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【発明の名称】 シートリクライニング装置
【発明者】 【氏名】小 島 康 敬

【氏名】吉 田 糾

【氏名】山 田 幸 史

【要約】 【課題】簡素で且つ小型のアッパアームのロアアームに対する支持構造を提供すること。

【解決手段】ロアアーム1及びアッパアーム2の一方に半抜き形成され内周面に軸受部22b及びラチエットを構成する内歯部22aを備えた凹部22と、ロアアーム1及びアッパアーム2の他方に半抜き形成され外周面が軸受部22bと摺接するように凹部22内に配置されると共にポール5を摺動自在に支持するガイド溝12を形成する凸部11とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートクッション側に保持されるロアアームと、該ロアアームに回動自在に支持されシートバック側に保持されるアッパアームと、前記ロアアームと前記アッパアームとの間に配設され互いに噛合して前記アッパアームの前記ロアアームに対する回動を規制するラチェット及びポールを備えるロック機構とを有するシートリクライニング装置において、前記ロアアーム及び前記アッパアームの一方に半抜き形成され内周面に軸受部及び前記ラチエットを構成する内歯部を備えた凹部と、前記ロアアーム及び前記アッパアームの他方に半抜き形成され外周面が前記軸受部と摺接するように前記凹部内に配置されると共に前記ポールを摺動自在に支持するガイド溝を形成する凸部とを有するシートリクライニング装置。
【請求項2】 前記凹部を構成する壁が前記シートバック側のフレーム部材への取付面を構成する、請求項1記載のシートリクライニング装置。
【請求項3】 前記アッパアームの前記取付面と前記フレーム部材との間に配設され前記アッパアームの外周縁を覆うように延在して前記ロアアームの外周縁と係合し前記アッパアームを前記ロアアームとの間で挟持する支持プレートを有する、請求項2記載のシートリクライニング装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートバックをシートクッションに対して傾斜角調整自在に支持するシートリクライニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のシートリクライニング装置としては、特開平1−104201号公報及び特開平2−128707号公報に示されるものが知られている。これらは、シートクッション側に保持されるロアアームと、ロアアームに回動自在に支持されシートバック側に保持されるアッパアームと、ロアアームとアッパアームとの間に配設され互いに噛合してアッパアームのロアアームに対する回動を規制するラチェット及びポールを備えるロック機構とを有するものである。
【0003】前者の従来装置では、内周面にラチェットを構成する内歯部が形成された第1凹部をアッパアームに半抜き形成すると共にポールを摺動自在に支持するガイド溝をロアアームに半抜き形成している。又、内周面にアッパアームの外周縁と摺接する軸受部が形成された第2凹部をガイド溝の回りでロアアームに半抜き形成し、この第2凹部の内周面の軸受部とアッパアームの外周縁との摺接でアッパアームをロアアームに回動自在に支持している。更に、ロアアームの外周縁を覆うように延在してロアアームを挟持する支持プレートをアッパアームに固定し、この支持プレートによりアッパアーム及びロアアームの軸方向の外れを防止している。
【0004】後者の従来装置では、内周面にラチェットを構成する内歯部及び軸受部が形成されたリング状の第1金具をアッパアームに固定し、ポールを摺動自在に支持するガイド溝が形成され外周面が軸受部と摺接する第2金具をロアアームに固定し、この第1金具の軸受部と第2金具の外周面との摺接でアッパアームをロアアームに回動自在に支持している。又、アッパアームは、ロアアームと第2金具との間で挟持されており、これにより、アッパアーム及びロアアームの軸方向の外れを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した前者の従来装置であると、ロアアームの軸受部がアッパアームの外周縁と摺接してアッパアームをロアアームに支持しているため、ロアアームをアッパアームより大きくしなければならず、その分だけ、装置全体が大型化し、コストアップや重量増を招くこととなる。
【0006】又、後者の従来装置であると、第1金具及び第2金具を必要とするため、部品点数が増え、その分だけコストアップや重量増を招くこととなる。更に、第2金具とロアアームとでアッパアームを挟持しているため、アッパアームに大面積の開口を設けなければならなくなり、その分だけアッパアームの強度が低下することとなる。
【0007】故に、本発明は、簡素で且つ小型のアッパアームのロアアームに対する支持構造を提供することを、その技術的課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、ロアアーム及びアッパアームの一方に半抜き形成され内周面に軸受部及びラチエットを構成する内歯部を備えた凹部と、前記ロアアーム及び前記アッパアームの他方に半抜き形成され外周面が前記軸受部と摺接するように前記凹部内に配置されると共にポールを摺動自在に支持するガイド溝を形成する凸部とを有した、ことである。
