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【発明の名称】 同時引き出し防止装置付きキャビネットの箱体構造
【発明者】 【氏名】永木 二郎

【要約】 【課題】同時引き出し防止装置付きキャビネットの側板を、加工容易、形状簡単化、高強度にする。

【解決手段】箱体2内に複数段の引出を設けるとともに、該引出の同時引出しを防止する同時引き出し防止装置4を設けたキャビネットの箱体構造において、箱体2の側板2aの内面に、同時引き出し防止装置4における上下方向を向く基板6を嵌合する凹部11を絞り加工により形成するとともに、該凹部11の前後の縁部に、基板6を前後方向から位置規制する前後1対の切り起こし片12を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 箱体内に複数段の引出を設けるとともに、該引出の同時引き出しを防止する同時引き出し防止装置を設けたキャビネットの箱体構造であって、前記箱体の側板の内面に、前記同時引き出し防止装置における上下方向を向く基板を嵌合する凹部を絞り加工により形成するとともに、該凹部の前後の縁部に、前記基板を前後方向から位置規制する前後1対の切り起こし片を設けたことを特徴とする同時引き出し防止装置付きキャビネットの箱体構造。
【請求項2】 側板における凹部の上下の端部に、前後方向を向く長孔を設けた請求項1記載のキャビネットの箱体構造。
【請求項3】 側板における凹部の上下方向の中間部に、少なくとも1個の前後方向を向く長孔を設けた請求項1または2記載のキャビネットの箱体構造。
【請求項4】 同時引き出し防止装置における基板の前後の縁に、側板の凹部の前後の縁部に設けられた切り起こし片と係合する切り欠きを設けた請求項1〜3のいずれかに記載のキャビネットの箱体構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数段の引出と、それらの同時引き出し防止装置とを設けたキャビネットの箱体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】キャビネットの複数段の引出を、同時に引き出したとき、重心が前に移動し、キャビネットが前方に転倒することがある。そのため、キャビネットには、複数の引出を同時に引き出すことができないように、同時引き出し防止装置が設けられていることが多い。
【0003】図5及び図6は、このような同時引き出し防止装置を備えるキャビネットの一例を示すもので、この同時引き出し防止装置(21)は、キャビネット(20)の箱体(22)の側板(22a)のガイド溝(23)に上下動可能に保持された柱状の基体(24)と、この基体(24)に引出の配設間隔と同一間隔に取付けられた引き出し阻止片(25)と、側板(22a)に設けられたレール(26)に支持されている引出(図示略)の側面に突設された突子(図示略)とを備えている。
【0004】この同時引き出し防止装置(21)は、所望の引出を引き出すと、その引出の突子が引き出し阻止片(25)の傾斜溝(27)に進入し、その引き出し阻止片(25)を介して基体(24)を上昇させて全部の引き出し阻止片(25)を上昇させるようになっている。 その後、さらに、他の引出を引き出すと、その引出の突子が、引き出し阻止片(25)の後端面(25a)に当接して、その引出を引き出すことができないようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】側板(22a)は、図6に示すように、上下方向にスリット(28)が形成された内板(22b)に、スリット(28)と同幅の断面コ字状の凹溝(22c)を設けた補助側板(22d)をスポット溶接により固着して形成されている。そのため、従来のキャビネットの箱体は、形状が複雑で、加工が面倒である等の問題を有している。
【0006】本発明は、上記の問題点に鑑み、形状が簡単で、加工が容易であり、かつ強度的に優れた同時引き出し防止装置付きキャビネットの箱体構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
【0008】(1)箱体内に複数段の引出を設けるとともに、該引出の同時引き出しを防止する同時引き出し防止装置を設けたキャビネットの箱体構造であって、前記箱体の側板の内面に、前記同時引き出し防止装置における上下方向を向く基板を嵌合する凹部を絞り加工により形成するとともに、該凹部の前後の縁部に、前記基板を前後方向から位置規制する前後1対の切り起こし片を設ける。
(2)上記(1)項において、側板における凹部の上下の端部に、前後方向を向く長孔を設ける。
