行うことによって祖霊は三重の供養を受けることができる。
【0004】ところが、一般的には本家宅が在する地域に五輪塔を建立し、本家宅がその管理をすることが多い。したがって、分家宅の人達が先祖の供養する際には、五輪塔がある地域に赴かなければならず、これらの人達が地元から遠く離れた地域に居住している場合には不便である。このため、分家宅の人達が先祖を祭るべく自己の居住地域やその近所に五輪塔を建立することも考えられるが、五輪塔を建立するには多大な費用が必要とされる。したがって、五輪塔の建立場所から遠く離れた地域に居住する人達にとっては、読経礼拝供養という形で先祖を尊ぶことが困難であり、その家庭内において先祖の供養することができれば便利である。
【0005】本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、日々の礼拝供養を家庭内において行うことができるようにすることをその課題としている。
【0006】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】すなわち、本願発明によれば、地、水、火、風、および空からなる五輪のそれぞれを表す方部、円部、三角部、半円部、および宝珠形部が、これらの順で積み上げられて形成された五輪部と、直方体状とされた禄部および福部と、を備え、かつ、禄部、福部、および五輪部が、これらの順で積み上げられて形成されているとともに、その内部に収容空間が形成されていることを特徴とする、家庭用五輪塔が提供される。
【0008】上記五輪塔は、家庭用として構成されているために、その高さは約400〜500mm程度とされる。この場合、五輪塔を建立するという形ではないにしても、五輪塔を家庭内に祭ることによって造塔供養を実行することができる。しかも、家庭用として小サイズとされているため、安価であり、容易に持ち運びすることができるため、引っ越しなどをした場合であっても、引っ越し先において引き続き先祖の供養を行うことができる。また、外出するまでもなく、家庭内に祭られた五輪塔に対してお経を読み、礼拝することで、日々の礼拝供養を実行することができる。
【0009】さらに、上記家庭用五輪塔には、その内部に収容空間が形成されており、たとえば般若心経を謹書した写経や、祭祀する側の家運隆盛などの願いを謹書した願文書など上記収容空間内に収めることができる。このため、写経や願文書をその内部に収めることによって写経供養という形で先祖を尊ぶこともできる。
【0010】このように、上記五輪塔では、家庭内において、造塔供養、写経供養および礼拝供養によって三重に先祖を尊ぶことができる。
【0011】ところで、全高さや各部の寸法は、本来の五輪塔において墓相が良いとされている寸法にあやかって設定するのが好ましい。上述したように、たとえば全高さを四尺五寸七分とすれば、成佛(大往生)した後に、正当な順生の種を残すことを表示することになるが、四、五、七の数字の組み合わせにより生じる墓相の良さをそのまま縮尺後の家庭用五輪塔においても反映できるように、家庭用五輪塔の高さを457mmとするのが好ましい。すなわち、本来の五輪塔における一尺を100mm、言い換えれば一分を1mmとして縮尺形成するのが好ましい。もちろん、その他の各部の寸法にも、その数字の組み合わせに墓相上の意味があり、これを忠実にミリ目に縮尺して家庭用の五輪塔の大きさを設定するのが好ましい。
【0012】好ましい実施の形態においては、上記収容空間には、容器体が収容されているとともに、禄部または福部に形成された開口から上記容器体が出し入れ可能とされている。この場合には、祭祀において使用される道具などを上記容器体内に収容し、必要に応じて取り出すことができる。すなわち、祭祀するときに、その際に使用される道具を改めて探す必要はなく、また紛失してしまうこともなく便利であるとともに、写経や願文書を適宜追加して五輪塔内に収めておくことができる。
【0013】上記容器体を出し入れ可能とする手段としては、たとえば有底箱状とされた容器体を引き出しとして構成したり、あるいは上記容器体として有底円筒状に形成されたものを採用し、この容器体を上記禄部の底部に形成された開口から出し入れ可能に構成することもできる。
【0014】上記容器体として有底円筒状に形成されたものを採用した場合には、写経や願文書を良好な状態で保存しておくことができる。すなわち、写経や願文書は一般的には紙製であるため、これを折り曲げた状態で保存すれば、折り目に沿って破れたりしてしまうことがあるが、上記容器体を底円筒状とすれば、写経や願文書を丸めて筒状として上記容器体に収容することができるため良好な状態で保存することができる。また、写経や願文書を五輪塔内に、または容器体内に密閉性良く保存すれば、湿気によって写経や願文書が損傷してしまうこともなく、より良好に保存しておくことができる。
