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【発明の名称】 自動車のシート装置におけるシートバックフレーム構造
【発明者】 【氏名】戎本 和雄

【要約】 【課題】シートの後方に積んだ荷物が、急制動時などに、シートバックの後面に衝突したとき、このシートバックが容易には破損しないようにする。

【解決手段】シートバック16のシートバックフレーム19が、上、下部フレーム22,23と、これら上、下部フレーム22,23の各端部同士を結合させる側部フレーム24とを備える。シートバックフレーム19の各下側部をヒンジ17,17により車室フロア4に枢支させる。上部フレーム22の中央部22aを連結フレーム6に係止させる係止具28を設ける。ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレーム22の中央部22aに結合され他端部が上記下部フレーム23の各端部および/もしくは側部フレーム24の各下端部に結合される左右一対の傾斜フレーム25と、ほぼ直線的に延びてその各端部が上記左右傾斜フレーム25,25の長手方向の各中途部に結合される横向きフレーム26とを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車室に、この車室のほぼ全幅にわたり延びるシートを設け、上記シートが上記車室の車室フロア側から上方に向って突出するシートバックを有し、このシートバックのシートバックフレームが、このシートバックフレームの上、下端部を構成して車幅方向に延びる上、下部フレームと、上記シートバックフレームの各側端部を構成して上記上、下部フレームの各端部同士を結合させる側部フレームとを備え、上記シートバックフレームの各下側部を車体静止側に枢支させる左右一対のヒンジを設け、かつ、上記上部フレームの車幅方向の中央部を車体静止側に係脱自在に係止させる係止具を設けた自動車のシート装置において、ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレームの中央部に結合され他端部が上記下部フレームの各端部および/もしくは側部フレームの各下端部に結合される左右一対の傾斜フレームと、ほぼ直線的に延びてその各端部が上記左右傾斜フレームの長手方向の各中途部に結合される横向きフレームとを設けた自動車のシート装置におけるシートバックフレーム構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートの後方に積荷可能とされた自動車のシート装置において、このシートのシートバックが有するシートバックフレームの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記自動車のシート装置におけるシートバックフレーム構造には、従来、実開平2‐141243号公報で示されたものがある。
【0003】これによれば、シートバックが有するシートバックフレームは、このシートバックフレームの上、下端部を構成して車幅方向に延びる上、下部フレームと、上記シートバックフレームの各側端部を構成して上記上、下部フレームの各端部同士を結合させる側部フレームと、ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレームの左端部に結合され他端部が上記下部フレームの右端部や側部フレームの下端部に結合される傾斜フレームとを備えている。
【0004】上記の場合、シートバックの正面視で、上記上部フレーム、右側部フレーム、および傾斜フレームで囲まれた第1空間は倒立三角形状となる。一方、下部フレーム、左側部フレーム、および傾斜フレームで囲まれた第2空間は正立三角形状となる。
【0005】また、上記シートバックは、一般に、上記シートバックフレームの前面側に取り付けられるパッドと、これらシートバックフレームとパッドとを一体的に覆う袋状の表皮とを備えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の技術のシートを、例えば、ワンボックスカーの車室に適用し、この車室のほぼ全幅にわたり延びるよう車幅方向に長い形状にすることが考えられる。
【0007】上記自動車において、シートの後方に荷物を積んだ状態での走行中に、これを急制動させたとすると、上記荷物はその慣性力で前方移動し上記シートバックの後面に衝突するが、この場合、上記第1空間は倒立三角形状をなして、その下部の幅寸法は小さいため、前方移動する上記荷物が上記第1空間内に入り込もうとしても、これは、上記荷物が傾斜フレームに衝突することにより遮られ、もって、第1空間に対応する上記表皮等が上記荷物からの負荷によって破損させられるということは防止される。
