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【発明の名称】 ディスプレー用コンパクト容器
【発明者】 【氏名】田口 賢

【氏名】佐藤 達夫

【氏名】柚原 幸知

【要約】 【課題】本発明の目的は、蓋体と容器本体を確実に連結することができ、且つ製造コストを低く押さえることができるディスプレー用コンパクト容器を提供することにある。

【解決手段】本発明は、蓋体2と容器本体1とを一辺に取り付けられたヒンジ部材3を介して連結してなり、前記蓋体2及び前記容器本体1をそれぞれの外面が互いに対向する位置まで回動可能なコンパクト容器Aであって、前記ヒンジ部材3は、2つの枢支体3aと該2つの枢支体3aを連結する連結体3bとを一体に形成してなり、前記2つの枢支体3aの間に形成される連結凹部3eに前記蓋体と前記容器本体の一辺に形成されたそれぞれの連結凸部1b、2bを嵌合し、これら連結凸部1b、2bを前記ヒンジ部材3の2つの枢支体3aにより両側から枢支したディスプレー用コンパクト容器を提案することにより、上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蓋体と容器本体とを一辺に取り付けられたヒンジ部材を介して連結してなり、前記蓋体及び前記容器本体はそれぞれの外面が互いに対向する位置まで回動可能なコンパクト容器であって、前記ヒンジ部材は両端に形成された2つの枢支部と、前記2つの枢支部を連結し、中央に凹部を形成する連結部とを有するとともに、前記蓋体と前記容器本体はそれぞれ一辺に連結凸部を有し、該連結凸部を前記連結凹部に嵌合して前記ヒンジ部材の連結部が外面に露出しない状態とし、前記連結凸部の両側を前記ヒンジ部材の枢支部に枢着させたことを特徴とするディスプレー用コンパクト容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓋体と容器本体とをヒンジ部材を介して連結したコンパクト容器であって、特に、蓋体と容器本体をヒンジを中心に回動可能であって、それぞれの外面が背中合わせとなり、容器本体の内部を露出させて展示することができるっディスプレー用コンパクト容器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトを含む化粧品は、商品知識を有する店員との対面による販売方式に加え、顧客が店頭に並べられた商品から自由に選択する、通常の商品と同じ販売方式で売られるようになってきている。後者の販売方式では、販売される化粧品は、展示された状態で顧客に商品の内容をより正確に知ってもらう必要があり、特に色味や明度の情報を顧客に正確に示さなければならないアイシャドー等の化粧品では、コンパクト容器の内側を外から確認できる状態で展示することが求められている。
【0003】このため、店頭に展示される際、コンパクト容器の蓋体をほぼ360度回転させて容器本体に収容される化粧料の色を外側に見せることができるコンパクト容器が、過去、実公昭63-40164号公報により提案されている。このコンパクト容器は、蓋体と容器本体の一辺の中央に形成した連結凹部にブロック状のヒンジ部材を嵌め込み、蓋体とヒンジ部材、容器本体とヒンジ部材との間にそれぞれ軸体を取り付けている。
【0004】かかる構造により、この従来のコンパクト容器は、蓋体を容器本体に対してほぼ360度回転させることができ、容器本体の内側を見せるように展示することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のコンパクト容器は、蓋体と容器本体の中央を一つのヒンジ部材により連結しているため、コンパクト容器の開閉頻度が高くなると、ヒンジ部材を中心に左右に首が振られ、開閉時にずれが生じてしまう、という問題点があった。
【0006】また、この従来例では、ヒンジ部材を外側から蓋体と容器本体の凹部に外側から嵌め込み、スプリングピンで係合する構造が一般的であるが、この組み立て工程時、作業者はヒンジ部材を所定の位置に維持してスプリングピンを挿入しなければならず、特殊な位置決め治具を用いる必要があるなど、組み立て性に劣っていた。
【0007】一方、これを改良して、蓋体および容器本体の連結凹部の代わりに連結凸部を設け、2つの連結部材を用いて、この連結凸部を両側から挟持して、蓋体と容器本体との連結をより確実にするという構造とすることも考えられる。
【0008】しかしながら、この構造では左右のヒンジ部材が必要となり、部品点数が増え、且つ組み立て工程も煩雑化するため、製造コストも上昇するという問題点があり、また、かかる構造では組み立て工程時、依然ヒンジ部材の位置決めの困難性は解消されなかった。
