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【発明の名称】 クリーンルーム用ヘルメット
【発明者】 【氏名】海上 修一

【氏名】岡本 勝彦

【氏名】中川 陽一

【氏名】坂ノ上 敏昭

【氏名】松林 茂夫

【要約】 【課題】塵埃の飛散を防止するクリーンルーム用ヘルメットを提供する。

【解決手段】帽体11を外殻12と、当該外殻12の内側に設けられる衝撃緩和材18と、当該衝撃緩和材18の内側に空隙を形成するとともに頭部との着装をなす着装体20とで構成し、且つ衝撃緩和材18の内側には頭部固定用のあご紐28を設け、外殻12と衝撃緩和材18との間に防塵布16とゴム弾性体14とをスカート状に取り付ける。このように防塵布16とゴム弾性体14とで外殻12の内側に設けられる衝撃緩和材18の露出を防止したことから、外殻12および防塵布16を境界として塵埃の移動を防止することができる。このためヘルメット10内部に発生する塵埃をクリーンルームに飛散させることが防止でき、もってクリーンルームの清浄化を促進することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外殻と当該外殻の内側に設けられる衝撃緩和材とを有する帽体の前記外殻と前記衝撃緩和材との間に防塵布をスカート状に取り付け、前記衝撃緩和材の露出を防止したことを特徴とするクリーンルーム用ヘルメット。
【請求項2】 前記防塵布の内側には頭部固定用のあご紐を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクリーンルーム用ヘルメット。
【請求項3】 前記防塵布の内側には、前記衝撃緩和材との空隙を形成するとともに頭部との接触をなす通気部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクリーンルーム用ヘルメット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は作業時の安全具に係り、特にクリーンルームでの使用に好適なクリーンルーム用ヘルメットに関する。
【0002】
【従来の技術】空気中における浮遊微少粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理されるクリーンルームにおいては、建設途中から室内清浄度を所定のレベル以下に管理し、建設終了後の清掃労力を低減させている。こうした環境下では、塵埃飛散防止の目的から作業員はナイロンの長繊維を織込んだ防塵布からなるクリーンルーム用フード(以下防塵フードと称す)にて頭部を覆うとともに同じく防塵布からなるつなぎ服を着込み、身体の露出を防ぎ、もって人体から発する塵埃がクリーンルーム内部に飛散しないようにしている。
【0003】ところで建設途中のクリーンルームにおいては、設備の搬入や配管作業などがおこなわれる場合があり、このため作業員はクリーンルーム内で頭部保護用のヘルメットを装着する必要があった。従来このような場合においては、防塵フードの上から外殻の内側に衝撃緩和材を備えた一般作業用のヘルメットをかぶり作業をおこなっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上述した一般作業用のヘルメットでは、前述の通り外殻の内側に発泡部材からなる衝撃緩和材が設けられている。このため防塵フードの上からヘルメットをかぶると当該ヘルメットの内側、すなわち衝撃緩和材等がクリーンルーム内に露出する形態となり、防塵フードとの摩擦などによって塵埃が発生しクリーンルーム内に飛散する恐れがあった。また防塵布には発塵を抑制するため長繊維のものが採用されている。このため布地表面の摩擦は非常に小さくなっており、ヘルメットのあご紐を防塵フードの上から締め付けた場合、あご紐にすべりが生じ、もってヘルメットの位置が安定しないという問題があった。またヘルメットをかぶることにより防塵フードが作業員の頭部に押し付けられ両者の間に隙間が無くなり、通気性悪化によるムレが生じ作業環境を悪化させていた。
【0005】本発明は上記従来の問題点に着目し、ヘルメット内側から発生する塵埃の飛散を防止するとともに頭部に対するヘルメットの位置を安定させ、さらに通気性悪化によるムレの発生を抑制するクリーンルーム用ヘルメットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、帽体の外殻に防塵布地をスカート状に取り付ければ、帽体内側の衝撃緩和材等がクリーンルーム内に露出せず、もって帽体内側からの塵埃がクリーンルーム内に飛散することを防止できるという知見に基づいてなされたものである。
