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【発明の名称】 液体塗布具
【発明者】 【氏名】中島 伸之

【要約】 【課題】十分な耐久性と良好な外観を得ることができると共に、組み立てが容易で設計自由度にも優れた液体塗布具の提供を目的とする。

【解決手段】液体押圧機構11を、鋸刃状のカム溝11eを有すると共に先端部に雌ねじ部11dを形成してなる固定筒状体11と、この固定筒状体11に回動自在に嵌合すると共に前記カム溝11eに係合し回動方向を一方向にのみ規制する片持ちバネ状のカム部12fを形成してなる繰出体12と、この繰出体12の挿通孔12hに長手方向への移動を可能としかつ回動を不能とするよう挿入されると共に周面に固定筒状体11の雌ねじ部11dに螺合する雄ねじ部13aを形成してなるねじ棒13と、固定筒状体11の雌ねじ部から前方へと突出するねじ棒13の先端部に固定され固定筒状体11の内面に液密状態を維持しつつ摺動可能に挿入されるピストン14とを備えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状をなす本体部の先端に所定の塗布体を設け、前記本体部内方に収納した液体塗料を前記本体部に取り付けた液体押圧機構によって前方へと押圧し、塗布具へと供給するようにした液体塗布具であって、前記液体押圧機構は、前記本体部の後方開口部より圧入されて本体部内面に固定される筒形状をなし、内面にカム溝を有すると共に、先端部に雌ねじ部を形成してなる固定筒状体と、前記固定筒状体に回動自在に圧入嵌合する筒形状をなし、前記本体部より後方に突出する回転操作部を有すると共に、この回転操作部の前方に前記固定筒状体内に挿入される挿入部を有し、前記挿入部の前端には異形の挿通孔を形成すると共に、周面部には前記カム溝に係合し前記回転操作部の回転方向を一方向にのみ規制する片持ちバネ状のカム部を形成してなる繰出体と、前記繰出体の挿通孔と略同形の横断面形状をなし前記挿通孔に回動不能に挿通されかつ長手方向への移動を可能に挿入されると共に、周面に前記固定筒状体の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成してなるねじ棒と、前記固定筒状体の雌ねじ部から前方へと突出するねじ棒の先端部に固定され、前記固定筒状体の内面に液密状態を維持しつつ摺動可能に挿入されるピストンとを備えてなり、前記回転操作部の回転操作によってねじ棒を回転させ、ねじ棒を雌ねじ部との螺合によって前方向へと移動させ、そのねじ棒の先端に連結されたピストンによって固定筒状体内の液体を塗布部へと押し出すようにしたことを特徴とする液体塗布具。
【請求項2】 繰出体には、その後端部をから前方に向かって延出するスリットを形成することを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
【請求項3】 塗布体は、多数の毛材の一端部を収束させた毛筆状部材によって構成されることを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
【請求項4】 塗布体は、多数の毛材を保持体に植設してなるブラシ部材と、このブラシ部材の周囲に立設したくし歯状部材と、前記保持体の本体部側と毛材側とを連通させる流通路とにより構成したことを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体口紅などの液体塗料を内蔵し、適宜塗布体へと供給しつつ得る送り液体塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の液体塗布具としては、例えば、図26及び図27、または図28に示すものがある。図26及び図27において、先端部に塗布体32を装着した本体部31には、その後方の開口部から回転操作部材33が挿入されている。回転操作部材33は外筒部材34とその内方に回動不能に挿入される内筒部材35とにより構成され、外筒部材34には嵌合凸部34aが形成され、これが本体部31の嵌合凹部31aに嵌合しており、外筒部材34は本体部31に対し回動可能かつ抜脱不能となっている。
【0003】また、内筒部材35の内方にはねじ棒37が挿入され、その外周面に形成されている雄ねじ部37aが内筒部材35の前端に形成されている雌ねじ35aに螺合すると共に、本体部31の内面に突設された隔壁31bの異形の挿通孔31cに挿通されている。これにより、ねじ棒37は内筒部材35に対し長手方向への移動は可能であるが、回動は不能となっている。また、外筒部材34の先端部には、本体部31の内面に形成されたラチエット歯38と弾性的に係合する係止爪39が形成され、この係止爪39とラチエット歯38とによってラチエット機構40が構成されている。そして、前記ねじ棒37の先端部には、前記隔壁31bより前方において本体部31の内面に摺動可能に挿入されたピストン41が連結されている。
