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【発明の名称】 着物及びその着付け方法
【発明者】 【氏名】安田 多賀子

【要約】 【課題】一人で簡単にシルエット良く着ることができて、あとは、帯を結ぶだけで和装を楽しむことができる着物を提供すること。

【解決手段】着物C1は、後身頃1の丈L1が、つい丈とされ、前身頃2の丈L2が、後身頃1の丈L1より長さL3分長くされ、両前身頃2・2の身八つ口3のそれぞれ周縁に、長さL4分上下方向につまんだダーツ4が形成されている。また、着物C1には、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な長さの結び紐20・20が、それぞれ両衿5・5に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後身頃の丈が、つい丈とされ、前身頃の丈が、前記後身頃の丈より2〜5cm長くされ、両前身頃の身八つ口のそれぞれ周縁に、上下方向に2〜5cmつまんだダーツが形成され、さらに、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な長さの結び紐が、それぞれ両衿に接続されている構成を具備した着物。
【請求項2】 前記各結び紐が、それぞれ、クリップを備え、該クリップで挟持することにより、前記両衿に対して着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項1記載の着物。
【請求項3】 前記身八つ口の寸法が、15〜20cmとしていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の着物。
【請求項4】 前記身八つ口上方の袖付の寸法が、23〜30cmとしていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の着物。
【請求項5】 後身頃が裁ち繰越し仕立てとされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の着物。
【請求項6】 下前と上前との重なる前腰幅が、採寸したヒップ寸法の1/2から略6cmを減じた寸法となるように、仕立てられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の着物。
【請求項7】 後身頃の丈が、つい丈とされ、前身頃の丈が、前記後身頃の丈より2〜5cm長くされ、両前身頃の身八つ口のそれぞれ周縁に、上下方向に2〜5cmつまんだダーツが形成され、さらに、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な結び紐が、それぞれ両衿に接続されている構成を具備した着物の着付け方法であって、袖に腕を通した後、下前の衿に接続された前記結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出しつつ、おはしょりをせずに、下前と上前とを重ねるとともに、相互の前記結び紐をうしろで交差させて身体のまえ側で結ぶことにより、着付け上がりとし、ついで、前記結び紐を覆うように、帯を結ぶことを特徴とする着物の着付け方法。
【請求項8】 前記各結び紐が、それぞれ、クリップを備え、該クリップで挟持することにより、前記両衿に対して着脱自在に接続され、下前の衿に接続された前記結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出す際、下前の褄先を上げるように、衿先付近を前記結び紐のクリップでつまんで行なうことを特徴とする請求項7記載の着物の着付け方法。
【請求項9】 2本一組で使用され、それぞれ、布製の本体と、該本体の先端に連結されて着物の衿を挟持可能なクリップと、を備えて構成されていることを特徴とする結び紐。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の紐を結ぶだけで、一人で簡単にシルエット良く着ることができて、あとは、帯を結ぶだけで和装を楽しむことができる女性用の着物とその着付け方法に関する。また、本発明は、通常の着物の着付けにも便利に使用できる結び紐に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、女性用の着物を着る際には、長襦袢等の下着を着た後、複数本の腰紐や伊達締めを使用し、裾線を揃えて奇麗にしながら、着丈より長い身丈の着物をおはしょりしつつ、所定の腰紐を順次結び、さらに、伊達締めを締めて着付け上りとし、その後、所定の帯を結んで、着物の着付けを完了させていた。
