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【発明の名称】 バンドとケースの連結構造
【発明者】 【氏名】北林 英一

【要約】 【課題】従来の先カンを用いた時計ケースへのバンドの連結構造においては、バンドの表側への回動によりバンド上面と先カンとの当接により、バンド上面に傷が付く。この傷は長期間の使用により目立つようになり、腕時計の表側から見えるので美観を損ねる要因となっていた。

【解決手段】例えばバンドの連結端部および前記先カンの一部に、互いに入り組んで係合する凹凸部を設けて両者の相対的な回動範囲を制限する規制手段として先カンとバンドの表側での接触を防止し、また該規制手段が先カンおよび連結端部の表側によって隠され、美観を損なわないようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むと共に、前記連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を前記先カンおよび前記連結端部の表側部分の背後に設けたことを特徴とするバンドとケースの連結構造。
【請求項2】 腕時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むと共に、前記腕時計の背後において前記先カンと前記連結端部とを当接させて前記連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を備えたことを特徴とするバンドとケースの連結構造。
【請求項3】 腕時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むと共に、前記先カンと前記連結端部との当接により前記連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を前記軸部材の廻りに沿って設けたことを特徴とするバンドとケースの連結構造。
【請求項4】 前記規制手段による表側の方向への前記回動範囲の制限によって、前記連結端部の表側と前記先カンとの接触が回避されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項5】 前記規制手段は、前記連結端部の裏側方向への回動範囲をも制限していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項6】 前記規制手段は、前記連結端部と前記先カンとの係合部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項7】 前記係合部は前記連結端部および前記先カンの、前記軸部材を囲む挿通部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項6に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項8】 前記係合部は前記連結端部および前記先カンの側端に設けられた互いに入り組んだ凹凸形状をなし、前記回動範囲の少なくとも一方の端部においては凹部の側面と凸部の側面とが当接することを特徴とする請求項6あるいは7に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項9】 前記係合部は前記先カンに設けた凸部と前記連結端部に設けた凹部とより成ることを特徴とする請求項8に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項10】 前記係合部は前記連結端部に設けた凸部と前記先カンに設けた凹部とより成ることを特徴とする請求項8に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項11】 前記係合部は前記先カンに設けた凸部と前記連結端部の内壁面とより成ることを特徴とする請求項6に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項12】 前記係合部は前記連結端部に設けた凸部と前記先カンの内壁面とより成ることを特徴とする請求項6に記載のバンドとケースの連結構造。
【請求項13】 時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むと共に、前記先カンの両端に位置して前記軸部材を挿入保持する挿通部が、裏側において架橋部によって連結されていることを特徴とするバンドとケースの連結構造。
【請求項14】 前記架橋部は前記ケースの裏蓋の外形に対応した凹形状部を有することを特徴とする請求項13のバンドとケースの連結構造。
【請求項15】 前記ケースの裏面には前記架橋部を沈める浚い部を有することを特徴とする請求項13あるいは14のいずれかに記載のバンドとケースの連結構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は時計ケースとバンドとの連結構造に関する。詳しくは、連結部での傷の発生を防止できる改良された連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の腕時計ケースとバンドの連結構造の一例は、実開平1−177511号に開示されている。その第1図と実質的に同一である、一般的な周知の従来例を図1の斜視図に示す。なお本図は後述する本発明の実施の形態とも外観的には共通しているものである。腕時計のケース1はバンド取付部11を有し、そのコ字型の部分に開口部32を有する先カン3と、バンド2の連結端部4(開口部32に挿入される)が挿入され、本図では図示しない軸部材(バネ棒など)により3者が連結されている。その結果、先カン3はケース1に対してほとんど回動し得ないが、連結端部4は前記軸部材のまわりにある程度の回動が可能である。なおバンド2は多数の駒本体21を連結駒22で繋いだものである。連結端部4は最もケース寄りの駒本体と軸部材を繋いでいるので、連結駒の特殊なものであるともみなせる。また先カン3の役割は、バンドとケースの継ぎ目を隠し美観とデザインを向上させることが主である。