【0004】このように構成された液体塗布具にあっては、前記ラチエット機構40によって外筒部材34が本体部31に対して一方向へのみ回転可能となっており、外筒部材34を本体部31に対して回転させると、外筒部材34に伴って内筒部材35が回転する。このとき、ねじ棒37はその回転を挿通孔31cに阻止されるため、ねじ棒37と回転操作部材33とは相対的に回転し、ねじ棒37は雌ねじ部35aとの螺合によって前方へと移動し、ピストン41を前方へと移動させる。その結果、本体部31の塗布液貯留部31Aに貯留された塗布液Lは、このピストン41に押されて塗布体32へと押し出され、塗布体32に含浸されて塗布可能となる。
【0005】また、図28に示す塗布具は、筒状の本体部51の先端部に塗布体52が装着されると共に、本体部51の内方には、後端部からピストン53及び押圧筒54が挿入されており、押圧筒54の周面に形成された突条54aは、本体部51の内面に長手方向に沿って形成された溝51aに移動可能に嵌合している。このため、押圧筒54は本体部51に対して長手方向へと移動可能であり、かつ回動不能となっている。また、前記本体部51の後端部には、筒状の回転操作部材55が挿入されており、回転操作部材55の周面に形成された環状の嵌合凸部55aは、前記本体部51の内面に形成された環状の嵌合凹部51bに嵌合している。このため、回転操作部材55は本体部51に対し、摺動回転可能であり、かつ外方への抜脱を阻止されるようになっている。さらに、前記回転操作部材55には、雄ねじ部56aを形成してなるねじ棒56の後部56aが回動不能に挿入されている。そして、このねじ棒56の回転操作部材55より前方部分は、前記押圧筒54の内面に形成された雌ねじ部54bに螺合し、押圧筒54の内方に挿入されている。また、回転操作部材55には、本体部51の内面に形成されたラチエット溝51cに係合するラチエット歯55bが形成されており、このラチエット歯55bとラチエット溝51cとの係合によって回転操作部材55の回転を一方向に規制するラチエット機構57が構成されている。
【0006】上記のように構成された塗布具において、回転操作部材55を回転させると、これと共に雄ねじ杆56が回転し、これに螺合する押圧筒54が溝51aに沿って前方へと移動し、その先端部に位置するピストン53が前方へと移動し、本体部51の内方に貯留された液体塗料Lを塗布体52へと押し出し、塗布体52に含浸させて塗布可能とする。なお、この塗布具にあっても、回転操作部材55はラチエット機構57によって逆転不能となっているため、押圧筒54及びピストン53は前方へのみ移動可能となっている。上記のように、従来の液体塗布具では、回転操作部材33,55の回転をピストン41,53の直線運動に変換して液体塗料Lの供給を行うようになっているため、供給量の微妙な調整が可能となり、塗布作業を適正かつ容易に行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各液体塗布具にあっては、回転操作部材33,55が本体部31,51に対して摺動回転可能に嵌合しており、その嵌合部分が、回転操作部材33,55に設けた環状の嵌合凸部33a,55aと、本体部31,51に設けた環状の嵌合凹部31a,51bとによって構成されているため、次のような問題があった。すなわち、回転操作部材33,35は本体部31,51からの抜脱を防止する上で、嵌合凹部31a,51bの深さ、及び嵌合凸部33a,55aの突出量を可能な限り大きくとることが望ましいが、液体塗布具の本体31,51は軽量かつ安価に構成する必要上、一般にポリプロピレンなどの樹脂によって薄肉に形成されており、上記のように嵌合凹部31a,51bの深さを十分にとることができないため、嵌合部分に強固な嵌合強度が得られず、携帯されることの多いこの種の塗布具としては、強度的に不十分なものとなっていた。
【0008】もっとも、回転操作部材33,55には、比較的厚肉の部材が用いられるのが通例であり、この回転操作部材33,55に突出量の大きな嵌合凸部33a,55aを形成し、本体部31,51に深い嵌合凹部31a,51bを形成すれば、回転操作部材33,55と嵌合凸部33a,55aとの嵌合状態を強固なものとすることができ、回転操作部材33,55の嵌合強度を高めることもできる。ところがこの場合には、厚肉となる嵌合凸部33a,55aの形成箇所に対応して回転操作部材33,55の表面側にヒケが発生し、外観が著しく損なわれるため、実施は極めて困難であった。
