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【発明の名称】 変色食器
【発明者】 【氏名】菅家 久

【要約】 【課題】食べ物の温度を視認できる食器を実現する。

【解決手段】食器1を透明又は半透明素材により構成し、この内部に中空部2を設け、この中空部には、温度変化により変色する感温変色材3を収容する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 透明又は半透明素材により構成されると共に、内部に中空部を有し、この中空部には、温度変化により変色する感温変色材を収容したことを特徴とする変色食器。
【請求項2】 液晶をもって感温変色材とした請求項1記載の変色食器。
【請求項3】 一部を不透明とした請求項1又は2記載の変色食器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は食器に関し、より詳細には温度により変色する食器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食器(この明細書では、例えば、箸や碗、皿等、食事に使用する器具や容器を総称して「食器」と定義する。)はガラス器等の透明素材、陶磁器や木器等の不透明素材を問わず、その外観が一定であるのが通例であった。
【0003】一方、例えば感温変色インクを表面に塗布することにより食器の温度を色の変化により示す食器が公知である(例えば特開平7−257626号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱い食物を不用意に口の中に入れると火傷をすることは勿論であるが、それがどのくらい熱いかは専ら勘と経験によって視認していた。しかしながら、老人、病人、子供、乳幼児のようにこのような勘や経験を有しないか、又は、それらが鈍っている者にとっては、視認によっては食物が熱いかどうかを判断できず、熱い食物を不用意に口の中に入れて火傷をする危険を常に孕んでいた。
【0005】又、食べ物にはそれぞれ固有の食べごろの温度があり、この温度と違った温度の状態で食べても本来のうま味が発揮されないことも勿論である。この場合、食べ物自体は食べごろの温度で食器に盛られても、配膳に手間取って温度が冷めたり、温まったりしたり、或いは食べて側においてなかなか箸を付けずやはり温度が冷めたり、温まったりしたりすることがよくある。
【0006】以上の問題点は、前記の従来技術の食器の温度を色の変化により示す食器を使用することにより、解消され得る。しかしながら、これらの公知技術の食器においては、色の変化は食器の表面の色の変化として表れるために、使用者に不気味な違和感を与えると共に、清涼感に欠け、食べ物を視覚的に引き立てるための食器として必ずしも適切でない問題を生じた。又、食べ物が直接に接する食器の表面の色が変化するので、場合によっては食べ物の色と区別が付かず、使用者において食器の色の変化を充分視認できない問題もあった。更に、変色部分が食器の表面に露出するために、ナイフやフォークの接触や、食器洗浄器による高圧洗浄によりこの部分が剥離する問題もあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は以上の従来技術の問題点に鑑みて創作されたものであり、温度を色の変化により示す機能を有しながら、使用者に違和感を与えることなく、しかも視認しやすく、剥離のおそれがない変色食器を提供することを目的とする。即ち、この発明の食器は透明又は半透明素材により構成されると共に、内部に中空部を有し、この中空部には、温度変化により変色する感温変色材を収容したことを特徴とする。尚、この発明においては食器の全ての箇所を透明又は半透明にしても、或いは一部分を不透明にしてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)図1乃至図3はこの発明の食器の第1実施例を示すものであり、ここでは食器として箸を例にとっている。図中符号1は箸であり、この箸は例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、全長方向に渡って中空部2を有する。この中空部2には、温度変化により変色する感温変色材3が収容される。この感温変色材3は温度変化により変色するものであれば、その種類は問わないが、ここではコレステリック系の液晶を採用している。又、色の変化の設定は任意であるが、例えば80℃以上、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃と7段階に変色温度を設定すれば、丁度7色の変化となり使用者の興味を引くこととなる。図3はこの実施例の箸1の使用状態を示すものであり、ここでは熱い食物Fに箸1の先端が触れることにより内部の感温変色材3が変色する状態を図示している。
【0009】(第2実施例)図4はこの発明の食器の第2実施例を示すものであり、ここでは食器としてスプーンを例にとっている。図中符号11はスプーンであり、このスプーンは例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、スプーン部分に中空部12を有する。この中空部12には、温度変化により変色する感温変色材13が収容される。この実施例のその余の構成は前記第1実施例の場合と同様なので、その記載は省略する。
