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【発明の名称】 双方向引出し体の案内機構
【発明者】 【氏名】江口 道治

【要約】 【課題】引出し体が双方向から引き出し操作ができるばかりか、収納本体内に収容された状態では確実に位置決め保持することができる双方向引出しの案内機構を提供する。

【解決手段】引出し体5が移動する際には、少なくとも2つの遊動保持体3a、3b及び4a、4bの一方が引出し体5と相対移動するとともに、他方の遊動保持体3a、3b及び4a、4bが引出し体5と一体的に移動するようになっているので、収容空間2両側の広い範囲で引出し体5を移動することができるばかりか、収容本体2内に収容された引出し体5を確実に位置決め保持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 収容本体を前後に貫通する収容空間内に移動可能に案内支持される少なくとも2つの遊動保持体上に引出し体が前後方向に移動可能に支持されて、前記収容空間の両側から引き出し可能に構成されて成り、前記引出し体が収容空間内に収容されている状態では、前記2つの遊動保持体が収容空間の前後にそれぞれ位置決め保持されて該各遊動保持体に前記引出し体の前後がそれぞれ保持され、前記引出し体が前記収容空間の一方側または他方側から引出される際は、引き出し側の引出し体と遊動保持体とが相対移動するとともに、反引き出し側の遊動保持体が引出し体と一体的に移動されることを特徴とする双方向引出し体の案内機構。
【請求項2】 前記収容空間の少なくとも下方の前後に制止部を設けたレールが配設され、該レール前後の制止部と該制止部から所定距離離間した内側にそれぞれ段差部が配設され、引き出された引出し体が収容空間内に収容された際、反引き出し側の遊動保持体が前記制止部によって制止されると同時に遊動保持体下部に軸支される転動輪が段差部に挿嵌して前記レール前後に位置決めされるようにして成る請求項1に記載の双方向引出し体の案内機構。
【請求項3】 前記引出し体は、転動面前後にそれぞれ段差部を形成したガイドレールが底面に設けられ、引き出された引出し体が収容空間内に収容された際、係止が解除された引き出し側の遊動保持体上部に軸支される転動輪が前記段差部に挿嵌されて位置決めされるようにして成る請求項1に記載の双方向引出し体の案内機構。
【請求項4】 前記各遊動保持体の係止部が磁性体で構成され、前記引出し体が収容空間内に収容された際、前記引出し体の両端の鏡板が前記収容空間の両端開口部を閉塞するように形成され、少なくとも前記鏡板下方の裏面が前記磁性体によって係止される材料で構成されて成る請求項1に記載の双方向引出し体の案内機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収容本体を前後に貫通する収容空間内に収容される引出し体を双方向から引出すための双方向引出し体の案内機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、キッチンとダイニングとの間にシンクや収納庫等を配置して、間仕切りを兼ねるカウンター方式の流し台が用いられている。
【0003】この種のカウンターの食器等の収納庫として使用される部分は、キッチン側及びダイニング側の双方から食器類の出し入れができるようにするため、カウンターの両側壁面に扉を設けた構造が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような従来の両扉方式の収納庫では、内部に収納される食器類を出し入れする際に、奥に収納されているものの取り扱いが不便で、取り出す際に食器等を落下して破損したりする問題を有していた。
【0005】そこで、奥に収納されている物を取り出し易くするためには、収納庫を引き出し構造にして両側から引き出すことができれば良いが、案内機構が未解決なため双方向から引き出すことができる引出し体は未だ開発されていなかった。