【0003】しかしながら、着丈より長い身丈の着物を一人でおはしょりする際には、裾線が奇麗にならなかったり、不要な部位にしわがでたりして、難しい作業となっていた。
【0004】本発明は、上述の課題を解決するものであり、一人で簡単にシルエット良く着ることができて、あとは、帯を結ぶだけで和装を楽しむことができる着物とその着付け方法を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、上述の課題を解決するものであり、通常の着物の着付け時に使用しても、通常の着物をシルエット良く着ることができる結び紐を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る着物は、後身頃の丈が、つい丈とされ、前身頃の丈が、前記後身頃の丈より2〜5cm長くされ、両前身頃の身八つ口のそれぞれ周縁に、上下方向に2〜5cmつまんだダーツが形成され、さらに、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な長さの結び紐が、それぞれ両衿に接続されている構成を具備している。
【0007】そして、前記各結び紐は、それぞれ、クリップを備え、該クリップで挟持することにより、前記両衿に対して着脱自在に接続させることが望ましい。
【0008】また、前記身八つ口の寸法は、15〜20cmとすることが望ましく、前記身八つ口上方の袖付の寸法は、23〜30cmとすることが望ましい。
【0009】さらに、後身頃は、裁ち繰越し仕立てとすることが望ましく、さらにまた、下前と上前との重なる前腰幅は、採寸したヒップ寸法の1/2から、略6cmを減じた寸法となるように、仕立てることが望ましい。
【0010】本発明に係る着物の着付け方法は、後身頃の丈が、つい丈とされ、前身頃の丈が、前記後身頃の丈より2〜5cm長くされ、両前身頃の身八つ口のそれぞれ周縁に、上下方向に2〜5cmつまんだダーツが形成され、さらに、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な結び紐が、それぞれ両衿に接続されている構成を具備した着物の着付け方法であって、袖に腕を通した後、下前の衿に接続された前記結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出しつつ、おはしょりをせずに、下前と上前とを重ねるとともに、相互の前記結び紐をうしろで交差させて身体のまえ側で結ぶことにより、着付け上がりとし、ついで、前記結び紐を覆うように、帯を結ぶことを特徴とする。
【0011】さらに、前記各結び紐は、それぞれ、クリップを備え、該クリップで挟持することにより、前記両衿に対して着脱自在に接続されるように構成して、着付け時の、下前の衿に接続された前記結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出す際、下前の褄先を上げるように、衿先付近を前記結び紐のクリップでつまんで行なうようにしても良い。
【0012】さらに、本発明に係る結び紐は、2本一組で使用され、それぞれ、布製の本体と、該本体の先端に連結されて着物の衿を挟持可能なクリップと、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】本発明に係る着物では、両袖に腕を通して、下前の衿に接続された結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出し、ついで、おはしょりをせずに単に裾線を揃えるように、下前と上前とを重ねつつ、相互の結び紐をうしろで交差させて身体のまえ側で結んで着付け上りとし、その後、結び紐を覆うように、帯を結べば、着物の着付けを完了させることができる。
【0014】すなわち、本発明に係る着物では、両前身頃の身八つ口のそれぞれ周縁に、所定長さ(2〜5cm)上下方向につまんだダーツが形成されているため、女性のバストを収容するスペースが前身頃の部位にでき、また、前身頃の丈が、つい丈とした後身頃の丈より所定長さ(2〜5cm)長く形成されているため、女性がおはしょりをせずに着ても、裾線が褄先上りとならずに、裾線を揃えて、シルエット良く、下前と上前とを重ねて着ることができる。