【0009】そこで、本発明の目的は、蓋体と容器本体を確実に連結することができ、組み立て性が向上し、且つ部品点数を少なくすることにより製造コストを低く押さえることができるディスプレー用コンパクト容器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、蓋体と容器本体とを一辺に取り付けられたヒンジ部材を介して連結してなり、前記蓋体及び前記容器本体をそれぞれの外面が互いに対向する位置まで回動可能なコンパクト容器であって、ヒンジ部材は両端に形成された2つの枢支部と、2つの枢支部を連結し、中央に凹部を形成する連結部とを有するとともに、蓋体と容器本体はそれぞれ一辺に連結凸部を有し、この連結凸部を前記連結凹部に嵌合してヒンジ部材の連結部が外面に露出しない状態とし、前記連結凸部の両側を前記ヒンジ部材の枢支部に枢着させたディスプレー用コンパクト容器を提案することにより、上記課題を解決する。
【0011】
【発明の実施の形態】図を用いて本発明の実施例を具体的に説明する。図1は本実施例に係るコンパクト容器の全体斜視図、図2は同コンパクト容器の分解斜視図、図3は同コンパクト容器の側断面図である。
【0012】図1乃至図3に示すコンパクト容器Aは、合成樹脂製の容器本体1と蓋体2とヒンジ部材3の主として3つの部材から構成される。容器本体1及び蓋体2の一辺は、その中央が突出してそれぞれ連結凸部1a、2aが形成されており、その両側を挟持するようにヒンジ部材3が取り付けられている。これら連結凸部1a、2aは、その側面中央に軸孔1c、2cが形成されている。
【0013】ヒンジ部材3は、2つの枢支部3a、3aと、これら2つの枢支部3a、3aを連結するブリッジ状の連結部3bとを一体に形成してなり、枢支部3a、3aの間に連結凹部3eが形成される。それぞれの枢支部3aはブロック状の形状を有し、容器本体1及び蓋体2のそれぞれの連結凸部1a、2aに対応した位置に2つの軸孔3c(下方の軸孔3c1、上方の軸孔3c2)が形成されている。
【0014】そして、容器本体1並びに蓋体2の連結凸部1a、2aをヒンジ部材3の連結凹部3eに嵌め込む。この状態で、容器本体1の軸孔1cとヒンジ部材3の下方の軸孔3c1、蓋体2の軸孔2cとヒンジ部材3の上方の軸孔3c2とに、それぞれ両側からスプリングピン4を挿通することで、これら容器本体1、蓋体2ならびにヒンジ部材3の三者を係合する。なお、ヒンジ部材3の外面は、容器本体1と蓋体2の連結凸部1a、2aの外面と連続するように断面が2つの山形を有する形状となっており、ヒンジ部材3を容器本体1と蓋体2に取り付けた際は、これらは意匠的に一体となる。
【0015】これら両側の枢支部3a、3aを連結する連結部3bは、ヒンジ部材3を容器本体1並びに蓋体2に取り付けた際に、容器本体1、蓋体2側(以下、容器側という)に偏って形成されており、ヒンジ部材3を所定の位置に取り付けた際は、連結部3bはこれら容器本体1と蓋体2の連結凸部1a、2aの裏面に隠れ、外側に露出しない構造となっている。
【0016】また、後述するように蓋体2を容器本体1に対してほぼ360度回転させて反転させた場合は、ヒンジ部材3の容器側の側面は外側に露出することになるが、この側面は平らに形成されて接地面3dが形成されており(図5参照)、コンパクト容器Aを後述するように展示状態とした場合は、このヒンジ部材3の両側の接地面3dが安定してコンパクト容器Aを倒立させることができる。
【0017】なお、容器本体1と蓋体2の連結凸部1a、2aは一部が断面円形に形成され、また、ヒンジ部材3の連結部3bも上下が曲面状くぼみが形成されており、蓋体2を容器本体1に対して回動させた場合、両者が干渉することを防止している。
【0018】容器本体1及び蓋体2は、連結凸部1a、2aの反対側の一辺にそれぞれ爪状の係止部1b、2bが形成されており、蓋体2を容器本体1に対して回動させて、これら係止部1b、2bを噛合させることにより、コンパクト容器Aが閉じた状態を維持することができる。
【0019】容器本体1は、その中央部に化粧料Kを収納する収納凹部1dが広く設けられている。また、蓋体2の天井面には鏡2dが取り付けられている。また、図3に示すように、使用の際は化粧料Kの上方にパフ5を載置可能としている。
【0020】次に、本実施形態のコンパクト容器Aの作用を図3乃至図5を用いて説明する。図3は上記したように、同コンパクト容器の側断面図、図4は容器本体及び蓋体を反転させる方法を示す説明図、図5はコンパクト容器の展示状態の一例を示す斜視図である。
【0021】再度、図3を用いて説明するが、本実施形態のコンパクト容器Aを組み立てる際は、容器本体1の連結凸部1aの上へヒンジ部材3の連結部3bを載置し、さらに上方から蓋体2を被せるように容器本体1と蓋体2を合わせる。そして、この状態で、ヒンジ部材3両側の枢支部3a両側から合計4本のスプリングピン4を軸孔3cに挿入し、もってヒンジ部材3と容器本体1並びに蓋体2を連結する。
