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【発明の名称】 片手持ちトレイ
【発明者】 【氏名】北原 忠

【氏名】太田 稔

【氏名】妹尾 将行

【氏名】道田 史朗

【要約】 【課題】立食パーティー等に適した片手で保てる片手持ちトレイを開発する。

【解決手段】飲食物を載せて片手で持ち運べるようにしたトレイ1で、下方から片手で把持可能な缶受部2と、この缶受部2から延びる外周壁面6又は仕切9,10に囲まれた皿部7,8とからなり、この缶受部2及び皿部7,8の底面11,12を同一面に揃えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 飲食物を載せて片手で持ち運べるようにしたトレイで、下方から片手で把持可能な缶受部と該缶受部から延びる外周壁面又は仕切に囲まれた皿部とからなり、該缶受部及び皿部の底面を同一面に揃えていることを特徴とする片手持ちトレイ。
【請求項2】 トレイ本体の平面中心から偏位して缶受部を配し、該缶受部から環状に延びる外周壁面と同缶受部から半径方向に延びる仕切とに囲まれた2つ以上の皿部を有し、該皿部がトレイ本体の平面中心と缶受部の平面中心とを結ぶ仮想線を挟んで対称であることを特徴とする請求項1記載の片手持ちトレイ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立食パーティーをはじめ、スポーツ観戦や海山での行楽等の飲食に際し、飲食物を載せて片手で持ち運べるようにした片手持ちトレイに関する。
【0002】
【従来の技術】多数の参加者の懇親や軽費節減のため、近年では立食パーティー形式を採用する催しが増えている。従来の立食パーティーでは、紙又はプラスチック製で使い捨てする円形受皿を、料理を載せる片手持ちトレイとして出席者各人が片手に持ち、もう片手で箸、スプーンやフォークを使用する。飲物(ビール缶に代表される350mL缶や紙又はプラスチック製コップに注いだお茶又はジュース等)は、前記片手持ちトレイに箸等を載せれば空いた片手で持って飲むことができるが、この飲物を片手持ちトレイに載せることは実質的に不可能で、再度箸等を持ったり、他人と握手したりする場合、身近なテーブルに置く必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】立食パーティーは、各出席者が自由に料理を選択でき、片手持ちトレイを持って自由に移動できる点が長所であるが、上述のように飲物が加わると、途端に片手持ちトレイと飲物との取扱いが不便になる短所を有する。これは、片手持ちトレイとして、汎用の紙又はプラスチック製円形受皿を用いたことに起因する。すなわち、従来の片手持ちトレイはあくまで料理を載せるのには問題はないが、飲物を載せることができなかったからである。
【0004】紙製円形受皿について更に仔細に見てみると、極めて浅く、剛性も低いため、汁を大量に含んだ料理を載せるには適しておらず、料理をあまり多く載せることができないなどの問題も浮かび上がってきた。こうした従来の片手持ちトレイ、すなわち紙又はプラスチック製円形受皿の問題は、立食パーティーだけでなく、同様に紙又はプラスチック製円形受皿を用いるスポーツ観戦や海山での行楽の飲食の際にも見られるところである。そこで、立食パーティーをはじめ、スポーツ観戦や海山での行楽等の飲食に際し、飲食物を載せて片手で持ち運べる片手持ちトレイを開発することを目的として、検討した。
【0005】
【課題を解決するための手段】検討の結果開発したものが、飲食物を載せて片手で持ち運べるようにしたトレイで、下方から片手で把持可能な缶受部とこの缶受部から延びる外周壁面又は仕切に囲まれた皿部とからなり、この缶受部及び皿部の底面を同一面に揃えている片手持ちトレイである。本発明の片手持ちトレイは、ビール缶(通常350mL缶)等を載せることができる缶受部と、汁又は油を多量に含んだ料理を載せることができる皿部とを一体に備え、特に立食パーティーでの使用に適した構成を有している。この片手持ちトレイは紙製、木製、陶製又はプラスチック製を問わない。紙製又はプラスチック製トレイでは、外周壁面及び仕切をリブとしてトレイ本体の剛性を保つようにする。木製、陶製トレイでは、剛性の問題は生じないのでデザインは自由であり、高級感を得ることができるが、片手で支持することに鑑み、できる限り軽量化を図る必要がある。
