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【発明の名称】 消臭カーペット
【発明者】 【氏名】津川 浩之

【氏名】金山 赫

【氏名】横山 守

【要約】 【課題】本発明は、生活悪臭と煙草の臭いに対して、洗濯耐久性に優れた消臭性能を有し、しかも柔軟な風合いの消臭カーペットを提供する。

【解決手段】ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質を、カーペットのバッキング剤中に練り込む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質が、カーペットのバッキング剤中に練り込まれていることを特徴とする消臭カーペット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、生活悪臭と煙草の臭いに対して消臭性能を有するカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】日常生活において発生する悪臭をなくすことにより、快適な生活環境を創造しようとする意識が高まっているなかで、近年特に煙草の臭いに対する消臭性能が要求されている。
【0003】従来より繊維製品の消臭方法は、種々の方法が提案されている。例えば、特開昭63−135512号公報には、合成繊維の紡糸段階で消臭機能を有する物質(以下、消臭性物質という。)を合成繊維に練り込む方法が開示されている。また特開平2−289148号公報には、後加工の段階で消臭性物質を樹脂と共に繊維表面にコーティングする方法が開示されている。しかしこれらの公報で用いられている消臭性物質は、生活悪臭には消臭効果はあるが、煙草の臭いには消臭効果がないという問題がある。
【0004】煙草の臭いに対する消臭方法としては、例えば特開平9−78452号公報には、ヒドラジド化合物と多官能性モノマーとの架橋対を繊維表面に固着させる方法が開示されている。また特開平9−28778号公報には、分子内に第一級アミノ基を有する化合物および珪酸マグネシウム質粘土鉱物からなる消臭剤を樹脂を用いて繊維表面に固着させる方法が開示されている。しかしこれらの方法では、樹脂を用いて消臭性物質を繊維表面に固着しているので、風合いが硬くなるという問題がある。
【0005】繊維製品の中で、カーペットに消臭性能を付与する方法としては、一般的にスプレー法による後加工法が行われている。しかしスプレー法で、消臭性物質を水に溶解または分散させたものをカーペットにスプレーしたものは、洗濯や水洗等に対する耐久性が乏しいという問題点があり、樹脂を併用して消臭性物質をカーペットにスプレーしたものは、耐久性は向上するが、風合が硬くなるという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、カーペット本来の良好な風合いを損ねることなく、生活悪臭と煙草の臭いに対して洗濯耐久性のある優れた消臭性能を有せしめたカーペットを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達成するもので、次の構成よりなるものである。すなわち本発明は、ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質が、カーペットのバッキング剤中に練り込まれていることを特徴とする消臭カーペットを要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の消臭カーペットは上述のごとく、ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質が、カーペットのバッキング剤中に練り込まれている点に、大きな特徴を有するものである。
【0009】ここで用いるヒドラジン誘導体とは、分子内にヒドラジド基を有する化合物であり、好ましくは2個以上のヒドラジド基を有するものであり、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等の直鎖状ヒドラジド化合物、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等の芳香環ヒドラジド化合物、ポリアクリル酸ヒドラジド等のポリマータイプのヒドラジド化合物等が挙げられる。
【0010】本発明でヒドラジン誘導体と併用する消臭性無機物質としては、マグネシウム、アルミニウム、チタン、銅、亜鉛、ジルコニウム、銀、錫、鉛等の酸化物、リン酸塩、珪酸塩もしくはこれらの混合物等を挙げることができる。混合物はアモルファス状態に均一混合されていることが望ましい。また銅、亜鉛、銀、錫、鉛等の塩を吸着させたゼオライトやシリカゲル、活性炭を用いてもよい。これらの消臭性無機物質は、粒子が細かいほど表面積が大きくなって消臭効率がよく、消臭速度も速くなり、また繊維への接着性、風合いの点からも細かいほどよく、平均粒子径が5μm以下、特に3μm以下が望ましい。
【0011】上述のヒドラジン誘導体と消臭性無機物質の混合割合は、1:4〜4:1で用いるとよく、好ましくは1:1で用いるとよい。ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質の使用量は、バッキング剤に対して各々1〜50重量%の範囲で用いるのが適当であり、ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質の添加量がこれよりも少ないと、十分な消臭効果が得られず、また多すぎると使用量に見合う消臭効果が得られにくく、バッキング剤中の接着剤成分の接着効果が低下する。
【0012】本発明のカーペットは、例えば、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、コードカーペット、フックドラグ等のようにバッキング剤を塗布する製造工程を経るもので、用途としては、一般家庭用やホテル、レストラン、学校、病院等の業務用、自動車、航空機等の産業資材用等に用いられるものである。
