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【発明の名称】 防水・防寒性の靴甲被
【発明者】 【氏名】三原 龍夫

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂シートをU字形の甲被形状に裁断後、ウェルダーにより、表面に凸条の意匠(2)を形成させ、該甲被形状の両端末を突き合わせて千鳥縫いし、その部分を外面から踵テープ(3)を溶着させるウェルダーモールドの幅より広い幅の熱可塑性樹脂の踵テープ(3)によって覆い、ウェルダーにより溶着させると同時に、熱可塑性樹脂の踵テープ(3)の左右両端にステッチ意匠(4)を施し、さらに、ステッチ意匠(4)の両横を線状意匠(5)に溶着すると共に、該熱可塑性樹脂の踵テープ(3)の下端に面状意匠(6)を施した防水・防寒性の甲被(1)。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、雨天時或いは雪寒地等における降雪時に履用しても、靴の内部に水が浸入しない防水性及び防寒性の靴の甲被に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から熱可塑性樹脂シートによって靴状に立体形成された靴甲被本体に、先飾り、サイド飾り、カウンター等の意匠が浮き上がるようにウェルダーによって押圧成形された1枚からなる靴の甲被がある。該甲被の踵部は、甲被の両端末が突き合わせた状態で千鳥縫いによって縫着し、その外面を熱可塑性樹脂テープで覆い、ウェルダーにて縫い目が両端2列に現出した状態になるように押圧し溶着した技術がある。
【0003】又、上記甲被の両端末を突き合わせた状態で千鳥縫いを施さず、両端末を圧縮して踵部端部を圧縮して薄くするとともに、重ね合わせて縫着し、さらに縫着によって結合させた踵部の外側に熱可塑性樹脂テープを熱融着した甲被、或いは、両端末を突き合わせた状態で千鳥縫いを行なわず、内側か外側の一側面から補強用テープを縫着し、縫着によって結合させた踵部の外側に熱可塑性樹脂テープを熱融着した甲被等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記、従来の技術に記載の甲被用の熱可塑性樹脂シートは厚みが1.0 〜1.7 mm程度のもの、さらに該熱可塑性樹脂シートは微発泡性であり比重が0.8 〜1.0 程度のものが多く、ある程度の防水性を有してはいるが、防寒性には問題を残している。その上、熱可塑性樹脂シートは厚みが1.0 〜1.7 mmと薄い為に、ウェルダーによって押圧成形する先飾り、サイド飾り、カウンター等の意匠としての浮き上り状態が少ない。防寒性の向上をさせる為に、甲被の裏面に貼り合わせているウレタンフォームの厚みを増すことも考えられるが、厚みを増すと足入れがしにくく窮屈になるという問題が生じる。
【0005】防寒性を向上させるために、熱可塑性樹脂シートの厚みを1.8 〜4.0 mmで比重が0.5 〜0.7 の高発泡に変更する必要がある。その場合は、胛被の両端末を千鳥縫いし、外面を熱可塑性樹脂テープで覆い、ウエルダーにて縫い目が両端2列に現出する状態に押圧溶着するのであるが、縫い目が両端2列のみの場合、或いは熱可塑性樹脂テープの幅がウェルダーモールドの幅と同じ幅の場合、ステッチ意匠を幅ぎりぎりに施すことなり、防水機能としての安定性に欠け、良好な品質が確保できない。
【0006】さらに、胛被の厚みが厚く比重が軽いと防水機能としての安定性に欠ける要因となる。理由は高発泡であること、即ち比重が軽い。ということは気泡が多いということであり、連続気泡の割合が高い。連続気泡の割合が高い理由に、いま一つ履用中に独立した気泡が、屈曲等によって除々に独立気泡から連続気泡になり易いからである。又連続気泡が多いと防水機能の低下の原因となる。その他、【0003】に記載した様な方法においては、ウェルダーによって施したステッチ意匠又は線状意匠が両サイドのみであり、履用中に徐々に該部分の溶着がはずれ内部を縫着した糸を通じて水が除々に浸入する。