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【発明の名称】 椅子の肘掛けの取付構造
【発明者】 【氏名】沼 直樹

【要約】 【課題】コスト的に安価で、椅子のシェルに補強リブを設ける必要をなくすとともに、シェル自体を薄肉構造とすることができ、しかも、デザイン的にも優れた椅子の肘掛けの取付構造を提供する。

【解決手段】座クッション材、座インナーシェル及び座アウターシェルが取り付けられる座席取付金具30を、中央片32と、左右1対の支持片34a、34bとで構成するとともに、支持片34a,34bに肘掛け取付用のねじ孔35を穿設し、かつねじ孔35の周囲に、補強用の凹所39及び補強片41を成形または接合することによって補強を施し、支持片34a,34bを、肘掛けを介してかかる荷重に耐えうるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部に脚柱の取付部を備える中央片と、この中央片の両側から水平に延出する左右1対の支持片とを具備し、前記支持片の外周縁を上方に屈曲させるとともに、支持片の後部側の外周縁近傍に、肘掛けの下端が取り付けられる肘掛け取付部を形成し、かつこの肘掛け取付部の周囲に、肘掛け取付部を補強する補強部を設けたことを特徴とする椅子の肘掛けの取付構造。
【請求項2】 補強部は、支持片に設けた凹凸、または支持片に接合された補強片であることを特徴とする請求項1記載の椅子の肘掛けの取付構造。
【請求項3】中央片と支持片とを、別部材で構成し、これらを接合することによって、座席取付金具を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の椅子の肘掛けの取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、椅子の肘掛けの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】椅子の肘掛けの取付構造の公知例として、特開平8-38299号公報記載のものがある。この椅子は、肘掛けを支持する部材として、アルミダイキャストや、鉄製の補強部材をアウターシェルに取り付けることによって、肘掛けにかかる荷重に対する強度を確保している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報記載の椅子の場合、補強部材をアルミダイキャストで構成したものは、材料費が高いために全体としての製造コストの上昇をもたらし、鉄製のものは、椅子全体の重量増をもたらすという問題がある。さらに、肘掛けを取り付けるための補強部材をアウターシェルにねじ止めしているので、組立作業が煩雑であるとともに、部品点数が多くなっている。
【0004】また、上記の椅子では、アウターシェルに荷重を支持する構造体としての機能を持たせているため、アウターシェル自体の厚さが厚くなり、椅子の重量増を招くという問題がある。加えて、アウターシェルを構造体として機能させるための強度を確保するために、アウターシェルの表面に補強リブを設ける必要があり、デザイン的に見栄えが悪くなるとともに、シェル成形用の金型の構造が複雑化し、コストアップを招来する。
【0005】本発明は、従来の技術が有する上述のような問題点に鑑みてなされたもので、コスト的に安価であるとともに、椅子全体を軽量化することが可能で、しかもデザイン的に優れた椅子の肘掛けの取付構造を提供することを目的とする。
【0006】本発明は、次のようにして上記課題を解決している。
(1) 下部に脚柱の取付部を備える中央片と、この中央片の両側から水平に延出する左右1対の支持片とを具備し、前記支持片の外周縁を上方に屈曲させるとともに、支持片の後部側の外周縁近傍に、肘掛けの下端が取り付けられる肘掛け取付部を形成し、かつこの肘掛け取付部の周囲に、肘掛け取付部を補強する補強部を設ける。
【0007】(2) 上記(1) 項において、補強部は、支持片に設けた凹凸、または支持片に接合された補強片とする。
【0008】(3) 上記(1) 項または(2) 項において、中央片と支持片とを、別部材で構成し、これらを接合することによって、座席取付金具を形成する。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る椅子の肘掛けの取付構造の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0010】図1は、本実施形態の椅子の肘掛けの取付構造が適用された椅子を前上方から見た分解斜視図である。
【0011】図1に示すように、この椅子は、背もたれ部(10)と、座席部(12)と、脚部(14)等とを備えている。
【0012】背もたれ部(10)は、後述する座席取付金具に下端が固定された背もたれ杆(16)に沿って、上下動可能となっている。背もたれ部(10)は、表皮材(18)、背クッション材(20)、インナーシェル(22)、アウターシェル(24)等を備え、表皮材(18)及び背クッション材(20)は、インナーシェル(22)に公知の手段によって取り付けられている。インナーシェル(22)は、アウターシェル(24)に対してねじ止めされ、背もたれ杆(16)は、インナーシェル(22)とアウターシェル(24)との間に、摺動可能に配置されている。