【0015】そして勿論、単に、結び紐を回して結ぶだけで、おはしょりをせずに着ることができることから、一人で簡単に着付けを行なうことができる。
【0016】したがって、本発明に係る着物とその着付け方法では、一人で簡単にシルエット良く着ることができて、後は、帯を結ぶだけで和装を楽しむことができる。また、着付け後には、両衿に接続された結び紐相互を結んで、下前と上前とが重なっているため、着くずれを少なくすることもできる。
【0017】そして、各結び紐が、それぞれ、クリップを備えて、そのクリップで挟持することにより、両衿に対して着脱自在に接続されるように構成されている場合には、高さを調整して各結び紐を衿に接続させることができる。そのため、各結び紐の接続高さ位置を調整すれば、各結び紐を覆う帯の高さを変えることが可能となって、体型・年齢・好み等に応じて、帯の高さ位置調整を行うことができる。
【0018】さらにまた、各結び紐がクリップを備えて構成されている場合には、着付け時の、下前の衿に接続された結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出す際、下前の褄先を上げるように、衿先付近を結び紐のクリップでつまんで行なえば、下前の裾が上前の裾から見える虞れが全く無く、着付け後のシルエットを一層良好にすることができる。
【0019】また、身八つ口の寸法を、通常の12〜15cmより長い15〜20cmとすれば、身八つ口を通す結び紐の衿への接続高さ位置を広い範囲で調整することが可能となって、一層、体型・年齢・好み等に応じて、帯の高さ位置調整を行うことができる。
【0020】さらに、身八つ口上方の袖付の寸法を、通常の21〜23cmより長い23〜30cmとすれば、身八つ口を下方に配置させることとなり、身八つ口付近を帯で覆い易くして、身八つ口から結び紐等が見えることを防ぐことができる。また、帯も下方に結ぶこととなるため、通常の着物で設けるおはしょりの位置まで、帯を下げる態様となって、おはしょりのない違和感を抑えることができる。
【0021】さらにまた、後身頃を、裁ち繰越し仕立てとすれば、後身頃に繰越し用のつまみ部分を設けなくとも良くなり、後身頃に繰越し用の縫目を配置させない態様となって、その縫目を隠す必要がなくなることから、自由な形・高さ・大きさで帯結びができ、帯結びの自由度を増加させることができる。
【0022】さらにまた、下前と上前との重なる前腰幅を、採寸したヒップ寸法の1/2から、略6cmを減じた寸法となるように、仕立てれば、着た後のシルエットを一層良好にすることができる。
【0023】そして、請求項9に記載した結び紐では、本発明に係る着物の着付けに使用できる他、例えば、おはしょりをしない子供や男性の着物の着付け時、両衿に、それぞれ、クリップを挟持させて結び紐を接続し、下前の衿に接続された結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出し、ついで、裾線を揃えるように、下前と上前とを重ねつつ、相互の結び紐をうしろで交差させて身体のまえ側で結んで着付け上りとし、その後、結び紐を覆うように、帯を結べば、着物の着付けを完了させることができる。
【0024】このような着付けでは、両衿に接続させた結び紐を相互に結んでいるため、両衿が拡がるような着くずれを防止できて、着物をシルエット良く着ることができることとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】図1・2に示す実施形態の着物C1は、図8・9に示す従来の着物C0との相違点や特徴を挙げれば、まず、第1番目の相違点として、後身頃1の丈L1が、つい丈とされるとともに、前身頃2の丈L2が、後身頃1の丈L1より、長さL3(実施形態では4cm)分、長くされている点である。ちなみに、従来の着物C0では、後身頃1や前身頃2の丈L1・L2は、相互に等しくして、つい丈でなく、着丈より30cm程度長く仕立てられていた。
【0027】また、第2番目の相違点としては、両前身頃2の身八つ口3のそれぞれ周縁に、長さL4(実施形態では4cm)分、上下方向につまんだダーツ4が形成されている点である。実施形態の場合、ダーツ4の左右方向の長さL5は、8cmとして、また、ダーツ4の配置されている高さ位置は、上縁からの長さL6を30cmとした位置としている。なお、従来の着物C0の前身頃2には、このようなダーツ4はなかった。