【0007】すなわち本発明に係るクリーンルーム用ヘルメットは、外殻と当該外殻の内側に設けられる衝撃緩和材とを有する帽体の前記外殻と前記衝撃緩和材との間に防塵布をスカート状に取り付け、前記衝撃緩和材の露出を防止するよう構成した。ここで前記衝撃緩和材の内側には頭部固定用のあご紐を設けるとともに、前記衝撃緩和材の内側には、前記衝撃緩和材との空隙を形成するとともに頭部との着装をなす通気部材を設けることが望ましい。
【0008】
【作用】上記構成によれば、防塵布を帽体の外殻に沿って(全周にわたってスカート状に)取り付けたことから外殻と防塵布とによって帽体内部が内包され、外殻および防塵布を境界として塵埃の移動を遮断することができ、このため頭部と帽体内側との間に摩擦が生じ塵埃が発生しても、当該塵埃は防塵布によってさえぎられクリーンルーム内に塵埃が飛散するのを防止することができる。
【0009】また防塵布の内側に設けられたあご紐は防塵布を介さず頭部に直に接触できることから、あご紐と頭部との間には十分な摩擦力が得られる。このため頭部に対して帽体の位置が安定しないといった不具合を防止することができる。さらに帽体は通気部材と頭部との接触により当該頭部に固定されることから、頭部の上方には衝撃緩和材と通気部材とで形成される空隙が存在する。このため頭部上方の通気性の向上が図られ、ムレの発生を防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るクリーンルーム用ヘルメットの具体的実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】図1は本実施の形態に係るクリーンルーム用ヘルメット装着状態の斜視図を示し、図2は同ヘルメットの断面図を示し、図3は同ヘルメットの下側側面図を示す。これらの図に示すように、クリーンルーム用ヘルメット10は、帽体11を形成する外殻12の縁にゴム弾性体14と防塵布16とをスカート状に設けた形態となっている。
【0012】外殻12はプラッスチック樹脂をつば付きの帽子形状に一体成形した形態(つば部12A)となっており、強度上の観点からポリカーボネート樹脂が主に用いられている。また外殻12はクリーンルームで用いる性格上、静電気が発生し塵埃が外殻12に付着するのを防止する必要がある。このため外殻12の表面にカーボンを含ませたエポキシ樹脂を塗布したり、あるいは外殻12を構成するプラスチック樹脂そのものに導電性の充填剤を混入させ、導電性繊維が織り込まれたクリーンルーム用つなぎ服48との導通を図るようにしている。このように外殻12に導電性を持たせ、つなぎ服48との導通を図るようにすれば、作業者周囲の電位がクリーンルーム床の電位と同一となり、たとえ外殻12に静電気が発生しても当該静電気はつなぎ服48を介して足元よりクリーンルームの床へと逃げるので塵埃が静電気によって外殻12に付着するのを防止することができる。なお経験上、外殻12の表面抵抗率が1010Ω以下になるよう導電性を持たせることが望ましい。
【0013】外殻12の内側には発泡材からなる衝撃緩和材18が設けられており、これを外殻12の内側全面に(接着にて)貼りつけることで、外殻12に加わる衝撃を頭部側で緩和するようにしている。さらに衝撃緩和材18の内側には通気部材となる着装体20が設けられている。当該着装体20は頭部頂上部に密着可能とするベルト状のハンモック22および環紐24と、頭部の周囲に合わせて締め付けが可能なヘッドバンド26とによって構成されており、これらの張り具合によって衝撃緩和材18と着装体20との間に空隙を形成するようにしている。そして着装体20の張り具合によっても衝撃緩和材18と同様、外殻12に加わる衝撃を頭部側で緩和するようにしている。また衝撃緩和材18の内側にはあご紐28が設けられている。当該あご紐28は端部が外殻12の内側に固定されており、作業者の頭部から帽体11が脱落するのを防止するための部品であり、締め具30がバックル式となっており着脱を容易、確実にしている。