【0013】バッキング剤については、カーペットやカーマット等のバッキングに用いる通常のバッキング剤を用いればよく、具体的には、スチレンブタジエンラバー(以下、SBRという。)、エチレンビニルアセテート(以下、EVAという。)、アクリロニトリルブタジエンラバー(以下、NBRという。)、ポリ塩化ビニル(以下、PVCという。)、ポリエチレン、ポリウレタン、アタクチックポリプロピレン(以下、APPという。)、ビチューメン等を挙げることができる。本発明は、以上の構成を有するものである。
【0014】
【作用】本発明のごとく、ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質をカーペットやカーマット等のバッキング剤中に練り込み、カーペットの裏面に塗布すると、表面はパイル糸と一次基布に覆われ、ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質が練り込まれたバッキング剤を介して、裏面は二次基布やゴム等に覆われているので、水洗や洗濯に対して消臭性能の耐久性に優れ、しかも従来のカーペットように、バインダー樹脂による消臭性物質の固着処理を受けていないので、カーペット本来の良好な風合が維持された消臭カーペット等を提供することができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、実施例における試料の性能の測定、評価は下記の方法で行った。
(1)消臭性加工上がり及びJIS L−0217(103法)による5回の洗濯後の試料について測定を行った。
(1−1)ガス検知管法容量3リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に10cm×10cmにサンプリングした試料と、所定の初期濃度(アセトアルデヒドの場合100ppm、アンモニアの場合900ppm、硫化水素の場合300ppm)のガス600ミリリットルとを封入し、室温で3時間放置後のガス濃度をガス検知管(光明理化学工業株式会社製)により測定し、これを濃度Aとする。次にブランクと比較するために、別の容量3リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に同一濃度の同一ガス600ミリリットルを封入し、室温で3時間放置後のガス濃度をガス検知管により測定し、これを濃度Bとする。脱臭率を次式により算出する。
脱臭率(%)=(濃度B−濃度A)/濃度B×100【0016】(1−2)官能試験法300ccの三角フラスコ2個に煙草(JT製、マイルドセブン1本)の副流煙をそれぞれ1秒間採取する。この三角フラスコ内にそれぞれ8cm×8cmにサンプリングした試料をすばやく入れ、密栓して30分間放置する。試料を取り出し、以下の3段階で評価した。
○:臭いがほとんどしない△:やや臭いがする×:臭いが強い【0017】(2)風合いカーペット表面を手で押圧し、風合いを手触りによる感応テストにより相対的に次の2段階で評価した。
○:良好(柔らかい)
×:不良(硬い)
【0018】実施例11000デニール48フィラメントのトリローバル断面ナイロンBCF糸2本をフォルクマン社製ダイレクトケブラー撚糸機を用いて、上撚200T/M、下撚200T/Mの諸撚糸とし、スペルバ社製スチームセット機で、撚り止めを130℃×1分間の条件で行った。得られた諸撚り加工糸をチーズ染色機を用いて含金染料で染色し、得られた染色糸をタフティング機を用いて、スパンボンド基布に1/8ゲージ、パイル長10mm、パイル目付1200g/m2 の規格でタフトした。これに、下記処方1のバッキング剤をロールコーターを用いてプレコートバッキング(塗布量:200g/m2 )を行い、最後に裏面にゴム張り仕上げを行って、本発明のカットパイルカーペットを得た。
処方1SBRラテックス 84重量%アジピン酸ジヒドラジド 5重量%ゼオライト 5重量%酸化アルミニウム 5重量%アクチノールR−100 1重量%(松本油脂製薬(株)製,界面活性剤)
【0019】比較例1下記処方2のバッキング剤を用いること以外は、実施例1と同一の方法により比較例1のカットパイルカーペットを得た。
処方2SBRラテックス 94重量%アジピン酸ジヒドラジド 5重量%アクチノールR−100 1重量%(松本油脂製薬(株)製,界面活性剤)
【0020】比較例2下記処方3のバッキング剤を用いること以外は、実施例1と同一の方法により比較例2のカットパイルカーペットを得た。
処方3SBRラテックス 89重量%ゼオライト 5重量%酸化アルミニウム 5重量%アクチノールR−100 1重量%(松本油脂製薬(株)製,界面活性剤)
【0021】比較例3下記処方4のバッキング剤を用いること以外は、実施例1と同一の方法により比較例3のカットパイルカーペットを得た。
処方4SBRラテックス 100重量%【0022】比較例4実施例1と同じ規格のタフト品に、下記処方5の処理液をスプレー法によって付与し、その後SBRラテックスをロールコーターを用いてプレコートバッキング(塗布量:200g/m2 ) を行い、最後に裏面にゴム張り仕上げを行って比較例4のカットパイルカーペットを得た。
処方5アジピン酸ジヒドラジド 2.5重量%ゼオライト 2.5重量%酸化アルミニウム 2.5重量%アクチノールR−100 1 重量%(松本油脂製薬(株)製,界面活性剤)
水 91.5重量%【0023】比較例5下記処方6の処理液を用いること以外は、比較例4と同一の方法により比較例5のカットパイルカーペットを得た。
処方6アジピン酸ジヒドラジド 2.5重量%ゼオライト 2.5重量%酸化アルミニウム 2.5重量%ボンコートAN−868H 5 重量%(大日本インキ化学工業(株)製,アクリル樹脂)
アクチノールR−100 1 重量%(松本油脂製薬(株)製,界面活性剤)
水 86.5重量%本発明および比較用のカットパイルカーペットの性能を測定評価し、その結果を合わせて表1に示した。
【0024】
【表1】