【0009】また、図26及び図27に示す塗布具にあっては、本体部22の中央部内面に隔壁が形成されているため、回転操作部材33及びねじ棒37などは本体部22の後方から挿入する一方、ピストン41は本体部31の前端部から挿入しなければならず、しかもピストン41とねじ棒37とを前後異なる方向から挿入し、両者を本体内部で結合させなければならないため、組み立て作業が煩雑かつ困難になり、良好な生産性が得られないという問題もあった。また、ピストン41を本体部31内に挿入させる都合上、本体部31の内径をピストン41と同一径に形成する必要があり、本体部31の内径がピストン41に影響され、本体部31の寸法形状が制約されるという不都合もあった。
【0010】本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたもので、本体と回転操作部材とを回動可能な状態で強固に嵌合させることができ、十分な強度と良好な外観を得ることができると共に、組み立てが容易で設計自由度にも優れた液体塗布具の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するため次の構成を有する。すなわち、筒状をなす本体部の先端に所定の塗布体を設け、前記本体部内方に収納した液体塗料を前記本体部に取り付けた液体押圧機構によって前方へと押圧し、塗布具へと供給するようにした液体塗布具であって、前記液体押圧機構は、前記本体部の後方開口部より圧入されて本体部内面に固定される筒形状をなし、内面にカム溝を有すると共に、先端部に雌ねじ部を形成してなる固定筒状体と、前記固定筒状体に回動自在に圧入嵌合する筒形状をなし、前記本体部より後方に突出する回転操作部を有すると共に、この回転操作部の前方に前記固定筒状体内に挿入される挿入部を有し、前記挿入部の前端には異形の挿通孔を形成すると共に、周面部には前記カム溝に係合し前記回転操作部の回転方向を一方向にのみ規制する片持ちバネ状のカム部を形成してなる繰出体と、前記繰出体の挿通孔と略同形の横断面形状をなし前記挿通孔に回動不能に挿通されかつ長手方向への移動を可能に挿入されると共に、周面に前記固定筒状体の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成してなるねじ棒と、前記固定筒状体の雌ねじ部から前方へと突出するねじ棒の先端部に固定され、前記固定筒状体の内面に液密状態を維持しつつ摺動可能に挿入されるピストンとを備えたものである。
【0012】上記構成を有する本発明において、繰出体の回転操作部を一方向へと回転させると、これと共にねじ棒が回転する。ねじ棒の雄ねじ部は固定筒状体の前方部に形成されている雌ねじ部に螺合しているため、ねじ棒は雌ねじ部に案内されて前方へと移動し、その前端部に連結されたピストンを前方へと移動させる。その結果、本体内に貯留された液体塗料はピストンによって前方へと押し出され、塗布体へと供給される。なお、前記ねじ棒の回転と共に繰出体も回転するが、この繰出体に形成されたカム部は、本体に固定されている固定筒状体のカム溝に嵌合して逆方向への回転を阻止するようになっているため、ねじ棒及び回転操作部も正方向へのみ回転する。
【0013】また、前記回転操作部は、本体部とは嵌合せず、本体部内に挿入される固定筒状体の環状の嵌合部分と嵌合するものとなっているため、固定筒状体と固定筒状体との嵌合構造を必要とする強度に応じて自在に設定することができ、本体部の形状、構造になんら影響を与えることがない。さらに、前記液体押圧機構は、固定筒状体、繰出体、ねじ棒及びピストンなどの各構成部材を、全て軸体後方から挿入することが可能であるため極めて容易に組み立てを行うことができる。このため、各構成部材を軸体の外部で予め組み立てておき、そのユニット化した液体押圧機構を軸体の後部から同時に挿入するようにすることも可能であり、組立工程の効率化を図ることができると共に、本体部の先端形状をピストンなどに拘わりなく設定することができ、設計の自由度も高まる。
【0014】また、前記固定筒状体に対し、その後端部をから所定の前方位置に亘って繰出体の後方部を分割するスリットを形成すれば、固定筒状体と繰出体とを容易に嵌合させることができると共に、繰出体の成型時における離型性を良好なものとすることができる。さらに、前記塗布体としては、多数の毛材の一端部を収束させた毛筆状部材によって構成されるもの、あるいは、多数の毛材を保持体に植設してなるブラシ部材と、このブラシ部材の周囲に立設したくし歯状部材と、前記保持体の本体部側と毛材側とを連通させる流通路とにより構成するものなどが考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図1ないし図25を参照して本発明に係る液体塗布具の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態における外観構成を示す側面図である。図1に示すように、この第1実施形態における液体塗布具1は、中空円筒状をなし内部に塗布液Lを貯留する本体部2と、この本体部2の先端部に装着した塗布体3と、前記塗布液Lを前方の塗布体3へと押圧する液体押圧機構4と、前記塗布体を覆うキャップ5とからなり、前記液体押圧機構4は、固定筒状体11と、繰出体12と、ねじ棒13と、ピストン14と、液体塗布具15とを備えるものとなっている。