【0015】好ましい実施の形態においてはさらに、上記容器体には、上記収容空間内に上記容器体を固定保持する保持手段を設けるのが好ましい。
【0016】好ましい実施の形態においては、禄部、福部、および五輪部は、金属板によって形成されている。また、方部および福部を、それぞれ下部開放状とし、禄部および福部の上面に、それぞれ方部および福部の断面形状に対応した矩形状の開口を形成するとともに、これらの開口の周縁部に、方部および福部の下端部が嵌め込み固定される受け部をそれぞれ形成してもよい。
【0017】上記構成では、方部の下端部を福部に形成された受け部に嵌め込むことによって方部が福部に容易に連結され、福部の下端部を禄部に形成された受け部に嵌め込むことによって福部が禄部に容易に連結される。このように、本願発明では、方部、福部および禄部を容易に連結することができ、しかも必要に応じてこれらを容易に分解することができ、便利である。
【0018】なお、上記金属板としては、表面が緑青色の銅板が良好に用いられる。この場合、銅板が腐食して緑青色とされているものではなく、人為的に無害の物質が塗布されて、腐食しているが如く緑青色とれているものを使用するのが好ましい。
【0019】好ましい実施の形態においてはさらに、上記容器体には、その半径方向に延出してフランジ部が形成されているとともに、このフランジ部の周縁部には、上記各受け部のいずれかを下方から挟み込む挟持部が形成されており、この挟持部によって上記保持手段が構成されている。
【0020】上記構成では、禄部に形成された開口から、五輪塔の収容空間に上記容器体を挿入する際に、上記容器体の挟持部によって福部または方部の受け部を挟持させるといった簡易な作業によって上記容器体が上記収容空間に収められた状態が維持される。また、上記容器体を上記収容空間から取り出す場合には、上記容器体を引っ張り出すようにして挟持状態を解除すればよく、この作業も容易に行うことができる。
【0021】本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】図1は、本願発明に係る家庭用五輪塔の一例を表す全体斜視図であり、図2は、上記五輪塔の断面図である。また、図3は上記五輪塔の宝珠形部および半円部を表す要部断面分解図であり、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図であり、図5は上記五輪塔の三角部を表す分解斜視図であり、図6は上記五輪塔の方部を表す分解斜視図であり、図7は図6のVII −VII 線に沿う断面図であり、図8は上記五輪塔の内部に収容される容器体の一例を表す全体斜視図である。
【0024】図1および図2に示すように、上記五輪塔Aは、空、風、火、水、および地(寿)からなる五輪のそれぞれを表す宝珠形部4、半円部5、三角部6、円部7、および方部8を有する五輪部1と、直方体状とされた福部2および禄部3と、を備えて大略構成されており、禄部3、福部2、および五輪部1が、これらの順で積み上げられて形成されている。また、好ましくは、宝珠形部4、半円部5、三角部6、円部7、および方部8の東西南北の各面の適部には、それぞれに該当する凡字(図示略)が書き込まれる。
【0025】図2および図3に示すように、上記宝珠形部4と上記半円部5とは、12枚の葉状片45を、それぞれの幅方向の側部を互いに重ね合わせて連結することによって一体的に形成されており、その内部は中空状とされている。
【0026】図3に良く表れているように、上記各葉状片45は、たとえば緑青銅板などによってその中央部位置において幅方向の内方側に窪んだ形状とされており、この窪んだ部分において屈曲され、この部分を境とした上部および下部のそれぞれが丸みを帯びた形状とされている。なお、上記緑青銅板としは、銅板が腐食して緑青色とされているものではなく、人為的に無害の物質が塗布されて、腐食しているが如く緑青色とれているものを使用するのが好ましい。
【0027】図4に良く表れているように、上記各葉状片45の幅方向の一側部には、重ねしろ45aが屈曲形成されており、この重ねしろ45aと他の葉状片45の幅方向の他側部がそれぞれ重ね合わされて、断面形状が略円形とされた宝珠形部4および半円部5が形成される。また、上記各葉状片45が重ね合わされた部分は、内部側から低温ハンダ付けされ、このハンダHによって上記各部4,5の形状が保持される。