【0006】本発明の片手持ちトレイは、(1)トレイ本体の平面中心から偏位して缶受部を配し、この缶受部から環状に延びる外周壁面と同缶受部から半径方向に延びる仕切とに囲まれた2つ以上の皿部を有し、これら皿部がトレイ本体の平面中心と缶受部の平面中心とを結ぶ仮想線を挟んで対称であり、(2)缶受部は周壁面を皿部を囲む外周壁上縁よりも高くして深底にすると共にこの周壁面に囲まれた内径を350mL缶の外径よりも大きくし、紙又はプラスチック製コップの底部に内接又は外接し、かつ350mL缶の湾曲する底に納まる大きさの円周リブを底面に形成したり、(3)皿部は底面を階段状に形成するとよい。
【0007】(1)について、缶受部はトレイ本体の平面中心から偏位、できれば外周壁を接線とするように配されることで、把持しやすくなる。トレイ本体は缶受部を支点として片持ち支持されることになるが、外周壁がトレイ本体の外周を囲むリブとして、仕切が缶受部から延びる放射状のリブとして働くことで、トレイ本体を保形し、各皿部の撓みを防止する。外周壁又は仕切のリブとしての機能を実現する手段としては、例えば外周壁上縁に一定幅の断面コの字状を有するリブを形成したり、仕切を水平面内において湾曲させたりするとよい。また、各皿部をトレイ本体の平面中心と缶受部の平面中心とを結ぶ仮想線を挟んで対称にすると、把持する手の左右の区別なく同様に缶受部を把持してトレイ本体を支持することができ、使用感も異ならないものにすることができる。
【0008】(2)について、缶受部は周壁面を皿部を囲む外周壁上縁よりも高くして深底にすることで、350mL缶の安定した収納を可能にする。上縁からの深さは、350mL缶の1/3〜1/2程度が隠れる程度が好ましい。また、缶受部の底面に、紙又はプラスチック製コップの底部に内接又は外接し、かつ350mL缶の湾曲する底に納まる大きさの円周リブを形成すると、紙又はプラスチック製コップと350mL缶とを区別なく、等しく安定して収納できる。薄い紙製又はプラスチック製トレイでは、缶受部の周壁面を傾斜させておくと、350mL缶と周壁面とが密着することがなく、缶受部を把持する片手が冷たさや熱さを感じなくて済む。発泡プラスチック製、木製又は陶製トレイでは、素材自体が断熱性を有するので、例えば缶受部を深底の容器として汁物を入れることができる。なお、コーヒーカップ等の取手付カップについては、外周壁に切れ込みに設けておけば、取手を前記切れ込みに嵌め込むようにして缶受部に収納することができるようになる。
【0009】(3)について、皿部の底面を階段状に形成すると、皿部の底面自身が撓みを防止する剛性を有するようになる。皿部は、底面積が広いほど多くの料理を載せることができるが、逆に広くなるほど皿部自身の剛性が低下する。前記階段状の底面は、皿部全体の剛性を高め、ひいては片手持ちトレイとしての撓みを抑制するのである。底面を階段状にするのではなく、底面を横断するリブを設けても同等の作用が期待できる。これら階段状の底面やこの底面に設けるリブは、副次的に汁を多量に含んだ料理の汁や油を切る機能を発揮する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は本発明の片手持ちトレイ1の一形態を示す斜視図、図2は同片手持ちトレイ1の缶受部2を左手3で把持した基本態様を表した平面図、図3は同片手持ちトレイ1の缶受部2を右手4で把持した態様を表した平面図、図4は同片手持ちトレイ1の缶受部2を左手3で把持した別例の態様を表した平面図である。
【0011】本例の片手持ちトレイ1は、図1に見られるように、約20cm四方の略方形からなる薄いプラスチック製一体成形品で、缶受部2はトレイ本体の平面中心から偏位して周壁面外5の一部をトレイ本体の外周壁6に沿わせている。外周壁6の上縁は断面略コの字状のリブ構造になっている。トレイ本体を区画して4個所の皿部7,8を形成する仕切は、トレイ本体の中心からの缶受部2の偏位方向、すなわち対角線方向に沿って設けた1条の主仕切9と、缶受部2から湾曲して角部に延びる2条の副仕切10,10とからなる。各仕切9,10は、それぞれトレイ本体の剛性を高めるリブとして機能する。また、主仕切9は各皿部7,8の対称線と一致している。各皿部7,8は、従来の紙又はプラスチック製の受皿に比較して十分深く、底面11,11は階段状であるが、缶受部2及び各皿部の底面11,12は略同一面としているので、トレイ本体の載置時の安定性は確保されている。
