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【発明の名称】 表皮一体型ヘッドレスト及びその製造方法
【発明者】 【氏名】河原 俊忠

【要約】 【課題】低コストで且つ美観性に優れた表皮一体型ヘッドレスト及びその製造方法を提供する。

【解決手段】ステー挿通用開口6を、表皮材21の一対の端部21c,21d同士を上記表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ略平行に縫合することにより、上記ステー挿通用開口6からの発泡樹脂材の漏出が防止される。また、表皮体2を構成する表皮材21の一対の端部21c,21d同士を該表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ略平行に縫合することで上記表皮体2の内外を連通するステー挿通用開口6を形成するとともに、上記表皮体2内にステー3を配置し且つその支持杆部31を上記ステー挿通用開口6を通して該表皮体2の外部へ延出せしめ、上記表皮体2内に発泡樹脂材を注入発泡させて発泡樹脂体4を成形することで、上記ステー挿通用開口6への目止材の装着作業が不要となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発泡樹脂材でなる発泡樹脂体(4)の外表面を袋状に縫製された表皮体(2)で被包するとともに、上記発泡樹脂体(4)内に埋没配置されたステー(3)の支持杆部(31)を上記表皮体(2)に設けたステー挿通用開口(6)を通して外部に延出させてなる表皮一体型ヘッドレストであって、上記ステー挿通用開口(6)が、上記表皮体(2)を構成する表皮材(21)の一対の端部(21c),(21d)同士を上記表皮体(2)の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合することでその縫合線(11),(12)間に上記表皮体(2)の内外を連通する如く形成された開口部分で構成されていることを特徴とする表皮一体型ヘッドレスト。
【請求項2】 袋状に縫製された表皮体(2)を構成する表皮材(21)の一対の端部(21c),(21d)同士を該表皮体(2)の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合することでその縫合線(11),(12)間に上記表皮体(2)の内外を連通するステー挿通用開口(6)を形成するとともに、上記表皮体(2)内にステー(3)を配置し且つその支持杆部(31)を上記ステー挿通用開口(6)を通して該表皮体(2)の外部へ延出せしめ、しかる後、上記表皮体(2)内に発泡樹脂材を注入し且つこれを発泡させることで、該表皮体(2)の内部に、該表皮体(2)によりその外表面が被包されるとともに上記ステー(3)が埋没固定せしめられた発泡樹脂体(4)を成形することを特徴とする表皮一体型ヘッドレストの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、表皮一体型ヘッドレスト及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5には、従来の表皮一体型ヘッドレスト51を示している。このヘッドレスト51は、袋状に縫製された表皮体52内にステー53を配置し、この状態で、上記表皮体52内に発泡樹脂材を注入し且つこれを発泡させて該表皮体52内に発泡樹脂体54を成形し、該発泡樹脂体54と上記ステー53とを一体化させてなるものである。
【0003】ここで、上記表皮体52は、異形長円状の平面形態をもつ左右一対の端面表皮材55,55と、広幅帯状の周面表皮材56とで構成され、上記一対の端面表皮材55,55の周縁と上記周面表皮材56の左右の側縁部56a,56bをそれぞれ縫合線61,61で示すように縫合して袋状形態としたものである。そして、この表皮体52においては、上記周面表皮材56の適所に次述のステー53の左右一対の支持杆部53a,53aをそれぞれ挿通させるためのステー挿通用開口57,57を形成している。また、上記周面表皮材56の両端縁部56c,56dは、これを上記ステー挿通用開口57,57形成位置の近傍において上記表皮体52の内側へ折り曲げて衝合させ、且つ両端部をそれぞれ縫合線62,62で示すように縫合し、これら縫合部の中間部分を樹脂注入用開口59としている。
【0004】一方、上記ステー53は、所定径のロッド体を略「コ」字状に折曲して構成されるものであって、略平行に延出する両端部をそれぞれシート側への支持部となる支持杆部53a,53aとし、また該各支持杆部53a,53aの中間に位置する部分を後述の発泡樹脂体54内に埋没される埋没杆部53b,53bとしている。
【0005】次に、上記表皮体52と上記ステー53とを用いて上記ヘッドレスト51を製造する場合の作業手順を説明すると次の通りである。
【0006】先ず、上記表皮体52に上記ステー53をセットする。即ち、上記表皮体52の内部に、その埋没杆部53bを収容した状態で上記ステー53を配置し、且つ該ステー53の各支持杆部53a,53aを上記各ステー挿通用開口57,57を通して外部へ延出させる。この際、樹脂発泡成形時に樹脂材が上記各ステー挿通用開口57,57から外部へ漏出するのを防止する観点から、図5及び図6に示すように、粗毛フェルト,織布,スラブウレタン等の素材からなる平板状の目止材58,58を上記各ステー挿通用開口57,57の裏面側に配置する。
