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【発明の名称】 被服用の採寸装置
【発明者】 【氏名】都築 卓

【要約】 【課題】未熟な作業員でも被服の採寸を容易、迅速、的確に行える採寸装置を提供する。

【解決手段】トップフレーム3a、3bのキャリッジ9と反対側に、ベースの上面に向けて照射される光線L1によって採寸基準点Aをベース上面に輝点で表示する第1の光源4を固定する。キャリッジに、ベースの上面に向けて照射される光線L2によって所要の採寸点Bをベース上面に輝点で表示する第2の光源10を取り付ける。入力端末から入力した設定寸法に基づいて制御回路8がキャリッジを移動させ、採寸基準点Aと採寸点Bとの間の距離が設定寸法となる位置にキャリッジ9が停止されるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】作業台たるベースと、同ベースの上方に水平に支持されたトップフレームと、同トップフレームの左右方向片側寄りに設けられ、制御回路からの位置制御信号に基づいて左右方向へ水平移動して所要の位置に停止できるキャリッジと、所要の設定寸法を入力すると寸法信号を前記制御回路に送る入力端末とを備え、前記トップフレームのキャリッジと反対側に、前記ベースの上面に向けて照射される光線によって採寸基準点をベース上面に輝点で表示する第1の光源を固定し、また前記キャリッジに、前記ベースの上面に向けて照射される光線によって所要の採寸点をベース上面に輝点で表示する第2の光源を取り付け、前記入力端末から入力された設定寸法に基づいて制御回路が前記キャリッジを移動せしめて、前記採寸基準点と採寸点との間の距離が設定寸法となる位置にキャリッジが停止されるようにしたことを特徴とする被服用の採寸装置。
【請求項2】請求項1に記載の第1の光源は左右方向へ所要の角度傾けてトップフレームに取り付けてあって、第1の光源からの光はベース上面へ所要の入射角で照射されることを特徴とする被服用の採寸装置。
【請求項3】請求項1に記載のキャリッジの下方に、同キャリッジとともに左右に移動し、前記第2の光源による採寸点上に所要の罫描き線を引く罫描き機構を設けてなる被服用の採寸装置。
【請求項4】請求項3に記載の罫描き機構は、内部と連通するスリットが前縁に形成され、内部にチョーク粉を収容するチョークボックスを備え、同チョークボックスは、前記キャリッジに上端が取り付けられた支持杆の下部に前方へ突設された左右の支持板間の水平軸まわりに回動可能に取り付けられ、支持杆との間に設けられたばねのばね力によって通常は前記支持杆に沿う方向へ付勢されていて、ばね力に抗してチョークボックスの上部を手前に引き下げると、チョークボックスの前縁がベースの上面に臨むことを特徴とする被服用の採寸装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスラックス等の被服に所要の寸法を採るための装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】スラックスの裾上げ等、被服の寸法直しをする際には、まず被服の所要の位置、例えばスラックスの裾上げであれば折り返し位置や余分な裾の切断位置を採寸する。従来は作業員がものさしや巻き尺を使用して上述の折り返し位置や切断位置等の所要の位置を採寸していた。
【0003】採寸作業は一見簡単なようではあるが、採寸位置にミスがあるとその後の切断、縫製等の作業に支障を来たす重要な作業であり、特に多数の被服の採寸を行う縫製工場では、採寸を行う作業員が未熟であると作業能率が低下するだけではなく、寸法違いの不良品を出してしまうこともある。
【0004】
【発明の目的】本発明は被服の採寸作業を容易かつ迅速に、しかも的確に行うことができる採寸装置を提供することにある。
【0005】
【手段】上記目的を達成するために、請求項1の本発明は、作業台たるベースと、同ベースの上方に水平に支持されたトップフレームと、同トップフレームの左右方向片側寄りに設けられ、制御回路からの位置制御信号に基づいて左右方向へ水平移動して所要の位置に停止できるキャリッジと、所要の設定寸法を入力すると寸法信号を前記制御回路に送る入力端末とを備え、前記トップフレームのキャリッジと反対側に、前記ベースの上面に向けて照射される光線によって採寸基準点をベース上面に輝点で表示する第1の光源を固定し、また前記キャリッジに、前記ベースの上面に向けて照射される光線によって所要の採寸点をベース上面に輝点で表示する第2の光源を取り付け、前記入力端末から入力された設定寸法に基づいて制御回路が前記キャリッジを移動せしめて、前記採寸基準点と採寸点との間の距離が設定寸法となる位置にキャリッジが停止されるようにしたことを特徴とする被服用の採寸装置である。