本願の発明は以上の様な問題点を解決する為になされものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】熱可塑性樹脂シートをU字形の甲被形状に裁断後、ウェルダーにより、表面に凸条の意匠を形成させ、裁断した甲被形状の両端末を突き合わせて千鳥縫いし、その部分を外面から踵テープのウェルダーモールドの幅より広い幅の熱可塑性樹脂テープによって覆い、ウェルダーにより溶着させると同時に、熱可塑性樹脂の踵テープの左右両端にステッチ意匠を施すとともに、ステッチ意匠の両横を線状意匠に溶着し、該熱可塑性樹脂の踵テープの下端に面状意匠を施した防水・防寒性甲被。
【0008】
【作用】「発明が解決しようとする課題」の項に記載したように、甲被材料の厚みが厚く比重の軽いものは、保温性は向上するが、防水機能としての安定性に欠け、射出成形時の樹脂の流れが悪い。特にヌバックタイプの合成皮革は、表面がバフ仕上げされているために、防水機能の低下が顕著である。本発明の広い幅の熱可塑性樹脂の踵テープの左右両端にステッチ意匠を施し、その両横及び下端を溶着することによって溶着の安定性が増す。
【0009】
【実施例】以下、本発明につき図面に基づいて説明する。甲被(1)の甲被素材としては、PVCレザーの厚みが2.3mm、比重が0.52で、12g/100cm2 の発泡PVC層とレーヨンポリエステル等の混紡生地からなる基布で形成したものを用いた。該甲被素材のシートをU字形の甲被形状に裁断し、ウェルダーにより、表面に先飾り(9)、サイド飾り(10)、カウンター(11)等の凸条の意匠(2)を形成させる。該甲被形状の両端末を突き合わせて千鳥縫いを施した甲被(1)を成形する。
【0010】一方では、甲被形状の両端末をを突き合わせて千鳥縫いした部分を外面から覆うための熱可塑性樹脂によるテープ材として、基布を貼り合わせていない発泡PVCレザーの厚み1.0mm、比重が0.64で、幅が28mmの巻材を準備する。該踵テープ(3)を、甲被(1)の千鳥縫いしてある部分の上に覆い、ウェルダーによって踵テープ(3)の左右両端にステッチ意匠(4)を施すとともに、ステッチ意匠(4)の両横を線状意匠(5)及び踵テープ(3)の下端を面状意匠に(6)溶着し、踵テープ(3)幅よりウェルダーモールドの幅が狭い為に、溶着されていない踵テープ(3)の余分な部分は立ち上がっているために、鋏でカットする。このようにして防水性・防寒性の甲被(1)を成形する。
【0011】上記、甲被(1)を用いて、甲被(1)の下周縁と別工程にて裁断した中底とを袋状に縫着した靴甲被(8)を靴型に装着して、装着した靴型と横型及び底型の各金型を型組して出来た空隙に熱可塑性樹脂を射出することよって防水・防寒性を有する靴を成形する。
【0012】上記成形した靴を履用して、防寒性をテストした結果、次のようなデータを得た。テストは小型の温度センサーを足指の第1指と第2指との指間に挟着して、0℃の冷凍室内に入り温度の変化を測定したものである。
0分(直後)5分 10分 15分 20分 実施した靴 25℃ 23℃ 22℃ 21℃ 20℃ 従来の靴 25℃ 19℃ 17℃ 16℃ 15℃【0013】
【発明の効果】甲被の厚みを厚くしたために、ウェルダーによる凸条の意匠が充分に浮き上がり、外観の良い意匠が成形出来る。又、高発泡で比重が軽い故に重量が軽く保温性に優れ(データから見ても明らか)、従来に比べて踵部の結合強度が格段に向上し、長期の使用にも充分に供することが出来る。その上、押圧が充分故に防水機能の確実性が向上した。さらに、保温性を高める為に高発泡の甲被材を用いても接着強度あり、射出成形時の樹脂の流れが良く不良が減少し、綺麗な仕上がりとなり、品質及び作業能率が向上した。
【出願人】 【識別番号】000002989
【氏名又は名称】月星化成株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月18日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−4705
【公開日】 平成11年(1999)1月12日
【出願番号】 特願平9−179015