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【発明の名称】 カーペットの製造方法
【発明者】 【氏名】遠藤 克秋

【氏名】福島 健一

【要約】 【課題】十分な強さを有すると共に可撓性を有するカーペットを得ることができ,また乾燥・硬化の時間を短縮できる,カーペットの製造方法を提供すること。

【解決手段】4〜25重量%のアルミナセメントを含有する水硬性無機粉末と樹脂水性分散液とから構成されるセメント組成物を用いてなるバッキング材スラリー21をシート状に成形し,次いで,該シート状物の上にカーペット基材12を重ねて積層物を形成する。その後,該積層物を加熱部としての電気ヒータ5の上を移動させながら上記シートの下側から加熱して乾燥・硬化させることにより,カーペット1を連続的に生産する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 4〜25重量%のアルミナセメントを含有する水硬性無機粉末と樹脂水性分散液とから構成されるセメント組成物を用いてなるバッキング材スラリーをシート状に成形し,次いで,得られたシート状物の上にカーペット基材を重ねて積層物を形成し,その後,該積層物を加熱部上を移動させながら上記シートの下側から加熱して乾燥・硬化させることにより,カーペットを連続的に生産することを特徴とするカーペットの製造方法。
【請求項2】 請求項1において,上記乾燥・硬化の途中において,カーペットを乾燥機中に連続的に送入して,乾燥・硬化させることを特徴とするカーペットの製造方法。
【請求項3】 請求項1又は2において,上記水硬性無機粉末100重量部に対して,樹脂水性分散液中の樹脂成分が25〜200重量部となるように両者を配合することを特徴とするカーペットの製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,上記樹脂水性分散液のガラス転移点は−40℃〜5℃であることを特徴とするカーペットの製造方法。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,上記バッキング材スラリー中に加える凝結遅延剤は,グルコン酸,グルコン酸塩,クエン酸,クエン塩の中のいずれか1種以上を用いることを特徴とするカーペットの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は建物等の床素地面上に敷設するカーペットに関し,パイルが植毛されたカーペット基材の裏面にバッキング材を積層して,バッキング強度の優れたカーペットを製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】カーペット用バッキング材にはアスファルト系のものや塩化ビニル系のもの等ある。しかし,アスファルト系のものは臭気が有るばかりでなく,使用中,特に冬期に硬くなり割れやすい。一方,高温下では軟化して周囲を汚したり,熱劣化を起こす等の問題があった。また,塩化ビニル系のものは,カーペットの廃棄,焼却の際に,有害な塩素ガス等を発生し環境汚染の問題があった。
【0003】上記の問題を解決するために,樹脂水性分散液と水硬性無機粉末から構成されるセメント組成物をバッキング材とし,そのバッキング材を連続に成形した後でカーペット基材を貼り合わせ,バッキング材を乾燥・硬化させてカーペットを製造する方法が提案されている(特開平5−254081号,特開平5−254082号,特開平6−154070号)。
【0004】しかしながら上記の方法では,乾燥・硬化に時間がかり,生産性が悪いという難点がある。一方,生産性を上げるために,乾燥温度を高くして乾燥・硬化を速めれば,バッキング材中の水の蒸発時に水蒸気により,気泡や膨れを発生する。また,得られたバッキング材の強度が低下するという難点があった。
【0005】
【解決しようとする課題】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり,十分な強さを有すると共に可撓性を有するカーペットを得ることができ,また乾燥・硬化の時間を短縮できる,カーペットの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,4〜25重量%のアルミナセメントを含有する水硬性無機粉末と樹脂水性分散液とから構成されるセメント組成物を用いてなるバッキング材スラリーをシート状に成形し,次いで,得られたシート状物の上にカーペット基材を重ねて積層物を形成し,その後,該積層物を加熱部上を移動させながら上記シートの下側から加熱して乾燥・硬化させることにより,カーペットを連続的に生産することを特徴とするカーペットの製造方法にある。
