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【発明の名称】 面状弾性体による座面を有するシート
【発明者】 【氏名】松崎 勉

【氏名】前田 稔

【氏名】長谷川 広明

【氏名】高橋 直弘

【氏名】青 励

【氏名】須佐 大輔

【要約】 【課題】伸縮性のある面状弾性体をシートフレームの枠内に張設することにより座面を形成すると共に、その座面より隆起する土手部を簡略な構成で設けて着座時のホールド性を向上し、また、土手部を含むシート全体を堅牢なものに組み立てる。

【解決手段】面状弾性体1が張設されたシートフレーム2の軸線を内部に収容させて中空立体形に形成された外皮31と、その外皮31の内部に装填されて外皮31をクッション体として立体形に保形するパッド部32とから土手部b2 をシートフレーム2の軸線上に一体に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の軸線形状に軸線曲げされた各辺部から略四辺形の枠状に形成されたシートフレームを備え、伸縮性のある面状弾性体を該シートフレームの枠内に張設することにより座面を形成する面状弾性体による座面を有するシートにおいて、上記面状弾性体が張設されたシートフレームの軸線を内部に収容させて中空立体形に形成された外皮と、その外皮の内部に装填されて外皮をクッション体として立体形に保形するパッド部とから土手部をシートフレームの軸線上に一体に設けたことを特徴とする面状弾性体による座面を有するシート。
【請求項2】 シートフレームの軸線を内部に埋込み挿通し、且つ、面状弾性体を端末で接合させて面状弾性体を内側に張設支持する土手基部をシートフレームに軸線に沿って一体に樹脂成形し、この土手基部を内部に収容する外皮と、その外皮をクッション体として立体形に保形するパッド部とから土手部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の面状弾性体による座面を有するシート。
【請求項3】 土手基部の内側辺より座面の裏側に伸びる薄肉状のフランジ部を設け、そのフランジ部の先端側をブロー成形によるパリソンの食切り部として外皮を形成したことを特徴とする請求項2に記載の面状弾性体による座面を有するシート。
【請求項4】 布地等の表皮材を座面より隆起する外皮の湾曲面に被着したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の面状弾性体による座面を有するシート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性のある面状弾性体から座面を形成する面状弾性体による座面を有するシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】既に、所定の軸線形状に軸線曲げされた各辺部から略四辺形の枠状に形成されたシートフレームを備え、伸縮性のある面状弾性体をシートフレームの枠内に張設することにより座面を形成するシートは提案されている(USP5,013,089、同5,533,789、特表平8ー507935号)。
【0003】そのシートは座面を面状弾性体で形成するものであるから、通気性を付与できると共に、パッド材やテンションスプリング等の構成部材を省け、デザイン的にも通常のシートと異なる特殊性を持たせられる。また、面状弾性体が薄いため、シート全体の軽量化を図れてスペース効率もよい点で好ましい。
【0004】然し、先に提案されているシートでは土手部がほとんど設けられていないため、着座時のホールド性に欠ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、伸縮性のある面状弾性体をシートフレームの枠内に張設することにより座面を形成すると共に、その座面より隆起する土手部を簡略な構成で設けて着座時のホールド性を向上し、また、土手部を含むシート全体を堅牢なものに組立可能な面状弾性体による座面を有するシートを提供することを目的とする。
【0006】それに加えて、本発明は触感乃至はクッション性の良好な土手部を設けて着座性に優れた面状弾性体による座面を有するシートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る面状弾性体による座面を有するシートにおいては、面状弾性体が張設されたシートフレームの軸線を内部に収容させて中空立体形に形成された外皮と、その外皮の内部に装填されて外皮をクッション体として立体形に保形するパッド部とから土手部をシートフレームの軸線上に一体に設けることにより構成されている。
