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【発明の名称】 セラミックピアス及びその製造方法
【発明者】 【氏名】内田 穣

【氏名】竹林 英己

【要約】 【課題】軸部材1の一端に装飾部材2を取りつけてなるピアスであって、装着時の軸部材1の回転を防止し、装飾部材2を正しい方向で装着する。

【解決手段】上記軸部材1をセラミックスで形成するとともに、その側面に軸部材1の中心軸方向にそってのびる曲面状の凸条1aを備える。装飾部材2に長孔状の凹部2aを形成し、該凹部2aに軸部材1の一端を挿入し固定する。また、セラミック原料を用いて、棒状体の側面に凸条を有する形状にプレス成形し、これを所定条件で焼成した後、バレル研摩を施して上記凸条を曲面状に加工し、得られた軸部材の一端に装飾部材を接合する工程からセラミックピアスを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】軸部材の一端に装飾部材を取りつけてなるピアスであって、上記軸部材をセラミックスで形成するとともに、その側面に軸部材の中心軸方向にそって伸びる曲面状の凸条を備えたことを特徴とするセラミックピアス。
【請求項2】上記装飾部材に長孔状の凹部を形成し、該凹部に軸部材の一端を挿入し固定したことを特徴とする請求項1記載のセラミックピアス。
【請求項3】セラミック原料を用いて、棒状体の側面に凸条を有する形状にプレス成形し、これを所定条件で焼成した後、バレル研摩を施して上記凸条を曲面状に加工して軸部材と成し、得られた軸部材の一端に装飾部材を接合する工程からなるセラミックピアスの製造方法。
【請求項4】貫通孔を備えたダイスと、該貫通孔内に配置され、加圧面に凹部を備えた第1下パンチと、該第1下パンチに組み合わされた第2下パンチと、これら下パンチの上部に配置され、加圧面に凹部を備えた上パンチからなるプレス成形装置を用い、まず第1下パンチの上面をダイス上面と同一平面とし、かつ第2下パンチは下方に配置しておいて、該第2下パンチの上部空間にセラミック原料粉末を充填し、次に上パンチを下降させて、上パンチの下面と上記第1下パンチの上面を合わせた状態とし、さらにこれら上パンチと第1下パンチを下降させることにより、上記原料粉末を上パンチの凹部と第1下パンチの凹部で形成される空間中に送り込み、加圧成形した後、焼成することによって側面が曲面状の軸部材を得た後、該軸部材の一端に装飾部材を接合する工程からなるセラミックピアスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックスを用いたピアスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ピアスは、図5に示すように、軸部材1の一端にフランジ1cを備え、このフランジ1cに不図示の装飾部材を接合するようになっている。そして、上記軸部材1を耳たぶの孔に挿入し、フランジ1cと反対側の端部に不図示の係止部材を取りつけて耳たぶに固定するようになっている。
【0003】この軸部材1は金や金メッキしたステンレス等が用いられているが、近年、金属材による生体アレルギーを防止するために、アルミナ、ジルコニア、サファイア等のセラミックスを用いたものも開発されている(実開昭60−1315号、特開平2−13403号公報等参照)。
【0004】また、上記セラミックスで軸部材1を形成する場合、装着時の痛みをなくすためには外周面を滑らかな曲面状とする必要があり、図5(b)に示すようにその断面は円形となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記軸部材1は断面が円形であるため、装着した後で軸回りに回転しやすく、例えば上下の区別のある装飾部材を取りつけた場合、その方向を一定に保つことができないという不都合があった。
【0006】しかも、図5に示すような断面が円形の軸部材1をセラミックスで形成する場合、その側面を研削、研摩加工して曲面状とする必要があり、製造工程を簡略化できないという不都合があった。
【0007】即ち、図5に示す軸部材1を大量生産する場合、プレス成形による方法が最も効率的であるが、プレス成形する場合、中心軸に垂直な方向から加圧しなければならない。その際に断面が円形になるようにするためには、図6に示すように、ダイス11内に配置した上パンチ12と下パンチ13の加圧面に曲面状の凹部12b、13bを形成する必要がある。すると、加圧面の端部12a、13aは鋭いエッジ状となってしまい、成形時にこの部分が破損してしまうという問題点が生じるのである。
【0008】そのため、図5に示すような断面が円形の軸部材1を作製する場合は、プレス成形によって角柱状に成形した後、側面を研削、研摩加工することによって曲面状とせざるを得なかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、軸部材の一端に装飾部材を取りつけてなるピアスであって、上記軸部材をセラミックスで形成するとともに、その側面に軸部材の中心軸方向にそってのびる曲面状の凸条を備えたことを特徴とする。