【0006】また、請求項2の本発明は、請求項1に記載の第1の光源は左右方向へ所要の角度傾けてトップフレームに取り付けてあって、第1の光源からの光はベース上面へ所要の入射角で照射されることを特徴とする被服用の採寸装置である。
【0007】さらに、請求項3の本発明は、請求項1に記載のキャリッジの下方に、同キャリッジとともに左右に移動し、前記第2の光源による採寸点上に所要の罫描き線を引く罫描き機構を設けてなる被服用の採寸装置である。
【0008】また、請求項4の本発明は、請求項3に記載の罫描き機構が、内部と連通するスリットが前縁に形成され、内部にチョーク粉を収容するチョークボックスを備え、同チョークボックスは、前記キャリッジに上端が取り付けられた支持杆の下部に前方へ突設された左右の支持板間の水平軸まわりに回動可能に取り付けられ、支持杆との間に設けられたばねのばね力によって通常は前記支持杆に沿う方向へ付勢されていて、ばね力に抗してチョークボックスの上部を手前に引き下げると、チョークボックスの前縁がベースの上面に臨むことを特徴とする被服用の採寸装置。
【0009】
【実施例】以下本発明に係る採寸装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。作業台たるベース1の左右に立設されたサイドフレーム2a、2bの上部には前後のトップフレーム3a、3bが水平に掛け渡されていて、後側のトップフレーム3bの中央よりも片側(図1では左側)寄りに第1の光源たる第1のレーザポインタ4を固定してある。
【0010】第1のレーザポインタ4はベース上面に向けてレーザ光L1 を照射し、同レーザ光によって採寸基準点Aをベース上面に輝点で表示するものとしてあり、レーザポインタ4はレーザ光L1 がベース上面に対して左右方向(図1および10では左方向)へ所要の入射角αで入射するようトップフレーム3bへ斜めに取り付けられていて、同入射角αは例えば40度が好適である。
【0011】また、前後のトップフレーム3a、3b間の前記第1のレーザポインタ4と反対側(図1では右側)には前後のトップフレーム3a、3b間に掛け渡された左右の支持フレーム5a、5bにより前後のガイドレール6a、6bを水平かつ平行に設けてあり、また、これら前後のガイドレール間に長尺ねじ棒7を前記ガイドレールと平行となるように設けてあって、この長尺ねじ棒は制御回路8からの位置制御信号によって正逆駆動するモータMによって正逆回動させられるものとしてある。
【0012】前記ガイドレール6a、6bにはキャリッジ9を摺動可能に取り付けてあって、このキャリッジ9に第2の光源たる第2のレーザポインタ10を設けてある。第2のレーザポインタ10は第1のレーザポインタ4と同様にベース上面に向けてレーザ光L2 を照射し、同レーザ光によって採寸点Bをベース上面に輝点で表示するものとしてあり、この第2のレーザポインタ10もレーザ光L2 がベース上面に対して左右方向(図1および10では左方向)へ所要の入射角αで入射するようキャリッジ9へ斜めに取り付けられていて、同入射角αも例えば40度が好適である。
【0013】第2のレーザポインタ10による採寸点Bは単に輝点で表示されるようにしてもよいが、本実施例においてはレーザポインタのレンズに特殊な構造のものを使用することにより、図9に示すように中心から前後左右にラインが延びる十字状に表示されるようにしてあって、採寸点Bをより見やすく、しかも罫描き線を引きやすくしてある。
【0014】前記キャリッジ9はその下面にスライダ9a、9bを備えており、これらスライダがそれぞれ前後のガイドレール6a、6bに摺動可能に嵌まっている。また、キャリッジ9の下面には内面に雌ねじが形成された孔11aを有するナット体11を設けてあって、このナット体11の孔11aが長尺ねじ棒7に螺合されており、モータMが正逆駆動することで長尺ねじ棒7に係合しているナット体11が左右にねじ送りされてキャリッジ9はガイドレール6a、6bに案内されて左右に移動し、制御回路8からの位置制御信号によりモータMが所要の回転を行った後に停止することでキャリッジ9は所要の位置に停止させられるようになっている。