【0008】本発明の請求項2に係る面状弾性体による座面を有するシートにおいては、シートフレームの軸線を内部に埋込み挿通し、且つ、面状弾性体を端末で一体に接合させて面状弾性体を内側に張設支持する土手基部をシートフレームの軸線に沿って一体に樹脂成形し、この土手基部を内部に収容する外皮と、その外皮をクッション体として立体形に保形するパッド部とから土手部を形成することにより構成されている。
【0009】本発明の請求項3に係る面状弾性体による座面を有するシートにおいては、土手基部の内側辺より面状弾性体による座面の裏側に伸びる薄肉状のフランジ部を設け、そのフランジ部の先端側をブロー成形によるパリソンの食切り部として外皮を形成することにより構成されている。
【0010】本発明の請求項4に係る面状弾性体による座面を有するシートにおいては、布地等の表皮材を座面より隆起する外皮の湾曲面に被着することにより構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して説明すると、図示実施の形態は図1で示すように車両用シートにおいてシートバックB並びにシートクッションCの座面b1 ,c1を面状弾性体で形成すると共に、その座面b1 ,c1 の周囲を取り囲む如く土手部b2 ,c2 を設けるのに適用されている。この車両用シートは、人体の着座姿勢に適合するよう所定の軸線形状に軸線曲げされた各辺部から略四辺形の枠状に形成されたシートフレームを基枠として組み立てられている。
【0012】そのシートは図2で示すシートバックBで説明すると、座面b1 が伸縮性のある布地の面状弾性体1で形成されている。この面状弾性体1としては、例えば内装織物に使用される繊維状ヤーンからなる複数のストランドを交織した複数のエラストマーモノフィラメントで形成したもの或いは1000〜4000デニールのエラストマーモノフィラメントを経糸また緯糸に用いることにより伸縮性を付与した織物または編物を用いるようにできる。
【0013】そのシートバックBは、金属パイプのシートバックフレーム2(以下、「パイプフレーム」という。)を基枠に構成されている。また、図3で示すようにパイプフレーム2の軸線を内部に埋込み挿通すると共に、面状弾性体1を端末で一体に接合させて面状弾性体1を内側に張設支持する土手基部30を樹脂成形し、そのシートバックフレーム2と一体の土手基部30を外皮31の内部に収容することにより座面b1 より膨出隆起する土手部b2 が設けられている。
【0014】土手基部30は、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からパイプフレーム2の軸線を内部にインサートさせてインジェクション成形することによりパイプフレーム2の軸線に沿って一体に樹脂成形することができる。また、面状弾性体1は端末をクランプ等で挟んで全体を適度な張力で周囲より引張支持することによりインジェクション成形型に組み付け、その端末側を土手基部30の表面側に敷き込んで土手基部30をインジェクション成形することから土手基部30と一体に接合させて内側に張設固定することができる。
【0015】外皮31は、人体の上半身を着座姿勢で両側部から安定よく支持可能な隆起度合いを持って座面b1 より膨出隆起する中空立体形に樹脂成形されている。その外皮31は軟質なゴム系の樹脂材料から形成し、例えば熱可塑性エラストマー等を用いてブロー成形することができる。この外皮31をブロー成形するには、土手基部30の内側縁より座面b1 の裏側に伸びる薄肉状のフランジ部30aを土手基部30に設け、そのフランジ部30aの先端側30bをブロー成形によるパリソンの食切り部として外皮31を形成するとよい。
【0016】その外皮31は、パッド部32を内部に設けることによりクッション体として立体形に保形形成されている。このパッド部32は、発泡ウレタン,ファイバー綿,発泡ビーズ等のパッド材をブロー成形穴より外皮31の内部に装填させてパイプフレーム2の軸線を埋め込むことから、所定の隆起形状を有する土手部b2としてパイプフレーム2の軸線上に一体に設けることができる。