【0016】そして、前記本体部2は図2ないし図4に示すような形状、構造をなしている。すなわち、本体部2は筒状に形成されており、その先方部には前記キャップ5の内径と略同一の外径を有する小径部2aが形成され、ここに前記キャップ5が嵌合するようになっている。なお、小径部2aの外周面には、図2に示すように、前記キャップ5の内面に形成された凹部5aと嵌合する凹部2a1が形成されており、この凹部5aと凸部2a1との嵌合によってキャップ5が小径部2aから不用意に脱落するのを防止し得るようになっている。また、小径部2aの内面には後述の先軸6と係合する凸部6aが形成され、前記本体部2の後方部内周面には、図3及び図4に示すように、凸部2bが複数本形成されている。各凸部2bは、図5に示すように、後方から前方にかけて緩やかに内方へと立ち上がる緩斜面2b1と、この緩斜面2b1に連続する平坦面2b2と、この平坦部2b2から直角に近い急峻な角度で外方へと立ち下がる急斜面2b3とからなり、ここに固定筒状体11が圧入係止されるようになっている。また、図示4のA−A線拡大図である図6に示すように、前記本体部2の内周面には、その後端部から前記凸部2bの前方にかけて長手方向に延出する突条2cが形成されている。
【0017】また、前記固定筒状体は、図7ないし図11に示すような形状に形成されている。すなわち、固定筒状体11の前半部外周には、前記本体部2の凹凸部2bに圧入嵌合可能な複数本の凸部11bが形成されている。この凸部11bは、前記本体部2の凸部2bとは逆に、前方から後方にかけて内方へと突出するよう緩やかに傾斜する緩斜面11b1と、この緩斜面11b1の頂部に連続する平坦部11b2と、この平坦部11b2から内方へと略直角に近い角度で急峻に立ち下がる急斜面11b3とからなり、その急斜面11b3は前記本体部2の前記凸部11bの急斜面2b3に当接し、本体部2からの抜脱が阻止されている。
【0018】また、固定筒状体11の前端部は、前記凸部の形成された外筒部11aの内方に内筒部11cが形成されて二重筒構造をなしており(図7(b)参照)、内筒部11cの内面には、図8(a)に示すように、雌ねじ部11dが形成されている。さらに固定筒状体11の中間部内面には図8(b)及び図10に示すように横断面鋸刃状をなす多数のカム溝11eが形成されている。前記固定筒状体11の後半部は、図8(b)及び図11に示すように、上下に対向して形成された一対のスリット11fにより弧面形状をなす一対の脚部11g,11hによって二股状に形成されており、各脚部11g,11hの後端部外面には外方へと突出する弧状の鍔部11iが形成されると共に、各脚部11g,11hの内面には円弧状の嵌合突起11g1,11h1が突設され、この嵌合突起11g1,11h1が前記本体部2の後端面に当接している。また、固定筒状体11の外周部には、前記各スリット11fの最奥部から前端部にかけて回転係止溝11jが刻設されており、この回転係止溝11jに前記本体部2の突条2cが嵌合している。なお、この回転係止溝11jの前方部11j1は所定の角度をもって前方に拡開している。このように、この固定筒状体11は、その急斜面11b3と本体部2の急斜面2b3との係合によって本体部2に対する後方への移動を阻止され、突条2cと回転係止溝11jとの係合により本体部2に対する回転を阻止され、鍔部11jと本体部2の後端との当接により本体部2に対する前方への移動を阻止されるようになっており、これによって本体部2に確固に固定されている。
【0019】また、図12ないし図15は、前記繰出体12を示す図である。この繰出体12は、前記本体部2の内方に挿入される円筒状の突出部12aと、前記本体部2内に挿入される円筒状の挿入部12bとを一体に形成したものとなっており、前記突出部12aには、環状の鍔部12cが形成され、この鍔部12cの周面には凹弧面12c1が形成されている。そして、前記挿入部12bの前端面には、円弧部分12h1と直線部分12h2とを有する挿通孔12hが形成されると共に、挿入部12bの前方部周面にはコ字状のスリット12dが形成されており、このスリット12dによって囲繞される部分が片持ちばね状の弾性片12eとなっている。この弾性片12eの先端部には、図14及び図15に示すように外方へと突出する鋭角に屈曲した断面形状をなすカム部12fが形成されており、このカム部12fは前記カム溝11eに係合している。また、前記挿入部12bの後方部には、環状の嵌合凹部12iが形成されており、この嵌合凹部12iは前記固定筒状体11の脚部11g,11hに突設した嵌合突起11g1,11g2に嵌合している。このため、繰出体12は固定筒状体11に対して前後方向への移動を阻止され、回動は可能となっている。