【0028】さらに、第3番目の相違点としては、うしろで交差させて身体のまえ側で相互に結び可能な長さの結び紐20・20が、それぞれ両衿5に接続されている点である。従来の女性用の着物C0には、このような紐20はなかった。
【0029】なお、実施形態の場合、各結び紐20は、それぞれ、布製の本体20aの先端に連結されたクリップ20bを備えて構成され、各クリップ20bで挟持することにより、衿5に対して着脱自在に接続されるように構成されている。
【0030】さらにまた、第4番目の相違点としては、身八つ口3の長さL7が、18cmとして、従来の着物C0の身八つ口3の長さ寸法L7より長くしている点である。ちなみに、従来の着物C0の身八つ口3の長さ寸法L7は、12〜15cmとしていた。
【0031】さらに、第5番目の相違点としては、身八つ口3上方の袖付6の長さL8が、28cmとして、従来の着物C0の袖付6の長さL8より長くしている点である。ちなみに、従来の従来の着物C0の袖付6の長さL8は、21〜23cmとしていた。
【0032】さらにまた、実施形態では、繰越し7が、後身頃1を円弧状に裁って仕立てた裁ち繰越し仕立てとされている点である。ちなみに、従来の着物C0では、後身頃1の脇に繰越し用のダーツ15を設けて対処する場合があった。
【0033】さらに、実施形態では、図7に示すように、下前11と上前12との重なる前腰幅8の長さL9が、採寸したヒップ寸法Hの1/2から略6cmを減じた寸法となるように、仕立てられている。
【0034】さらにまた、衿5の丈L11は、着丈をつい丈としており、衿下の寸法L12が身長の1/2程度であるので、従来の身長の1/2程度の衿5の長さより短くして、身長の(30〜40)/100としておく(実施形態では、身長の35/100としている)。また、従来の着物C0よりに短い衿5が角張らない曲線とするために、衽下がりの寸法L13を、従来の23cm程度より短い21cm程度に仕立てておく。
【0035】そして、上記の相違点や特徴の他の部位は、従来の着物C0の仕様と同様に構成されている。
【0036】なお、実施形態で使用する結び紐20の構成を詳しく説明すると、結び紐20は、図10〜12に示すように、布製の本体20aと、本体20aの先端に連結されて着物の衿5を挟持可能なクリップ20bと、を備えて構成されている。
【0037】クリップ20bは、先端部相互で着物の衿5を挟持可能とするとともに、元部側で相互に挟持・開放方向に回動可能に連結される一対の挟持片22・26と、一対の挟持片22・26を挟持方向へ付勢する押圧手段30と、を備えて構成されている。実施形態の場合、一対の挟持片22・26は、1枚の板ばね材21を中央付近から略180°屈曲させて構成され、屈曲させた中間部位を、挟持片22・26の元部側として、挟持片22・26相互の連結部25としている。
【0038】そして、一方の挟持片22には、元部側に、挟持片26側の両側縁付近まで延びる2つの支持ブラケット部23が形成され、各支持ブラケット部23には、押圧手段30の支持軸部33を挿入させて支持する支持孔23aが形成されている。他方の挟持片26には、支持ブラケット部23の部位に、挟持片22側へ凹む受面28が形成されている。この受面28には、押圧手段30の先端部32が当接することとなる。また、各挟持片22・26の先端部の対向面相互には、衿5を挟持した際に、衿5を傷めないように、ゴム等の弾性材24・27が固着されている。
【0039】押圧手段30は、板金からなる押圧片31から構成され、押圧片31は、本体20aを連結するための連結孔35aを配置させ、先端側に向って幅寸法を狭めた連結部35と、連結部35の先端で、屈曲させた屈曲部34を介在させて、受面28側に接近する先端部32と、を備えて構成されている。先端部32は、両支持ブラケット部23・23間の位置に配置されるとともに、左右両側に、各支持ブラケット部23の支持孔23aに挿入される支持軸部33を備えている。
【0040】この先端部32は、連結部35側を一対の挟持片22・26に沿わせた位置(図10に示す位置)を、挟持片22・26が衿5を挟持できる挟持位置として、その挟持位置では、先端部32の先端32aが、支持孔23aより挟持片22・26の先端側に位置して挟持片26の受面28を押圧して、挟持片22・26が衿5を挟持することとなる。また、挟持位置から略直交させた位置(図12に示す位置)を、挟持片22・26の先端部相互を離隔させる開放位置として、その開放位置では、先端部先端32aが、支持孔23aより挟持片22・26の連結部25側に位置して挟持片受面28の押圧を解除することとなる。
