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【発明の名称】 手 袋
【発明者】 【氏名】田路 大二郎

【氏名】白水 利通

【氏名】西松 忠男

【氏名】名倉 太郎

【要約】 【課題】手袋の内表面や手がぬれているか否かにかかわらず常に着脱がしやすく、しかも手袋内がぬれても装着感が悪くならない、新規な手袋を提供する。

【解決手段】手袋の内表面に、コラーゲンを含むゴムまたは樹脂の潤滑層を積層した。また上記潤滑層は、無機の、または樹脂製の微粒子を含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1層の、ゴムまたは樹脂の基体層を備えた手袋であって、その内表面に、コラーゲンを含むゴムまたは樹脂の潤滑層が積層されたことを特徴とする手袋。
【請求項2】潤滑層が、当該潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、コラーゲンを30重量部以上の割合で含有している請求項1記載の手袋。
【請求項3】潤滑層が、無機の、または樹脂製の、少なくとも1種の微粒子をも含んでいる請求項1記載の手袋。
【請求項4】潤滑層が、当該潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、上記微粒子を130重量部以下の割合で、かつ微粒子とコラーゲンとを総量で200重量部以下の割合で、それぞれ含有している請求項3記載の手袋。
【請求項5】潤滑層が、少なくともコラーゲンを分散したゴムラテックスまたは樹脂エマルジョンから、浸漬法によって形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム製あるいは樹脂製の手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭などで幅広く使用される、いわゆるゴム手袋(ゴム製あるいは軟質樹脂製の手袋)としては、少なくとも1層の、ゴムまたは樹脂の基体層のみにて形成されたアンサポートタイプの手袋や、あるいは上記基体層を、薄い布性の手袋体などで補強したサポートタイプの手袋などが知られている。
【0003】またこれら従来の手袋が、汎用性を考慮して、使用者の手の大きさや形状を一切、考慮しない一定の形状と大きさに形成され、細かい作業には適さないことから近時、それに代わる、とくに細かい作業に適した手袋として、使用者の手にぴったりフィットするように基体層を延伸性のフィルムにて形成した手袋なども提案されている(特開平5−247704号公報など)。
【0004】しかし、とくに上記延伸性の手袋は、装着者の手に対するフィット性が高まる反面、着脱がしにくく、また装着した状態で手に汗をかいたり、あるいは手袋をして取り扱っている水などが誤って手袋内に入ったりして手袋内がぬれると装着感が悪くなるという問題があった。かかる問題は、前記アンサポートタイプなどの従来の手袋でも同様に発生していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで手袋の、手に対する潤滑性を向上して着脱しやすくするために、その内表面に、手に対する潤滑性の高い層(潤滑層)を設けた手袋が提案された。たとえば特開平5−1161号公報には、上記の潤滑層として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、メタクリル酸(MMA)または2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)との共重合体、または上記HEMAとMMAとEHAとの3元共重合体の層が提案されており、かかる潤滑層を、外科手術用などの手袋の内表面に形成することが開示されている。
【0006】しかし、上記のものを含む従来の潤滑層はいずれも、潤滑性のみを考慮したものであって、手袋内がぬれた際に装着感が悪くなることには変わりがなく、かかる装着感の問題を解消することはできなかった。また、手袋の内表面や手がぬれていると、上記潤滑層による潤滑効果が大きく低下して、着脱がしにくくなるという問題もあった。