【0009】この技術的手段によれば、半抜き形成された凹部の軸受部と半抜き形成された凸部の外周面との摺接でアッパアームがロアアームに支持される。よって、アッパアーム及びロアアームを小型化することができると共に従来必要であった金具を必要とせず、部品点数も削減される。
【0010】より好ましくは、前記凹部を構成する壁が前記シートバック側のフレーム部材への取付面を構成する、と良い。
【0011】より好ましくは、前記アッパアームの前記取付面と前記フレーム部材との間に配設され前記アッパアームの外周縁を覆うように延在して前記ロアアームの外周縁と係合し前記アッパアームを前記ロアアームとの間で挟持する支持プレートを有する、と良い。
【0012】
【発明の実施の形態】図1及び図2に示されるように、シートクッションフレームAに固定されるロアアーム1には、シートバックフレームBに固定されるアッパアーム2が回動自在に支持されている。ロアアーム1には、アッパアーム2のロアアーム1に対する回動中心線上に配置された回転軸3が回転自在に支持されている。この回転軸3は、アッパアーム2に形成された貫通孔21を貫通して回転軸方向に延在している。尚、貫通孔21は、回転軸3の径より大きく、アッパアーム2と回転軸3との間には、若干の隙間が持たされている。又、ロアアーム1とアッパアーム2との間には、ロック機構4が回転軸3周りに位置して配設されている。
【0013】ロック機構4は、3つのポール5及びこのポール5と噛合及び噛合解除する内歯部22bより構成されている。
【0014】ロアアーム1には、図3及び図5に示されるように、3つの凸部11がアッパアーム2に向かって突出するように半抜き形成されている。この凸部11は、夫々、回転軸3を中心として周方向に延在する円弧状であって、周方向端面が隣合う凸部11の周方向端面と対向するように同一円周上に位置している。これにより、凸部11の対向し合う周方向端面間で放射状(回転軸3を中心として回転軸3の径方向)に延在する3つのガイド溝12をロアアーム1に形成している。このガイド溝12は、回転軸3を中心として周方向において略等間隔で均等に配置されている。ポール5は、夫々、ガイド溝12内に配置され、ロアアーム1にガイド溝12に沿って摺動自在に支持されている。
【0015】アッパアーム2のロアアーム1と対向する側の面には、図4及び図5に示されるように、回転軸3を中心として略正円の凹部22が半抜き形成されている。この凹部22の内周面には、前述したポール5と噛合可能な内歯部22a及び平面状の軸受部22bが凹部22の形成によって一体に形成されている。
【0016】このような構成において、図5に示されるように、ロアアーム1の凸部11は、アッパアーム2の凹部22内に収容され、凸部11の外周面は、軸受部22bと摺接する。これにより、アッパアーム2はロアアーム1に対して回動自在に支持されることになる。又、ポール5は、内歯部22aと対向し、ポール5の摺動動作で内歯部22aと噛合及び噛合解除するよう配置される。
【0017】回転軸3には平滑面31aを備えた支持部31が形成されており、この支持部31にカム6が一体回転するように支持されている。このカム6は、3つのポール3の背面と当接可能に凹部22内に配置されており、ポール5の背面と当接することでポール5を内歯部22aと噛合する方向に押圧する。又、カム6の回転軸3が挿通する貫通孔61は、支持部31の径より若干大きく、平滑面31aと摺接する平滑面31a、61aを備えるものである。この平滑面31a、61aは、後述するカム面12bに向かうように図5示上下方向に延在するものであって、カム6は、平滑面61aにより、回転軸3と一体回転し且つ回転軸3に対して移動可能となっている。
【0018】回転軸3には、操作ハンドル7が一体回転するように固着されている。ロアアーム1のガイド溝12には、ガイド方向に延在する長穴12aが形成されており、ポール5には、この長穴12aに貫通して操作ハンドル7側へと延在するピン51が立設されている。操作ハンドル7には、カム長穴71が形成されており、ポール5のピン51は、このカム長穴71に挿通されている。これにより、ポール5は、ピン51とカム長穴71とのカム作用によりガイド溝12に沿って摺動させられ、内歯部22aとの噛合を解除する。
【0019】長穴12aのうちの一つ(図5示上側のもの)には、図3及び図5に示されるように、その端を徐々に先細りとするカム面12bが形成されている。ポール5には、ピン51と平行で且つ長穴12aに挿通される突部52が半抜き形成されている。カム面12bが形成された長穴12aに挿通される突部52(図5示上側のポール5Aの突部52)は、カム面12bと当接可能であって、この突部52とカム面12bとの当接によりカム6を回転軸3に対して移動させる。