【0006】本発明はこのような問題点を解決するため、引出し体が双方向から引き出し操作ができるばかりか、収納本体内に収容された状態では確実に位置決め保持することができる双方向引出し体の案内機構を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の双方向引出し体の案内機構は、収容本体を前後に貫通する収容空間内に移動可能に案内支持される少なくとも2つの遊動保持体上に引出し体が前後方向に移動可能に支持されて、前記収容空間の両側から引き出し可能に構成されて成り、前記引出し体が収容空間内に収容されている状態では、前記2つの遊動保持体が収容空間の前後にそれぞれ位置決め保持されて該各遊動保持体に前記引出し体の前後がそれぞれ保持され、前記引出し体が前記収容空間の一方側または他方側から引出される際は、引き出し側の引出し体と遊動保持体とが相対移動するとともに、反引き出し側の遊動保持体が引出し体と一体的に移動されることを特徴としている。この特徴によれば、引出し体が移動する際には、少なくとも2つの遊動保持体の一方が引出し体と相対移動するとともに、他方の遊動保持体が引出し体と一体的に移動するようになっているので、収容空間両側の広い範囲で引出し体を移動することができるばかりか、収容本体内に収容された引出し体を確実に位置決め保持することができる。
【0008】本発明の双方向引出し体の案内機構は、前記収容空間の少なくとも下方の前後に制止部を設けたレールが配設され、該レール前後の制止部と該制止部から所定距離離間した内側にそれぞれ段差部が配設され、引き出された引出し体が収容空間内に収容された際、反引き出し側の遊動保持体が前記制止部によって制止されると同時に遊動保持体下部に軸支される転動輪が段差部に挿嵌して前記レール前後に位置決めされるようにすれば好適である。このようにすることにより、引出し体が引き出されて遊動保持体が引出し体と共に移動しても、引出し体を収容空間内に収容する動作によりレール前後に位置決めすることができ、引出し体が引き出される際は転動輪が段差部を乗り越えてレールの転動面上を転動して案内移動することができる。
【0009】本発明の双方向引出し体の案内機構は、前記引出し体が、転動面前後にそれぞれ段差部を形成したガイドレールが底面に設けられ、引き出された引出し体が収容空間内に収容された際、係止が解除された引き出し側の遊動保持体上部に軸支される転動輪が前記段差部に挿嵌されて位置決めされるようにすれば好適である。このようにすることにより、引き出された引出し体が収容空間内に収容されると、係止が解除された引き出し側の遊動保持体上部の転動輪を段差部によって位置決めすることができ、引出し体が引き出される際は段差部を乗り越えた前記転動輪によってガイドレールを支持しつつ引出し体を正確に案内することができる。
【0010】本発明の双方向引出し体の案内機構は、前記各遊動保持体の係止部が磁性体で構成され、前記引出し体が収容空間内に収容された際、前記引出し体の両端の鏡板が前記収容空間の両端開口部を閉塞するように形成され、少なくとも前記鏡板下方の裏面が前記磁性体によって係止される材料で構成されれば好適である。このようにすることにより、引出し体を収容空間内に収容し、または収容空間内から引き出す際の前後方向の移動による負荷のみで、位置決めされている遊動保持体に対し引出し体を係止、離脱させて容易に位置決めすることができる。また、引出し体が収容空間内に収容されると収容空間の両端開口部が鏡板によって閉塞されて収容空間内へ異物などが侵入するのを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の双方向引出し体の案内機構が採用された引出し体を側面からみた断面図、図2は引出し体を一方側から引き出した状態の引出し体を側面からみた断面図であり、図3は引出し体を他方側から引き出した状態の引出し体を側面からみた断面図である。
【0012】本発明の双方向引出し体の案内機構は次のように構成される。すなわち、図1において、1は、例えばキッチンとダイニングとの間に配置されて間仕切りを兼ねるカウンターの一部が収納庫として使用される収容本体を示し、この収容本体1には前後に貫通する収容空間2が形成されている。
【0013】この収容空間2内には、底部に2本のレール6a、6bが平行に配設されており、この各レール6a、6b上には2つずつの遊動保持体3a、4a及び3b、4bが転動輪7を介して転動可能に支持されて前後の両端に位置決め保持されている。