【0007】本発明の目的は、手袋の内表面や手がぬれているか否かにかかわらず常に着脱がしやすく、しかも手袋内がぬれても装着感が悪くならない、新規な手袋を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、発明者らは、手袋の内表面に形成する潤滑層の構成について種々、検討した。その結果、ゴムまたは樹脂の潤滑層にコラーゲンを含有させると、当該コラーゲンの作用によって潤滑層が、高い潤滑性を有するとともに吸湿、吸水性にもすぐれ、しかも吸湿、吸水後、速やかに放湿する放湿性にもすぐれたものとなるため、手袋の内表面や手がぬれているか否かにかかわらず常に着脱がしやすく、しかも手袋内がぬれても装着感が悪くならない手袋を構成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明の手袋は、少なくとも1層の、ゴムまたは樹脂の基体層を備えたものであって、その内表面に、コラーゲンを含むゴムまたは樹脂の潤滑層が積層されたことを特徴としている。また本発明においては、潤滑層の潤滑性をさらに高めるために、当該潤滑層が、無機の、または樹脂製の、少なくとも1種の微粒子をも含んでいるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。本発明の手袋は、前記のようにその内表面に、コラーゲンを含む、あるいはコラーゲンと微粒子とを含む、ゴムまたは樹脂の潤滑層が積層されたものである。かかる潤滑層は、種々の方法によって手袋の内表面に形成することができる。
【0011】しかし、手袋の本体であるゴムまたは樹脂の基体層が主として、当該基体層のもとになる前加硫状態のゴムラテックスや樹脂エマルジョン中に手袋の型を浸漬したのち引き上げて乾燥、固化させ、ゴムの場合はさらに後加硫させる、いわゆる浸漬法によって形成されるため、製造工程や設備のことなどを考慮すると、上記潤滑層も、基体層と同様に浸漬法によって形成するのが好ましい。
【0012】すなわち上記手袋の型の表面に先に、基体層を含む単層または多層構造の手袋を形成したものを型ごと、潤滑層のもとになる、コラーゲンと、必要に応じて微粒子とを分散させた未加硫または前加硫状態のゴムラテックス、または樹脂エマルジョン中に浸漬したのち引き上げて乾燥、固化させ、ゴムの場合はさらに型ごと加熱して加硫させると、その最外面、つまり実際の手袋の内表面に、コラーゲンを含む、あるいはコラーゲンと微粒子とを含む潤滑層が積層、形成される。
【0013】また上記と逆に、手袋の型の表面に先に、浸漬法によって、コラーゲンを含む、またはコラーゲンと微粒子とを含む潤滑層を形成したのち、その上に、基体層を含む単層または多層構造の手袋を積層、形成してもよい。上記の浸漬法に使用される潤滑層用のゴムラテックスとしては、種々のゴム系のものがいずれも使用可能であるが、潤滑層の、手に対する潤滑性などを考慮すると、ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックスなどの合成ゴムラテックスや、あるいはメチルメタクリレートなどで変性したブタジエンゴムラテックスなどが好適に使用される。
【0014】また樹脂エマルジョンとしては、やはり潤滑層の、手に対する潤滑性などを考慮すると、手袋用として常用される種々の樹脂系のエマルジョンのうち、ウレタン系、アクリル系などの樹脂系のエマルジョンが好適に使用される。上記ゴムラテックスや樹脂エマルジョンに添加されて、手袋の内表面に形成される潤滑層に含有されるコラーゲンとしては、従来公知の種々の形態のものがいずれも使用可能であるが、とくにゴムラテックスや樹脂エマルジョンへの分散性、ひいては形成される潤滑層中への分散性などを考慮すると、平均粒径がおよそ5〜15μm程度の、粉末状のコラーゲンが好適に使用される。かかる粉末状のコラーゲンの具体例としては、これに限定されないがたとえば、昭和電工(株)製の商品名「トリアゼット(TORIAZET)」シリーズの粉末状コラーゲンなどがあげられる。
【0015】また、上記コラーゲンとともに潤滑層に含有させてもよい微粒子としては、たとえばシリカ、マイカなどの無機の微粒子や、アクリル系、ウレタン系、オレフィン系、塩化ビニル系などの樹脂製の微粒子などがあげられる。また、このうち樹脂の微粒子は、たとえばゴムの加硫時の熱に耐え得る耐熱性を付与するために、架橋されていてもよい。
【0016】かかる微粒子は、これに限定されないが、その平均粒径がおよそ3〜30μm程度であるのが好ましい。微粒子の平均粒径が上記の範囲未満では、当該微粒子を含有させたことによる、潤滑層の潤滑性をさらに向上させる効果が不十分となるおそれがあり、逆に上記の範囲を超えた場合には、潤滑層の表面、すなわち手袋の内表面がざらついて、かえって装着感が悪くなるおそれがある。