【0007】次に,本発明の作用効果につき説明する。本発明においては,バッキング材スラリーとして,上記のごとき,アルミナセメントを特定範囲で含有する水硬性無機粉末と,樹脂水性分散液との混合物を用いている。そのため,上記乾燥・硬化時にバッキング材スラリー中に水分が急激に膨張,蒸発するということがない。
【0008】それ故,得られたカーペットのバッキング材中に気泡や膨れを発生することがなく,またその強度が低下するということもない。また,上記バッキング材スラリーを用いているので,バッキング材も十分な可撓性を有する。
【0009】また,上記積層物の乾燥・硬化は,上記積層物を加熱部の上を移動させながら行なっている。そのため,上記のごとき急激な水分の膨張,蒸発がなく,また乾燥・硬化の時間を短縮することができる。
【0010】以下,本発明を詳細に説明する。本発明のカーペットは,樹脂水性分散液と,水硬性無機粉末から構成されるセメント組成物との混合物をバッキング材スラリーとして用いる。そして,水硬性無機粉末としては,4〜25重量%のアルミナセメントを含有するものを用いる。
【0011】本発明において,バッキング材スラリーに用いる樹脂水性分散液は,種々のガラス転移点を有する,ホモ重合体を与える種々の不飽和単量体を1種又は2種以上乳化重合させて得ることができる。上記不飽和単量体としては,重合性二重結合を有する各種の単量体が使用できるが,例えば,各種の(メタ)アクリル酸エステル類,スチレン,(メタ)アクリロニトリル,(メタ)アクリルアミド類,(メタ)アクリル酸,その他の不飽和カルボン酸類,塩化ビニル,酢酸ビニル,その他のビニルエステル類,エチレン,ブタジエン,ビニルエーテル類等が使用できる。
【0012】樹脂水性分散液は,上記単量体を,水中で界面活性剤,または保護コロイド等を用いて公知の方法で乳化重合して得ることができる。
【0013】次に請求項3の発明のように,上記水硬性無機粉末100重量部に対して,樹脂水性分散液中の樹脂成分が25〜200重量部となるように両者を配合することが好ましい。この場合には,樹脂の弾性と水硬性無機粉末とにより,強度の向上効果が得られる。25重量部未満ではカーペットが硬くなり,もろく割れやすいという問題があり,一方200重量部を超えるとカーペットが柔らかくなりすぎて強さが低下すると共に,寸法安定性も悪くなるという問題がある。
【0014】次に,請求項4に示すごとく,樹脂水性分散液のガラス点移転は,−40℃〜5℃であることが好ましい。これにより,得られるカーペットの柔軟度,強さ等を向上させることができる。上記−40℃未満では強度が低く,寸法安定性が悪い。一方,5℃を超えると,カーペットが硬くなり,もろく割れやすいという問題がある。なお,ガラス点移転は,示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。
【0015】次に,本発明においては,組成やガラス転移点の異なる樹脂水性分散液を,2種以上混合して使用することもできる。更にこれらの樹脂水性分散液より得られた再乳化性樹脂粉末を使用することも可能である。
【0016】本発明におけるバッキング材スラリーに用いるアルミナセメントは,アルミナと酸化カルシウムを電気炉やロータリーキルンで焼成することにより得られる。上記のアルミナセメントは,水硬性無機粉末中に4〜25重量%含有させる。4重量%未満では,バッキング材の強度が低く,しかも乾燥・硬化が遅いという問題がある。一方25重量%を超えるとバッキング材がもろくなり,しかも乾燥時の収縮が大きくなるという問題がある。
【0017】本発明におけるバッキング材スラリーに用いるアルミナセメント以外の水硬性無機粉末としては,普通ポルトランドセメント,白色ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント,超早強ポルトランドセメント,耐硫酸塩ポルトランドセメント,中庸熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント類,高炉セメント,シリカセメント,フライアッシュセメント等の混合セメント類,水硬性石灰,水硬性石膏等がある。
【0018】次に,請求項5の発明のように,上記バッキング材スラリー中に加える凝結遅延剤は,グルコン酸,グルコン酸塩,クエン酸,クエン酸塩の中のいずれか1種以上を用いることを特徴とするカーペットの製造方法ができる。この場合には,バッキング材スラリーの粘度の変化を安定化させることができる。そのため,バッキング材スラリーの流動性に変化がなく,均一なシートに成形できるだけでなく,配管中で増粘して詰まりを発生するというトラブルが発生しなくなる。