【0012】右利きの使用者であれば、トレイ1を左手3に持つことになる。この場合、図2に見られるように、缶受部2を下方から左手3の手のひらで受けて缶受部2と皿部7との隙間に指を差し込み、場合によっては人さし指又は小指で両脇の皿部の底面12,12を支持しつつ、親指を上方から周壁面外5に添えて、丁度親指と他の指とでトレイ本体を挟むようにして把持する態様を基本とする。本例のトレイ1は、主仕切9を対称線として対称な構造となっているので、図3に見られるように、右手4で持つ場合でも基本態様は変わらない。しかし、缶ビール等の350mL缶を収納する缶受部2は径が比較的大きいため、男性はともかく、手の小さな女性では、必ずしも前記基本態様が好ましくない場合がある。そこで、図4に見られるように、トレイ本体を約90度回転させて横向きに持つようにしてもよい。この場合、各皿部7,8が使用者により近くなり、箸を使いやすくなる利点もある。なお、図4の例では、親指を添えやすいように、缶受部2の周壁面外5には突片13を形成している。
【0013】図5はビール等の350mL缶14を収納した状態を表した缶受部2の断面図で、図6は紙又はプラスチック製コップ15を収納した状態を表した缶受部2の断面図である。缶受部2は、図1及び図5に見られるように、周壁面内16を高くして実質的に深底にすると共にこの周壁面内16の内径を大きくして、缶ビール等の350mL缶14の収納を可能にしている。このとき、缶受部2底面に設けた円周リブ17は、350mL缶14の湾曲する底に納まって350mL缶14のぐらつきを防止する。更に、この円周リブ17は、図4に見られるように、紙又はプラスチック製コップ15の底部に内接することで、周壁面内16と大きな隙間を有する紙又はプラスチック製コップ15であっても、安定して収納できるようにする。なお、本例のトレイ1は、薄いプラスチック一体成形品であるが、周壁面内16はわずかに傾斜しているため、缶受部2に収納した350mL缶14でも周壁面内16に密着することはなく、缶受部2を把持する片手が冷たさや熱さを感じなくて済むようになっている。
【0014】図7は皿部7の底面11に油で焼いたウィンナー18を載せた状態を表した断面図で、図8は皿部7の底面11に刺身19を載せた状態を表した断面図である。皿部7の底面11は、図1に見られるように、階段状である。これは、面積の広い皿部7の剛性を高める働きと共に、底面11に載せた料理の汁や油を切る機能を有する。例えば、油で焼いたウィンナー18を載せた場合、図7に見られるように、ウィンナー18は各稜線20に支えられ、逆に油21は各谷22に流れ込み、ウィンナー18にまとわりつく油21を切ることができる。
【0015】また、谷22に向かって傾けるように片手持ちトレイ1を持てば、図8に見られるように、奧の谷22に醤油23を溜め、手前の谷22に刺身19を載せておき、醤油23に浸した刺身19を中間の谷22で余剰の醤油23を切ることができる。このように、階段状の底面11を有する皿部7は、階段状の稜線20を仮想的な仕切として、特に醤油又はソースに浸してその醤油やソースを切って食べる料理を分けて載せることができる利点がある。予め多数の仕切を設けた皿部を形成してもよいが、構造が複雑となって成形が難しくなるし、必要な材料が増えてコスト高となるため、本例のような階段状の底面を有する皿部が実際上利便性が高く、好ましい。
【0016】図9は片手持ちトレイ1の使用状態を示す斜視図である。本発明のトレイ1を使用する例として第一に挙げられるのが、図5に見られるような立食パーティーの席である。各出席者は、左手3(又は右手)に本発明のトレイ1を持ち、各皿部7,8に料理を載せ、缶受部2には缶ビール等の350mL缶14を収納して移動する。350mL缶14を飲む際には、箸を皿部7に置いて空いた右手4で350mL缶14を持てばよい。このように、本発明の片手持ちトレイ1は、立食パーティーにおける各出席者に対して、各自の料理だけでなく飲物をも常に携行させ、飲食を容易にすると共に、とりわけ移動、談笑に際しての飲物の取扱いを便利にする。