【0017】上記コラーゲンおよび微粒子の、潤滑層への含有量は、いずれもとくに限定されないが、このうちコラーゲンは、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、30重量部以上の割合で含有させるのが好ましい。コラーゲンの含有量がこの範囲未満では、コラーゲンを潤滑層中に含有させたことによる、当該潤滑層に潤滑性、吸湿、吸水性、放湿性などを付与する効果が不十分となるおそれがある。
【0018】また微粒子は、前記のように潤滑層に含有させなくてもよい成分であるので、その含有量の下限はいうまでもなく0重量部である。ただし当該微粒子を含有させたことによる、前述した、潤滑層の潤滑性を向上させる効果を考慮すると、微粒子は、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、30重量部以上の割合で含有させるのが好ましい。
【0019】また、上記コラーゲンおよび微粒子は、とくに手袋を伸長した際に、潤滑層が、それに追従して十分に伸長するために下地からはく離しない特性(伸長時の密着性)などを考慮すると、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、総量で200重量部以下の割合で含有させるのが好ましい。また同様の観点から微粒子は、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して130重量部以下の割合で含有させるのが好ましい。
【0020】すなわち、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、コラーゲンと微粒子の含有量の総量が200重量部を超えるか、あるいは微粒子の含有量が130重量部を超えた場合には、手袋を伸長した際に、潤滑層がそれに追従して十分に伸長できずに、下地からはく離してしまうおそれがある。なお、潤滑層に微粒子を含有させずにコラーゲンのみを含有させる系では、やはり潤滑層の伸長時の密着性などを考慮すると、コラーゲンを、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して200重量部以下の割合で含有させるのが好ましい。またかかる単独系では、以上で説明した各特性のバランスを考慮すると、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、コラーゲンを50〜150重量部の割合で含有させるのがさらに好ましい。
【0021】またコラーゲンと微粒子との併用系では、やはり以上で説明した各特性のバランスを考慮すると、潤滑層を構成するゴムまたは樹脂100重量部に対して、コラーゲンを50〜100重量部の範囲内、微粒子を50重量部程度で、かつ両者を総量で150重量部以下の割合で含有させるのがさらに好ましい。コラーゲンや微粒子の含有量を上記の範囲内に調整するには、たとえば潤滑層が前述したように浸漬法によって形成される場合、その原料であるゴムラテックスや樹脂エマルジョン中の固形分(ゴム分、樹脂分)樹脂100重量部に対する、両成分の添加量を調整すればよい。
【0022】上記潤滑層のもとになるゴムラテックスや樹脂エマルジョンには、浸漬法においてこれらの組成物に添加される、従来公知の種々の添加剤を、必要に応じて適宜、添加してもよい。すなわちゴムラテックスに添加してもよい添加剤としては、ゴムを加硫させる加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、充填剤、分散剤などがあげられる。また樹脂エマルジョンに添加してもよい添加剤としては、老化防止剤、充填剤、分散剤などがあげられる。
【0023】なお潤滑層は、上記ゴムラテックスや樹脂エマルジョンのほか、樹脂を加熱溶融させた融液、または樹脂を適当な有機溶剤に溶解した溶液を用いて、浸漬法によって形成してもよいし、あらかじめ形成した手袋の内表面の一部または全部に、上記ゴムラテックス、樹脂エマルジョン、融液、溶液などを吹きつけ塗布などして形成してもよい。また、ゴムや樹脂中にコラーゲン、またはコラーゲンと微粒子とを分散したシートを、手袋の内表面の一部または全部に貼りつけるなどして潤滑層を形成してもよい。
