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【発明の名称】 位 牌
【発明者】 【氏名】大川 享心

【要約】 【課題】故人のイメージとその名前とを仏壇の拝礼を行う者が混同することなく故人を供養できると共に、仏壇内の狭い空間を有効に利用することのできる仏壇に配置される位牌を提供する。

【解決手段】位牌本体14の前面に故人の名前又は戒名が記載された位牌10において、更に、故人の写真11が位牌本体14に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 位牌本体の前面に故人の名前又は戒名が記載された位牌において、更に、前記故人の写真が前記位牌本体に配置されていることを特徴とする位牌。
【請求項2】 前記故人は夫婦であって、前記位牌本体にはそれぞれの名前又は戒名が記載されていると共に、それぞれの写真が前記位牌本体に配置されている請求項1記載の位牌。
【請求項3】 前記写真は、前記位牌本体の前面側に設けられている請求項1又は2記載の位牌。
【請求項4】 前記写真は、前記位牌本体に設けられた正面側が透明の写真収納部に収納されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の位牌。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、故人を供養するための位牌(仏壇に置く位牌、過去帳の代わりに使用する繰り込み式の位牌、寺位牌を含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】位牌とは、故人の戒名(法名)を記した長方形の木牌であって、野位牌、内位牌(本位牌ともいう)、寺位牌の三種に大別される。野位牌は、死後すぐに造られる白木のもので、葬列では多くの場合、相続人によって奉持され、土葬の際には埋葬した墓の上に立てておき、四十九日まであるいは朽ち果てるまで放置される。火葬の場合には、家に持ち帰って臨時の祭壇にまつられることが多い。内位牌は、野位牌を放棄してつくりかえる漆塗りのもの等であって、常時仏壇に安置して家族が故人の供養の対象にするものである。寺位牌は、内位牌とは別の位牌であって、菩提寺や本山に預け入れられ、朝夕の勤行の都度供養される。近年、核家族化、少子化の傾向が進んで先祖供養等の慣習が薄れてはいるが、一般家庭においては、故人となった家族の名前又は戒名が記載されたこのような内位牌を仏壇に安置して、供養が営まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、仏壇に向かって日々の供養を行う際に、従来の内位牌では故人の戒名が記載されているだけなので、故人の生前のイメージを思い浮かべることが次第に困難となる。特に故人の十三回忌、五十回忌以降になると、孫、曾孫等の近親者の記憶には遠いために、その供養にも身が入りにくいという問題があった。一方、内位牌とは別に故人の写真を仏壇内に配置した場合には、仏壇内の限られたスペースを占有してしまい、御本尊である阿弥陀如来像等が見え難くなるという問題があった。また、供養すべき故人の数が増えてくると複数ある内位牌と写真との対応付けが難しくなることがあった。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、故人のイメージとその名前とを仏壇の拝礼を行う者が混同することなく故人を供養できると共に、仏壇内の狭い空間を有効に利用することのできる位牌を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1記載の位牌は、位牌本体の前面に故人の名前又は戒名が記載された位牌において、更に、前記故人の写真が前記位牌本体に配置されている。請求項2記載の位牌は、請求項1記載の位牌において、前記故人は夫婦であって、前記位牌本体にはそれぞれの名前又は戒名が記載されていると共に、それぞれの写真が前記位牌本体に配置されている。請求項3記載の位牌は、請求項1又は2記載の位牌において、前記写真は、前記位牌本体の前面側に設けられている。請求項4記載の位牌は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位牌において、前記写真は、前記位牌本体に設けられた正面側が透明の写真収納部に収納されている。
【0005】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。ここに図1は本発明の第1の実施の形態に係る位牌の説明図、図2は同位牌の写真の収納部を示す平断面図、図3は同位牌の写真の収納部の変形例1の説明図、図4は同位牌の写真の収納部の変形例2の説明図、図5は同位牌の写真の収納部の変形例3の説明図、図6は同位牌の安置される仏壇の説明図、図7は本発明の第2の実施の形態に係る位牌の説明図である。
