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【発明の名称】 杖の無段階長さ調節装置
【発明者】 【氏名】上村 眞一

【要約】 【課題】利き手が右利きの人でも左利きの人でも全く同じように操作性よく杖の長さが無段階に調節できるようにする。

【解決手段】上部パイプ3内に下部パイプ4を摺動自在に嵌挿してなる杖において、円錐状周面8,8を有する上部と下部の2つの円錐体9a,9bを互いの円錐状周面8,8が対向するようにねじ軸10の両端に設けてなるねじ体5を下部パイプ4の上端に固着すると共に、周方向に拡開弾性を備えさせた円筒状の制動部材6を前記ねじ体5のねじ軸10に螺合して構成され、下部パイプ4の回動により上部又は下部の円錐体9a,9bの円錐状周面8,8で制動部材6を拡開させて上部パイプ3の内周面に圧接させることにより上部パイプ3と下部パイプ4とを固定するように構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部パイプ内に下部パイプを摺動自在に嵌挿してなる杖において、円錐状周面を有する上部と下部の2つの円錐体を互いの円錐状周面が対向するようにねじ軸の両端に設けてなるねじ体を下部パイプの上端に固着すると共に、周方向に拡開弾性を備えさせた円筒状の制動部材を前記ねじ体のねじ軸に螺合して構成され、下部パイプの回動により上部又は下部の円錐体の円錐状周面で制動部材を拡開させて上部パイプの内周面に圧接させることにより上部パイプと下部パイプとを固定するようにしたことを特徴とする杖の無段階長さ調節装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、杖の長さを使用者の体格に合わせて無段階に調節できるようにした杖の無段階長さ調節装置に関し、特に利き手が右の人でも左の人でも同じように使い勝手よく長さ調節ができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の杖の無段階長さ調節装置として、例えば本願出願人による特公平7−49004号公報記載のものが知られている。この調節装置は、円錐状周面を有する円錐体の中心にねじ軸を一体に突設したねじ体を下部パイプの上端に固着し、該ねじ体のねじ軸に周方向に拡開弾性を備えさせた円筒状の制動部材を螺合すると共に、偏心回動するカム円板を設け、下部パイプを回動することによりカム円板を上部パイプの内周面に圧接させて上部パイプを回らないように制動すると同時に円錐体の円錐状周面で制動部材を拡開させて上部パイプの内周面に圧接させることにより上部パイプと下部パイプを固定するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の杖の無段階長さ調節装置は、カム円板を必要として構造が複雑であり組み立てに手間が掛かって製作コストが高価になるばかりか、カム円板を止着するねじが緩んだり脱落すると使用不能になるという問題があった。
【0004】また、上部パイプと下部パイプとを固定する場合に、その下部パイプを回す方向が一方向、例えば利き手が右利きの人に使い易いように設定されている場合が多いため、利き手が左利きの人には極めて使いにくい上に充分な固定が行なえないという問題があった。
【0005】そこで、本発明は、このような従来技術にみられる課題を解決し、上部パイプに対する下部パイプの回動が左右何れの方向にもできて、利き手が右の人でも左の人でも全く同様に操作することができ、しかも確実に固定することができて安心して使用できるような杖の無段階長さ調節装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、上部パイプ内に下部パイプを摺動自在に嵌挿してなる杖において、円錐状周面を有する上部と下部の2つの円錐体を互いの円錐状周面が対向するようにねじ軸の両端に設けてなるねじ体を下部パイプの上端に固着すると共に、周方向に拡開弾性を備えさせた円筒状の制動部材を前記ねじ体のねじ軸に螺合して構成され、下部パイプの回動により上部又は下部の円錐体の円錐状周面で制動部材を拡開させて上部パイプの内周面に圧接させることにより上部パイプと下部パイプとを固定するようにしたものである。