【0024】潤滑層の厚みについてはとくに限定されないが、浸漬法や吹きつけ塗布法などによって形成される潤滑層の厚みは1〜5μm程度であるのが好ましい。潤滑層の厚みが上記の範囲未満では、当該潤滑層が、手袋の使用時に、比較的早期に摩耗して、なくなってしまうおそれがあり、逆に上記の範囲を超えた場合には、潤滑層の、前述した伸長時の密着性が低下して、手袋を伸長した際に、潤滑層がそれに追従して十分に伸長できずに、下地からはく離してしまうおそれがある。そしてこのいずれの場合にも、潤滑層による本発明の作用効果が、手袋の使用寿命まで持続されずに、それ以前に失われてしまうおそれがある。
【0025】なお潤滑層の厚みは、上記の各特性のバランスを考慮すると、上記の範囲内でもとくに2〜3μm程度であるのが好ましく、3μm前後であるのがさらに好ましい。上記の潤滑層が形成される手袋としては、従来公知の種々の、ゴム製あるいは樹脂製の手袋の構成が採用される。
【0026】すなわち、(1) 少なくとも1層の、ゴムまたは樹脂の基体層のみにて形成されたアンサポートタイプの手袋、(2) 上記ゴムまたは樹脂の基体層を、薄い布性の手袋体などで補強したサポートタイプの手袋、などの内表面に、上記の潤滑層が形成されて、本発明の手袋が構成される。
【0027】また、上記のうち(1) のアンサポートタイプの手袋の具体例としては、たとえば(1-1) 1層のみのゴムの基体層を有するもの、(1-2) 2層以上のゴムの基体層を積層したもの、(1-3) 1層のみの樹脂の基体層を有するもの、(1-4) 2層以上の樹脂の基体層を積層したもの、(1-5) ゴムの基体層と樹脂の基体層とを1層ずつ以上、積層したものなどがあげられ、(2) のサポートタイプの手袋としては、上記(1-1) 〜(1-5) の構造中の任意の位置にさらに、薄い布性の手袋体を挿入したものなどがあげられる。また、手袋の外表面のうち手のひら、指の腹などの部分には、滑り止めのための突起などを設けてもよい。さらに、手袋の表面に滑性を付与するために、製造した手袋を約100〜500ppmの塩素水におよそ5〜10分間、浸漬して塩素化(クロリネーション)処理してもよい。
【0028】上記手袋の基体層を構成するゴムとしては、当該基体層が前述した浸漬法にて形成される場合、天然ゴムラテックスが好適に使用されるほか、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴムなどの合成ゴムのラテックスや、天然ゴムラテックスと合成ゴムラテックスとの複合ゴムラテックスなどを使用することもできる。
【0029】上記ゴムラテックスには、潤滑層の場合と同様に、ゴムを加硫させる加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、充填剤、分散剤などの各種添加剤が、必要に応じて適宜、添加される。また基体層を構成する樹脂としては、当該基体層が前述した浸漬法にて形成される場合、塩化ビニル、ウレタン系などの軟質の、樹脂系のエマルジョンが好適に使用される。
【0030】かかる樹脂エマルジョンにはやはり、潤滑層の場合と同様に、老化防止剤、充填剤、分散剤などの各種添加剤が、必要に応じて適宜、添加される。手袋を構成するゴムまたは樹脂の基体層は、上記のようにゴムラテックスや樹脂エマルジョンを用いた浸漬法にて形成される他、樹脂を加熱溶融させた融液、または樹脂を適当な有機溶剤に溶解した溶液を用いた浸漬法によって形成してもよいし、その他の成形法によって形成してもよい。
【0031】また上記基体層は、手袋の着脱が容易でかつ良好なフィット性を発揮するのに必要な伸縮性を有するように、たとえばJIS K6251に規定された測定法で求めた伸びが700〜1000%程度、好ましくは800〜900%程度の伸縮性を有していてもよい。本発明の手袋を構成する潤滑層、および基体層用のゴムラテックスに添加される前記各添加剤のうち加硫剤としては、たとえば硫黄や有機含硫黄化合物などがあげられ、その配合量は、ゴムラテックス中の固形分(ゴム分)100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0032】加硫促進剤としては、たとえばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)などがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。その配合量は、ゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0033】加硫促進助剤としては、たとえば亜鉛華やステアリン酸などがあげられる。