【0014】このように構成された帽体11における前面、すなわち外殻12におけるつば部12Aの範囲には、衝撃緩和材18の端部を覆うとともにつば部12Aに(接着にて)密着固定された視界確保をなすゴム弾性体14が設けられている。当該ゴム弾性体14は外殻12の縁に沿って円弧状に配置されており、その円弧内側は作業者の額に密着可能なように十分な厚みがとられている。またゴム弾性体14の両側からは、外殻12の縁に沿って防塵布16が取り付けられている。当該防塵布16は帽体11を作業者がかぶった場合、防塵布16の端部が作業者の肩にかかるだけの十分な長さに設定されている。すなわち帽体11と防塵布16とをクリーンルーム作業用フードとしてみなすことができ、このとき防塵布16はクリーンルーム用つなぎ服48の内部に入り込ませることができるだけの十分な長さに設定されている。
【0015】また防塵布16には外殻12の縁近傍に当該縁に沿う着脱ファスナ34が設けられている。そして着脱ファスナ34の開閉動作にて、防塵布34の大半を帽体11と取り外し可能にしており、防塵布34を定期的に洗濯可能としている。
【0016】図4は帽体11より着脱ファスナ34によって取り外された防塵布34の構造を示す説明図である。同図に示すように防塵布16は、外殻12の縁に沿って取り付けた際作業者の顔面を露出させる露出形成部36と、作業者の顎下以下の部分すなわちクリーンルーム用つなぎ服48の内部に入り込む扇型形状の裾部38とで構成されている。露出形成部36は着脱ファスナ34部分を一辺とする四角形状となっており、その両側辺内側には聴力確保のため網目状に形成された耳当て部40と、防塵マスク42を取り付けるための取付ファスナ44とが左右対象にそれぞれ設けられている。また露出形成部36と裾部38との境界部分における縁辺内側には、防塵布16を作業者の顎下部分に倣わせるための固定用ファスナ46が表裏面に設けられている。
【0017】このように構成されたクリーンルーム用ヘルメット10を用いた作業形態を説明する。作業者は更衣室にて、クリーンルーム用ヘルメット(以下ヘルメットと称す)10を装着するとともにクリーンルーム用つなぎ服48を着込み、クリーンルームに入室する準備を行う。作業者はまずヘッドバンド26を調節しヘルメット周囲を頭部に合わせ、あご紐28を締め付けることによりヘルメット10を頭部に固定する。ここで頭部と着装体20、および頭部とあご紐28とは防塵布16を介さず直接接触がなされるので十分な摩擦力が得られ、頭部に対してヘルメット10が移動することがない。このため作業中ヘルメット10の移動を気にする必要が無くなり、もって作業環境の改善および作業効率の向上を図ることができる。また着装体20と衝撃緩和材18との間には空隙が形成されているので、頭部と衝撃緩和材18とが密着することがない。このため頭部上方の通気性が確保されヘルメット10内側のムレの発生が抑えられ、このことからも作業環境の改善および作業効率の向上を図ることができる。そして頭部にヘルメット10を固定した後は、固定用ファスナ46にて防塵布16の両縁辺を接続させ、頭部顔面のみを露出させた後は、作業者の鼻孔および口を塞ぐように防塵マスク42を取付ファスナ44を用いて防塵布16に取り付ける。このように頭部にヘルメット10を装着した後は、裾部38がクリーンルーム用つなぎ服48の内側に収まるように当該クリーンルーム用つなぎ服48を着込む。
【0018】このようにヘルメット10を頭部に装着し、裾部38をクリーンルーム用つなぎ服48の内側に治めると、外殻12の周囲はゴム弾性体14および防塵布16によって囲われ、ヘルメット10の内側はクリーンルーム側に露出することが防げるので、外殻12および防塵布16を境界として塵埃の移動を防止することができる。このためヘルメット10内部に発生する塵埃をクリーンルームに飛散させることが防止でき、もってクリーンルームの清浄化を促進することができる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、外殻と当該外殻の内側に設けられる衝撃緩和材とを有する帽体の前記外殻と前記衝撃緩和材との間に防塵布をスカート状に取り付け、前記衝撃緩和材の露出を防止したことから、帽体内側に発生する塵埃の飛散を防止することができ、さらに前記防塵布の内側には頭部固定用のあご紐と、前記衝撃緩和材との空隙を形成するとともに頭部との接触をなす通気部材を設けたことから、頭部に対する帽体の位置を安定させ、さらに頭部圧迫によるムレの発生を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】日立プラント建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一 (外1名)
【公開番号】 特開平11−93014
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−264845