【0028】なお、上記宝珠形部4の高さH1 および最大直径W1 は、たとえば38mmおよび41mmにそれぞれ設定される。本来の五輪塔においては、宝珠形部の高さおよび直径は、それぞれ三寸八分および四寸一分とするのが墓相的に良いとされている。すなわち、三寸八分という高さ寸法は、過去の罪障を止み滅し新しく旺盛に進み行く姿を表示しており、四寸一分という直径寸法は、人間としての責任を果たし子孫を永遠に旺盛ならしめることを表示している。このため、本実施形態においては、墓相的に良いとされている数字の組み合わせにあやかり、本来の五輪塔における一尺を100mm、言い換えれば一分を1mmとして各部1,2,3の寸法を縮尺して形成されている。また、上記半円部5の高さH2 および直径W2 も、墓相的に良いとされている二寸八分および四寸九分にあやかって、たとえば28mmおよび49mmにそれぞれ設定される。
【0029】図5に示すように、上記三角部6は、台座部61に屋根部60が取り付けられて形成されており、各部60,61は、たとえば緑青銅板によって形成されている。
【0030】上記台座部61は、矩形とされているとともに中央部に円形の開口61aが形成された底部61Aと、この底部61Aの各周縁端から連続して上方に延びるようにして形成された起立部61Bと、上記各起立部61Bの上端から連続して外方に延びるようにして形成されたフランジ片61Cとを有しており、一枚の緑青銅板から形成されている。そして、隣り合う起立部61B,61Bどうしは、一方の起立部61Bの隣接縁部を、他方の起立部61Bの隣接縁に形成された重ねしろ61bと重ね合わせ、この部分をたとえば低温ハンダ付けするなどして互いに接合されている。
【0031】上記屋根部60は、同形状とされた4枚の屋根パネル60Aと、一枚の蓋パネル60Bとを有している。上記各屋根パネル60Aは、全体として略台形状とされており、一側縁に上下方向に延びる重ねしろ60aが形成されているとともに、下端縁に折曲げ片60a’が形成されている。そして、隣り合う屋根パネル60A,60Aどうしは、一方の屋根パネル60Aの隣接縁部を他方の屋根パネル60Aの重ねしろ60aに重ね合わせ、この部分をたとえば低温ハンダ付けするなどして互いに接合されており、その断面形状は略矩形とされている。また、上記蓋パネル60Bは、開口60b”が形成された矩形の基部60bから下方に重ねしろ60b’が延出した恰好とされており、この重ねしろ60b’が上記各屋根パネル60Aの上端部と接合されている。図2および図3に良く表れているように、上記開口60b”の周縁部は、上記宝珠形部4および上記半円部5を構成している上記各葉状片45の下端部45bが折り曲げられて係止され、あるいは下端部45bによって挟持されており、この下端部45bが上記蓋パネル60Bの裏面側に低温ハンダなどによって接合されている。
【0032】そして、上記のように構成された屋根部60は、上記各屋根パネル60Aの折曲げ片60a’によって上記台座部61のフランジ片61Cを挟持することによって上記台座部61に取り付けられて上記三角部6が形成されており、この三角部6の内部は中空状とされている。なお、この三角部6の高さH3 は、本来の五輪塔において墓相が良いとされている六寸にあやかって60mmとされ、正面視における最大幅W3 および最小幅w3 は、それぞれ120mmおよび37mmに設定される。
【0033】図2に良く表れているように、上記三角部6の下部には、中空状の円部7が連結されている。この円部7は、上記宝珠形部4や上記半円部5と同様に、緑青銅板などによって形成された12枚の葉状片を重ね合わせ接合することによって中空状とされているとともに、その断面が円形状とされている。そして、各葉状片の上端部が折り曲げられ、折り曲げ片70が上記三角部6の下部に形成された開口61aの周縁部に係止され、あるいは周縁部を挟持しており、上記折り曲げ片70が、たとえば低温ハンダによって上記三角部6に接合されている。一方、上記各葉状片の下端部も折り曲げられ、折り曲げ片71が上記方部8の上部に形成された開口81aの周縁部に係止され、あるいは周縁部を挟持しており、上記折り曲げ片71が、たとえば低温ハンダによって上記方部8に接合されている。なお、この円部7の高さH4 および最大直径W4 は、本来の五輪塔において墓相的に良いとされている六寸一分および八寸二分にあやかって、たとえば61mmおよび82mmにそれぞれ設定される。
【0034】図6に示すように、上記方部8は、上下が開放した断面矩形状の筒部80と、この筒部80の上部開口80cを覆うとともに中央部に開口81aが形成された蓋部81とを備えている。