【0020】また、前記繰出体12の突出部12aの後端における外周面には、180度の間隔をもって断面3角形状の係止突起12jが形成されている。そして、この繰出体12の外周面には、図16に示すような円筒状の天冠16が嵌着されている。この天冠16はその内面の前端部近傍に環状突起16aが形成されており、この環状突起16aが前記繰出体12の鍔部12cの凹弧面12c1に嵌合し、繰出体12からの抜脱を防止するようになっている。さらに、天冠16の内周面には横断面三角形状をなす係止突起16bが所定の間隔を介して多数形成されており、各係止突起16bの間には前記繰出体12の係止突起12jが挿入され、両係止突起12jと16bとの当接によって天冠16と繰出体12とが略一体的に回動するようになっている。なお、この実施の形態においては、天冠16と繰出体12の突出部12aとによって回転操作部が構成されている。
【0021】そして、前記繰出体12の前面部に形成された異形の挿通孔12hには、これと略同形の異形断面を有するねじ棒13が挿入されている。このねじ棒13は、円弧状の面に形成された雄ねじ部13aと、両雄ねじ部13aの間に形成された平面部13bとを有し、前記挿通孔12hに、長手方向への移動が可能であり、かつ回動が不能となるよう挿入されている。また、このねじ棒13の先端部には、ピストン14が嵌着されている。このピストン14は、前記本体部2の内面に液密状態を維持しつつ摺動可能に設けられている。
【0022】一方、図17は、前記先軸6の形状を示す図である。この先軸6は前方に向かうに従って縮径する先細り形状の筒体によって形成され、その後方部外周には環状の嵌合凹部6aが形成されており、この嵌合凹部6aが前記本体部2における小径部2aの内面に形成された環状の嵌合凸部2a1に圧入嵌合し、先軸6からの抜脱を防止している。また、前記先軸6の外周部には鍔部6bが形成され、この鍔部6bが前記小径部の前端面に当接している。さらに、前記先軸6の内面には、前後方向に延出するリブ6cが等間隔に複数本(ここでは6本)形成されており、このリブ6cによって塗布体3(図18参照)の後方部が挟持されるようになっている。この実施形態における塗布体3は、樹脂製の多数の毛材の後端部を互いに熱溶着して結束させてなる毛筆状部材3aと、前記先軸6の内面に圧入固定した円環状の保持体3bと、この保持体3bの中央の貫通孔3b1に嵌挿固定されると共に前記毛材の後端部中央から中間部まで挿入された塗布液導出用のパイプ(流通路)3cとにより構成されている。
【0023】上記構成を有する液体塗布具1を組み立てる場合には、まず、本体部2の外方において塗布液押圧機構4の組み立てを次のようにして行う。すなわち、固定筒状体11の雌ねじ部11dにねじ棒13を所定の位置まで螺合させ、雌ねじ部11dより前方に突出させた先端部にピストン14を圧入固定する。次いで、固定筒状体11より後方に突出するねじ棒13を挿通孔12hに挿通させながら繰出体12を固定筒状体11の内方に圧入して行き、最終的に固定筒状体11の各脚部11g,11hに突設されている嵌合突起11g1,11h1に嵌合溝を嵌合させる。この後、天冠16を繰出体12の突出部12aの外周を覆うよう嵌合させ、天冠16の環状突起16bを繰出体12の鍔部12cの凹弧面12c1に嵌合させて天冠16を繰出体12に固定する。これにより、塗布液押圧機構4の組み立てが完了する。
【0024】この後、本体部2の後端部に形成される開口部から前記ユニット化した塗布液押圧機構4を、その前端部に設けられているピストン14から順次挿入させて行き、固定筒状体11の回転係止溝11jに本体部2の突条2cを嵌合させると共に、固定筒状体11の凸部11bを本体部2の内面の凸部2bに係合させ、固定筒状体11が本体部2内に完全に挿入された時点で、天冠16の前方の開口部端縁が本体部2の後方の開口部端縁に当接し、これにより、本体部2への塗布液押圧機構4の挿入作業は完了する。なお、この実施形態における回転係止溝11jの前端部はある程度の幅をもって拡開しており、その幅内に突条2cが挿入されるよう両者の位置を設定すれば、固定筒状体11を挿入することで、突条2cが係止溝11jの前方部に案内されて係止溝11j内に確実に挿入される。また、固定筒状体11にはスリット11fが形成されており、これによって周壁部分に可撓性をもたせるようになっているため、本体部2への圧入を容易に行うことができる。