【0008】しかし、上記第2空間は正立三角形状をなして、その下部の幅寸法が大きいと共に高さがシートバックの上部にまで達して広い空間となっており、このため、上記第2空間側に向って移動した荷物は傾斜フレームに衝突することなく、上記第2空間内に入り込もうとして、この第2空間に対応する表皮等に勢いよく衝突し、十分に強度を有していないこれら表皮等を大きく破損させるおそれがある。
【0009】本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、シートの後方に積んだ荷物が、急制動時などに、シートバックの後面に衝突したとき、このシートバックが容易には破損しないようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の自動車のシート装置におけるシートバックフレーム構造は、車室8に、この車室8のほぼ全幅にわたり延びるシート14を設け、上記シート14が上記車室8の車室フロア4側から上方に向って突出するシートバック16を有し、このシートバック16のシートバックフレーム19が、このシートバックフレーム19の上、下端部を構成して車幅方向に延びる上、下部フレーム22,23と、上記シートバックフレーム19の各側端部を構成して上記上、下部フレーム22,23の各端部同士を結合させる側部フレーム24とを備え、上記シートバックフレーム19の各下側部を車室フロア(車体静止側)4に枢支させる左右一対のヒンジ17,17を設け、かつ、上記上部フレーム22の車幅方向の中央部22aを連結フレーム(車体静止側)6に係脱自在に係止させる係止具28を設けた自動車のシート装置において、【0011】ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレーム22の中央部22aに結合され他端部が上記下部フレーム23の各端部および/もしくは側部フレーム24の各下端部に結合される左右一対の傾斜フレーム25と、ほぼ直線的に延びてその各端部が上記左右傾斜フレーム25,25の長手方向の各中途部に結合される横向きフレーム26とを設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0013】図1、2は、本発明の実施の形態を示している。
【0014】図中符号1は自動車で、矢印Frはその前方を示している。この自動車1の車体2は板金製で、車体静止側である左右側壁3,3と、これら側壁3,3の下端部に架設される車室フロア4と、上記側壁3,3の上端部に架設されるルーフ5と、上記左右側壁3,3に架設されるパイプ製の連結フレーム6とを備えている。この連結フレーム6は十分の強度と剛性とを有して、車体2の強度と剛性を向上させる補強材として働く。
【0015】上記左右側壁3,3、車室フロア4、およびルーフ5で囲まれた車体2の内部空間が車室8である。この車室8の前後方向の中途部に乗員(乗客含む)9着座用のシート装置10が設けられ、このシート装置10の後方における上記車室8の後部が荷物11の積み込みが可能な荷室12とされている。図1中符号13は、車体2の車幅方向の中央を示し、この中央13を中心として、車体2は左右ほぼ対称形とされている。
【0016】上記シート装置10は上記車室8のほぼ全幅にわたり延びるシート14を有している。このシート14は、上記車室フロア4に支持されたシートクッション15と、このシートクッション15の後端部近傍で、上記車室フロア4側から上方に向って突出し起立姿勢をとるシートバック16と、このシートバック16を上記車室フロア4に前後に回動自在に枢支させる左右一対のヒンジ17とを備えている。上記シートクッション15に乗員9が着座可能であり、上記シートクッション15に着座した乗員9が上記起立姿勢のシートバック16に背もたれ可能とされている。
【0017】上記シートバック16は、円形のパイプ材で枠組みされたシートバックフレーム19と、このシートバックフレーム19の前面を全体的に覆うようにこのシートバックフレーム19の前面側に取り付けられる不図示のパッドと、これらシートバックフレーム19とパッドとを一体的に覆う袋状の表皮20とを備えている。