【0041】この結び紐20では、押圧手段30の押圧片31を開放位置に配置させて、挟持片22・26の先端部相互間に、衿5を配置させ、押圧片31を挟持位置に回転させれば、結び紐20のクリップ20bを衿5に接続させることができる。
【0042】実施形態の着物C1の着付け時には、予め、長襦絆の着付けを行なっておき、その後、まず、両袖9に腕を通して、図3に示すように、下前11の衿5に接続された結び紐20を上前12側の身八つ口3から外側へ出す。なお、この時、下前11の褄先11aを15cm上げるように、衿先5a付近を結び紐20のクリップ20bでつまんでおくことが望ましい。つまむ態様は、重ねた3枚をつまんだり、重ねた前側の2枚重ね部位をつまんでも良い。
【0043】ついで、図4・5に示すように、おはしょりをせずに、単に裾線10を揃えるように、下前11と上前12とを重ねつつ、相互の結び紐20・20をうしろで交差させて身体のまえ側で結んで着付け上りとする。
【0044】その後、図6に示すように、結び紐20・20を覆うように、帯30や帯締め31を結べば、着物C1の着付けを完了させることができる。なお、使用する帯30は、簡略に着ることができる着物C1に使用することから、軽装のものが望ましく、半幅帯や細帯、あるいは、兵児帯等を使用することが望ましい。
【0045】そして、実施形態の着物C1では、両前身頃2・2の身八つ口3のそれぞれ周縁に、上下方向に所定長さL4分つまんだダーツ4が形成されていることから、女性のバストを収容するスペースが前身頃2の部位にでき、また、前身頃2の丈L2が、つい丈とした後身頃1の丈L1より所定長さL3分長く形成されているため、女性がおはしょりをせずに着ても、裾線10が褄先上りとならずに、裾線10を揃えて、シルエット良く、下前11と上前12とを重ねて着ることができる。
【0046】そして勿論、単に、結び紐20・20を回して結ぶだけで、おはしょりをせずに着ることができることから、一人で簡単に着付けを行なうことができる。
【0047】したがって、実施形態の着物C1とその着付け方法では、一人で簡単にシルエット良く着ることができて、後は、帯30や帯締め31を結ぶだけで和装を楽しむことができる。また、着付け後には、両衿5・5に接続された結び紐20・20相互を結んで、下前11と上前12とが重なっているため、着くずれを少なくすることもできる。
【0048】なお、身八つ口3周縁で上下方向につまむ長さL4は、実施形態の場合、4cmとしているが、この長さL4は、2cm未満では、女性のバストを収納するスペースを確保できず、また、5cmを超えては、前身頃2にしわがでる虞れが生ずるため、2〜5cmとすることが望ましい。
【0049】さらに、実施形態では、ダーツ4の左右方向の長さL5を8cmとした場合を示したが、この長さL5は、7cm未満では、女性のバストを収納するスペースが脇側に広がり過ぎることとなり、また、9cmを超えては、ダーツ4が帯30を結んでも露出する虞れが生ずるとともに、前身頃2の丈L2を長く確保し難くなるため、7〜9cmとすることが望ましい。
【0050】また、前身頃2の身八つ口3の周縁に設けるダーツ4の高さ位置は、女性のバストを的確に収納できるように、肩の折り山線からの長さL6寸法を、27〜32cmの範囲で、適宜設定すれば良い。
【0051】さらに、後身頃1の丈L1より前身頃2の丈L2を長くする長さL3は、実施形態の場合、4cmとしているが、この長さL3は、2cm未満では、裾線10が褄先上りになり易く、また、5cmを超えては、裾線10が褄先下がりとなり易いことから、2〜5cmとすることが望ましい。
【0052】また、実施形態では、各結び紐20・20が、それぞれ、クリップ20bを備えて、クリップ20bで挟持することにより、両衿5・5に対して着脱自在に接続されるように構成されていることから、高さを調整して各結び紐20・20を衿5・5に接続させることができる。そのため、各結び紐20の接続高さ位置を、図1の二点鎖線に示すように、調整でき、各結び紐20・20を覆う帯30の高さを変えることが可能となって、体型・年齢・好み等に応じて、帯30の高さ位置調整を行うことができる。
