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【発明の名称】 座席椅子用収納装置
【発明者】 【氏名】村野 健一

【氏名】松尾 元敬

【要約】 【課題】構造が簡単で、かつ椅子上昇時に床蓋が邪魔にならない座席椅子用収納装置を得る。

【解決手段】床下収納部3内に設置した昇降機構5を作動して、椅子9を設置した可動床7を、前記床下収納部3内の収納位置と床下収納部3上方のセット位置との間で昇降させる座席椅子用収納装置において、前記椅子9の背もたれ15を起倒可能に構成して、該椅子9が収納位置にあるときに該椅子9の背もたれ15の背面側が床面となるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床下収納部に設置した昇降機構を作動して、座席椅子を設置した昇降フレームを、前記床下収納部内の収納位置と前記床下収納部上方のセット位置との間で昇降させる座席椅子用収納装置において、前記座席椅子の背もたれを起倒可能に構成して、該座席椅子が収納位置にあるときに該座席椅子の背もたれの背面側が床面となるように構成したことを特徴とする座席椅子用収納装置。
【請求項2】 前記背もたれを傾倒方向に付勢する付勢手段と、前記背もたれを所定の角度に起こした状態に保持する背もたれ保持手段と、前記座席椅子の下降時に前記保持手段の保持を解除する解除手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の座席椅子用収納装置。
【請求項3】 前記背もたれを起立方向に付勢する付勢手段と、前記座席椅子の下降時に前記背もたれに係合して該背もたれを傾倒させる係合手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の座席椅子用収納装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種のイベントの開催などの多目的に使用されるアリーナ等の観覧席などに使用される座席椅子用収納装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多目的ホールなどではスペースの有効利用の観点から観覧席の椅子を床下に収納する椅子収納機構を備えたものがある。観覧席を必要としない時には椅子を床下に収納し、その上を通常の床面として使用するというものである。図11は特開平8−70950号公報に開示された椅子の床下収納機構の説明図である。図11に示したものは、床下に設けたボックスフレーム50の上面に椅子51の昇降時に該椅子51が通過できる開口部を設け、椅子51を降下させた収納時に前記開口部を塞ぐ床蓋53を設置したものである。そして床蓋53はモータ54を駆動源として、ガイド55に沿って、図12に示すように、開口部を塞ぐ位置と開口部から退避する位置とを移動できるように構成されている。
【0003】また、椅子収納機構を備えた観覧席の他の例として、椅子の出現のための昇降機構と床蓋の開閉機構を連動させ、床蓋開閉用の駆動源を省略させた例もある。このような例として例えば図13に示す特公平4−64386号公報に示された床上装置の自動出没装置がある。この例の場合には、電動ジャッキ60が駆動されると昇降機構61が作動して椅子59が設置された基台62を上昇させ、これと同時に基台62に固定された板部材63がフック板64から離れ、案内コロ65を介して昇降リンク66を突き上げ、昇降リンク66の上昇に伴って床蓋67が回動して開放される、というものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−70950号公報に開示された例では、椅子の昇降のための機構と床蓋を開閉させるための機構の2つの機構が必要で、かつ駆動源も複数必要である。そのため、機構が複雑になるという問題点があった。また、前記特公平4−64386号公報の例では、駆動源は少なくなるが、機構的には複雑となり、細部の調整などが必要になり実施に際しては種々の問題点がある。また、椅子59の上昇時に床蓋67が椅子59の下方に配置されるので、邪魔になる。
【0005】本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、構造が簡単で、かつ椅子上昇時に床蓋が邪魔にならない座席椅子用収納装置を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る座席椅子用収納装置は、床下収納部に設置した昇降機構を作動して、座席椅子を設置した昇降フレームを、前記床下収納部内の収納位置と床下収納部上方の設置位置との間で昇降させるものにおいて、前記座席椅子の背もたれを起倒可能に構成して、該座席椅子が収納位置にあるときに該座席椅子の背もたれの背面側が床面となるように構成したものである。