【0022】このとき、スプリングピン4を挿入しない状態でも、ヒンジ部材3の連結部3bは、容器本体1と蓋体2の連結凸部1a、2aの間に挟まれ、安定して保持される。このため、スプリングピン4の打ち込み作業の際も、作業者は特殊な治具を必要とせずに容器本体1と蓋体2を押さえた状態で同作業を行えばよく、作業効率を向上させることができる。
【0023】そして、図4( a)に示すように、蓋体2をヒンジ部材3に対して回動させて反転し、さらに容器本体1も同じ作業により反転させる。この作業により、図4( b) に示すごとく、容器本体1と蓋体2の外面が互いに背中合わせとなった展示状態への変形を完了する。
【0024】なお、これら図面では化粧料Kを容器本体1へ充填した状態を示し、上記組み立て作業を化粧料Kを充填した後に行うように説明しているが、この化粧料Kの充填作業は、コンパクト容器Aの組み立て作業を完了させた後、コンパクト容器Aの展示状態で、すなわち容器本体1の収納凹部1dが露出した状態で行ってもよい。
【0025】また、コンパクト容器Aの組み立て作業も、最初に容器本体1と蓋体2の外面を背中合わせに対向させた状態でヒンジ部材3を取り付けてもよく、この場合、展示状態への反転作業を省略することができる。
【0026】このように展示状態に変形されたコンパクト容器Aは、図5に示すように、展示パッケージ51に収納され、展示パッケージ51ごとフック52に懸下されて、店頭に陳列される。この展示パッケージ51は、少なくとも正面が透明となった、例えばブリスターパックのような容器であって、正面にコンパクト容器Aの容器本体1内側が向くように収納することで、顧客は化粧料Kの表面を展示パッケージ51を通して確認することができ、化粧料の色味や明度など、顧客の商品選択にあたって充分な情報を与えることができる。
【0027】通常の構造のコンパクト容器では蓋体を180度まで開いた状態で展示することは可能であるが、さらに本実施形態のコンパクト容器Aでは蓋体2をほぼ360度回転させて蓋体2と容器本体1とを重ねて展示することができる。このため、展示状態とした際、正面の面積を小さくすることができ、限られた展示スペースにより多くの商品を展示することができる。
【0028】また、上記したように、コンパクト容器Aを図5に示すような展示状態とした際、ヒンジ部材3の平らな接地面3dがコンパクト容器Aを安定して倒立させるので、展示パッケージ51の内側にコンパクト容器Aを支持する、特別なくぼみや突起を設ける必要がない。
【0029】なお、このコンパクト容器を購入した顧客は、再度コンパクト容器Aの容器本体1と蓋体2とをヒンジ部材3を中心に反転させ、使用状態として使用を開始する。使用時にあっては、容器本体1とヒンジ部材3とを一体とし、蓋体2を容器本体1に対して回動させることによって通常のコンパクト容器と同じ方法で使用することができる。
【0030】
【発明の効果】以上の如く構成した本発明に係るコンパクト容器によれば、容器本体と蓋体に形成した連結凸部をヒンジ部材が両側から挟持するために、蓋体の開閉頻度が高くなっても容器本体との間にずれが生じにくく、耐久性に優れたディスプレー用コンパクト容器とすることができる。
【0031】また、本発明のコンパクト容器では、上記容器本体ならびに蓋体の連結凸部を挟持するヒンジ部材の2つを支持体を連結部を介して一部品として構成したために、コンパクト容器の構成部品の数を少なくすることができ、もって、組み立て工程ならびに部品コストを低く押さえることができる。
【0032】また、コンパクト容器の組み立て作業の際、容器本体と蓋体の連結凸部がヒンジ部材の連結凹部へ嵌入させると、これら連結凸部がヒンジ部材の連結部を挟持してヒンジ部材を安定して押さえるために、特殊な位置決め治具を用いなくとも作業者は容易に組み立て作業を行うことができる。
【0033】さらに、容器本体と蓋体とを反転させて、展示状態とした場合、ヒンジ部材の2つの支持体がコンパクト容器の接地面の両側を支える脚となり、コンパクト容器を安定して倒立させた状態で展示することができる効果も有する。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【識別番号】000160223
【氏名又は名称】吉田工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中川 周吉 (外1名)
【公開番号】 特開平11−299535
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−108965