【0025】表1より明らかなように、本発明のカーペットは、アセトアルデヒド、アンモニア、硫化水素のガス種と煙草の臭いに対して非常に優れた消臭効果を示し、その洗濯耐久性も非常に優れ、しかも柔軟な風合いであった。ヒドラジン誘導体のみ付与した比較例1は、アセトアルデヒドと煙草の臭いには消臭効果を示しているが、アンモニア、硫化水素には消臭効果を示さなかった。消臭性無機物質のみ付与した比較例2は、アンモニアと硫化水素には消臭効果を示しているが、アセトアルデヒドと煙草の臭いには消臭効果を示さなかった。ヒドラジン誘導体と消臭性無機物質どちらも付与していない比較例3は、すべての臭いに対して、消臭効果を示さなかった。スプレー法でヒドラジン誘導体と消臭性無機物質を付与した比較例4は、すべての臭いに対して、加工上がりは非常に優れた消臭効果を示しているが、5洗後の消臭効果の低下が大きかった。スプレー法でバインダーを用いてヒドラジン誘導体と消臭性無機物質を付与した比較例5は、すべての臭いに対して、優れた消臭効果を示し、その洗濯耐久性も優れているが、風合いが硬かった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、生活悪臭と煙草の臭いに対して、洗濯耐久性のある優れた消臭性能を有し、しかも柔軟な風合いの消臭カーペットを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月14日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−113720
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−280173