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【発明の名称】 複合ヘルメット
【発明者】 【氏名】舘 芳士郎

【氏名】太田 隆雄

【要約】 【課題】プラスチック又は金属からなるヘルメットにおいて、耐衝撃性の向上と良好なる操用性を得ること。

【解決手段】プラスチック又は金属からなるヘルメット本体の外面に、これとほぼ同じ内面形状を有し、外形が円錐台形状である中空の成形物を着脱自在に装着する耐衝撃性の優れた複合ヘルメットであり、この中空の成形物としては高強度繊維強化プラスチック又は金属が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチック又は金属からなるヘルメットにおいて、ヘルメット本体の外面に、外形が円錐台形状である中空の成形物を装着又は固定することを特徴とする複合ヘルメット。
【請求項2】 成形物の内面がヘルメット本体の外面と同形状である請求項1記載の複合ヘルメット。
【請求項3】 成形物の外形が真円錐台形状である請求項1又は2記載の複合ヘルメット。
【請求項4】 成形物が2個以上に分割された分割体を組み合わせたものである請求項1,2又は3記載の複合ヘルメット。
【請求項5】 成形物が同種材質又は異種材質からなる2層以上の重ね合わせ構造からなる請求項1,2,3又は4記載の複合ヘルメット。
【請求項6】 成形物が左右対称形状である請求項1,2、3,4又は5記載の複合ヘルメット。
【請求項7】 成形物がヘルメット本体に着脱自在に装着又は固定されてなる請求項1,2,3,4,5又は6記載の複合ヘルメット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック又は金属からなるヘルメット本体の外面に、外形が円錐台形状である中空の成形物を装着又は固定することにより、外側から高速の飛来物を受けた場合、この円錐台形状成形物の部分的破壊により飛来物のエネルギーを吸収し、ヘルメット本体の損傷並びに内面の凹みを効果的に防止し、高速な飛来物に対して良好な耐衝撃性を付与した複合ヘルメットに関するものである【0002】
【従来の技術】ヘルメットは高所から落下する物体又は飛来する物体に対する耐衝撃体になり得ることは、今日では公知の事実である。しかし、衝撃力が大きい場合はヘルメット単体ではその衝撃力を緩和することは不可能の場合が多い。また、中空の円錐台形状成形物(スペーサー)を介してセラミックを固定する場合もあるが、常時被っていると重く操用性に欠けるきらいがあった。また一旦ヘルメットにスペーサー付きセラミックを固定してしまうと後でを取り去ることは困難であり、衝撃力の大きい落下物や高速の飛来物体の危険性が全くない場合でも重量の大きいヘルメットを常時被らざるを得なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、プラスチック又は金属からなるヘルメット本体の外面に、外形が円錐台形状である中空の成形物を別途作製し装着することにより、強力な衝撃力を受けた場合でも破壊エネルギーがこの中空成形物を介してヘルメットに伝わるため、プラスチック又は金属からなるヘルメット本体への衝撃力を緩和させると共にヘルメット内面の膨らみを効果的に防止しうる耐衝撃性に優れた複合ヘルメットを完成するに至ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラスチック又は金属からなるヘルメットにおいて、ヘルメット本体の外面に、外形が円錐台形状である中空の成形物を装着又は固定することを特徴とする複合ヘルメットに関するものである。本発明において、外形が円錐台形状である中空の成形物(以下、中空成形物という)とは、上下に貫通する中空部を有する円錐台形状の成形物をいう。更には、好ましくはこの中空成形物の内面がヘルメット本体の外面と同一形状であることを特徴とする複合ヘルメットに関するものである。また、この中空成形物の外形が真円錐台形状であることを特徴とする複合ヘルメットに関するものであり、中空成形物を2個以上の分割体とし、これらを組み合わせて中空成形物とした複合ヘルメットに関するものであり、この中空成形物が同種材質又は異種材質からなる2層以上の重ね合わせ構造からなる複合ヘルメットに関するものであり、好ましくは、このような中空成形物が左右対称形状である複合ヘルメットに関するものである。さらに、好ましくは、中空成形物がヘルメット本体に着脱自在に装着又は固定されてなることを特徴とする複合ヘルメットに関するものである。
【0005】本発明において用いられるヘルメット本体は、一般的にヘルメットといわれるものであればどのようなヘルメットでもよいが、好ましくは工事用の安全帽、乗車用安全帽、学童用安全帽及び耐衝撃用の防刃帽や防弾帽等である。ヘルメット本体はプラスチック又は金属からなっている。プラスチックの材質としてはヘルメットを製造するのに使用される全ての材質が該当するが、好ましくはABS、ポリカーボネート及びポリエチレン等の樹脂単体、その混合物及び2種類以上の複合層からなっているもの、あるいは樹脂と補強材から構成されているもの、例えばFRP(一般のガラス繊維、ナイロン繊維及びポリエステル繊維強化プラスチック)及びACM(先端複合材料、即ち高強度繊維強化プラスチック)などがある。一方金属としては、材質は特に限定しないが、好ましくはチタン、チタン合金、軟鉄、高張力鋼板、ステンレス、アルミニウム又はジュラルミン等の単体及び合金、並びにその複合体である。
【0006】上記ACMにおいて、用いられる高強度繊維としては、引張強度を密度で割った比引張強度が10×108 cm以上であり、弾性率を密度で割った比弾性率が2.5×108 cm以上のものである。具体的には、高強度ガラス繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、高強度ポリエチレン繊維、高強度ナイロン繊維、及びポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(通称PBO)繊維等である。一般のガラス繊維、ナイロン繊維及びポリエステル繊維などは該当しない。比引張強度あるいは比弾性率が前記値以下の繊維を用いた場合、そのヘルメット本体の耐衝撃性は必ずしも十分ではない。一方、これら高強度繊維に含浸又はコーティングする樹脂としては、通常、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;あるいはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂及び合成ゴムなどが使用される。