【0053】さらに、各結び紐20がクリップ20bを備えて構成されている場合には、着付け時の、下前11の衿5に接続された結び紐20を上前12側の身八つ口3から外側へ出す際、下前11の褄先11aを上げるように、衿先5a付近を結び紐20のクリップ20bでつまんで行なえば、下前11の裾が上前12の裾から見える虞れが全く無くなり、着付け後のシルエットを一層良好にすることができる。ちなみに、結び紐20が下前11の衿5に縫合されて接合されているような場合には、単体のクリップを使用して、褄先11aを上げるように衿先5aをつまんでも良く、さらに、つままずに、結び紐20の後方へ回す位置を上方に配置させて、下前11の褄先11aを上げるようにしても良い。勿論、実施形態のように、結び紐20がクリップ20bを備えていれば、簡単に、下前11における褄先11aの上げる高さを調整することができる。
【0054】さらにまた、実施形態では、身八つ口3の長さL7が、通常の12〜15cmより長い18cmとしており、身八つ口3を通す結び紐20の衿5への接続高さ位置を広い範囲で調整することが可能となって、一層、体型・年齢・好み等に応じて、帯30の高さ位置調整を行うことができる。
【0055】なお、身八つ口3の長さL7は、15cm未満であれば、帯の高さ位置調整が行ない難く、かつ、袖9に腕を通し難くなって、20cmを超えれば、身八つ口付近を帯で覆い難くなって、身八つ口から結び紐等が見え易くなり、着付け後の見栄えを低下させることから、15〜20cmとすることが望ましい。
【0056】さらにまた、実施形態では、身八つ口3の上方の袖付6の長さL8が、通常の21〜23cmより長い28cmとしていることから、身八つ口3を下方に配置させることとなり、身八つ口3付近を帯30で覆い易くして、身八つ口3から結び紐20等が見えることを防ぐことができる。また、帯30も下方に結ぶこととなるため、通常の着物C0で設けるおはしょりの位置まで、帯30を下げる態様となって、おはしょりのない違和感を抑えることができる。
【0057】なお、袖付6の長さL8は、23cm未満では、上記作用・効果を得難くなって、30cmを超えれば、帯30の配置が下過ぎることとなって、着付け後の見栄えを低下させることから、23〜30cmが望ましい。
【0058】また、実施形態では、後身頃1が、裁ち繰越し仕立てとされており、従来の着物C0のように、後身頃1に繰越し用のつまみ部分15を設けなくとも良くなり、後身頃1に繰越し用の縫目を配置させない態様となって、その縫目を隠す必要がなくなることから、自由な形・高さ・大きさで帯結びができ、帯結びの自由度を増加させることができる。
【0059】さらに、実施形態では、下前11と上前12との重なる前腰幅8の寸法L9が、採寸したヒップ寸法Hの1/2から、略6cmを減じた寸法となるように、仕立てられていることから、下前11や上前12のそれぞれの縁から脇までの長さL10を、それぞれ、3cm程度にすることができて、緩みを少なくして身体にフィットさせることができ、着た後のシルエットを一層良好にすることができる。
【0060】なお、実施形態では、長襦絆の上に着る着物C1について説明したが、勿論、長襦絆を使用せずに着る着物、即ち、浴衣等に、本発明を実施しても良い。
【0061】また、実施形態の結び紐20では、2本一組で着付け補助具として使用でき、着物C1の着付けに使用できる他、例えば、おはしょりをしない子供や男性の着物の着付け時、両衿に、それぞれ、クリップを挟持させて結び紐を接続し、下前の衿に接続された結び紐を上前側の身八つ口から外側へ出し、ついで、裾線を揃えるように、下前と上前とを重ねつつ、相互の結び紐をうしろで交差させて身体のまえ側で結んで着付け上りとし、その後、結び紐を覆うように、帯を結べば、着物の着付けを完了させることができる。
【0062】このような着付けでは、両衿に接続させた結び紐を相互に結んでいるため、両衿が拡がるような着くずれを防止できて、着物をシルエット良く着ることができることとなる。
【出願人】 【識別番号】598040879
【氏名又は名称】安田 多賀子
【出願日】 平成11年(1999)3月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫 (外1名)
【公開番号】 特開平11−335906
【公開日】 平成11年(1999)12月7日
【出願番号】 特願平11−59296