その配合量は、ゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部であるのが好ましい。老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合量は、ゴム分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。また、かかる老化防止剤以下の各成分は、樹脂エマルジョン中に添加してもよく、その配合量は、樹脂エマルジョン中の固形分(樹脂分)100重量部に対して、やはり0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0034】充填剤としては、たとえばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウムなどがあげられる。その配合量は、ゴム分または樹脂分100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。分散剤は、上記各添加剤の、ゴムラテックスや樹脂エマルジョン中への分散を良好にするために配合されるもので、かかる分散剤としては、たとえば各種陰イオン系界面活性剤などがあげられる。分散剤の配合量は、分散対象である成分の総量の0.3〜1.0重量%程度であるのが好ましい。
【0035】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1〈潤滑層用のゴムラテックス組成物の調製〉メチルメタクリレート変性ポリブタジエンゴムラテックス〔メチルメタクリレート含量35重量%〕に、当該ゴムラテックス中のゴム分100重量部に対して50重量部の粉末状コラーゲン〔前出の昭和電工(株)製の商品名トリアゼットCX285−1、平均粒径6μm、かさ比重0.15g/ml、吸油度1.1ml/g〕を配合して、浸漬法用の、潤滑層用のゴムラテックス組成物を調整した。
〈ゴム手袋の製造〉手袋の型の表面に、常法にしたがって浸漬法にて形成した、単層の天然ゴムの基体層(厚み約0.2mm)からなるゴム手袋を、凝固液としての硝酸カルシウムのエタノール溶液(濃度15重量%)中に浸漬し、引き上げて室温で1分間、風乾したのち、先に調製した潤滑層用のゴムラテックス組成物中に20秒間浸漬し、ゆっくり引上げて室温で数分間、乾燥させ、さらに型ごとオーブンにて100℃で30分間、加熱して加硫させて、潤滑層を積層、形成した。
【0036】ついで上記のゴム手袋を、裏返しながら型から取り外して、その内表面に、厚み3μmの潤滑層が積層されたゴム手袋を製造した。
実施例2〜4潤滑層用のゴムラテックス組成物における、粉末状コラーゲンの配合量を100重量部(実施例2)、150重量部(実施例3)、200重量部(実施例4)としたこと以外は実施例1と同様にして、その内表面に、厚み3μmの潤滑層が積層されたゴム手袋を製造した。
【0037】比較例1潤滑層用のゴムラテックス組成物に粉末状コラーゲンを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、その内表面に、厚み3μmの潤滑層が積層されたゴム手袋を製造した。
潤滑層の吸湿、吸水性および放湿性試験上記実施例1〜4、比較例1で製造した各ゴム手袋の同一部分を、一定寸法となるように切り取り、温度20℃、湿度40%RHの条件下で3時間、放置して調湿したものをサンプルとした。
【0038】つぎに上記のサンプルを秤量したのち60秒間、水に浸して吸水させ、ついで表面の水分を拭き取って再び秤量して、重量の増加分から、潤滑層の、単位面積あたりの吸水量〔g/m2 〕を求めた。そしてつぎに、上記吸水状態のサンプルを再び、温度20℃、湿度40%RHの条件下で3時間、放置して放湿させたのち秤量して、重量の減少分から、潤滑層の、単位面積あたりの放湿量〔g/m2 〕を求めた。
【0039】結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】表より、潤滑層にコラーゲンを含有させた実施例1〜4の手袋はいずれも、潤滑層にコラーゲンを含有させなかった比較例1の手袋と違って高い吸水性を有するとともに、コラーゲンの含有量が多いほど、その吸水量が大きくなることがわかった。また各実施例の手袋はいずれも、放置して乾燥させると、吸水量と同じだけの水分を放湿して、速やかにもとの状態にもどることもわかった。