【0010】また、本発明は、上記装飾部材に長孔状の凹部を形成し、該凹部に軸部材の一端を挿入し固定したことを特徴とする。
【0011】即ち、軸部材の側面に曲面状の凸条を備えたことによって、痛みを与えることなく、装着時に回転を防止できるようにしたものである。また、装飾部材に形成した長孔状の凹部に上記軸部材の一端を挿入することにより、装飾部材と軸部材の回転を防止し、かつ両者の直角度を向上させることができる。
【0012】また、本発明によれば、セラミック原料を用いて、棒状体の側面に凸条を有する形状にプレス成形し、これを所定条件で焼成した後、バレル研摩を施して上記凸条を曲面状に加工し、得られた軸部材の一端に装飾部材を接合する工程からなるセラミックピアスの製造方法を特徴とする。
【0013】即ち、予め側面に凸条を備えた形状となるように成形すれば、金型を破損することなくプレス成形によって容易に成形することができ、これをバレル研摩するだけで容易に滑らかな曲面状の凸条を備えた軸部材を得られるようにしたものである。
【0014】さらに本発明によれば、貫通孔を備えたダイスと、該貫通孔内に配置され、加圧面に凹部を備えた第1下パンチと、該第1下パンチに組み合わされた第2下パンチと、これら下パンチの上部に配置され、加圧面に凹部を備えた上パンチからなるプレス成形装置を用い、まず第1下パンチの上面をダイス上面と同一平面とし、かつ第2下パンチは下方に配置しておいて、該第2下パンチの上部空間にセラミック原料粉末を充填し、次に上パンチを下降させて、上パンチの下面と上記第1下パンチの上面を合わせた状態とし、さらにこれら上パンチと第1下パンチを下降させることにより、上記原料粉末を上パンチの凹部と第1下パンチの凹部で形成される空間中に送り込み、加圧成形した後、焼成することによって側面が曲面状の軸部材を得た後、該軸部材の一端に装飾部材を接合する工程からなるセラミックピアスの製造方法を特徴とする。
【0015】即ち、上記方法でプレス成形することによって、側面が完全に曲面状の軸部材を得られるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図によって説明する。
【0017】図1に示すピアスは、セラミックスからなる軸部材1の一端をセラミックスからなる装飾部材2の凹部2aに挿入してなるものである。また、軸部材1はほぼ円形断面であるが、その側面には、中心軸方向に伸びる凸条1aが対照な位置に2個備えられており、この凸条1aの表面は滑らかな曲面状となっている。さらに、軸部材1の一方の端部は尖っており、その近傍に小径部1bを備えている。
【0018】一方、装飾部材2には凹部2aを有し、図1(c)に示すように、この凹部2aは一方方向の径がこれと直角方向の径よりも長くなった長孔状であり、この凹部2aに軸部材1の他方端を挿入し、固定してある。
【0019】このセラミックピアスは、主に耳たぶに孔をあける手術の際に用いられる。即ち、軸部材1の装飾部材2と反対側の尖端部を耳たぶに挿通し、上記小径部1bに不図示の係止部材を取りつけた状態のままでしばらく放置した後、引き抜くことで、耳たぶに孔をあけることができる。あるいは、このピアスを通常の装飾用として用いることもできる。
【0020】いずれの場合も、耳たぶに装着した場合に、軸部材1の側面に凸条1aを備えていることによって、軸回りの回転を防止することができる。また、装飾部材2の長孔状の凹部2aに軸部材1の端部を挿入することによって、軸部材1と装飾部材2の間の回転も防止でき、しかも両者をより密着して接合できることから直角度を向上することもできる。
【0021】したがって、装飾部材2に上下を区別するような模様を備えた場合であっても、正しい方向で耳たぶに装着することができる。
【0022】なお、上記軸部材1の直径は0.6〜1.3mm程度であり、凸条1aの突出高さhは、0.03〜0.15mmの範囲とすることが好ましい。これは、凸条1aの高さhが0.03mm未満では上記の回転防止効果に乏しく、一方0.15mmを超えると耳への装着時に異物感(痛み)を感じるようになるためである。
【0023】さらに、軸部材1の側面と凸条1aとの境界部分は滑らかな凹曲面状としておけば、異物の付着を防止できる。
【0024】また、上記軸部材1を成すセラミックスは、アルミナ、ジルコニア等を主成分とし、公知の焼結助剤等を含むものを用いる。特に、ジルコニア(ZrO2 )を主成分としてY2 3 、MgO、CaO、CeO2 、Dy2 3 等の一種以上を安定化剤として含み、正方晶の結晶を主体とする部分安定化ジルコニアセラミックスで形成することが好ましい。このジルコニアセラミックスは、曲げ強度が100kg/mm2 以上と特に強度が大きいことから、破損の恐れなく使用することができる。