【0035】上記筒部80は、たとえば長矩形状の緑青銅板を折り曲げ加工し、両端部を接続することによって矩形断面を有する筒状とされている。上記銅板の両端部の接続をもう少し具体的に説明すれば、図7に良く表れているように、上記銅板は、そ一端部が略180度折り曲げられた後に再び略180度折り返されて上下方向に延びる隙間が形成された恰好とされ、これが差し込み部80bとされる一方、他端部が略90度折り曲げられて差し込み片80aとされ、この差し込み片80aを上記差し込み部80bに差し込むことによって上記銅板の両端部が接続されている。また、上記筒部80の上縁部には、上記差し込み部80bと同様な方法で、所定の隙間を有する差し込み部80dが形成されている。
【0036】上記蓋部81は、その周縁端が略垂直下方に延びる差し込み片81bが形成されており、この差し込み片81bを上記差し込み部80dに差し込むことによって上記筒部80の上部開口80cを覆うような恰好で上記蓋部81が上記80に取り付けられている。なお、上記方部8の正面視における高さH5 および幅W5は、本来の五輪塔において墓相的に良いとされている八寸五分および七寸五分にあやかって、たとえば85mmおよび75mmにそれぞれ設定される。
【0037】図2に示すように、上記福部2は、上記方部8と略同様な構成とされている。すなわち、上下が開放した断面矩形状の筒部20と、この筒部20の上部開口21aを覆うとともに中央部に開口21aが形成された蓋部21とを備えている。上記開口21aは、その開口面積が上記方部8の筒部80の断面積と略同様とされているとともに、その周縁部には受け部21bが形成されている。この受け部21bは、上記開口21aの周縁端が下方に略90度折り曲げられた後に略90度折り返されることによって幅方向に延びるとともに上方に開放する隙間を有するものとされている。そして、この受け部21bには、上方から上記方部8の下端部が差し込まれて挟持され、これによって上記方部8が上記福部2と連結される。なお、上記福部2の正面視における高さH6 および幅W6 は、本来の五輪塔において墓相的に良いとされている七寸五分および一尺二寸二分にあやかって、たとえば75mmおよび122mmにそれぞれ設定される。
【0038】図2に良く表れているように、上記禄部3は、上方に開放する断面矩形状の筒部30と、この筒部20の上部開口31aを覆うとともに中央部に開口31aが形成された蓋部31とを備えており、上記上部開口31aは、その開口面積が上記福部2の筒部20の断面積と略同様とされているとともに、その周縁部には受け部31bが形成されている。そして、この受け部31bに上記福部2の下端部が差し込まれて挟持され、これによって上記福部2が上記禄部3と連結される。また、上記筒部30の底部には、矩形開口31dが形成されており、この矩形開口31dの周縁部は段部31cとされている。そして、蓋体9を嵌め込み、あるいは取り外すことによって、上記矩形開口31dは開閉可能とされている。なお、上記禄部3の正面視における高さH7 および幅W7 は、本来の五輪塔において墓相的に良いとされている一尺一寸および二尺にあやかって、たとえば110mmおよび200mmにそれぞれ設定される。
【0039】上記構成では、上記方部8の下端部を福部2に形成された受け部21bに嵌め込むことによって上記方部8が上記福部2に容易に連結され、上記福部2の下端部を上記禄部3に形成された受け部31bに嵌め込むことによって上記福部2が上記禄部3に容易に連結される。このように、本実施形態の五輪塔Aでは、上記方部8、上記福部2、および上記禄部3を容易に連結することができ、しかも必要に応じてこれらを容易に分解することができ、便利である。
【0040】また、上記ように構成された五輪塔Aは、たとえば全高さが457mmとされ、図2に良く表れているように、各部2〜8が銅板によって中空状に形成されているとともに、各部2〜8の内部空間が連通して1つの空間とされ、これが収容空間とされてている。そして、この収容空間には図8に示すような容器体90が収容可能されている。
【0041】この容器体90は、一端部91aが開放しているとともに他端部91bが閉塞された容器本体91を有しており、一端部91aは蓋体93によって閉塞可能とされ、閉塞状態では上記容器体90の良好な機密性が保たれている。また、この容器体90における一端部91a側の端縁からの距離が上記禄部3の高さよりも小さい部位には、半径方向の外方に延出してフランジ部93が形成されている。このフランジ部93は、上記禄部3の上部開口31aの形状に対応して全体として矩形状とされており、その周縁部には、上記福部2の受け部21bや上記禄部3の受け部31bと同様な方法によって、幅方向に延びるとともに上方に開放した隙間を有する挟持部93aが形成されている。すなわち、上記挟持部93aが、上記禄部3の受け部31bに対応した部位に形成されている。