【0007】しかる後、上記樹脂注入用開口59から液状の発泡樹脂材を注入し、これを発泡させて上記表皮体52内に発泡樹脂体54を成形する。この発泡樹脂体54の発泡成形時には、上記ステー挿通用開口57部分においては上記目止材58によって上記ステー挿通用開口57から発泡樹脂材が外部へ漏出するのが防止され、また上記樹脂注入用開口59においては上記周面表皮材56の各端縁部56c,56dが上記表皮体52の内側へ折り曲げ状態で衝合しており且つ該各端縁部56c,56dにこれら相互を密着させる方向に発泡成形圧がかかることで該樹脂注入用開口59から発泡樹脂材が外部へ漏出するのが防止される。
【0008】かかる発泡成形による上記発泡樹脂体54の成形により、該発泡樹脂体54はその外表面が上記表皮体52によって被包されるとともに、上記ステー53の埋没杆部53bは上記発泡樹脂体54に埋没固定されてこれと一体化される。以上で、上記表皮体52と発泡樹脂体54及び上記ステー53の三者が一体化されてなるヘッドレスト51が得られるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる従来の製造方法によれば、上記表皮体52とは別部材の上記目止材58を用意する必要があり、また上記表皮体52への発泡樹脂材の注入及び発泡成形作業に先立って、上記目止材58を上記ステー挿通用開口57部分に装着する必要があり、必要部品点数の増大と作業工数の増大とによって製造コストが高くつくという問題があった。
【0010】また、かかる従来の製造方法により得られたヘッドレスト51においては、上記表皮体52とその内面側に充填成形された上記発泡樹脂体54との間に、該表皮体52の周面表皮材56とは別部材である上記目止材58が存在し、且つ上記周面表皮材56と上記目止材58とが延性等の性状において異質であることから、該目止材58の取付部位においては上記表皮体52の表面に上記目止材58の形状に沿って凹凸が生じ、これにより上記ヘッドレスト51の美観性が損なわれるという問題もあった。
【0011】そこで本願発明は、低コストで且つ美観性に優れた表皮一体型ヘッドレスト及びその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0013】本願の第1の発明にかかる表皮一体型ヘッドレストでは、発泡樹脂材でなる発泡樹脂体4の外表面を袋状に縫製された表皮体2で被包するとともに、上記発泡樹脂体4内に埋没配置されたステー3の支持杆部31を上記表皮体2に設けたステー挿通用開口6を通して外部に延出させてなる表皮一体型ヘッドレストにおいて、上記ステー挿通用開口6を、上記表皮体2を構成する表皮材21の一対の端部21c,21d同士を上記表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合することでその縫合線11,12間に上記表皮体2の内外を連通する如く形成された開口部分で構成したことを特徴としている。
【0014】本願の第2の発明にかかる表皮一体型ヘッドレストの製造方法では、袋状に縫製された表皮体2を構成する表皮材21の一対の端部21c,21d同士を該表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合することでその縫合線11,12間に上記表皮体2の内外を連通するステー挿通用開口6を形成するとともに、上記表皮体2内にステー3を配置し且つその支持杆部31を上記ステー挿通用開口6を通して該表皮体2の外部へ延出せしめ、しかる後、上記表皮体2内に発泡樹脂材を注入し且つこれを発泡させることで、該表皮体2の内部に、該表皮体2によりその外表面が被包されるとともに上記ステー3が埋没固定せしめられた発泡樹脂体4を成形することを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0016】本願の第1の発明にかかる表皮一体型ヘッドレストによれば、上記ステー挿通用開口6が、上記表皮体2を構成する表皮材21の一対の端部21c,21d同士を上記表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合してなる開口部分で構成されているので、上記ステー挿通用開口6に上記ステー3の支持杆部31を挿通し、その状態で上記表皮体2内に発泡成形により上記発泡樹脂体4を成形した場合、上記表皮材21の一対の端部21c,21dが発泡成形圧によって上記支持杆部31側に押し付けられることで上記ステー挿通用開口6からの発泡樹脂材の漏出が防止される。
【0017】従って、この発明の表皮一体型ヘッドレストによれば、上記ステー挿通用開口6部分に上記表皮体2とは別部材の目止材を配置する必要がなく、該目止材が上記表皮体2と発泡樹脂体4との間に介在しないことにより、上記表皮体2の表面が可及的に平坦面とされその美観性が良好となり、延いては上記ヘッドレスト1の商品価値が向上することになる。