【0019】また,凝結遅延剤としては上記の他に,リンゴ酸またはその塩,サリチル酸またはその塩,酒石酸またはその塩,しょ糖,ぶどう糖,乳糖等の糖類,可溶性でん粉等がある。なお,上記凝結遅延剤の使用量は,上記効果を得るために全セメント分100部に対して0.1〜3.0部を用いることが好ましい。
【0020】本発明においては,上記バッキング材スラリー中に骨材を混入することが好ましい。これにより,バッキング材の強度が向上する。かかる骨材としては,珪砂,珪石粉,炭カル,タルク,マイカ,ケイ藻土,カオリン,石英,鉄粉,フライアッシュ,ポゾラン,高炉スラグ,酸化チタン,石綿粉,ホワイトカーボン,酸化亜鉛,ジルコニア,カーボンブラック等の無機粉体,シラスバルーン,パーライト,ガラス球粒子等の無機の軽量骨材,発泡ポリスチレン,発泡ポリエチレン等の発泡樹脂粒子,タイヤチップ,ゴム粉等の有機粉体等がある。
【0021】また,得られたカーペットにおけるバッキング材の性能を損なわない範囲で,上記の骨材以外に分散剤,減水剤,硬化促進剤,急結剤,湿潤剤,消泡剤,溶剤,可塑剤,造膜助剤,凍結防止剤,増粘剤等の各種添加剤を,上記バッキング材スラリー中に配合することもできる。
【0022】本発明のカーペットを製造するには,まず上記セメント組成物を,モルタルミキサー,攪拌機付混合釜,高速ディスパー等により,均一に混合・分散し,バッキング材スラリーを得る。次に,このバッキング材スラリーを例えば,表面が易剥離性の材料(例えばテフロン)でできたエンドレスベルト等の移動手段の上に,ナイフコーター,ロールコーター等により,厚みが均一になるようにシート状に成形する。
【0023】次に,必要に応じて,ポリエステル等のスパンボンドにナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン等の合成樹脂繊維がタフトされたものや,ニードルパンチされた繊維からなるカーペット基材を,シート化されたバッキング材の上にせて貼り合わせる。
【0024】なお,バッキング材との貼り合わせ面に,SBRラテックス,EVAエマルジョン,アクリルエマルジョン等の樹脂水性分散液を目止め剤として使用できる。これらの目止め剤を,ナイフコーター,スプレー,ディッピング,ロールコート等により塗布することができる。この場合には,カーペット基材は床に敷いたあとの使用時に,パイル抜け(抜糸強度)や,繊維のけば立ち(ファズ級)等を防止することができる。
【0025】上記目止め剤を塗布したカーペット基材とバッキング材の貼り合わせ方は,目止め剤を乾燥させてからバッキング材と貼り合わせる方法と,目止め剤が未乾燥のままで貼り合わせる方法がある。本製法では,バッキング材とのなじみや,抜糸強度,ファズ等の接着性より未乾燥のまま貼り合わせることが好ましい。
【0026】シート化されたバッキング材の強度の向上と,寸法安定性のためには,シートの間にガラス不織布等を入れることが好ましい。その方法は,まずバッキング材スラリーをシート化し第1層目を作る,次にその上にガラス不織布等の布材を載せ,更にその上に再びバッキング材スラリーを載せて第2層目のシートを作る。上記布材としては,ガラス不織布,ガラス網状物,有機体の不織布及び網状物等がある。また,バッキング材の強度が十分であれば,間に入れることを省略してもよい。また,上記の第1層目(下側)と第2層目(カーペット基材側)のバッキング材スラリーの組成は,同一組成であってもよいし,異なっていてもよい。
【0027】次にバッキング材とカーペット基材を貼り合わせ,ニップロール等で押さえる。そして,カーペット基材とバッキング材との接着を確実にすると共に任意の厚みに設定する。
【0028】このようにして厚み設定された積層物は,乾燥・硬化工程へ移動する。組成物スラリー中の水は,乾燥・硬化工程で加熱され,スラリー中から蒸発して逸散し, バッキング材は不揮発成分のシートとなる。次に,上記積層物は,エンドレスベルト等の移動手段によって移動させながら,その下方より加熱する。この加熱は,上記移動手段の下方の一部分に加熱手段を配置することにより行なう。この加熱手段としては,例えば電気ヒータ,熱風等がある。
【0029】この加熱・乾燥工程では,生産性の面からは温度が高いほうがよいが,初期の温度が高すぎると,バッキング材スラリーが発泡しやすくなりる。この対策として,バッキング材スラリーの含水率の減少と共に,温度を段階的に上げて水分を効率よく除去する方法がある。
【0030】次に,請求項2の発明のように,上記乾燥・硬化の途中において,カーペットを乾燥機中に連続的に送入して,乾燥・硬化させることもできる。この場合には,後半の乾燥を乾燥機中で行なうので生産性が向上する。上記乾燥機における加熱乾燥手段としては,熱風乾燥,電気ヒータ,遠赤ヒータ等による輻射熱乾燥,高周波,マイクロ波による内部発熱乾燥等がある。