【0025】次いで、前記本体部2の先端部に形成されている小径部2aの開口部から塗布液を適量注入し、塗布体3を挿入した先軸6を前記本体部2の小径部2aの内面に圧入した後、その内面に形成された嵌合凸部2a1と先軸6aの嵌合凹部6aとを嵌合させて先軸6を固定し、キャップ5を小径部2aに嵌合させることによって液体塗布具の組み立ては完了する。なお、この実施形態においては、天冠16、本体部2、及びキャップ5の各々の外径が同一寸法に形成されているため、先端から後端にかけて連続した比較的小径の円筒面を有するスマートな外観を呈するものとなっている。このように、この実施の形態においては、液体押圧機構4をなす全ての構成部材を本体部2の後方開口部から挿入することで容易に本体部2に組み込むことができるため、作業が容易になり、しかも液体押圧機構4は、予め本体部2外で組み立ててユニット化することができるため、生産工程の効率化を図ることができる。
【0026】そして、上記液体塗布具1においては、本体部2より後方に位置する天冠16を一定方向(時計方向)へと回転させることにより本体部内の塗布液を塗布体に供給することができる。すなわち、本体部2に対して天冠16を時計方向へと回転させると、これに伴って繰出体12が同方向へと回転し、さらにこの繰出体12の異形の挿通孔12hに挿入されているねじ棒13も共に回転する。このねじ棒13の雄ねじ部13aは前記固定筒状体11の雌ねじ部11dに螺合しているため、この螺合によってねじ棒13は時計方向へと回転しつつ前方へと移動する。その結果、ねじ棒13の前端部に連結されているピストン14は前方へと移動し、本体部2内に貯留されている液体塗料Lを前方へと押し出し、先軸6内に嵌着されている保持体3bの貫通孔3b1からパイプ3cを介して毛筆状部材3aへと供給する。これにより、毛筆状部材3aは塗布可能な状態となる。なお、この実施形態における塗布体3は毛筆状部材3aを備えたものとなっているため、口紅、眉墨などのような細部に対する塗布を行う場合に、極めて有効なものとなっている。
【0027】ところで、上記繰出体12は、天冠16による回転操作において、弾性片12eの先端部に形成されたカム部12fが本体部2に形成されている鋸刃状のカム溝11eに常時圧接するようになっており、天冠16による回転操作時には、カム部12fがカム溝11eの傾斜面の後端部に乗り上げた後、次の傾斜面の前端部に落下して当接するという動作を所定の回転ピッチ毎に繰り返す。この際、弾性片の弾性力は増大、解放を繰り返すため、これが操作者にはクリック感として伝わると共に、解放時にカム部12fと傾斜面11e1の前端部との当接によってクリック音が発生する。このため、このクリック感またはクリック音の数によって操作者は、天冠の回転角度、つまり塗布液Lの供給量を認識することができ、供給量の調整を容易に行い得るようになっている。また、前記傾斜面11e1の前端部は曲面(Rを付けている)に形成しているので、天冠16の回転操作において、カム部12fが傾斜面11e1の前端部から中央部に乗り上げるときにスムースな乗り上げ感が得られる。
【0028】また、前記弾性片12eのカム部12fは、常には前記カム溝11eの固定筒状体11の係止面11e2に当接しているため、回転操作において、天冠16を反時計方向へと回転させたようとしても、カム部12fと係止面11e2との当接によって反時計方向への回転は阻止される。このため、ねじ棒13が反時計方向へと回転することもなくなり、ねじ棒13及びピストン14が後方へと移動することもない。従って、一旦外部空間へと吐出された液体塗料Lが再び塗布体3のパイプ3cあるいは本体2内へと逆流することはなく、本体2内への雑菌などの混入を防止することができる。なお、係止面11e2には、ほぼ直線的に立ち上がっているため、反時計方向への回転させようとしたときには、カム部12fは係止面11e2に確実に引っ掛かり、しっかりした回転阻止感が得られる。
【0029】また、前記繰出体12は本体部2とは直接的に嵌合せず、本体部2内に固定される固定筒状体11の環状の嵌合突起11g1,11g2と嵌合するものとなっている。このため、固定筒状体11と繰出体12との嵌合構造を必要とする強度に応じて自在に設定することができ、しかも本体部2の形状、構造にはなんら影響を与えることがない。従って、本体部2は軽量化を図る上で薄肉構造をなすものを用いることができ、素材としてもポリプロピレンなどの安価で柔軟性を有するものを使用することができる。また、固定筒状体11においては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、ポリカーボネート、ポリアセタール、PBT(ポリブチレン・テレフタレート)などの硬度が高い物質を使用して比較的大きな突出量の嵌合凸部11g1,11h1を形成し、繰出体12としても前記嵌合凸部11g1,11h1に嵌合する比較的深い嵌合凹部12iを形成することで、固定筒状体11と繰出体12とを確固に嵌合させることができ、液体塗布具1の強度を十分に得ることができる。この場合、固定筒状体11には嵌合凸部11g1,11h1の形成位置においてヒケが発生する可能性もがあるが、固定筒状体11は外部に表出するものではないため、ここに生じるヒケが外観的に問題になることはない。なお、繰り出し体12の材質としては、バネ弾性、耐クリープ性、耐疲労特性の面から、ポリアセタールが最も望ましい。