【0006】本発明の第1の実施の形態に係る位牌10は図1に示すように、故人の写真11を表示させるための正面側が透明に形成された写真収納部12及び故人の名前又は戒名を表示させるための戒名表示部13とが対となって位牌本体14の前面に設けられた例えば黒漆塗りの木製仏具である。なお、内位牌である位牌10には木材の他にプラスチック、セラミック等の材料をその一部又は全部に使用することも可能であり、位牌本体14や足15の部分を接着剤等により組み合わせたものを用いることもできる。写真収納部12は、図2の平断面図に示されるように、写真11を固定するために位牌本体14の前面に矩形に形成された固定用窪み16と、固定用窪み16に配置された写真11を保持して線香の煙や室内の埃等から保護するためのガラス、プラスチック等からなる透明カバー17とを有している。この透明カバー17は、接着剤を用いて固定用窪み16の縁に固定されるようになっているが、接着剤を用いることなく、固定用窪みに透明カバー17を単にはめ込むことにより固定してもよい。戒名表示部13は、図上では矩形状に表記されているが、実際に矩形のものがあるわけではなく、単に戒名の記載される領域を表している。このような領域が写真収納部12の下方に対となって配置され、故人の名前又は戒名が毛筆又は印刷等の手段により記載されるようになっている。なお、位牌10の意匠、デザインは図1に示す形状に限定されるものではなく、このような構成のものならば、例えば矩形に形成された位牌であっても同様に適用することができる。
【0007】ここで、故人の写真を添付するための写真収納部12に適用することが可能な変形例1〜3について以下に説明する。変形例1の写真収納部20は図3に示すように、故人の写真21を位牌本体22の固定用窪み23に配置した後、その周囲及び裏面に液体状態の樹脂を注入して、これを加熱するか、又は硬化剤の添加により硬化させて、樹脂硬化体24を写真21の周囲に形成させたものである。この樹脂硬化体24は透明であって、このように樹脂封止された写真21を樹脂硬化体24を透して外から観察することができるようになっている。この樹脂硬化体24によって、写真21の周囲の空気が完全に遮断されるので、写真21が空気による酸化や、黴の発生によって変質することが少なく、長年月にわたって良好な状態に保持することができると共に、写真21が位牌10に固定され、写真21の散逸が避けられる。
【0008】変形例2の写真収納部30は図4に示すように、写真31を内蔵するプラスチック製の透明ケース32又はビニール製の袋等を接着剤を介して位牌本体33に取付た例である。この場合には、従来の位牌の前面に透明ケース32を接着剤を介して取付けて本発明の位牌とすることができるので、極めて簡単に故人の写真31をその戒名に対応させて表示させることができる。透明ケース32の側端部から必要に応じて写真31を取り出して故人の別の写真に交換することも可能である。なお、透明ケース32の裏面に磁性を有するシートを張り付けておき、位牌本体33に予め設けてある磁性体等に吸着させて配置することもできる。
【0009】変形例3の写真収納部40は図5に示すように、位牌本体42に形成した固定用窪み43の奥に光反射率の大きい反射材44を配置し、その上に故人の遺影が撮影されたリバーサルフィルム等の透光性の写真41を重ねて、ガラス板又は樹脂からなる透明カバー45で表面部分を被覆したものである。なお、このような反射材44の代わりに、発光機能を有するバックライトパネルや蛍光板等を固定用窪み43の奥に配置することも可能である。バックライトパネルは、例えば発光ダイオードのような発光素子からなり、位牌本体42に内蔵させた電池あるいは太陽電池等で充電される蓄電池を電源として作動させることができる。この場合、太陽電池の受光部は受光効率をよくするために位牌本体42の前面又は、天井部に取付けることが望ましい。また、写真41には、見る角度によって異なる映像を表示することのできる二重映像表示写真を適用することもでき、例えば、故人の年少時と晩年の写真を同一の写真収納部40に表示させてもよい。これによって、写真41の視認性を向上させることができると共に、ろうそくや線香の明かり等でも見る角度によって遺影を微妙に変化させ、例えば子供等による仏壇の礼拝を効果的に習慣付けることができる。なお、バックライトパネルを用いる場合には、必要な時だけバックライトパネルの電源がオン状態となるようにしておき、電池の消耗を極力、防止して長期間にわたり稼働させることができる。例えば、仏壇内のりんを叩くことにより発生する音波に感応する音波センサを位牌に取付けておき、りんが叩かれた時に数秒間だけ、バックライトパネルの電源が入るようにしてもよい。反射材44の代わりに蛍光板を配置した場合には、明るい時に蛍光板が写真を透過する光を吸収して、夜間等の暗い時に写真41の遺影に後光を生じさせることも可能になる。
【0010】続いて、位牌10を配置する仏壇50の祭壇方法について説明する。ここで、図6は浄土真宗にかかる仏壇50の祭壇形式を示している。図に示すように、仏壇50の正面上部には、華蔓51の取付られた戸帳52が配置され、火舎53、ろうそく立54、一対の華瓶55からなる四具足及び仏飯器56が上段に、一対の華瓶57、一対のろうそく立58、香炉59からなる五具足が打敷上の中段に、また、和讃、聖典等をのせる和讃卓60、拝読用法語集等を収容する御文章箱61、及びりん台62が下段に配置されている。そして、位牌10は上段に配置するが、必要に応じて仏壇50内の中段、下段等の適当な位置に配置することも可能である。なお、仏壇の荘厳の形式は、天台宗、浄土宗、浄土真宗、曹洞宗、日蓮宗等の宗派毎にそれぞれ異なるものであり、位牌はそれぞれの荘厳の形式に従って適用されるのは勿論である。