【0018】上記シートバックフレーム19は、このシートバックフレーム19の上、下端部を構成して車幅方向に延びる上、下部フレーム22,23と、上記シートバックフレーム19の車幅方向の各側端部を構成して上下方向に延びかつ上記上、下部フレーム22,23の車幅方向の各端部同士を結合させる側部フレーム24,24と、ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレーム22の中央部22aに結合され他端部が上記下部フレーム23の各端部に結合される左右一対の傾斜フレーム25と、ほぼ直線的かつほぼ水平に延びてその各端部が上記左右傾斜フレーム25,25の長手方向の各中途部に結合される横向きフレーム26とを備えている。
【0019】前記各ヒンジ17は、上記シートバックフレーム19の各下側部を上記車体静止側である車室フロア4に枢支させるもので、上記車室フロア4に突設されたブラケット17aと、このブラケット17aに上記シートバックフレーム19を枢支させる枢支軸17bとを備え、上記各ヒンジ17の枢支軸17bを中心として、図示の起立姿勢のシートバック16がその前方に向って往復回動自在とされている。
【0020】図2中一点鎖線で示すように、上記シートバック16を前方に回動させれば、このシートバック16は上記シートクッション15上に折り畳み可能とされている。この折り畳み状態から、上記シートバック16を起立姿勢にさせようとして復回動させると、このシートバック16を上記連結フレーム6に係脱自在に係止させる係止具28が設けられ、この係止具28による係止によって、上記シートバック16がその起立姿勢のままとなるように上記連結フレーム6に支持される。
【0021】上記係止具28は、上記上部フレーム22の車幅方向の中央部22aを上記連結フレーム6の車幅方向の中央部に係脱自在に係止させるものであって、上記係止具28は、上記連結フレーム6に取り付けられる係止具本体29と、この係止具本体29に係脱自在に係止されるよう上記上部フレーム22の中央部22aに取り付けられたストライカ30とを有している。
【0022】上記シートバック16の正面視(図1)で、上記上部フレーム22、各側部フレーム24,24、および各傾斜フレーム25,25で囲まれた左右一対の各第1空間32は、倒立三角形状をなしてその下部の幅寸法は小さくなっている。
【0023】また、上記横向きフレーム26はシートバックフレーム19の上下方向の中途部(ほぼ中央部)に位置しており、このため、上記下部フレーム23、左右傾斜フレーム25,25、および横向きフレーム26で囲まれた台形状の第2空間33は、高さの低い空間となり、また、上記左右傾斜フレーム25,25と横向きフレーム26とで囲まれた三角形状の第3空間34も高さの低い空間となっている。
【0024】よって、例えば、上記シート14のシートバック16の後方に荷物11を積んだ自動車1の走行中に、急制動等によって、上記荷物11が前方移動したとき、この荷物11が上記いずれかの空間32〜34内に入り込もうとしても、これは、上記荷物11が傾斜フレーム25および/もしくは横向きフレーム26に衝突することにより遮られ、もって、各空間32〜34に対応する表皮20等が上記荷物11の負荷によって破損させられるということは防止され、つまり、シートバック16の破損が防止される。
【0025】しかも、上記したように荷物11が傾斜フレーム25や横向きフレーム26に衝突したときには、これら傾斜フレーム25や横向きフレーム26に与えられた負荷は、上記傾斜フレーム25の各端部から上記上、下部フレーム22,23や側部フレーム24に伝えられると共に、上記ヒンジ17や係止具28を介し車室フロア4や連結フレーム6で支持されることになるが、上記傾斜フレーム25の各端部は、上記各ヒンジ17や係止具28の近傍に位置させられているため、上記荷物11から上記傾斜フレーム25や横向きフレーム26に与えられた負荷は、上記上、下部フレーム22,23や各側部フレーム24に無用な負荷(曲げモーメント)を生じさせることなく、より直接的に上記した車室フロア4や連結フレーム6で支持されることとなる。
【0026】よって、上記傾斜フレーム25や横向きフレーム26により、上記荷物11からの負荷が強固に支持されることとなって、上記荷物11が上記いずれかの空間32〜34内に入り込もうとすることはより確実に遮られ、このため、シートバック16の破損がより確実に防止される。