【0031】なお,上記乾燥・硬化においては,バッキング材中の含水率は,2%以下にすることが好ましい。含水率が2%を超えると,経時変化により,タイルカーペットに収縮や反りを発生するおそれがある。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明にかかる実施形態例につき,詳細に説明する。
実施形態例図2に示すごとく,本例において得られるカーペット1は,バッキング材11と該バッキング材11に接着したカーペット基材12とよりなる。バッキング材11は,後述するバッキング材スラリーを乾燥・硬化させたものである。また,バッキング材11の発泡倍率は1.0〜1.5である。そして,図2に示すごとく,バッキング材11中には発泡により生じた小さな気泡111を有し,一方,カーペット基材12は植毛13を有している。
【0033】次に,上記カーペットの製造装置及び製造方法につき,図1を用いて説明する。まず,製造装置は,四フッ化エチレン製のコンベアベルト55と,第1バッキング材スラリー21を入れた第1タンク2と,第2バッキング材スラリー31を入れた第2タンク3と,コンベアベルト55の下側に設けた加熱部としての電気ヒータ5とを有する。また,カーペット基材12をバッキング材の上へ供給するローラ群45,及び上記カーペット基材12の裏面に,カーペットの目止めのための塗布剤49を塗布するディッピングロール41を有する。
【0034】また,コンベアベルト55を回転させるローラ551,552を有する。後方のローラ552の後方には,熱風循環式の乾燥機6を有する。該乾燥機6内には,積層物10を上下方向に移動するためのローラ群61,62を有する。
【0035】そして,上記製造装置によりカーペット1を製造するにあたっては,駆動用のローラ551によりコンベアベルト55を移動させ,その上に第1タンク2より第1バッキング材スラリー21を連続供給し,ドクターナイフ53によりこれを一定厚みとする。次いで,一定厚みで送られてくる上記第1バッキング材スラリー21上に,ローラ251を介してガラス不織布25を重ね,その後,該ガラス不織布25上に,第2タンク3より第2バッキング材スラリー31を連続供給する。そして,該第2バッキング材スラリー31の厚みを,ドクターナイフ54により一定厚みとする。
【0036】次いで,上記第2バッキング材スラリー31上に,上記塗布剤49を塗布したカーペット基材12を積層し積層物10とする。このとき押さえロール47によりカーペット基材12を押圧する。次いで,上記のごとくして連続的に送られてくる積層物10の下側面を,コンベアベルト55の下側より電気ヒータ5により加熱する。
【0037】この加熱により,上記第1及び第2バッキング材スラリー21,31が加熱,乾燥されると共に,その中の水分が,外部へ蒸発,逸散し,バッキング材が発泡する。また,上記電気ヒータ5の後部において,上記積層物10をコンベアベルト55より剥離し,これをローラ58を介して上記乾燥機へ送り込む。そして,乾燥機6内において,上記ローラ群61,62により上下方向に積層物10を蛇行させることにより,該積層物10を乾燥させる。これにより,最終的に,上記第1及び第2バッキング材スラリー21,31が硬化し,上記図2に示したカーペット1が製造できる。
【0038】実施例1まず,ポルトランドセメント(三菱マテリアル(株))180重量部,アルミナセメント(デンカアルミナセメント1号,電気化学工業(株))20重量部からなる水硬性無機粉末を準備し,これに樹脂水性分散液として,アクロナ−ルS400(三菱化学BASF(株)アクリル酸エステル−スチレン共重合体の樹脂水性分散液,固形分57%,Tg約−6℃)200重量部を加えた。
【0039】更に,これらにKD−100炭酸カルシウム〔(株)同和カルファイン〕250重量部,セメント減水剤マイティ150(花王(株))5重量部,消泡剤ノプコ8034(サンノプコ(株))3重量部,グルコン酸ソーダ2重量部,水30重量部を添加した。次いで,これらを攪拌翼付混合機で10分間混合して,スラリー濃度約80%のバッキング材スラリー21を得た。
【0040】次いで,上記バッキング材スラリー21をテフロン製の上記コンベアベルト55の上にタンク2から,流しこみ,このバッキング材スラリー21をナイフコーター53により1.5mmの厚みに調整した。コンベアベルト55はエンドレスで駆動しており,厚み制御されたスラリーは均一なシートとなり移動する。