【0007】ACMを得るには、熱硬化性樹脂の場合、高強度繊維に熱硬化性樹脂を含浸又はコーティングしてプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ね、加熱加圧する圧縮成形法、あるいはプリプレグを作らないハンドレイアップ法などがある。樹脂含有率は5〜80%(重量%、以下同じ)の範囲が使用可能であるが、通常5〜50%、優れた耐衝撃性のために好ましくは5〜30%である。熱可塑性樹脂の場合は、通常高強度繊維に熱可塑性樹脂の溶液、粉末又はその分散液を含浸又はコーティングしてプリプレグを作製し、このプリプレグを複数枚重ね熱板又は加熱ロールにて加熱加圧する圧縮成形法等がある。この際、樹脂の含有率は5〜80%(重量%、以下同じ)の範囲であるが、通常5〜50%、優れた耐衝撃性のために好ましくは5〜30%である。5%未満ではプリプレグを作ることが困難であり、80%を越えるとプリプレグを作ることが困難で、かつ耐衝撃性が低下する。
【0008】一方、前記中空成形物としては、熱硬化性又は熱可塑性樹脂からなるFRP、ACM又は樹脂単体からなる成形物あるいは金属であり、表面硬度が高く、衝撃強度をはじめ機械的強度特性が大きく、耐候性があり、且つ軽量であることが望ましい。プラスチックの代表的なものとしては、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂等;熱可塑性樹脂としてはポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の単体又はその複合体である。FRPやACMに用いられる繊維及び樹脂としては上記ヘルメット本体に使用されるものが一般的に使用される。金属としては同様に上記ヘルメット本体に使用される材質が一般的に使用される。
【0009】中空成形物の形状は、その内面をヘルメット本体の外面と同形状とすることが好ましい。この場合、中空成形物をヘルメット本体に隙間なく装着することができ、従って、複合ヘルメットの耐衝撃性がより向上し、中空成形物装着時の安定性も良く、操用性が優れたものとなる。また、中空成形物を2個以上に分割しておき、これらを円錐台形状に組み合わせてヘルメット本体に装着することが好ましい。この場合、装着しない時には、その分割体の体積がコンパクトになり、持ち運びに便利である。分割体は、通常ヘルメット本体に着脱自在に装着固定するが、隣接する分割体の接触部は、適宜の重ね合わせ構造とするのが好ましい。更には、中空成形物を同種材質又は異種材質からなる2種類以上の重ね合わせ構造とすることにより、通常、耐衝撃性が向上するが、例えば、表面に衝撃強度や耐候性の優れたものを使用し、内側に軽量のものを使用することにより、全体として耐衝撃性や耐候性が良好で、軽量の複合ヘルメットを得ることができる。
【0010】上記の方法で得られた中空成形物をヘルメット本体に固定する方法としては、中空成形物の内面とヘルメット本体の表面とを、中空成形物に用いられた樹脂そのもの、あるいは合成ゴム系やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤又は両面テープ等の粘着剤で接着する方法、あるいはマジックテープを中空成形物の内側とヘルメット本体の裏面とに貼りつけておき両者を固定する方法が望ましいが、場合によってはボルトやリベット等による機械的な接合も可能である。また、着脱を最も簡単に行うには単に嵌合させるか、あるいは中空成形物とヘルメット本体にマグネットやマジックテープを固定し接合する等の方法である。
【0011】この様にして得られた複合ヘルメットは、例えば大きな衝撃力の物体や高速な飛来物が衝突した際、まず中空成形物が破壊し、急速にエネルギーを失った衝突物体と中空成形物の破片とがヘルメット本体に到達するためヘルメット本体への直接の衝撃は少なく、衝撃によるヘルメット内面への膨らみも少なく、頭部の損傷をほとんどなくすることが可能である。更には、中空成形物をヘルメット本体に着脱自在に被着する事が可能なため、必要時には装着し、不必要時には取り外すことにより頭部へ加わる荷重の負担を軽減し、使用時の操用性を大いに改良することができる。更に、中空成形物を左右対称にすることにより、ヘルメットに装着した場合のバランスをよくすることができるため、機能上、操用性上重要なことである。
【0012】以下、本発明の複合ヘルメットの具体例を図面にて説明する。図1は、ヘルメット本体に中空の真円錐台形状成形物を装着した場合を示し、1はヘルメット本体、2は中空成形物である。図2は、2分割した分割体を組み合わせて中空成形物とし、ヘルメット本体に固定した場合であり、1はヘルメット本体、3は中空成形物の分割体である。図3は、4分割された分割体を組み合わせて中空成形物とし、ヘルメット本体の外面に固定した場合であり、1はヘルメット本体、4は4分割された中空成形物の分割体である。図4は、2種類の異種材質からなる各々2分割された分割体を組み合わせて2層構造の中空成形物として固定後、ヘルメット本体の外面に装着した場合であり、1はヘルメット本体、5及び6はそれぞれ2分割された中空成形物の分割体である。これらの分割体は2個ずつ組み合わされて中空の円錐台形状成形物とし、分割面を互いに90度ずらして重ね合わせて、2層の中空成形物として使用される。なお、これらの例において、中空成形物をヘルメット本体に隙間なく装着するために、中空成形物の内面はヘルメット本体の外面と同形状としている。
【0013】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明の複合ヘルメットは、高所から落下する物体あるいは高速に飛来する物体に対して優れた耐衝撃性を有していると共に、中空成形物を着脱自在とすることにより操用性を良好にすることができる
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月20日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−323648
【公開日】 平成11年(1999)11月26日
【出願番号】 特願平10−138232