【0017】図10は本発明の片手持ちトレイ24の別形態を示す斜視図であり、図11は本発明の片手持ちトレイ25を木製の漆器で構成した形態を示す斜視図である。なお、いずれの例も、各皿部26,27の階段状底面の図示を省略している。本発明のトレイは、下方から片手で把持可能な缶受部とこの缶受部から延びる外周壁面又は仕切に囲まれた皿部とからなり、この缶受部及び皿部の底面を同一面に揃えていれば構成できるので、例えば、図10に見られるように、湾曲状の仕切28を用いて4個所の皿部26を構成した非対称のトレイ24であってもよい。湾曲した仕切28は、リブとしてトレイ本体の剛性を高めるのに適している。また、トレイは使い捨てを考慮した紙製又は薄いプラスチック製だけでなく、発泡プラスチック製、厚いプラスチック製、木製又は陶製のようなものでもよい。例えば、図11にみられるように、紅葉をモチーフとした木製トレイ25であってもよい。この場合、トレイ本体自身が十分な剛性を有するから、リブによる補強は考えなくてもよいため、例示のような自由なデザインを採用することができる。図11のトレイ25は、高級ホテルの立食パーティー等の使用に適している。
【0018】図12は図1の片手持ちトレイ1に透明な薄いプラスチック製蓋29を設けた例の斜視図で、図13は各皿部7,8に料理又はお菓子(図示略)を詰めて蓋29をし、販売している使用状態を表した斜視図である。本発明の片手持ちトレイは、予め各皿部に所定の料理やお菓子を詰めて、缶ビール等の350mL缶が収納できる缶受部を有する容器として、セット販売する使用形態にも利便性が認められる。本例の蓋29は、図12に見られるように、内部に詰めた料理又はお菓子が覗けるように透明な薄いプラスチック製で、各皿部7,8及び缶受部2を一体に閉蓋する。缶受部2は缶ビール等を収納するので特に閉蓋する必要はないが、例えば缶受部に汁物を収納している場合は閉蓋する必要がある。本例の蓋29では、缶受部2の閉蓋によって周壁面外5に掛止し、蓋全体の位置ズレを防止している。蓋の形態としては、このほか各皿部を個別に閉蓋するものであってもよい。
【0019】こうして予め各皿部7,8又は缶受部2に料理又はお菓子を詰め込んだトレイ1は蓋29を付けて、図13に見られるにように、球場における立ち売りに供することができる。スポーツ観戦、とりわけ野球観戦では、観戦者はイニングの合間などに飲食する場合が多いが、料理又はお菓子と飲物とを個別に購入し、両手に持って観戦していたので不便なことが多かった。本発明のトレイ1を用いれば、各種料理又はお菓子を詰め合わせて販売及び購入できるので、売り子及び観戦者双方にとって利便性があるほか、トレイ1の缶受部2に缶飲料を収納すれば、空いた片手にメガホン等を持って応援をすることができる。こうした容器としてのトレイの利点は、キャンプやハイキング等に料理を運ぶ際にも見られるところで、予め料理を詰めて各人別にトレイを用意しておけば、改めて料理を振り分ける手間を要さず、河原や山中でも簡単に飲食できるようになる。
【0020】
【発明の効果】本発明の片手持ちトレイによって、料理と飲物とを合わせて片手で確保しながら、もう片手で握手や飲食ができるようになり、立食パーティーが有する懇親の促進を図ることができるほか、スポーツ観戦や海山での行楽における飲食に際して、手の自由が確保でき、便利になる。近年では、飲物として缶飲料、とりわけビールの350mL缶をそのままの形で提供する場合が多く見られる。本発明の片手持ちトレイは、こうした350mL缶を含む缶飲料だけでなく、紙又はプラスチック製コップをも同一の缶受部に収納できる特徴を有している。
【0021】また、皿部は汁を多量に含んだ料理を載せることができ、従来の紙又はプラスチック製の受皿に比べてはるかに多くの料理に対応できるようになっている。また、皿部の底面を階段状にすることで、汁又は油を含んだ料理の汁切り、油切りが可能で、階段状の稜線を仮想的な仕切と見立てれば、刺身の醤油を底面の一区画に溜めておいたりと、ソース又は醤油の必要な料理にも対応できる。
【0022】こうした缶受部及び皿部の構造的な工夫により、本発明の片手持ちトレイはその多機能ぶりとは対照的に簡素な構造とすることができ、プラスチックの一体成形により容易に製造したり、複数の片手持ちトレイを嵌め合いにより重ねて、少ない容積で多数の片手持ちトレイを保管又は運搬できるようになっている。このため、製造コストがやすく、使い捨てを想定した立食パーティーや、スポーツ観戦又は行楽の際の飲食に適した製品とすることができるのである。
【出願人】 【識別番号】595130816
【氏名又は名称】株式会社北原産業
【識別番号】000214043
【氏名又は名称】蝶理株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
【公開番号】 特開平11−155716
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−330534