【0020】アッパアーム2の凹部22を構成する壁には、複数のボス部23が形成されている。アッパアーム2は、このボス部23に挿通される2種類のピン8、9によりシートバックフレームBにボス部23の先端面で取り付けられ、この凹部22を構成する壁のボス部23の先端面が取付面24を構成している。尚、ピン8は、図1中a,bにも装着され、ピン9は、図1中b,cにも装着されており、ピン8は、ピン9よりも長い軸部81を備えている。
【0021】アッパアーム2の取付面24側には、支持プレート10が配設されている。この支持プレート10は、リング状を呈したものであって、ロアアーム1と共締めされてシートクッションフレームに固定されている。この支持プレート10には、アッパアーム2の外周縁の一部を覆ってロアアーム1側に延在するフランジ部10aが形成されている。このフランジ部10aは、ロアアーム1の外周縁と係合しており、これにより、アッパアーム2をロアアーム1と支持プレート10との間で挟み込み、アッパアーム2のロアアーム1に対する軸方向の外れを規制している。
【0022】尚、回転軸3周りに配設されるスプリングCは、支持プレート10と回転軸3との間に張設されたものであって、ポール5がカム6により押圧されて内歯部22aと噛合するように回転軸3を回転付勢している。又、スプリングDは、支持プレート10とアッパアーム2との間に張設されたものであって、アッパアーム2をロアアーム1に対して回動付勢している。
【0023】次に作動について説明する。
【0024】常時は、カム6とポール5の背面との当接で全てのポール5が押圧されており、これにより、全てのポール5と内歯部22aとが噛合してアッパアーム2のロアアーム1に対する回動が規制されている。
【0025】この状態で操作ハンドル7を操作して回転軸3をスプリングCの付勢力に抗して回転させると、カム6も回転軸3と一体に図5示時計方向に回転して全てのポール5の背面から外れると共に操作ハンドル7のカム長穴71とポール5のピン51とのカム作用により全てのポール5がガイド溝12に沿って摺動させられる。これにより、全てのポール5と内歯部22aとの噛合が解除され、アッパアーム2がスプリングDの付勢力を受けてロアアーム1に対して軸受部22bと凸部11との摺接によりガイドされながら回動する。
【0026】操作ハンドル7の操作を解除すると、回転軸3がスプリングCの付勢力を受けて前述とは逆に回転する。これにより、操作ハンドル7のカム長穴71とポール5のピン51とのカム作用により全てのポール5がガイド溝12に沿って前述とは逆に摺動させられると共にカム6も前述とは逆に回転してポール5の背面と当接し全てのポール5を押圧する。結果、全てのポール5と内歯部22aとが再び噛合してアッパアーム2のロアアーム1に対する回動が規制される。
【0027】この時、ポール5Aの突部52がロアアーム1の長穴12のカム面12bと当接する。これにより、ポール5Aはその反力でカム6を押圧して、回転軸3に対して図5示下方向に移動させる。これにより、カム面12bと突部52との当接が行われない残りのポール5(図5示下側の2つのポール5B、5C)の背面を押圧してこのポール5C、5Bを内歯部22aと噛合する方向により強く押圧する。結果、ポール5C、5Dは、内歯部22aとより深く噛合し、この噛合を介してアッパアーム2を図5示下方に押し下げ、ポール5Aと内歯部22aとがより深く噛合する。これにより、アッパアーム2のロアアーム1に対する回動方向のガタが確実に抑制される。
【0028】又、ポール5と内歯部22aとの噛合によりアッパアーム2のロアアーム1に対する回動が規制されている時にシートバックフレームBからアッパアーム2に負荷が作用した際、軸受部22bと凸部11の外周面との摺接でこの負荷を受け、ロアアーム1にこの負荷を伝達する。よって、回転軸3には負荷が作用せず、回転軸3のスムーズな回転が保証される。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、半抜き形成された凹部の軸受部と半抜き形成された凸部の外周面との摺接でアッパアームをロアアームに支持しているので、アッパアーム及びロアアームを小型化することができると共に従来必要であった金具を必要とせず、部品点数を削減することができる。これにより、低コストで且つ軽量なシートリクライニング装置とすることができる。
【0030】又、本発明によれば、凹部を構成する壁をシートバック側のフレーム部材との取付面とし、この取付面とフレーム部材との間に支持プレートを配設してアッパアームをロアアームとで挟持するようにしたので、フレーム部材の強度低下もなく、部品点数を増やすことなくアッパアームのロアアームへの確実な支持及びアッパアームのフレーム部材への強固な取り付けを確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月2日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−155671
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−332083