【0042】そしてこれらのことから、各実施例の手袋はいずれも、吸湿、吸水性にすぐれるとともに、放湿性にもすぐれることが確認された。
実施例5、6潤滑層用のゴムラテックス組成物にさらに、架橋されたポリメタクリル酸メチルビーズ〔平均粒径3μm〕を50重量部、配合したこと以外は実施例1、2と同様にして、その内表面に、厚み3μmの潤滑層が積層されたゴム手袋を製造した。
【0043】動的摩擦係数試験実施例1〜3、実施例5、6および比較例1で製造した各ゴム手袋の袖口付近の、できるだけ平面状の部分を5cm×10cmの長方形に切り取って試料とし、この試料をまず温度20℃、湿度40%RHの条件下で3時間、放置して乾燥させた状態(Dry)での、潤滑層の動的摩擦係数(μK)を、下記の測定条件にて、表面性測定機〔新東科学機器(株)製のHEIDON−4S/D型〕を用いて測定した。そしてつぎに、上記の試料を水にぬらした状態(Wet)で、再び潤滑層の動的摩擦係数(μK)を、下記の測定条件にて、同じ表面性測定機を用いて測定した。
(測定条件)
使用圧子:30mm×30mmの金属平板圧子荷重:100g移動距離:100mm移動速度:50mm/分着脱性試験実施例1〜3、実施例5、6および比較例1で製造した各ゴム手袋を、温度20℃、湿度40%RHの条件下で3時間、放置して乾燥させ、それを、手を十分に乾かした10人の被験者に着脱してもらって、下記の基準により乾燥時(Dry)の着脱性を評価した。
【0044】◎:8人以上の被験者が着脱性良好と判断した。きわめて着脱性良好。
○:5〜7人の被験者が着脱性良好と判断した。着脱性良好。
△:3〜4人の被験者が着脱性良好と判断した。着脱性やや低下。ただし実用上、差し支えなし。
×:2人以下の被験者しか着脱性良好と判断しなかった。着脱性不良。
【0045】つぎに、各実施例、比較例のゴム手袋を水にぬらし、それを手を水にぬらした同じ人数の被験者に着脱してもらって、上記と同じ基準によりぬれた状態(Wet)での着脱性を評価した。
装着感試験上記着脱性試験のうち、ぬれた状態での着脱性を試験中の各被験者に、手袋の装着感の善し悪しを確認した。そして下記の基準により、ぬれた状態での装着感を評価した。
【0046】◎:8人以上の被験者が装着感良好と判断した。装着感きわめて良好。
○:5〜7人の被験者が装着感良好と判断した。装着感良好。
△:3〜4人の被験者が装着感良好と判断した。装着感やや低下。ただし実用上、差し支えなし。
×:2人以下の被験者しか装着感良好と判断しなかった。装着感不良。
【0047】伸長時の密着性試験実施例1〜3、実施例5、6および比較例1で製造した各ゴム手袋を裏返して潤滑層を外側とし、かつ300%伸長させた状態で、上記潤滑層を指でこすって、その状態を観察した。そして下記の基準により、潤滑層の伸長時の密着性を評価した。
【0048】○:潤滑層に変化なし。密着性良好。
×:潤滑層がはく離した。密着性不良。
以上の結果を表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】表より、潤滑層にコラーゲンを含有させた実施例1〜3、5、6の手袋はいずれも、潤滑層にコラーゲンを含有させなかった比較例1の手袋に比べて手袋の内表面や手がぬれているか否かにかかわらず常に着脱がしやすく、しかも手袋内がぬれても装着感が悪くならないことがわかった。また各実施例の手袋を比較すると、潤滑層に含有させるコラーゲンの量が多いほど着脱性、装着感が向上し、また微粒子を潤滑層に含有させると、とくに着脱性がさらに向上することがわかった。
【0051】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、手袋の内表面や手がぬれているか否かにかかわらず常に着脱がしやすく、しかも手袋内がぬれても装着感が悪くならない、新規な手袋を提供できるという特有の作用効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【識別番号】000111591
【氏名又は名称】ハニー化成株式会社
【識別番号】591108422
【氏名又は名称】広野化学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
【公開番号】 特開平11−269708
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−72282