【0030】しかも、この実施の形態においては、固定筒状体11にスリット11fが形成されているため、固定筒状体11に脚部11g,11hが形成され、ここに比較的大きな可撓性をもたせることができ、繰出体12を内方へと挿入するに際し脚部11g,11hが拡開するため、比較的小さな力で容易に圧入、嵌合させることができる。このため、非力なものでもプレス装置などを用いることなく手作業にて容易に組み立てることが可能となる。なお、仮に前記スリット11fを形成しない場合には、固定筒状態の可撓性は極めて小さなものとなるため、かなり大きな圧力を加えない限り繰出体12を挿入することができないため、プレス装置などが必要となり、生産ラインにおける設備増大を招くこととなる。
【0031】また、前記スリット11fを形成することによって、固定筒状体11の成型も容易になり、嵌合凸部11g1,11h1の突出量も十分に設定することができようになるため、繰出体12との嵌合状態をより強固なものとすることができる。すなわち、固定筒状体11は、その成形工程において内方に挿入されているコアピンを無理抜きによって引き抜くことが通例であるが、上記のように、スリットを有する構造とすれば、前述のように脚部11g,11hに大きな可撓性が得られるため、脚部11g,11hの拡開によってコアピンをスムーズに引き抜くことができ、生産性が向上すると共に、固定筒状体11の内面の損傷も防止することができる。このため、かなり嵌合凸部11g1,11h1の突出量を大きく設定することが可能となり、結果、繰出体12の嵌合凹部12iとの嵌合力も増大させることができる。なお、固定筒状体11、繰出体12、ねじ棒13などからなるユニットが本体部2に一旦圧入されると、固定筒状体11の外周には本体部2が存在し、内周には繰出体12が存在するため、スリット11fが形成されていても、脚部11g,11hが内外へと拡開、縮小することはなく、本体部2及び繰出体12に対する固定筒状体11の嵌合状態は強固に維持される。
【0032】また、以上の説明においては、液体押圧機構4を本体部2の外部で組み立てる場合を例にとり説明したが、液体押圧機構4を構成する各部材を、本体部2内へと挿入しつつ組み立てるようにすることも可能であり、その組み立て手順は、必要に応じて適宜変更可能である。なお、本体部2内へと挿入しつつ組み立てる場合にも、固定筒状体11にはスリット11fが形成されているため、本体部2内に対し固定筒状体11を容易に挿入することができる。
【0033】ところで、上記第1の実施の形態においては、固定筒状体11の内面に、繰出体12のカム12eと係合する鋸刃状のカム溝11eを形成したため、繰出体12の逆方向への回転を阻止しつつ、正方向への回転を比較的小さな力でスムーズに回転させ得るようになっているが、図19(a),(b),(c)に示すように、固定筒状体11の内面に、図19に示すような断面コ字状のカム溝11Eを形成しても良く、この場合にも、カム12eを係合させることによって繰出体12の逆転を防止することができると共に、一方向への回転を可能とすることができる。但し、この場合には、一方向への回転時において繰出体12に比較的大きな力を要する。このため、不用意な回転を防止しようとする場合などには、このカム溝11Eの適用が好適である。なお、この固定筒状体11Aにおけるその他の形状、構造は、図8ないし図10に示したものと同様であり、各図中、同一もしくは相当部分には同一符号を付してある。
【0034】次に、本願発明の第2の実施形態を図20ないし図25に基づき説明する。この実施形態における液体塗布具20は、前記第1の実施形態における液体塗布具1が口紅や眉墨などの細部を塗布するに好適な毛筆状部材を用いたものであるのに対し、この実施形態における液体塗布具20は、頭髪に塗布する頭髪染料など、比較的広範囲に亘って塗布を行うに適したものとなっている。従って、この実施形態における液体塗布具20は、多くの液体塗料Lを貯留すべく上記第1の実施形態における本体部2より大なる径の本体部22(図20参照)を使用しており、これに応じて本体部22に収納される部材(液体押圧機構24)及び嵌合する部材(塗布体23及び先軸26)なども外形寸法を増大させたものとなっている。そして、液体押圧機構24における各部材は、上述のように寸法形状が異なることを除き、上記第1の実施形態と略同様の構造をなすものとなっており、各図中、前記第1の実施形態に示したものと同一もしくは相当部分には同一符号を付す。