【0009】(3)上記(1)または(2)項において、側板における凹部の上下方向の中間部に、少なくとも1個の前後方向を向く長孔を設ける。
【0010】(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、同時引き出し防止装置における基板の前後の縁に、側板の凹部の前後の縁部に設けられた切り起こし片と係合する切り欠きを設ける。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図1〜図4に基づいて説明する。キャビネット(1)は、箱体(2)内に複数段の引出(3)を備えている。キャビネット(1)の側板(2a)の内面には、同時引き出し防止装置(4)が設けられている。
【0012】図2に示すように、同時引き出し防止装置(4)は、箱体(2)内にレール(5)を介して前後動自在に支持された複数段の引出(3)の内、1個の引出(3)を引き出すと、箱体(2)の側板(2a)の内面に設けた基板(6)に枢着された回動カム板(7)が、引出(3)の側面に突設した突子(8)によって回動させられて、基板(6)に上下方向に張設されたワイヤ(9)の中間部が前方に押し出され、そのときのワイヤ(9)の緊張により、他の引出(図示省略)に対応する回動カム板(図示省略)の回動が阻止されて、複数の引出を同時に引き出せないようにしている。なお、レール(5)は、側板(2a)の内面に穿設された孔(10)に係合して取付けられるようになっている。
【0013】箱体(2)の側板(2a)は、引出(3)に対向する内板(2b)と、内板(2b)を外側から覆う外板(2c)とにより構成されている。内板(2b)の引出(3)と対向する内面に、同時引き出し防止装置(4)における上下方向を向く短冊状の基板(6)を嵌合する浅い凹部(11)が絞り加工によって形成されている。凹部(11)の前後の縁部における上下2個所には、基板(6)を前後方向から位置規制する前後1対の切り起こし片(12)が突設されている。
【0014】基板受け凹部(11)の上下の端部と上下方向の中間部とには、長孔(13)(13)(14)が穿設されている。この長孔(13)(13)(14)は、凹部(11)を絞り加工によって形成する際に、絞り易くするためのものである。同時引き出し防止装置(4)の基板(6)の前後の縁には、前後1対の切り起こし片(12)と係合するようにした切り欠き(15)が形成されている。
【0015】同時引き出し防止装置(4)の基板(6)は、凹部(11)に挿入されて、少なくとも1個の止めねじ(16)によって内板(2b)に止着されている。また、基板(6)の上下方向の位置決めは、切り起こし片(12)と切り欠き(15)との係合によって行なわれている。さらに、レール(5)を内板(2b)の内面に取付けることにより、基板(6)の箱体(2)の内方への移動が阻止される。
【0016】なお、切り欠き(15)は、必ずしも必要ではない。図4に示すように、前後1対の切り起こし片(17)を、基板(18)の幅(W)とほぼ同じ間隔をもって突設し、基板(18)が前後方向に位置がずれしないように位置規制するだけとし、上下方向の位置ずれは、止めねじ(16)またはその他の手段により防止するようにしてもよい。
【0017】
【発明の効果】本発明によると、同時引き出し防止装置の基板を受け入れる凹部を、箱体の側板を絞り加工することにより簡単に形成することができるとともに、側板の形状を簡単なものとすることができ、しかも側板に大きな孔を穿設することなく、基板の収容部(凹部)を形成できるので、側板の強度を低下させることはない。
【0018】また、前後1対の切り起こし片によって、基板を前後から挾むので、基板の前後方向のがたつきを防止しうるとともに、前後方向の位置決めを簡単に行なうことができる。
【0019】しかも、凹部の前後の縁を直角に絞り加工する必要がなく、折曲部を円弧状としたり、凹部を舌形状としたりすることができるので、絞り加工を楽に行なうことができる。
【0020】請求項2及び3のように、凹部の上下の端部及び中間部に、前後方向の長孔を形成すると、側板の絞り加工を容易に行なうことができる。
【0021】請求項4のように、凹部に設けた前後1対の切り起こし片を、基板の前後の縁に設けた切り欠きに係合させると、基板を上下、及び前後に位置規制することができる。
【出願人】 【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
【出願日】 平成10年(1998)5月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外1名)
【公開番号】 特開平11−318609
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−128988