【0003】さて上記従来例の有する問題点について述べる。連結端部4は上述のようにケース1および先カン3に対して回動可能であるが、その範囲は連結端部4と先カン3とが自然に当接することで主に制限されている。特にバンド2が表側の方向に曲げられるとき、回動範囲の端では連結端部4の上面と先カンの開口部32の下縁とが当接する。その回数が度重なりあるいは圧接力が大きいと連結端部4の上面に傷がつくようになる。この傷は腕に時計が装着された状態では開口部と連結端部の隙間が開くので比較的よく目立つ。殊に梨地仕上げや暗色のバンドにおいては傷が光ることが著しく、時計の使用期間中に美観を失う要因となっている。店頭での商品展示においても微細な傷がついて商品価値を下げる恐れもなしとしない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、先カンを用いた時計ケースへのバンドの連結構造において、バンドの表側への回動によりバンド上面に傷が付く従来技術の欠点を防止し、しかも新たな美観上の欠点を伴わず、簡素な構造で製造コストの上昇もないような連結構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】腕時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むバンドとケースの連結構造に対して、下記(1)〜(3)の諸特徴を適用することである。
(1)連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を先カンおよび連結端部の表側部分の背後に設けたこと。
(2)腕時計の背後において先カンと連結端部とを当接させて連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を備えたこと。
(3)先カンと連結端部との当接により連結端部の少なくとも一方向への回動範囲を制限する規制手段を軸部材の廻りに沿って設けたこと。
【0006】さらに、下記のうち選択された1つあるいは適宜組み合わされた複数の諸特徴を適用することが好ましい。
(4)規制手段による表側の方向への前記回動範囲の制限によって、連結端部の表側と前記先カンとの接触が回避されていること。
(5)規制手段は、連結端部の裏側方向への回動範囲をも制限していること。
(6)規制手段は、連結端部と先カンとの係合部であること。
(7)係合部は連結端部および先カンの、軸部材を囲む挿通部にそれぞれ形成されていること。
(8)係合部は連結端部および先カンの側端に設けられた互いに入り組んだ凹凸形状をなし、回動範囲の少なくとも一方の端部においては凹部の側面と凸部の側面とが当接すること。
(9)係合部は先カンに設けた凸部と連結端部に設けた凹部とより成ること。
(10)係合部は連結端部に設けた凸部と先カンに設けた凹部とより成ること。
(11)係合部は先カンに設けた凸部と連結端部の内壁面とより成ること。
(12)係合部は連結端部に設けた凸部と先カンの内壁面とより成ること。
【0007】また、本発明は、時計のケースと、先カンと、バンドの連結端部と、前記ケースに係合して前記連結端部および前記先カンに挿通され両者の相対的な回動を許す軸部材とを含むバンドとケースの連結構造に下記の諸特徴を適用することでもある。
(13)先カンの両端に位置して軸部材を挿入保持する挿通部が、裏側において架橋部によって連結されていること。
(14)架橋部はケースの裏蓋の外形に対応した凹形状部を有すること。
(15)ケースの裏面には架橋部を沈める浚い部を有すること。
【0008】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)図2〜図4の各図は本発明の第1の実施の形態の構造を説明する図で、図2は上面(時計の表側)から見た分解斜視図、図3は下面(時計の裏側)から見た分解斜視図、図4は連結状態の下面図である。
【0009】各図において、ケース1のバンド取付部11は内向きの軸孔12を有し、これは軸部材5の各端部を保持する。軸部材5は通常は伸縮可能なバネ棒であるが、バンド取付部の外側から挿入されるピンや両外側から挿入される2本の短いネジ付き軸等であってもよい。先カン3および連結端部4はそれぞれ軸部材5を囲むほぼ円筒状をなす挿通部30、40を有し、連結部が組立てられるとき軸部材5がこれらに挿通される。先カン3はその表側部分31と裏側にある抑え突起33がケース1に当接して回り止めがなされ回動しない。連結端部4は先カン3の開口部32の中で規制手段の許す範囲内で軸部材5の回りに回動し得る。本例における規制手段は、先カン3の挿通部30の一方の内側に設けた凸部である規制突起34と、連結端部4の挿通部40の一方の端部に設けた切欠45より成り、これらは連結部が組立てられたとき互いに入り組むように係合している。規制手段は先カン3の表側部分31、および連結端部4の表側部分41の背後(下側)にあることは自明である。
【0010】図5〜図9はいずれも上記本発明の第1の実施の形態の作動を説明する図であって、図5、図6は下面斜視図、図7、図8、図9は規制手段のある位置における軸部材に直角な断面図である。