【0014】各レール6a、6bの転動面前後端部には制止部としてのストッパS1、S2が設けられ、該ストッパS1、S2から所定距離離間した内側にそれぞれ段差部8a、8bが形成され、後述する引出し体5が、引き出された状態(図2に示される状態)から収容空間2内に収容された際、反引き出し側の遊動保持体3a、3bがストッパS1によって制止されると同時に該遊動保持体3a、3b下部に軸支される転動輪7が段差部8aに挿嵌して前記レール6a、6b前後端部に位置決めされるように構成されている。
【0015】また、引出し体5は、底面に転動面前後端部の近傍にそれぞれ段差部9a、9bを形成した一対のガイドレール11が並設され、引き出された引出し体5が収容空間2内に収容された際、係止が解除された引き出し側の遊動保持体4a、4b上部に軸支される転動輪10が前記段差部8bに挿嵌されて位置決めされるように構成されている。
【0016】一方、各遊動保持体3a、3b及び4a、4bの係止部13a、13bが磁性体で構成され、引出し体5が収容空間2に収容された際、該引出し体5両端の鏡板12a、12bが収容空間2の両端開口部を閉塞するように形成され、この鏡板12a、12b下方の裏面が係止部13a、13b磁性体によって係止される材料で構成されている。
【0017】次に、本発明の案内機構が採用された双方向から引き出し可能な引出し体の作用につき説明する。
【0018】先ず、図1に示されるように、引出し体5が収容本体1を前後に貫通する収容空間2内に収容された状態では、並設された2本のレール6a、6b上にそれぞれ支持される各2つの遊動保持体3a、3b及び4a、4bは、各レール6a、6bの両端に位置決め保持されている。
【0019】さらに詳しくは、遊動保持体3a、3b及び4a、4bは、各外側端部がストッパS1、S2と該ストッパS1、S2に当接されると共に、この状態で遊動保持体3a、3b及び4a、4bの下部に軸支されている転動輪7がレール6a、6bの転動面前後端部から所定距離離間した内側に形成された段差部8a、8bに挿嵌された状態で位置決めされている。
【0020】また、これら遊動保持体3a、3b及び4a、4b上部の転動輪10には引出し体5が、該引出し体5底面に並設された2本のガイドレール11を介して支持されている。そして、転動輪10は、ガイドレール11の転動面前後端部の近傍にそれぞれ形成された各段差部9a、9bに挿嵌されている。
【0021】ここで引出し体5は、両端の鏡板12a、12b下方の裏面が各遊動保持体3a、3b及び4a、4bの磁性体である係止部13a、13bに吸着された状態が維持されて、遊動保持体3a、3b及び4a、4bによって移動不能に保持されている。
【0022】次に、この状態から図2に示されるように、引出し体5が図中右側から引き出されると、反引き出し側の鏡板13aに係止された状態の遊動保持体3a、3bが引出し体5と一体的に移動する。
【0023】この移動によって、遊動保持体3a、3bの転動輪7は、レール6a、6bの反引き出し側の段差部8aを乗り上げてレール6a、6bの転動面上に案内されて移動する。
【0024】これと同時に、引出し体5の引き出し側鏡板12bは、遊動保持体4a、4bの係止部13bから離脱され、該遊動保持体4a、4b上の転動輪10は引出し体5底面のガイドレール11の段差部9bを乗り上げて該ガイドレール11の転動面を案内保持する。
【0025】次に、引出し体5が再び収容本体1の収容空間2内に収容されると、反引き出し側の遊動保持体3a、3bの転動輪10がガイドレール11の段差部9aに挿嵌され、且つ遊動保持体3a、3bの係止部13aに反引き出し側の鏡板12aが係止された状態のまま移動する。
【0026】これにより、遊動保持体3a、3b下方の転動輪7は、ストッパS1に当接すると共に、レール6a、6bの段差部8aに挿嵌して位置決めされる。
【0027】これと同時に、引出し体5底面のガイドレール11が遊動保持体4a、4b上方の転動輪10に案内されて移動し、ガイドレール11端部の段差部9bに転動輪10が挿嵌されると、遊動保持体4a、4bの係止部13bに引出し体5の鏡板12bが吸着される。