【0010】(第3実施例)図5はこの発明の食器の第3実施例を示すものであり、ここでは食器としてコップを例にとっている。図中符号21はコップであり、このコップは例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、全体に渡って中空部22を有する。この中空部22には、温度変化により変色する感温変色材23が収容される。コップの場合は、その性格上熱い飲物も冷たい飲物も注がれる可能性があるので、温度が冷たい時は寒色に、熱いときは暖色に変化するように感温変色材23を設定すれば温度を感覚的に把握することが容易となる。この実施例のその余の構成は前記第1実施例の場合と同様なので、その記載は省略する。
【0011】(第4実施例)図6はこの発明の食器の第4実施例を示すものであり、ここでは食器として碗を例にとっている。図中符号31は碗であり、この碗は例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、全体に渡って中空部32を有する。この中空部32には、温度変化により変色する感温変色材33が収容される。この実施例においては、碗31の内側31Bは透明に構成しているが、外側31Aは不透明に構成している。この実施例のその余の構成は前記第1実施例の場合と同様なので、その記載は省略する。
【0012】(第5実施例)図7はこの発明の食器の第5実施例を示すものであり、ここでは食器としてレードルを例にとっている。図中符号41はレードルであり、このレードルは例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、杓子部分に中空部42を有する。この中空部42には、温度変化により変色する感温変色材43が収容される。直接使用者の口に接しないレードルの場合は、火傷防止の側面は薄く、鍋内の食物の温度を色の変化により視認することにより調理の手助けとなるメリットが大きい。この実施例のその余の構成は前記第1実施例の場合と同様なので、その記載は省略する。
【0013】(第6実施例)図8はこの発明の食器の第6実施例を示すものであり、ここでは食器として受け皿を例にとっている。図中符号51は受け皿であり、この受け皿はここでは耐熱ガラスにより成形されるものであり、全体に渡って中空部52を有する。この中空部52には、温度変化により変色する感温変色材53が収容される。この受け皿においては、加熱した鍋やグラタン皿等を載置した際に、受け皿が直ちに変色することにより、鍋やグラタン皿等が高温であることを使用者に知らせるので不用意に鍋やグラタン皿等に触れて火傷をする事態が未然に防止されるメリットを得られる。この実施例のその余の構成は前記第1実施例の場合と同様なので、その記載は省略する。
【0014】尚、以上の実施例における具体的な食器は例示であり、この発明が実施される食器の種類はこれらに限られないことは勿論である。
【0015】又、この発明は食器に限らず、火傷を防止するために、温度を色の変化として視認させることが有用な物品に実施可能なものであり、その一例として図9に浴槽にこの発明を実施した例を示す。図中符号61は浴槽であり、この浴槽は例えば透明又は半透明のアクリル樹脂などのプラスチックや耐熱ガラスなどにより成形されるものであり、全体に渡って中空部62を有する。この中空部62には、温度変化により変色する感温変色材63が収容される。この場合、浴槽内に張った湯の温度が視覚的に認識できるので、例えば極めて高温の場合を赤色、丁度良い湯加減の場合をオレンジ色、ぬるい場合を青色に変化するように感温変色材63を設定すれば火傷を防止したり、湯加減を事前に視認することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上の構成よりなる、この発明は次の特有の効果を奏する。
■食べ物の温度を食器の色の変化を介して視認できるので、勘と経験によらず温度を直感できるので、老人、病人、子供、乳幼児にとって火傷防止上最適な食器が実現される。
【0017】■変色部は食器の表面に直接露出せず、透明又は半透明素材により構成される食器の内部の中空部に収容されるので、変色は食器の表面を透かして視認させることなり、表現が直接的でなく、使用者に違和感を与えることがなく、食べ物を視覚的に引き立てるための食器としての機能を損なうことが防止される。
【0018】■同様の理由より、普段は透明又は半透明の食器が食物を盛ることにより色彩を帯びるという意匠的な面白さが生じ、従来にない趣の食器が実現される。
【0019】■同様の理由より、ナイフやフォークの接触や、食器洗浄器による高圧洗浄によって変色部分が剥離する問題が解消される。
【出願人】 【識別番号】598007045
【氏名又は名称】菅家 久
【出願日】 平成9年(1997)12月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
【公開番号】 特開平11−178689
【公開日】 平成11年(1999)7月6日
【出願番号】 特願平9−366014