【0013】座席部(12)は、座クッション材(26)、座インナーシェル(28)、座アウターシェル(29)、座席取付金具(30)等を具備している。座クッション材(26)は、座インナーシェル(28)の上面に張設され、座インナーシェル(28)の下面は、座アウターシェル(29)によって覆われている。座席取付金具(30)は、座インナーシェル(28)と座アウターシェル(29)とを支持し、座席にかかる荷重を受け止める役割を有している。
【0014】図2は、座席取付金具(30)の平面図、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。図2に示すように、座席取付金具(30)は、中央片(32)と、中央片(32)に溶接接合された左右1対の支持片(34a)(34b)とからなっている。図3に示すように、中央片(32)は、正面視上向コ字状の箱形をなし、中央の箱状部(32a)には、脚部(14)の脚柱(14a)の上端部が取り付けられる取付筒(36)が設けられている。
【0015】図4及び図5は、中央片(32)を拡大して示しており、中央片(32)は、鉄製の箱状部(32a)を、板金加工等によって形成された鉄製の板状部(32b)に溶接することによって構成されている。箱状部(32a)には、図1に示すように、椅子の背もたれ杆(16)の下端が、左右方向のピン(38)によって傾動可能に取り付けられている。
【0016】中央片(32)の後部面側には、座インナーシェル(28)取付用の通孔(40)が穿設され、座インナーシェル(28)は、ねじ(42)によって、中央片(32)にアウターシェル(29)とともに固定されている。
【0017】図2及び図3に示すように、支持片(34a)(34b)の後部には、それぞれ計3箇所の肘掛け取付用のねじ孔(35)が設けられている。ねじ孔(35)は、支持片(34a)(34b)に穿設した孔に、ナットを溶接することによって形成されている。
【0018】座席取付金具(30)の外周縁(37)は、補強のために、上方へ屈曲され、かつねじ孔(35)の周囲には、凹所(39)がプレス成形によって形成されている。支持片(34a)(34b)には、ねじ孔(35)に沿った円弧状部を有する補強片(41)が接合されている。
【0019】図1に示すように、肘掛け(44)は、支持片(34a)(34b)のねじ孔(35)に、止めねじ(46)によって取り付け固定されている。
【0020】肘掛け(44)に荷重が作用した場合、前記凹所(39)及び補強片(41)によって、座席取付金具(30)は、荷重に耐える十分な強度を発揮し、従来のように、座インナーシェル(28)及び座アウターシェル(29)を構造材として機能させる必要がなくなり、その結果、各シェル自体を厚肉化しなくてすみ、椅子全体の軽量化を図ることができる。
【0021】また、座インナーシェル(28)及び座アウターシェル(29)の表面に補強リブを設ける必要がなくなるので、デザイン的に見栄えが向上するとともに、シェルを成形する金型の構造を簡単化することができ、コストダウンが図られる。さらに、シェルの成形時間が短くてすむので、製造効率が向上する。
【0022】加えて、シェルに補強部材等を取り付ける必要がないので、部品点数を減少させることができ、椅子の組立作業の効率化、コストダウンを図ることが可能となる。
【0023】本実施形態では、中央片(32)と、支持片(34a)(34b)とを別部材として、各部材を溶接することによって座席取付金具(30)を構成しているが、溶接によらず一体成形された打ち抜き材等を用いることも可能である。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏すことができる。
(a) 請求項1の発明によると、座アウターシェル及び座インナーシェルを薄肉化することができるので、椅子全体を軽量化することができる。また、シェルに補強リブを設ける必要がないので、デザインが向上するとともに、シェル成形用の金型の構造を簡単化することが可能となり、製造コストを低減することができる。
【0025】(b) 請求項2の発明によると、支持片に補強のための凹凸を設けるか、または補強片を成形または接合しているので、簡単化された構成により、支持片の強度を向上させることができる。
【0026】(C) 請求項3の発明によると、座席取付金具を、複数の部材を組み合わせて構成しているので、安価な鉄製の部材を使用することが可能となり、椅子全体のコストダウンが図られる。
【出願人】 【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
【出願日】 平成10年(1998)4月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外1名)
【公開番号】 特開平11−309040
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−120326