【0042】このように構成された容器体90は、上記上記禄部3に形成された矩形開口31dを開放した状態において、上記五輪塔Aの内部に形成された収容空間に対して出し入れが可能とされている。上記容器体90を収容空間内に収容する場合には、上記挟持部93aによって上記禄部3の受け部31bを下方から挟み込むような恰好とすることによって、上記フランジ部93、すなわち上記容器体90が上記収容空間内に保持される。
【0043】上記構成では、上記禄部3に形成された矩形開口31dから、上記収容空間に上記容器体90を挿入する際に、上記容器体90の挟持部93aによって上記福部2の受け部21aを挟持させるといった簡易な作業によって上記容器体90が上記収容空間に収められた状態が維持される。また、上記容器体90を上記収容空間から取り出す場合には、上記容器体90を引っ張り出すようにして挟持状態を解除すればよく、この作業も容易に行うことができる。
【0044】また、上記家庭用五輪塔Aには、その内部に収容空間が形成されており、上記容器体90内に、たとえば般若心経を謹書した写経や、祭祀する側の家運隆盛などの願いを謹書した願文書などを収め、これを上記収容空間内に収容することができる。このため、写経や願文書をその内部に収めることによって写経供養という形で先祖を尊ぶこともできる。さらに、上記容器体90が円筒状に形成されているため、写経や願文書を良好な状態で保存しておくことができる。すなわち、写経や願文書は一般的には紙製であるため、これを折り曲げた状態で保存すれば、折り目に沿って破れたりしてしまうことがあるが、上記容器体90を筒状とすれば、写経や願文書を丸めて筒状として上記容器体90に収めることができるため良好な状態で保存することができる。また、本実施形態のように、上記容器体90が蓋体93を有しており、上記容器体90の機密性が良好に保たれているので、湿気によって写経や願文書が損傷してしまうこともなく、より良好に保存しておくことができる。
【0045】ところで、上記五輪塔Aは、家庭用とされているために五輪塔を建立するという形ではないにしても、五輪塔Aを家庭内に祭ることによって造塔供養を実行することができる。しかも、家庭用として小サイズ、たとえば全高さが457mmに銅板などによって形成されいるため、安価であり、容易に持ち運びすることができるため、引っ越しなどをした場合であっても、引っ越し先において引き続き先祖の供養を行うことができる。また、外出するまでもなく、家庭内に祭られた五輪塔Aに対してお経を読み、礼拝することで、日々の礼拝供養を実行することができる。
【0046】このように、本願発明では、家庭内において、造塔供養、写経供養および礼拝供養によって三重に先祖を尊ぶことができる。
【0047】なお、本実施形態においては、筒状とされた容器体90が上記五輪塔Aの収容空間内に収容されるように構成されていたが、たとえば上記容器体90を有底箱状とし、上記福部2または上記禄部3の側面に形成された開口から上記容器体90を出し入れ可能な引き出しとすることもでき、またその他の構成であってもよい。上記容器体90を引き出しとして構成した場合には、祭祀において使用される道具などを上記容器体内に収容し、必要に応じて取り出すことができる。すなわち、祭祀するときに、その際に使用される道具を改めて探す必要はなく、また紛失してしまくこともなく便利であるとともに、写経や願文書を適宜追加して五輪塔内に収めておくこともできる。
【0048】また、上記五輪塔Aの各部2,3,4,5,6,7,8は、緑青銅板によって形成されていたが、その他の金属板によって形成してもよく、あるいは上記各部2〜8を樹脂成形によって形成し、各部2〜8を互いに連結するように構成してもよく、また五輪塔A全体を一体的に樹脂成形によって形成してもよい。
【出願人】 【識別番号】598000459
【氏名又は名称】明石 一朗
【出願日】 平成9年(1997)12月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外2名)
【公開番号】 特開平11−178707
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−356990