【0028】次に、この状態から、引出し体5を収容本体1の収容空間2から左側に引き出す作用は、図3に示されるように前述した動作と逆の動作により引出し体5の出し入れを行うことができるので、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】このようにすることにより、引出し体5が収容空間2内に収容された際は、各2つの遊動保持体3a、3b及び4a、4bが収容空2間の両端に位置決めされ、引出し体5が収容空間2の一方側または他方側から引出される際は、引き出し側の遊動保持体3a、3bまたは4a、4bとの係止が解除されるとともに、反引き出し側の遊動保持体3a、3bまたは4a、4bが引出し体5に係止されて一体的に移動されるので、引出し体5を収容空間2の双方向から引き出すことができるばかりか、収容本体1の収容空間2内に収容された引出し体5を確実に位置決め保持することができる。
【0030】また、引出し体5が引き出されて遊動保持体3a、3bまたは4a、4bが引出し体5と共に移動しても、引出し体5を収容空間2内に収容する動作によりレール6a、6b端部に位置決めすることができ、引出し体5が引き出される際は転動輪7が段差部8aまたは8bを乗り越えてレール6a、6bの転動面上を転動して案内移動することができる。
【0031】更に、引き出された引出し体5が収容空間2内に収容されると、係止が解除された引き出し側の遊動保持体3a、3bまたは4a、4b上部の転動輪10を段差部9a、9bによって位置決めすることができ、引出し体5が引き出される際は前記段差部9a、9bを乗り越えた転動輪10によってガイドレール11を支持しつつ引出し体5を正確に案内することができる。
【0032】そして、引出し体5を収容空間2内に収容し、または収容空間2内から引き出す際の前後方向の移動による負荷のみで、位置決めされている遊動保持体3a、3bまたは4a、4bに対し引出し体5を係止、離脱させて容易に位置決めすることができる。
【0033】そしてまた、引出し体5が収容空間2内に収容されると該収容空間2の両端開口部が鏡板12aまたは12bによって閉塞されて収容空間2内へ異物などが侵入するのを防止することができる。
【0034】以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0035】
【発明の効果】本発明は次の効果を奏する。
【0036】(a)請求項1の発明によれば、引出し体が移動する際には、少なくとも2つの遊動保持体の一方が引出し体と相対移動するとともに、他方の遊動保持体が引出し体と一体的に移動するようになっているので、収容空間両側の広い範囲で引出し体を移動することができるばかりか、収容本体内に収容された引出し体を確実に位置決め保持することができる。
【0037】(b)請求項2の発明によれば、引出し体が引き出されて遊動保持体が引出し体と共に移動しても、引出し体を収容空間内に収容する動作によりレール端部に位置決めすることができ、引出し体が引き出される際は転動輪が段差部を乗り越えてレールの転動面上を転動して案内移動することができる。
【0038】(c)請求項3の発明によれば、引き出された引出し体が収容空間内に収容されると、係止が解除された引き出し側の遊動保持体上部の転動輪を段差部によって位置決めすることができ、引出し体が引き出される際は段差部を乗り越えた前記転動輪によってガイドレールを支持しつつ引出し体を正確に案内することができる。
【0039】(d)請求項4の発明によれば、引出し体を収容空間内に収容し、または収容空間内から引き出す際の前後方向の移動による負荷のみで、位置決めされている遊動保持体に対し引出し体を係止、離脱させて容易に位置決めすることができる。また、引出し体が収容空間内に収容されると収容空間の両端開口部が鏡板によって閉塞されて収容空間内へ異物などが侵入するのを防止することができる。
【0040】
【出願人】 【識別番号】000002222
【氏名又は名称】サンウエーブ工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹 (外2名)
【公開番号】 特開平11−318611
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−146544