【0015】前側のトップフレーム3aに一端が取り付けられた支持アーム12の他端に、所要の寸法を入力するための入力端末13を取り付けてあって、この入力端末13は入力された寸法を寸法信号として前記制御回路8に送る。入力端末13は例えば図5に示すようなタッチセンサを備える液晶ディスプレイで構成し、操作案内メッセージや寸法の入力部が画面に表示されていて、所要の入力部に指を触れることによって寸法を入力、設定できるようにしてある。
【0016】同図において、符号14はメッセージ表示部、15は寸法の10cmの単位を設定寸法に応じて表示する上位寸法表示部、16は同上位表示部に表示される10cm単位の寸法を増減する増減操作部、17は寸法の1cm単位および0.1cm単位の2桁の数字が0.5cmごとにあらかじめ並べて表示された下位寸法設定部、18は確認操作部、19は設定寸法を表示する設定寸法表示部、20はメインスイッチを示している。
【0017】本実施例の入力端末ではメッセージ表示部14に表示される操作案内に基づいてまず増減操作部16の「+」あるいは「−」の表示に指を触れて上位寸法表示部15の数値を増減して決め、次に下位寸法設定部を操作して下位寸法を設定し、設定寸法表示部19に表示されている設定寸法を確認して確認操作部18に触れることにより、設定寸法が寸法信号として制御回路8へ送られるようになっている。
【0018】上述した画面構成の例では上位寸法、すなわち10cm台の数値を加減操作部16で決めるようにしてあるが、被服の採寸においては所要寸法の10cm台の数値はだいたい同じであり、例えばスラックスの股下寸法であれば殆どのものが70cm台であるので、上位寸法をいちいち数字で設定しなくても済むようになっている。
【0019】また、上述した画面構成の例では下位寸法、すなわち1cm台の数値と0.1cm台の数値の2桁の数値を0.5cm単位で表示された下位寸法設定部17で設定できるようにしてある。このように下位寸法設定部を構成した理由は、通常の採寸では誤差が0.2〜0.3cmであって0.5cm単位の設定で十分な採寸精度を得ることができることと、1か所に触れるだけで2桁の数値を一度に入力できるというメリットがあることによる。
【0020】また、本実施例の装置においては次の構成よりなる図6〜8に示す罫描き機構21を備えている。罫描き機構21は、キャリッジ9に上端が取り付けられた垂直な支持杆22の下部に取り付けられていて、支持杆22は途中にスライダ22aを備えており、このスライダが左右のサイドフレーム2a、2b間に水平に掛け渡されたガイド杆23に摺動可能に取り付けられていて、スライダがガイド杆に案内されることによりキャリッジ9の移動時あるいは罫描き機構21の使用時に罫描き機構が振れないようになっている。
【0021】罫描き機構21は、内部にチョーク粉24を入れるチョークボックス25の下部を前記支持杆22の下端に前方へ突設された左右の支持板26、26間の水平軸27まわりに回動可能に取り付けたものとしてあって、一端が支持板26に取り付けられ、他端がチョークボックス25に取り付けられたねじりコイルばね28のばね力により、チョークボックス25は前記支持杆に沿う方向へ付勢されており、チョークボックス25の上部を手前に引き下げるとねじりコイルばねのばね力に抗してチョークボックスの前縁がベース1の上面に臨むようになっている。
【0022】チョークボックス25の前縁には同ボックス内と連通してチョーク粉が外部に出るようにしたスリット29を不連続に形成してあり、またチョークボックス25は上部の蓋30を着脱できるようになっていて、この蓋を取ってチョーク粉を補充する。
【0023】なお、チョークボックスの前記スリット29はチョークボックスを手前に倒した際に、第2のレーザポインタ10による採寸点B上に位置するようにしてあり、したがってチョークボックスを手前に倒すと、スリット29から出るチョーク粉により採寸点B上に不連続の破線が引かれる。
【0024】次に上述のように構成された本実施例の採寸装置の作用を、スラックスの股下寸法を採寸する場合の具体例に基づいて説明する。まず、入力端末13のメインスイッチ20に触れて電源をONにし、第1および第2のレーザポインタ4、10をともに発光させる。
【0025】ベース1の上面にスラックス31をその両裾が上下に重なり、長手方向が左右となるように載せ、次に上側の裾31aをスラックスの胴側へ折り上げて股部32を表に出し、第1のレーザポインタ4により表示される採寸基準点Aに股部32を合わせて入力端末13に所要の寸法を入力する。この際、第1のレーザポインタ4からのレーザ光L1 は左方向へ斜めに入射するので、上側の裾31aを折り上げて生じる段差31bがレーザ光L2 を妨げて影を生じることがなく、また右利きの作業者は左手でスラックスを押えるが、作業者の左手もレーザ光L1 の邪魔にならない。