【0017】このように構成するシートバックでは、人体の上半身を着座姿勢で両側部から安定よく支持可能な隆起度合いを持って面状弾性体1による座面b1 より膨出隆起する土手部b2 を設けることにより着座時のホールド性を向上することができる。また、土手部b2 はパイプフレーム2を基枠として軸線を内部に収容する中空立体形の外皮31と、その外皮31の内部に装填されるパッド部32とから、外皮31をクッション体として立体形に保形させて所定の隆起形状を有するようパイプフレーム2の軸線上に一体に設けるものであるため、クッション性が良好で土手部b2 を含むシート全体を簡略な構成で堅牢に組み立てることができる。
【0018】それに加えて、パイプフレーム2には土手基部30を一体に樹脂成形し、その土手基部30を受け座として面状弾性体1を端末で接合することにより面状弾性体1を内側に張設支持するから、面状弾性体1を適度なテンションでパイプフレーム2の内側に安定よく張設支持することができる。
【0019】外皮31をブロー成形するときには、土手基部30の内側縁より座面b1 の裏側に伸びる薄肉状のフランジ部30aを土手基部30に設け、このフランジ部30aの先端寄り30bをブロー成形によるパリソンの食切り部とするため、面状弾性体1をパリソンの食い切りに伴って傷付けるのを防ぐことができる。また、その薄肉状のフランジ部30aは座者の荷重で撓み変形するから使用に伴う面状弾性体1の傷付けも防ぐことができる。
【0020】上述した実施の形態の他に、土手部b2 には図4で示すように布地等の表皮材33を外皮31の座面b1 より隆起する湾曲面に被着することができる。この表皮材33は、外皮31をブロー成形する時に型内に挿置することにより一体に接合成形することができる。その表皮材33を備えると、軟質なゴム系の樹脂材料から形成する外皮31と共に、土手部b2 の触感を良好なものにできて装飾性も向上することができる。
【0021】上述した各部構成は、図5で示すシートクッションCにも共通に適用することができる。このシートクッションCでは、パイプフレーム2によるシートクッションフレームを基枠にし、そのパイプフレーム2の軸線を内部に埋め込んで面状弾性体1を内側に張設支持する土手基部30を樹脂成形し、人体の大腿部から腰回りを着座姿勢で安定よく支持可能な隆起度合いを持って面状弾性体1による座面b1 より膨出隆起する外皮31をパッド部32でクッション体として保形することにより土手部b2 が設けられている。
【0022】なお、上述した実施の形態では面状弾性体1を内側に張設支持する土手基部30をパイプフレーム2と一体に樹脂成形する場合に基づいて説明したが、面状弾性体1を端末でパイプフレーム2の軸線上に直接巻き付けて止着すると共に、そのパイプフレーム2の軸線を外皮31で収容することによっても同様に構成することができる。
【0023】
【発明の効果】以上の如く、本発明の請求項1に係る面状弾性体による座面を有するシートに依れば、人体を着座姿勢で安定よく支持可能な隆起度合いを持って面状弾性体による座面より膨出隆起する土手部を設けることにより着座時のホールド性を向上でき、また、シートフレームを基枠として軸線を内部に収容する中空立体形の外皮と、その外皮の内部に装填されるパッド部とから外皮をクッション体として立体形に保形させて土手部をシートフレームの軸線上に一体に設けるため、クッション性の良好な土手部を含むシート全体を簡略な構成で堅牢に組み立てることができる。
【0024】本発明の請求項2に係る面状弾性体による座面を有するシートに依れば、シートフレームの軸線を内部に埋込み挿通し、且つ、面状弾性体を端末で一体に接合させて面状弾性体を内側に張設支持する土手基部を樹脂成形し、その土手基部を受け座として面状弾性体を端末で接合することにより面状弾性体を内側に張設支持するから、面状弾性体を適度なテンションでシートフレームの内側に安定よく張設支持することができる。
【0025】本発明の請求項3に係る面状弾性体による座面を有するシートに依れば、土手基部の内側縁より座面の裏側に伸びる薄肉状のフランジ部を設け、そのフランジ部の先端側をブロー成形によるパリソンの食切り部とするため、面状弾性体をパリソンの食い切りに伴って傷付けるのを防げると共に、このフランジ部が座者の荷重で撓み変形することにより使用に伴う面状弾性体の傷付けも防ぐことができる。
【0026】本発明の請求項4に係る面状弾性体による座面を有するシートに依れば、布地等の表皮材を外皮の座面より隆起する湾曲面に被着することにより、土手部の触感を良好なものにできて装飾性も向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 和夫
【公開番号】 特開平11−75985
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−267711