【0035】すなわち、この第2の実施形態における液体塗布機構24において、ねじ棒13の先端部にはピストン14が連結され、ねじ棒13の雄ねじ部13aは、本体部22の内面に形成された嵌合凸部22eに嵌合凹部11kが嵌合して固定された固定筒状体11の前端部に形成した雌ねじ部11dに螺合し、固定筒状体11(図22及び23参照)の内方には、回動自在及び抜脱自在に繰出体12が挿入され、固定筒状体11の内面に形成したカム溝11e(図23参照)には繰出体12(図24及び図25参照)の弾性片12eに設けられたカム部12fが係脱可能に係合し、繰出体12の前端部に形成した異形の挿通孔12hには、長手方向への移動が可能であり、かつ回動が不能となるよう前記ねじ棒13が挿通されている。なお、この実施形態においては、繰出体12の突出部12aが天冠を兼ねており、突出部12aのみで回転操作部を構成している。
【0036】このようにこの第2の実施形態における液体押圧機構4は、上記第1の実施形態におけるものと略同様に構成されており、その動作も繰出体12を回転させることにより、ねじ棒13が回転しつつ前方へと移動し、ピストン14を前進させて内部に貯留されている液体塗料Lを塗布体23へと供給するものとなっており、上記第1の実施形態と略同様である。但し、この第2の実施形態においては、本体部22の先端部に挿着されている塗布体23が上記第1の実施形態に示したものと異なる。
【0037】ここに示す塗布体23は、円盤状の保持体24bの複数箇所に多数本の毛材24aを植設したブラシ状部材24と、このブラシ状部材24を囲繞すると共に複数本の小径な棒状部材を突設してなるくし歯部25aを備えた円筒状のくし状部材25と、このくし状部材25の後部内面に固定した有頭筒状のパイプ突設部材26とにより構成され、前記パイプ突設部材26の頭部にはパイプ(流通路)26aが一体に突出形成されており、このパイプ26aが前記保持体24bの中央部に形成した貫通孔24b1に挿通され、ブラシ状部材24側に突出している。
【0038】この塗布体23は、前記本体部22の小径部2a内面に圧入固定されており、前記ピストン14によって前方へと押圧された液体塗料Lを、前記パイプ突設部材26のパイプ26aを経て前方のブラシ状部材24へと流出させ、周囲のブラシ状部材24へと供給するようになっている。そして、この液体塗布具20の使用時には、塗布すべき頭髪部分に前記くし状部材25のくし歯部25a及びブラシ状部材24を当て、くし歯部25aで頭髪をとかすよう移動させる。これにより、くし状部材25のくし歯部25aは頭髪をかきわけて進み、ブラシ状部材24の各毛材を頭髪の内方へと侵入させるため、供給されている液体塗料を頭髪の内外にくまなく行き渡らせることができ、頭髪に対し良好な塗布状態を得ることができる。
【0039】なお、上記各実施形態においては、固定筒状体11にスリット11fを形成することにより可撓性をもたせ、本体部2及び繰出体12への圧入を容易にするものとしたが、固定筒状体11の素材、形状、肉厚などによっては、スリットを設けなくとも本体部2及び繰出体12への圧入を行うことができ、スリット11fは必ずしも必要としない。また、本願発明における液体塗布具1,20は、口紅、眉墨あるいは頭髪染料などに限らず、その他の液体塗料の塗布にも適用可能であり、塗布体の形状、構造などにあっても用途に応じて適宜変更可能である。
【0040】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、本体部内に貯留された液体塗料を先軸側へと押圧する液体押圧機構における回転操作部を本体部とは直接的に嵌合させず、本体部内に挿入される固定筒状体の環状の嵌合部分と嵌合させるようにしたため、本体部の形状、構造に拘わりなく固定筒状体と回転操作部との嵌合構造を必要とする強度に応じて自在に設定することができる。さらに、液体押圧機構は、固定筒状体、繰出体、ねじ棒及びピストンなどの各構成部材を、全て軸体後方から挿入することが可能であるため、極めて容易に組み立てを行うことができる。従って、例えば、各構成部材を軸体の外部で予め組み立てておき、そのユニット化した液体押圧機構を軸体の後部から同時に挿入するようにすることも可能であり、組立工程の効率化を図ることができると共に、本体部の先端形状をピストンなどに拘わりなく設定することができ、設計の自由度も大幅に向上する。
【出願人】 【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【出願日】 平成11年(1999)3月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外1名)
【公開番号】 特開平11−332643
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平11−74176