【0026】所要の寸法が入力されると、入力端末13は寸法信号を制御回路8へ送り、同制御回路8では寸法信号に基づいてモータMへ位置制御信号が発せられる。モータMは位置制御信号に基づいて所要の回転数駆動して停止させられ、このモータの駆動および停止によりキャリッジ9が所要の位置に移動させられる。
【0027】キャリッジ9の移動により同キャリッジに取り付けられている第2のレーザポインタ10も移動し、同レーザポインタによる採寸点Bは前記第1のレーザポインタ4による採寸基準点Aから設定寸法分離れた位置に表示される。キャリッジ9の停止を確認したら罫描き機構21のチョークボックス25を手前に倒すことにより、スリット29からチョーク粉が出てスラックスの裾の上面に罫描き線が引かれる。
【0028】本発明の採寸装置は上述した実施例以外に他の実施例として次のような構成とすることもできる。上述した実施例では第1のレーザポインタ4をそのレーザ光L1 が左方向へ斜めに入射するよう傾けて取り付けてあって、スラックスの股部における裾31aの折り上げ段差や作業者の左手によりレーザ光L1 の影が生じないようにしてあるが、採寸基準点となる位置に段差ができないものの採寸を行う場合にはかならずしも傾きをつける必要はない。
【0029】また、上述した実施例では第2のレーザポインタもそのレーザ光L2 がベース上に 斜めに入射するようにしてあるが、かならずしも傾けて取り付けなくてもよい。
【0030】さらに、上述した実施例では第1および第2の光源にレーザポインタ4、10を使用しているが、ベース1の上面に採寸基準点Aおよび採寸点Bを明瞭に表示することができるものであれば他の光源を使用してもよい。
【0031】また、上述した実施例ではキャリッジ9をモータMによって正逆回転される長尺ねじ棒7によって左右にねじ送りするようにしてあるが、キャリッジ9を左右に移動させる機構には例えばエアシリンダを用いたものやリニアモータを用いたもの等、本実施例で説明した機構以外の各種の機構を採用できる。
【0032】さらに、上述した実施例では罫描き機構21のチョークボックス25をねじりコイルばねで付勢して通常は支持杆22に沿うようにしてあるが、ねじりコイルはねでなく、例えば一端がチョークボックスの上部に取り付けられ、他端が支持杆に取り付けられた引張コイルばね等の他の構成とすることもできる。
【0033】また、上述した実施例では罫描き機構により罫描き線を引くようにしてあるが、この罫描き機構はかならずしも必要ではなく、作業スピードは劣るが、作業者が第2のレーザポインタによって表示された採寸点B上に手作業で罫描き線を引くようにしてもよい。
【0034】さらに、上述した実施例では入力端末13をタッチセンサを備える液晶ディスプレイで構成してあるが、採寸すべき寸法を予めバーコード等の記号で表示したタグを被服に付しておき、このバーコード等の記号を読み取る端末を入力端末として使用してもよく、かくすると寸法入力に掛かる時間をより短くすることができて作業をさらに迅速に行うことができるとともに、作業員による入力ミスを防止することもできる。
【0035】なお、上述した実施例ではスラックスの股下寸法を採寸する場合の具体例について説明したが、スカートやジャケットの丈等他の被服に対してもスラックスの場合と同様に採寸を行うことができる。
【0036】
【発明の作用、効果】本発明の採寸装置は上述した構成のものとしてあるので、次の作用、効果を奏し得る。入力端末に所要の寸法を入力、設定することにより、第2の光源がキャリッジとともに所要の位置に移動し、第1の光源により表示された採寸基準点と第2の光源により表示された採寸点間の距離が自動で前記所要の寸法に設定されるので、作業者は寸法の設定を行って採寸基準点を被服の所定の位置に合わせるだけの簡単な作業で採寸を行うことができる。
【0037】したがって、未熟な作業員であっても被服の採寸は容易かつ迅速に、しかも的確に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】595085653
【氏名又は名称】株式会社ツヅキ
【出願日】 平成9年(1997)8月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 清美
【公開番号】 特開平11−81025
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−249703