【0018】本願の第2の発明にかかる表皮一体型ヘッドレストの製造方法によれば、袋状に縫製された表皮体2を構成する表皮材21の一対の端部21c,21d同士を該表皮体2の内部側へ折り曲げて衝合させ且つ所定の間隔をもって略平行に縫合することでその縫合線11,12間に上記表皮体2の内外を連通するステー挿通用開口6を形成するとともに、上記表皮体2内にステー3を配置し且つその支持杆部31を上記ステー挿通用開口6を通して該表皮体2の外部へ延出せしめ、しかる後、上記表皮体2内に発泡樹脂材を注入し且つこれを発泡させて発泡樹脂体4を成形するようにしているので、例えば従来の製造方法の如く表皮体とは別部材の目止材を用意し且つ発泡樹脂材の注入に先立って上記目止材を装着する必要がなく、それだけ必要部品点数の削減と作業工数の低減とによって製造コストの低下が図れ、より安価な表皮一体型ヘッドレストを提供することが可能となるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。図1には、本願発明の実施形態にかかる表皮一体型のヘッドレスト1を示している。このヘッドレスト1は、袋状に縫製された次述の表皮体2内に後述するステー3を配置し、この状態で、上記表皮体2内に発泡樹脂材を注入し且つこれを発泡させて該表皮体2内に発泡樹脂体4を成形し、該発泡樹脂体4と上記ステー3とを一体化させてなるものである。
【0020】上記表皮体2は、図1に示すように、異形長円状の平面形態をもつ左右一対の端面表皮材22,22と、広幅帯状の周面表皮材21とで構成され、上記一対の端面表皮材22,22の周縁と上記周面表皮材21の左右の側縁部21a,21bをそれぞれ縫合線11,11で示すように縫合して袋状形態としたものであり、この図1に示す形態が上記表皮体2の最終形態である。この最終形態としての表皮体2は、次に述べる二つの工程を経て得られる。
【0021】即ち、先ず最初に、図3に示すように、上記周面表皮材21と上記各端面表皮材22,22とを縫合した状態で、該周面表皮材21の端縁部21c,21dを、上記ヘッドレスト1の下面1aに対応する部位において、上記表皮体2の外側へ折り曲げてこれを衝合させるとともに、この相互に衝合された上記端縁部21c,21dを、その幅方向両端寄り位置においてそれぞれ縫合線12及び縫合線13で示すように所定間隔をもって略平行に縫合し、これら各縫合線12と縫合線13の間、及び左右の各縫合線13,13間に、それぞれ上記表皮体2の内外を連通する開口を設ける。そして、上記各縫合線12,13の間に位置する短寸の二つの開口をそれぞれステー挿通用開口6,6とし、また上記縫合線13,13間に位置する長寸の開口を樹脂注入用開口5としている。
【0022】この縫合作業の完了後に、図4に示すように、上記周面表皮材21の上記各側縁部21a,21bを上記表皮体2の内側へ折り込み、最終形態としての表皮体2を得る。
【0023】一方、上記ステー3は、所定径のロッド体を略「コ」字状に折曲して構成されるものであって、略平行に延出する両端部をそれぞれシート側への支持部となる支持杆部31,31とし、また該各支持杆部31,31の中間に位置する部分を後述の発泡樹脂体4内に埋没される埋没杆部32,32としている。
【0024】次に、このようにして形成された上記表皮体2及び上記ステー3を用いて上記ヘッドレスト1を製作する場合の作業手順を説明すると次の通りである。
【0025】先ず、上記表皮体2に上記ステー3をセットする。即ち、上記表皮体2の内部に、その埋没杆部32を収容した状態で上記ステー3を配置し、且つ該ステー3の各支持杆部31,31を上記各ステー挿通用開口6,6を通して外部へ延出させる。尚、上記各ステー挿通用開口6,6の大きさは、その内部に上記ステー3の支持杆部31を挿通した状態においてその内面が上記支持杆部31の表面に略密着するように、該支持杆部31の径寸法に対応して設定されている。
【0026】上記ステー3の上記表皮体2へのセット作業が完了すると、次に、上記樹脂注入用開口5から液状の発泡樹脂材を注入し、これを発泡させて上記表皮体2内に発泡樹脂体4を成形し、該発泡樹脂体4により上記ステー3の埋没杆部32を埋没固定せしめ、これにより上記表皮体2とステー3と発泡樹脂体4の三者が一体化されてなるヘッドレスト1を得るものである。
【0027】尚、上記発泡樹脂体4の発泡成形時には、上記ステー挿通用開口6部分においては、該ステー挿通用開口6を構成する上記周面表皮材21の端縁部21c,21dが発泡成形圧を受けて上記支持杆部31の外周面に押し付けられることで該ステー挿通用開口6からの発泡樹脂材の漏出が防止される。また、上記樹脂注入用開口5においては、該樹脂注入用開口5を構成する上記周面表皮材21の端縁部21c,21dを相互に密着させる方向に発泡成形圧がかかることで該樹脂注入用開口5からの発泡樹脂材の漏出が防止される。
【0028】以上の如くして得られた上記ヘッドレスト1においては、上記表皮体2における上記ステー挿通用開口6が該表皮体2を構成する上記周面表皮材21によって形成されており、従来構造のようにこのステー挿通用開口6の部分に別部材である目止材を配置する必要がない。従って、上記ヘッドレスト1においては、上記ステー挿通用開口6部分に、従来のように目止材の介在に起因する凹凸が生じることがなく、該ステー挿通用開口6部分の表面が可及的に平滑面とされ、そのその美観性が良好となり、延いては上記ヘッドレスト1の商品価値が向上することになる。
【0029】また、この実施形態の如き製造方法によれば、例えば従来の製造方法の如く表皮体とは別部材の目止材を用意し且つ発泡樹脂材の注入に先立って該目止材を装着する必要がないことから、必要部品点数が削減されるとともにその作業工数の低減が可能となり、それだけ製造コストが低減され、上記ヘッドレスト1をより安価に提供することが可能となるものである。
【出願人】 【識別番号】393022997
【氏名又は名称】タカヤ化成株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開平11−18868
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−177108