【0007】また、前記背もたれを傾倒方向に付勢する付勢手段と、前記背もたれを所定の角度に起こした状態に保持する背もたれ保持手段と、前記座席椅子の下降時に前記保持手段の保持を解除する解除手段とを備えたものである。
【0008】さらに、前記背もたれを起立方向に付勢する付勢手段と、前記座席椅子の下降時に前記背もたれに係合して該背もたれを傾倒させる係合手段とを備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は本発明の一実施形態の椅子収納状態における側面図、図2は図1の部分拡大図、図3は図1の状態における上面図である。図1乃至図3に基づいて本実施の形態の構成を説明する。図において、1は固定床、3は固定床の下方に設けられた床下収納部、5は床下収納部3の下部に設置された昇降機構、7は昇降機構5の上部に取り付けられた可動床、9は可動床7上に設置された座席椅子である。座席椅子9は、可動床7上に固定された脚部11、脚部11の上部に設けられた座部13、及び座部13に起倒可能に取り付けられた背もたれ15から構成されている。
【0010】背もたれ15における座部13に対向する面と反対側の面(以下、「背面」という。)は、図1に示す椅子収納状態においては床板となるものであり、床板と同様に強固な材質で形成されている。また、背もたれ15は、ピン17によって軸支されており、図示しないバネ等の付勢手段によって常に倒れる方向に付勢されている。19は背もたれ15を起こしたときに図示しない付勢手段の付勢力に抗して、背もたれ15を所定の起立状態に保持する背もたれ保持装置である。
【0011】背もたれ保持装置19の構成を図2に基づいて説明する。背もたれ保持装置19は、背もたれ15の基端側に回動可能に取り付けられた略V字状のレバー21と、レバー21を図中時計回り方向に引っ張るバネ23と、レバー21がバネ23によって時計回り方向に引っ張られたときに、所定の位置でレバー21を止めるレバーストッパ25と、背もたれ15を起こしたときにレバー21の一端に設けられたフック21aに係合する係合部27とから構成されている。なお、背もたれ保持装置19の動作については後述する。
【0012】29は背もたれ15を起こしたときに、背もたれ15に当接して背もたれ15を所定の角度に保持する背もたれストッパである。31は床下収納部3の側壁の上部に設けられ、背もたれ15を水平に倒した状態で背もたれ15がそれ以上床下収納部1側にめり込まないように背もたれ15を支持する支持装置である。支持装置31は、床下収納部3の側壁に設置されたバネ33と、バネ33の先端側に取り付けられた支持部35とによって支持部35が出没自在になるように構成されている。なお、座席椅子9の収納状態を上から見ると図3に示すように、背もたれ15の背面側が固定床と面一になり、平面状の床を形成している。図3から分かるように、隣り合う座席椅子9の背もたれ15における背面部は一体に形成されており、隣同士の座席椅子で段差ができることはない。
【0013】図4は昇降機構5を稼働して座席椅子9を上昇させ、背もたれ15を起こした状態の側面図、図5は図4の部分拡大図、図6は図4の状態における平面図である。図4乃至図6に基づいて、座席椅子9を昇降させて背もたれ15を起こした状態(以下、「セット状態」という。)の説明をする。セット状態においては、図5に示すように、背もたれ15の一部が背もたれストッパ29に当接すると共に、レバー21のフック21aが係合部27に係合している。このため、背もたれ15は、図4に示すように、所定の角度で起立した状態に保持されている。
【0014】図7は背もたれ保持装置19の動作説明図であり、図7(a),(b)が背もたれ15を起こして座席椅子をセットする時の動作説明図、図7(c)が保持装置19の解除時の動作説明図である。まず、図7(a),(b)に基づいてセット時の動作を説明する。昇降機構5を稼働して可動床7と固定床1が面一になる状態まで可動床7を上昇させる。上昇後、図示しない付勢手段の付勢力に抗して手動にて背もたれ15を起こす。背もたれ15を起こすと、背もたれ15に取り付けられたレバー21が図1の位置から移動して、図7(a)に示すように、フック21aの外面側が係合部27に当接する。この状態でさらに背もたれ15を起こすと、フック21aの外面側と係合部27とが相対移動して、図7(b)に示すように、係合部27がフック21aの内側にはまり込む。この状態が図4、図5に示す状態であるが、この状態では背もたれ15は図示しない付勢手段によって倒れる方向に回動しようとするが、フック21aと係合部27とが係合しているので、背もたれ15は回動できずに所定の位置に保持される。