【0011】図5は先カン側の規制突起34の側面と連結端部側の切欠45の側面とが当接して、連結端部4の更なるバンドの表側(矢印A方向)への回転を阻止している状態を示している。図6は同じ視点から見て、連結端部側の切欠45の幅が広いため、連結端部4のバンドの裏側(矢印B方向)への回転は許している状態を示している。図7は図5に対応しており、回動範囲の制限作用を断面的により端的に示している。いずれも軸部材5の周囲の円筒状部分に設けられた、先カン側の規制突起34の左方の縁が連結端部側の切欠45の右方の縁に当接して、連結端部4のバンドの表側(矢印A方向)への回動を阻止し、その結果先カンの開口部32と連結端部4との間に僅かな隙間6を残し、接触が防止されいる。図8はバンドの裏側(矢印B方向)への回動の途中の状態を示しており、図9はバンドの裏側(矢印B方向)への回動が先カン側の規制突起34と連結端部4の内壁面とが当接して制限された状態を示している。裏側への回動範囲を制限するメリットは、腕から外してもバンドのループがつぶれないために展示の効果に優れ、腕に嵌めやすく、バンドの裏側に傷が生じることも表側と同様に防止可能なことである。
【0012】(第1の実施の形態の変形例)図10は第1の実施の形態の変形例の下面図である。本例では切欠45が連結端部4他端まで延びてスリット状になっていることであり、作用的には上述の例と同等である。スリットの両端に先カン側の規制突起34を2個対称的に設けることもできる。
【0013】(第2の実施の形態)図11は本発明の第2の実施の形態を下面側から見た分解斜視図、図12は下面図である。本例では回動範囲を制限する規制手段である凹凸部の凹凸関係が先カン3と連結端部4との間で入れ代わっている。即ち連結端部4側の規制突起44の側面と先カン3側の切欠35の側面あるいは先カン3の内壁面とが規制作用を行うものである。
【0014】図13〜16は第2の実施の形態の作動を説明する図で、図13、図14は下面斜視図、図15、図16は規制手段における断面図である。図13および図15はバンドの表側方向(矢印A)への回動が連結端部4側の規制突起44の一方の側面と先カン3側の切欠35の一方の側面との当接によって規制された状態を示し、図14および図16はバンドの裏側方向(矢印B)への回動が連結端部4側の規制突起44の他の側面と先カン3の内壁面との当接によって規制された状態を示している。
【0015】(本発明の第2の実施の形態の変形例)図17は本発明の第2の実施の形態の変形例の下面斜視図である。本例では規制突起44と切欠35が連結端部4の幅の両側にそれぞれ1対づつ設けられている。
【0016】(本発明の第3の実施の形態)図18は本発明の第3の実施の形態の要部の下面斜視図である。本例ではバンドの表側あるいは裏側いずれの方向への回動も、先カン3側の規制突起34の各側面と連結端部4側の切欠45の各側面との当接によって制限されている。
【0017】(本発明の第4の実施の形態)図19は本発明の第4の実施の形態の斜視図であり、図20はその作動を説明する断面図である。本例では先カン3の開口部32の付近に規制突起34を設けて連結端部4の内部に入り組ませ、規制突起34の各側面が連結端部4の長円形をなす上下の内壁面と当接することにより、バンドの表側および裏側方向への回動を規制するようにした。
【0018】(本発明の第5の実施の形態)図21は本発明の第5の実施の形態の下面分解斜視図、図22は本例の下面図、図23は本例の断面図である。
【0019】本例のバンドの回動規制の構造は既述の第1の実施の形態と同様であるが、本例の特徴は時計の裏側における先カンとケースの形状にある。先カン3の裏面部は既述例の2本の抑え突起に代えて1個の架橋部37を設けてある。架橋部37の軸部材5に沿った辺はケース1の裏蓋13の外径に沿った形の凹形状部38が与えられ、またケース1には架橋部37を沈めて両者の下面の高さをほぼ揃えるための浚い部14を設けてある。このような構成とすることにより、時計の裏側デザインをすっきりと整理させると共に手首への当たりを良くし、時計裏面の美観と装着感とを向上させている。本例の作動については第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0020】本発明の技術は以上の各実施の形態に限定されるものではないことは勿論である。例えば回動の規制手段を連結端部とケースの一部との間に設ける構造も可能性が高く容易に実施可能である。また規制手段の当接面も板材から成る凹凸面の側面以外の部分を用いてもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明においてはバンドの少なくとも表側への回動範囲を制限したことにより、携帯中や展示中のバンド表面の当たり傷の発生と拡大を防止し、時計の美観の低下の主な要因の1つをなくすことができた。また、裏側への回動範囲をも制限する構造とすればバンドの裏側に傷が生じなくなりバンドのループがつぶれず展示効果に優れ、腕に嵌めやすい。先カンと連結端部との当接により連結端部の回動範囲を制限する規制手段が腕時計の背後にあって、腕時計の携帯者には全く視認されない点が本発明の第1の利点である。これは、かかる規制手段を備えても、腕時計の携帯者が気がつくような腕時計の表側の外観変化をもたらさず、腕時計の美観を損ねないことを意味する。かつ、かかる規制手段を構成する先カンと連結端部との当接の結果、先カンや連結端部が傷つこうとも、腕時計の携帯者には全く視認されない点が本発明の第2の利点である。なぜならば、先カンや連結端部における腕時計の背後に位置した部分のみが専ら傷つき、腕時計の表側に露出する部分には決して傷がつかないからである。これは、かかる規制手段を備えても、長期にわたり腕時計の外観を美しく保つことを保証する。更に先カンに架橋部を設ければ時計の裏側デザインを向上させると共に手首への装着感を改善することができる。
【出願人】 【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月4日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−127921
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−301719