【0041】次にこのシートの表面にガラス不織布(坪量150g)25を上記シートにそわせて載置し,更にこの上にタンク3からの第二層用のバッキングスラリー31を流し込み,第一層と同様にナイフコーター54でシート厚み2.5mmに調整した。
【0042】一方,カーペット基材12として,ポリエステル不織布を一次基布とするナイロンタフテッドカーペット基材(坪量800g/m2 )を使用し,その裏面に基材用塗布剤アクロナール2716D(三菱化学BASF社,商品名;アクリル酸エステル−スチレン共重合体の樹脂水性分散液,固形分濃度48%,MFT24℃)をディッピングロール41により,塗布量が300g/m2 になるように塗布した。次に,上記のごとく裏面に塗布剤49が塗布されたカーペット基材12を上記シート27の上に載せ,押さえロール47で6.5mmの厚みとなるように押さえて積層物10とした。
【0043】次いで,上記積層物10を,95℃の電気ヒータ5の上部に移動し,ここで15分間加熱した。その後,積層物10をコンベアベルト55より剥がし,110℃の雰囲気の熱風循環式乾燥機6で10分間乾燥し,カーペット1を得た。この製品の含水率(残留水分率)を下記の方法で測定した。
【0044】含水率は,乾燥直後のカーペットを10×10cmに切取り,重量(A)を測定した後,140℃の熱風循環式乾燥機中で45分間乾燥してから取り出し,デシケーター中で室温まで冷却した時の重量(B)を測定し,下記の式より求めた。
含水率(%)=(A−B)÷A×100【0045】(キャスター試験)タイルカーペットを500×500mmの大きさに切取り,JIS;L1904−5に準じて,キャスター試験機により,R100,90kg荷重で5000回転の条件で試験し,元の寸法に対する伸びの寸法変化率を確認した。伸びの寸法変化率は,縦方向の寸法変化率(H)と横方向の寸法変化率(W)を測定し,その平均((H+W)÷2)より求めた。なお,寸法変化率は0.1%以下が実用上好ましい。
【0046】(低温曲げ試験)500×500mmの大きさに切取ったタイルカーペットを,5℃恒温槽中で24時間放置した。そして,取出し後直ちに,カーペット基材面のほぼ中央に直径50mmの鋼棒を当て,バッキング材面を外側にして180°折り曲げ,バッキング材のひび割れの有無を黙視によって確認した。
【0047】そして,その結果を下記のように評価し,表1,表2に示した。
◎;バッキング材のひび割れなし○;バッキング材に小さなひび割れが1〜数個発生する△;バッキング材に小さなひび割れが10個以上発生する×;バッキング材が割れる【0048】また,カーペット基材を使用せずにバッキング材スラリーのみを本製造方法により硬化させて,バッキング材シートを作成した。このバッキング材シートをJIS;K6301に規定するダンベル状試験片2号形の形状に打ち抜いた。そして,引張試験機で毎分200mmの速さで引張り,バッキング材の引張り強さを測定した。実施例1の結果を表1に示す。
【0049】実施例2〜7,比較例1〜4バッキング材スラリーの組成及び乾燥方法を変えて,タイルカーペットを製造し,乾燥時間とバッキング材の含水率,キャスター試験,低温曲げ試験,バッキング材の引張り強さを評価した。その結果を表1,表2に示す。
【0050】なお,両表において,樹脂水性分散液の「スミカフレックスS−401」は,ガラス転位点Tgが−18℃のエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンである。また,樹脂水性分散液,水硬性無機粉末等のバッキング材スラリーの材料は重量部で示した。また,表2における注1,注2は次のようである。
注1;乾燥不足のためバッキング材がベルトに付着し,タイルカーペットが作製できない注2;ひび割れ,乾燥収縮が大きい【0051】上記各表より知られるごとく,本発明にかかる実施例1〜7によれば,十分な強度と,可撓性(低音曲げ試験による)を有するカーペットを得ることができ,また乾燥・硬化の時間を短縮できることがわかる。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【発明の効果】本発明によれば,十分な強さを有すると共に可撓性を有するカーペットを得ることができ,また乾燥・硬化の時間を短縮できる,カーペットの製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】591039148
【氏名又は名称】三菱化学ビーエーエスエフ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰
【公開番号】 特開平11−178701
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−367264