【0011】故人の四十九日等の法要が過ぎた後、野位牌に代わる内位牌としての位牌10を以下のように準備する。まず、故人の生前の面影を偲ぶのに適当な写真11を固定用窪み16の大きさに合うように裁断して、位牌10の写真収納部12に透明カバー17を介して配置する。次に、戒名表示部13には、故人の名前、戒名等を記載しておく。この位牌10を仏壇50内の所定位置、例えば下段において朝夕の礼拝を行うことができる。これによって、仏壇50を拝む人は、写真収納部12の写真11と戒名表示部13の名前とが関連付けられた状態で日々礼拝を行うことになり、若年者、高齢者であっても、故人の写真11と名前とを取り違えることなく供養を行うことができる。
【0012】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る位牌について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る位牌70は図7に示すように、夫婦の写真(夫)71、写真(妻)72をそれぞれ表示するための写真収納部73、74、及び夫婦の名前又は戒名をそれぞれ表示するための戒名表示部75、76が足78に固定された位牌本体77の前面に設けられている。そして、写真収納部73、74と戒名表示部75、76とがそれぞれ夫婦毎の対となって上下に配置されている。なお、写真収納部73、74は、第1の実施の形態に示した写真収納部12及びその変形例1〜3と同様の構成のものを使用することができる。これによって、仏壇50を拝礼する者は拝礼の都度、表示された夫婦の写真71、72と対面することになり、夫婦間の絆の強さを確認することができる。また、夫婦の写真71、72を一つの位牌70にコンパクトにまとめることができるので、御本尊の拝礼の際に支障となることがなく、しかも、仏壇50内のスペースにその他の仏具を配列することができ、日々行う仏壇50内の清掃作業を効率的に行うことができる。夫婦のいずれか一方又は両者が存命中の場合には、この名前又は戒名を戒名表示部75、76に赤字で記載しておく。そして、他界した後、にこの名前又は戒名を黒字に塗り替えるようにして用いることもできる。
【0013】本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。例えば、本実施の形態においては、特定の宗派の仏壇に配置される位牌について説明したが、他宗の仏壇に安置する場合にも適用することが可能である。また、本発明は、前記説明した内位牌の場合のみならず、野位牌や寺位牌の場合、さらには故人の戒名を個別に木札に記載し、この木札を複数内蔵させた過去帳の代わりに用いる繰り込み式の位牌の場合にも適用できる。
【0014】
【発明の効果】請求項1〜4記載の位牌においては、位牌本体の前面に故人の名前又は戒名が記載された位牌において、更に、故人の写真が前記位牌本体に配置されているので、故人の写真によるイメージとその名前とを仏壇に拝礼を行う者が混同することなく供養を行うことができる。さらに、故人の写真と名前とが位牌にまとめられているので、仏壇内に故人の写真を配置する従来の場合に較べて、仏壇内の狭い空間が占有されることが少なく、仏壇内の御本尊を拝礼するときに邪魔になりにくい。特に、請求項2記載の位牌においては、故人は夫婦であって、位牌本体にはそれぞれの名前又は戒名が記載されていると共に、それぞれの写真が位牌本体に配置されているので、仏壇に拝礼するものは常時、対となって配置された夫婦の遺影と対峙することになり、例えば曾孫やそれ以降の代までも両者の関係を明確に記憶させることができる。また、これによって仏壇内の狭いスペースを有効に活用できるので、仏壇内に華瓶、ろうそく立て、香炉等の仏具を余裕を持って配列することができ、仏壇内の清掃を容易に行うことができる。
【0015】また、請求項3記載の位牌においては、写真は、位牌本体の前面側に設けられているので、拝礼の都度、故人の写真と名前とをさらに確実に対応付けることができ、失念するようなことが少なくなる。請求項4記載の位牌においては、写真は、位牌本体に設けられた正面側が透明の写真収納部に収納されているので、この写真収納部によって内蔵される写真を線香の煙や、埃等から保護して、長年月にわたって変色したり、退色したりすることの少ない状態で写真を保持できる。さらに、写真収納部の位牌本体への取付けを、例えば磁石を用いて容易に行うことができ、しかも位牌本体と写真収納部とを分離した状態で写真を写真収納部から出し入れして簡単に交換することもできる。特に写真を透明な樹脂で封止する写真収納部を用いた場合には、写真の散逸を防止して半永久的に保持できると共に、空気による酸化や黴、埃等による写真の汚染、退色を確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】597141601
【氏名又は名称】大川 享心
【識別番号】598003162
【氏名又は名称】後藤 稔美
【出願日】 平成9年(1997)12月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【公開番号】 特開平11−169281
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−362603