【0007】このように構成することにより、下部パイプを右又は左に回動することで該下部パイプが上方又は下方に移動し、上部又は下部の円錐体の円錐状周面で制動部材が周方向に拡開してその外周面が上部パイプの内周面に圧接し、上部パイプと下部パイプとを確実に固定させることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明が適用される杖の斜視図である。杖1は、上端にグリップ2を取り付けた軽合金製の上部パイプ3内に同じく軽合金製の下部パイプ4を摺動自在に嵌挿して構成される。そして、下部パイプ4の上端に本発明の無段階長さ調節装置が設けられている。
【0009】図2は上部パイプ3から下部パイプ4を外した状態の斜視図、図3は図2の分解斜視図である。この調節装置は図3に示すようにねじ体5と制動部材6とによって大略構成される。ねじ体5は、筒状の嵌合部7を有し、その嵌合部7と一体に円錐状周面8,8を有する上部と下部の2つの円錐体9a,9bを互いの円錐状周面8,8が対向するようにねじ軸10の両端に設けて構成されている。
【0010】前記制動部材6は外周に凹溝11を有する合成樹脂製の一対の半円筒体12a,12bを円筒状に合体させると共に、凹溝11に環状ばね13を嵌着して周方向に拡開弾性を備えさせたもので、前記半円筒体12a,12bのそれぞれ内周にはねじ体5のねじ軸10に螺合するねじ溝14が刻設されており、さらにそのねじ溝14が刻設された内周の上部と下部には前記円錐体9a,9bの円錐状周面8,8に接触するテーパ面15,15が形成されている。
【0011】なお、前記制動部材6は、ねじ軸10に螺合した状態で半円筒体12a,12bのそれぞれ外周面が上部パイプ3の内周面に軽く接触して回りにくいようになっている。
【0012】このように構成された杖の無段階長さ調節装置は、図4に示すように制動部材6がねじ軸10の中央に位置して該制動部材6が周方向に拡開されていない状態のとき、下部パイプ4は上部パイプ3に対して摺動自在であり、自由に長さが調節できる。そして、適当な長さのところで上部パイプ3と下部パイプ4を固定するには、利き手が右利きの人の場合、上部パイプ3を左手で握り、下部パイプ4を右手で握って右方向に回動するこのときねじ軸10に螺合している半円筒体12a,12bが上部パイプ3の内周面への接触によって回らないように制動されているため、下部パイプ4と一体にねじ軸10が上昇し、図5に示すように下部の円錐体9aの円錐状周面8で制動部材6の両半円筒体12a,12bの下端を環状ばね13に抗して周方向に拡開させる。これによって、半円筒体12a,12bの下端外周面が上部パイプ3の内周面に強く押圧されることになり、上部パイプ3に対して下部パイプ4を確実に固定することができる。
【0013】また、利き手が左利きの人の場合は上部パイプ3を右手で握り、下部パイプ4を左手で握って左方向に回動する。これによって、下部パイプ4と一体にねじ軸10が下降し、図6に示すように上部円錐体9bの円錐状周面8で制動部材6の両半円筒体12a,12bの上端を環状ばね13に抗して周方向に拡開させる。これによって、半円筒体12a,12bの上端外周面が上部パイプ3の内周面に強く押圧されることになり、上部パイプ3に対して下部パイプ4を確実に固定することができる。なお、本実施の形態ではステッキ状の杖に適用した場合について説明したが、例えば松葉杖や四点支持杖にも適用できること勿論である。
【0014】
【発明の効果】以上に述べたように本発明に係る杖の無段階長さ調節装置は、下部パイプを利き手で握り、回し易い方向へ回動させればよいから、右利きの人も左利きの人も全く同じように容易に長さを自由にかつ無段階に調節することができる。さらに構造が簡単で組み立ても容易であり、製作コストを低減することができる。
【出願人】 【識別番号】591017124
【氏名又は名称】アイワ産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二 (外1名)
【公開番号】 特開平11−318526
【公開日】 平成11年(1999)11月24日
【出願番号】 特願平10−152076