【0027】なお、以上は図示の例によるが、上記シートバック16は上記シートクッション15の後端部にヒンジ17により枢支させてもよく、つまり、上記シートバック16はシートクッション15の後端部を介して上記車室フロア4に枢支させてもよい。また、上記各傾斜フレーム25の他端部は、上記下部フレーム23の各端部に結合させることに加えて、もしくはこれに代えて、上記側部フレーム24の各下端部に結合させてもよい。
【0028】図3で示した自動車1のシート装置10は、本発明の実施の形態に対する比較例であり、これは前記した本発明の実施の形態と基本構成が同様であるため、共通する構成については、共通の符号を付してその説明を省略する。
【0029】上記シート装置10のシート14におけるシートバック16は、本発明の実施の形態における各傾斜フレーム25と横向きフレーム26に代えて、上、下部フレーム22,23と、各側部フレーム24,24とで囲まれた空間を全体的に覆うように取り付けられる板金製板材36を備えている。この板材36には、これの強度と剛性とを向上させるために、プレス成形された複数のビード37が形成されている。
【0030】ところで、上記したシートバック16によれば、荷物11との衝突による破損は防止できると考えられるが、上記板材36は重量が重いため、本発明の実施の形態のものを採用することが好ましい。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、車室に、この車室のほぼ全幅にわたり延びるシートを設け、上記シートが上記車室の車室フロア側から上方に向って突出するシートバックを有し、このシートバックのシートバックフレームが、このシートバックフレームの上、下端部を構成して車幅方向に延びる上、下部フレームと、上記シートバックフレームの各側端部を構成して上記上、下部フレームの各端部同士を結合させる側部フレームとを備え、上記シートバックフレームの各下側部を車体静止側に枢支させる左右一対のヒンジを設け、かつ、上記上部フレームの車幅方向の中央部を車体静止側に係脱自在に係止させる係止具を設けた自動車のシート装置において、【0032】ほぼ直線的に延びてその一端部が上記上部フレームの中央部に結合され他端部が上記下部フレームの各端部および/もしくは側部フレームの各下端部に結合される左右一対の傾斜フレームと、ほぼ直線的に延びてその各端部が上記左右傾斜フレームの長手方向の各中途部に結合される横向きフレームとを設けてある。
【0033】このため、上記シートバックの正面視で、上記上部フレーム、各側部フレーム、および各傾斜フレームで囲まれた左右一対の各第1空間は、倒立三角形状をなしてその下部の幅寸法は小さくなる。
【0034】また、上記横向きフレームはシートバックフレームの上下方向の中途部に位置しており、このため、上記下部フレーム、左右傾斜フレーム、および横向きフレームで囲まれた台形状の第2空間は、高さの低い空間となり、また、上記左右傾斜フレームと横向きフレームとで囲まれた三角形状の第3空間も高さの低い空間となる。
【0035】よって、例えば、上記シートのシートバックの後方に荷物を積んだ自動車の走行中に、急制動等によって、上記荷物が前方移動したとき、この荷物が上記いずれかの空間内に入り込もうとしても、これは、上記荷物が傾斜フレームおよび/もしくは横向きフレームに衝突することにより遮られ、もって、各空間に対応する表皮等が上記荷物の負荷によって破損させられるということは防止され、つまり、シートバックの破損が防止される。
【0036】しかも、上記したように荷物が傾斜フレームや横向きフレームに衝突したときには、これら傾斜フレームや横向きフレームに与えられた負荷は、上記傾斜フレームの各端部から上記上、下部フレームや側部フレームに伝えられると共に、上記ヒンジや係止具を介し車体静止側で支持されることになるが、上記傾斜フレームの各端部は、上記各ヒンジや係止具の近傍に位置させられているため、上記荷物から上記傾斜フレームや横向きフレームに与えられた負荷は、上記上、下部フレームや各側部フレームに無用な負荷(曲げモーメント)を生じさせることなく、より直接的に車体静止側で支持されることとなる。
【0037】よって、上記傾斜フレームや横向きフレームにより、上記荷物からの負荷が強固に支持されることとなって、上記荷物が上記いずれかの空間内に入り込もうとすることはより確実に遮られ、このため、シートバックの破損がより確実に防止される。
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 忠雄
【公開番号】 特開平11−56523
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−244778