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【発明の名称】 通水性を有する敷物及びその製造法
【発明者】 【氏名】光山 永澤

【氏名】光山 永忠

【氏名】湯原 直子

【要約】 【課題】合成樹脂製のバッキングシートにのみ穴を開けた敷物を提供することと共に、簡易な設備で合成樹脂製のパッキングシートにのみ穴を開けた敷物を製造する方法を提供することである。

【解決手段】パイル2を形成した基布3、及び基布3の裏面に接合される合成樹脂製のバッキングシート4から構成される敷物1において、バッキングシート4は所定数の穴を有し、この所定数の穴を有するバッキングシート4を基布3に接合させてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パイルを形成した基布、及び上記基布の裏面に接合される合成樹脂製のバッキングシートから構成される敷物において、上記バッキングシートは所定数の穴を有し、この所定数の穴を有するバッキングシートを上記基布に接合させてなる通水性を有する敷物。
【請求項2】 押出成形機より押し出され、ガラス転移点より高温状態にある合成樹脂製バッキングシートに、加圧空気をエアノズルから間欠的に噴射して、上記バッキングシートに穴を設け、次いで、この合成樹脂製バッキングシートにパイルを支持した基布の裏面を沿わせて一緒に圧延することにより、上記バッキング材と上記基布とを接合する通水性を有する敷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通水性を有する敷物に関し、詳しくは、バッキングシートとして合成樹脂製シートを用いる場合において、通水性を確保した敷物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に敷物は、パイルを形成した基布、及び上記基布の裏面に接合されるバッキングシートから構成されている。このバッキングシートは、パイルを固定するために用いられ、合成樹脂製ものが多く使用されている。
【0003】この合成樹脂製のバッキングシートは、通水性に欠けるため、このバッキングシートを使用した敷物の上に水が溜まった場合、水が逃げにくい。また、通気性も悪いため、この敷物と床面との間の湿度が高くなりやすく、かびが発生しやすい。
【0004】これらを防ぐため、合成樹脂製のバッキングシートを用いた敷物を製造した後、バッキングシートに電気ゴテ等で熱を加えて穴を開ける方法が行われている。
【0005】さらに、製造された敷物を打ち抜くことによって、穴を設ける方法も知られている。
【0006】また、網にゾル状の物質を塗布し、パイルを形成した基布を接合させ、その後に上記ゾル状の物質をゲル化させて除去する方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気ゴテ等で熱を加えてバッキングシートに穴を開ける方法は、バッキングシートに穴を開けると同時に基布及びパイルにも熱を加えるので、基布やパイルの材質によっては、バッキングシートのみならず、敷物全体として穴が開く場合が生ずる。さらに、打ち抜き法は、敷物全体として穴があけられる。これらの場合、敷物の表面からその穴が見えてしまう。
【0008】また、ゾル状物質を使用する方法は、ゾル物質の塗布、ゲル化、ゲル化物の除去等の工程が必要となり、設備が増大する。
【0009】そこで、この発明の課題は、合成樹脂製のバッキングシートにのみ穴を開けた敷物を提供することと共に、簡易な設備で合成樹脂製のバッキングシートにのみ穴を開けた敷物を製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、この通水性を有する敷物にかかる発明は、パイルを形成した基布、及び上記基布の裏面に接合される合成樹脂製のバッキングシートから構成される敷物において、上記バッキングシートは所定数の穴を有し、この所定数の穴を有するバッキングシートを上記基布に接合させてなる。
【0011】また、通水性を有する敷物の製造方法にかかる発明は、押出成形機より押し出され、ガラス転移点より高温状態にある合成樹脂製バッキングシートに、加圧空気をエアノズルから間欠的に噴射して、上記バッキングシートに穴を設け、次いで、この合成樹脂製バッキングシートにパイルを支持した基布の裏面を沿わせて一緒に圧延することにより、上記バッキング材と上記基布とを接合してなる。
【0012】押出成形機より押し出された状態のバッキングシートは、シート状にあるもののガラス転移点より高温状態にある。このため、次の工程の圧延ローラでの圧延工程で冷却され、シート状が維持される。ガラス転移点より高温状態にあるバッキングシートに加圧空気を噴射すると、このバッキングシートに容易に穴を開けることができる。この開けられた穴は、流動性をある程度有する周囲の樹脂により閉塞される方向に進行するが、閉塞される前に前述の圧延工程に入れば、冷却されて穴は保持される。
【0013】また、穴の開いた状態でガラス転移点より高温のバッキングシートをパイルを支持した基布と沿わせるので、圧延工程でこれらを密着させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。この発明にかかる敷物1は、図1又は図2に示すように、パイル2を形成した基布3、及び基布3の裏面に接合される合成樹脂製のバッキングシート4から構成される。
【0015】上記パイル2は、図3に示すように、パイル用繊維を基布3に植え込むことにより得られる。このパイル用繊維は、綿繊維や羊毛繊維等の天然繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の合成繊維のいずれも用いることができる。このパイル用繊維を基布3に植え込む方法は、任意の方法を採用することができる。例えば、基布にミシン針でパイルを刺し込むタフテッド、基布3の表面にパイル用繊維を重ね合わせ、多数の針で突き刺すニードルパンチの方法等があげられる。上記のようにしてパイル用繊維を基布3に植え込んだままでは、パイル用繊維は基布3から抜けやすいため、基布3の裏面に合成樹脂等でコーティングして接着層6を設けて、パイル用繊維と基布3を一体化させる。この敷物1の場合、バッキングシート4を、後に基布3の裏面に接合させるので、この段階でパイル用繊維と基布3との確実な一体化が図られる。このため、接着層6は、パイル用繊維と基布3との仮止めの役目を果たせば十分である。このため、接着層6は薄いものでよく、通気性や通水性を遮るような完全な層ではなく、パイル用繊維と基布3とを接合できるものであればよい。