【0015】次に、図7(c)に基づいて保持装置19の解除時の動作について説明する。背もたれ15を起こした状態のまま昇降機構5を稼働させて座席椅子を下降させる。座席椅子9がある程度下降するとレバー21のフック21aと反対側の端部が固定床1に当接し、さらに座席椅子9が下降すると、レバー21が図中反時計回り方向に回動して、フック21aと係合部27の係合が外れる。フック21aと係合部27の係合が外れると、背もたれ15は図示しないバネの付勢力によってピン17を中心に倒れる方向に回動して、図1に示す傾倒状態になる。
【0016】このように、本実施の形態によれば、座席椅子9を下降させて収納する場合に、背もたれ15を自動的に倒すことができ、椅子収納作業を迅速に行うことができる。なお、上記の説明では背もたれ15を起こす動作を手動で行う例を示したが、モータ等により電動にて背もたれ15を起こすようにすることもできる。
【0017】実施の形態2.図8は本発明の実施の形態2の椅子上昇状態における側面図である。図において、実施の形態1を示した図1と同一部分には同一符号を付してある。本実施の形態は、背もたれの背面側を床板として兼用する点は実施の形態1と同様であるが、背もたれを起立させる構成が実施の形態1と異なる。以下、具体的に説明する。図において、31は座席椅子9の座部13に起倒可能に取り付けられた背もたれである。背もたれ31の下端には円弧状部31aが形成され、該円弧状部31aは脚部11よりも外方に突出している。背もたれ31は図示しないバネ等の付勢手段によって常に起立方向に付勢されている。そして、図8に示すように、図示しないストッパによって所定の角度で保持されるようになっている。
【0018】33は一端側が背もたれ31に回動可能に取り付けられた肘掛け部である。肘掛け部33は図示しない付勢手段によって図中の矢印で示すように時計回り方向に付勢されている。そして、肘掛け部33は水平方向まで回動した状態で図示しないストッパによって保持されている。1aは固定床1における椅子収納部3側に形成された円弧状の凹部である。
【0019】図9は昇降機構を稼働させて座席椅子9を下降させている途中の状態を示す図、図10は座席椅子9を最下位の位置まで下降させた状態の図である。図8乃至図10に基づいて、本実施の形態の動作を説明する。昇降機構5を稼働させて座席椅子9をある程度下降させると、図9に示すように、円弧状部31aが固定床1の凹部1aに当接し、さらに下降させると円弧状部31aが固定床1の凹部1aから上向きの力(図中のF)を受け、この力Fによって背もたれ31はピン17を中心に時計回り方向に回動して倒れる。背もたれ31がある程度倒れると肘掛け部33が座部13に当接して反時計回り方向に回動する。そして、さらに座席椅子9が下降すると、図10に示すように、背もたれ31は水平になるまで倒れ、肘掛け部33は水平近くまで倒れる。このとき、背もたれ31の背面側が固定床1と面一になり、背もたれの背面が床面となる。
【0020】なお、背もたれ31の先端側は固定床1に形成された切欠部1bにその一部がはまり込み、背もたれ31の先端はそれ以上沈み込まないように保持される。
【0021】本実施の形態によれば、背もたれ31の起倒を座席椅子の昇降に伴って自動的に行うことができる。しかも極めてシンプルな構成であるため、コストを低く抑えることができる。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明においては、座席椅子の背もたれを起倒可能に構成して、該座席椅子が収納位置にあるときに該座席椅子の背もたれの背面側が床面となるように構成したので、床蓋の開閉機構等が不要となり、極めてシンプルな構成の座席椅子用収納装置が得られる。また、座席椅子を上昇させたときに床蓋が邪魔にならず、足元をすっきりさせることができる。
【0023】また、背もたれを傾倒方向に付勢する付勢手段と、前記背もたれを所定の角度に起こした状態に保持する背もたれ保持手段と、座席椅子の下降時に前記保持手段の保持を解除する解除手段とを備えたので、座席椅子を下降させて収納する場合に、背もたれを自動的に倒すことができ、椅子収納作業を迅速に行うことができる。
【0024】さらに、背もたれを起立方向に付勢する付勢手段と、座席椅子の下降時に前記背もたれに係合して該背もたれを傾倒させる係合手段とを備えたので、極めて簡単な構成で座席椅子の起倒を座席椅子の昇降に合わせて自動的に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【識別番号】591079188
【氏名又は名称】エヌケーケー総合設計株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 宗治 (外3名)
【公開番号】 特開平11−42139
【公開日】 平成11年(1999)2月16日
【出願番号】 特願平9−202755