【0025】また、装飾部材2も同様にアルミナ、ジルコニア等のセラミックスで形成するが、こちらの方は特に強度を求められないことからさまざまなものを用いることができる。さらに、これら軸部材1、装飾部材2を成すセラミックスに、公知の着色剤を含有させて着色セラミックスとすることもできる。
【0026】次に、本発明のセラミックピアスの製造方法を説明する。
【0027】まず、図2(a)に示すように、ダイス11の内側に備えた上パンチ12と下パンチ13のそれぞれの加圧面に曲面状の凹部12a、13aを備え、各加圧面の端部12b、13bを平坦形状とした金型を用いて、セラミック原料10をプレス成形する。すると、図2(b)に断面を示すように、ほぼ円形断面で2箇所の角状の凸条1a’を備えた棒状の成形体1’を得ることができ、これを焼成した後、バレル研摩することで、図2(c)に示すように、滑らかな曲面状の凸条1aを備えた軸部材1を得ることができる。
【0028】このようにすれば、プレス成形時に、金型の上下パンチ12、13の加圧面の端部12b、13bが鋭いエッジ状にならないため、破損することなく使用することができ、この端部12b、13bによって凸状1aを備えた軸部材1を容易に得ることができる。しかも、上記凸状1aを備えていることによって、製造工程にて、軸部材1の転がりを防止することもできる。
【0029】一方、同様のプレス成形法によって装飾部材2を作製しておき、その凹部2aに、上記軸部材1の一方端を挿入して固定すれば本発明のセラミックピアスを得ることができる。
【0030】次に、本発明の他の実施形態を説明する。
【0031】図2に示すように、セラミックスからなる軸部材1は断面がほぼ円形で、側面の対照な位置に2箇所の曲面状の凸条1aを備えており、一方端部にフランジ1cを有するものである。そして、このフランジ部1cに不図示の装飾部材を接合するようになっている。なお、この場合の装飾部材はセラミックスや金属材で形成したり、あるいは金属等の台座に宝石等を接合したもの等を取りつける。
【0032】この実施形態でも、耳たぶに装着した場合に、軸部材1の側面に凸条1aを備えていることによって、軸回りの回転を防止することができ、装飾部材に上下を区別するような模様を備えた場合であっても、正しく耳たぶに装着することができる。
【0033】次に、本発明のセラミックピアスの製造方法の他の実施形態を説明する。
【0034】図4に示すように、ダイス11の内側に、加圧面に凹部13bを備えた第1下パンチ13と、該第1下パンチ13に組み合わされた第2下パンチ14と、これら下パンチ13、14の上部に配置され、加圧面に凹部12bを備えた上パンチ12からなるプレス成形装置を用いる。
【0035】まず、第1下パンチ13の上面をダイス11上面と同一平面とし、かつ第2下パンチ14は下方に配置しておいて、該第2下パンチ14の上部空間にセラミック原料粉末10を充填し、次に上パンチ12を下降させて、上パンチ12の下面と上記第1下パンチ13の上面を合わせた状態とし、さらにこれら上パンチ12と第1下パンチ13を下降させることにより、上記セラミック原料粉末10を上パンチ12の凹部12bと第1下パンチ13の凹部13bで形成される空間中に送り込み、加圧成形することによって、側面が完全に曲面状の棒状成形体を得ることができる。
【0036】その後、この成形体を焼成することによって軸部材1を得て、その一端に装飾部材を接合することによりセラミックピアスを製造することができる。
【0037】このような方法によれば、プレス成形のみで外周が完全に曲面状の軸部材1を得ることができる。なお、この場合、軸部材1の回転防止のためには、軸部材1の断面を完全な円形とはせずに、図のようにほぼ角柱状で角部を曲面状としておくことが好ましい。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、軸部材の一端に装飾部材を取りつけてなるピアスであって、上記軸部材をセラミックスで形成するとともに、その側面に軸部材の中心軸方向にそってのびる曲面状の凸条を備えたことによって、装着時の軸部材の回転を防止し、軸部材と装飾部材との間でも回転を防止して直角度を向上させられることから、装飾部材を正しい方向で装着することができる。また、軸部材がセラミックスからなるため、金属材による生体アレルギーを防止することができる。
【0039】また、上記軸部材は、セラミック原料を用いて、棒状体の側面に凸条を有する形状にプレス成形し、これを所定条件で焼成した後、バレル研摩を施して上記凸条を曲面状に加工することによって、容易に製造することができ、大量生産が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月12日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−169212
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−343334