【0016】上記のタフテッドにより植え込むと、得られるパイル2はループ状となる。このまま使用すれば、ループパイルを有する敷物1となり、パイル2のループ部分をカットすれば、カットパイルを有する敷物1となる。また、ニードルパンチにより植え込むと、パイル用繊維が絡み合うため、フェルト状の敷物1が得られる。
【0017】上記基布3は、パイル用繊維を支持するものであり、織布であっても、不織布であってもよい。また、基布3を構成する繊維の材質は、特に限定されるものではなく、用途にしたがって、任意の天然繊維や合成繊維を使用することができる。
【0018】上記バッキングシート4は、パイル2を基布3の裏面から固定するためのものであり、合成樹脂からなる。この合成樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いれば、そのガラス転移点より高温状態で基布3と接触させることにより、熱可塑性樹脂が基布3に浸み込んで基布3とバッキングシート4を一体化させることができるので好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、塩ビ、熱可塑性エラストマー等やこれらの混合物があげられる。
【0019】上記バッキングシート4は、図2に示すように、穴5を有する。この穴5は、バッキングシート4の所定面積内に所定数設けられる。設けられる穴5の数は、特に限定されるものでなく、敷物1上に水がかかったとき、水が容易に穴から敷物1の下方へ移動できる程度であればよい。また、バッキングシート4は、パイル2を定着させる役目を果たすので、穴5の数が多すぎるとパイル2がほぐれ易くなる。このため、設けられる穴5の数は、パイル2が安定的に保持できる程度であればよい。また、所定数の穴5の位置は、特に限定されるものではないが、一定間隔を開けて設ければ、通水効果をあげることができて好ましい。
【0020】このバッキングシート4は、図3に示すように、基布3と接合する面と反対側の面が水平面を有していてもよいが、図4に示すように、凹凸を設けてもよい。このようにすれば、穴5から床面7に落ちた水等が流れ出ることができて好ましい。
【0021】次に、この敷物1の製造方法を説明する。まず、任意の方法でパイル用繊維を基布3に植え込み、接着層6で仮止めして、パイル2を支持した基布11(以下、「パイル植込み基布」と称する。)を製造する。
【0022】また、図5に示すように、押出成形機12の先端に取り付けたTダイ13よりバッキングシート4を押し出す。押し出されたばかりのバッキングシート4は、そのガラス転移点より高温の状態にあり、変形等は容易である。
【0023】このバッキングシート4に、エアコンプレッサ14で圧縮した加圧空気をエアノズル15から噴射する。このとき、バッキングシート4は、ガラス転移点より高温の状態にあるので、加圧空気はバッキングシート4を貫通し、穴を開けることができる。このエアノズル15を、Tダイ13からバッキングシート4が押し出される方向と直角方向に1列又は数列に複数個、所定間隔を開けて並べれば、所定間隔を有する穴を複数個、同時に開けることができる。また、所定時間をあけて間欠的に加圧空気を噴射させれば、バッキングシート4が押し出される方向に所定間隔を開けて穴を設けることができる。
【0024】加圧空気の圧力は、特に限定されないが、一般のエアコンプレッサーを用いることが好ましいことから、一般のコンプレッサーで可能な圧力とするのが好ましい。また、開けられる穴の径は、次工程の圧延工程までに、穴が閉塞せず、かつ、得られる敷物1のパイル2のほつれが生じない径が好ましい。このような径とは、エアノズル15の径、空気圧等によって調整することができる。
【0025】次いで、このバッキングシート4にパイル植込み基布11の裏面、すなわち、パイル植込み基布11の接着層6側の面を沿わせて一緒に圧延ローラ16、16’間に通して圧延する。ガラス転移点より高温でバッキングシート4をパイル植込み基布11に沿わせるので、バッキングシート4の樹脂がパイル植込み基布11内に浸み込み易く、これらは接合される。また、圧延ローラ16、16’間に通して圧延することによって厚さが調節されると共に、冷却が行われる。
【0026】圧延によって、バッキングシート4は少し延伸されるので、得られる敷物1の穴5は楕円状になる。
【0027】上記バッキングシート4と直接接する圧延ローラ16’のローラ面に凹凸を設けなければ、図3に示すように、バッキングシート4のパイル植込基布11がある面と反対側の面が平面状となる。また、上記圧延ローラ16’のローラ面に凹凸を設ける、すなわち、圧延ローラ16’をエンボスロール又は彫刻ロールとすると、図4に示すように、バッキングシート4のパイル植込基布11がある面と反対側の面に凹凸を設けることができる。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば、加圧空気でガラス転移点より高温の状態のバッキングシートに穴を開けるので、容易にかつ簡便な装置でバッキングシートに穴を開けられる。
【0029】また、穴を開けたバッキングシートを、ガラス転移点より高温の状態でパイル植込み基布に沿わせるので、穴を開けた状態で容易にこれらを接合させることができる。
【0030】さらに、敷物の表面のパイルは穴が開けられたり、傷ついたりしないので、表面上の見栄えが良好である。
【0031】さらにまた、バッキングシートに穴が開いているので、通水性や通気性が良好となり、敷物自体や敷物と床面との間にかび等が生えるのを防止できる。
【出願人】 【識別番号】597110342
【氏名又は名称】株式会社興栄ケミカル工業所
【出願日】 平成9年(1997)12月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−169279
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−342698