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【発明の名称】 薄シート状手袋
【発明者】 【氏名】岡田 正志

【要約】 【課題】薄手の手袋生地の外周縁部を熱接着させた薄シート状手袋において、従来では熱接着部(特に指股部の熱接着部)が比較的短期間で損傷していた。

【解決手段】熱溶融性のある薄シート状の手袋生地2を使用し、その2枚の手袋生地2,2における手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着させて成形した薄シート状手袋において、熱接着部5の適所(少なくとも親指袋11と人差し指袋12間の股部21)に熱溶融性のある薄手の樹脂シート6を熱溶着させることにより、使用時に損傷し易い熱接着部5を補強し得るようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱溶融性のある薄シート状の手袋生地(2)を使用し、その2枚の手袋生地(2,2)における手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着(5)させて成形した薄シート状手袋であって、前記熱接着部(5)における少なくとも親指袋(11)と人差し指袋(12)間の股部(21)に熱溶融性のある薄手の樹脂シート(6)を熱溶着させたことを特徴とする薄シート状手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、例えばクリーンルームのような場所での作業や食品を扱う場合等に適した薄シート状手袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、クリーンルーム等で塵埃や手垢等の付着を嫌う作業時や、食品を扱う作業時等には、微細繊維が分離せず且つ防水機能のある薄手の手袋を装着して行うことが多い。
【0003】この種の薄シート状手袋として、従来から図1及び図2に示すようなものが知られている。この従来の薄シート状手袋1には、薄手のトリコット生地3の片面に伸縮性のある皮膜4を塗布した薄シートからなる手袋生地2を使用している。そして、この手袋1は、2枚の手袋生地2,2における手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着(熱接着部5)させて手袋形状に成形している。尚、図2は図1の手袋1におけるII−II拡大断面図である。
【0004】この手袋生地2のトリコット生地3は、細繊維をループ編みしたもので、伸縮し得るようになっている。他方、皮膜4には、例えばポリウレタン樹脂のような伸縮性を有し且つ熱溶融性のある合成樹脂材料を使用している。そして、この手袋生地2は、トリコット生地3の片面の全面に薄膜状の皮膜4をラミネートして形成されている。尚、この皮膜4部分は、防水機能と透湿機能とを有する。
【0005】そして、図1の薄シート状手袋1は、2枚の手袋生地2,2を各皮膜4の形成面が接合するように重合させた状態で、手挿入口の除く外周縁部同士を熱接着(熱接着部5)させることによって成形している。又、この薄シート状手袋1は、装着状態で手にフィットするような大きさ(余分な弛みが出ない大きさ)に成形されている。尚、この薄シート状手袋1は、裏返しにして使用され、そのとき手袋の表面側に皮膜4のラミネート面が現れて該皮膜4が防水機能と透湿機能を果たす。
【0006】ところで、手袋装着状態で作業をする際には、指を屈伸させたり指股部分を開閉させたりする動作を頻繁に行う。そのとき、この種の薄シート状手袋では、外周縁部(熱接着部5)以外の部分は手袋生地に伸縮性があるので装着状態で指を屈伸させてもそれに生地が伸縮・追従するが、外周縁部の熱接着部5は、手袋生地2の皮膜4が熱溶融によって凝固していて伸縮性が乏しくなっている。従って、手袋生地2に引っ張り力が働いたときに、熱接着部5以外の部分では、生地の伸縮によって引っ張り応力が分散する(部分的に過大な応力が発生しない)が、該熱接着部5は伸縮性が乏しいので指の屈伸時に引っ張り応力が集中するようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図1に示す従来の薄シート状手袋1では、上記のように手袋外周縁部の熱接着部5部分は伸縮性が乏しい(引っ張り力に対して生地が追従しにくい)ので、作業時に該熱接着部5に引っ張り応力が集中すると、該熱接着部5が他の部分より早期に損傷する(例えば熱接着部5の剥離や破れや穴空き等が発生する)という問題があった。特に、作業時には、親指袋11と人差し指袋12間の股部21に大きな引っ張り力が頻繁に働くために、該指股部21の熱接着部5が他の部分より損傷し易い。尚、このように、手袋の一部にでも損傷が発生すると、防水機能が損なわれるために使用不能となる。
【0008】本願発明は、薄シート状の手袋生地の外周縁部を熱接着して成形した手袋において、損傷し易い熱接着部を補強した構造の薄シート状手袋を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。即ち、本願発明は、熱溶融性のある薄シート状の手袋生地を熱接着させて成形した薄シート状手袋を対象にしている。
【0010】本願の薄シート状手袋に使用される手袋生地は、例えば細繊維をループ編成して伸縮可能にしたトリコット生地の片面に例えばポリウレタン樹脂のような伸縮性を有し且つ熱溶融性がある皮膜をラミネートしたものが採用できる。そして、この薄シート状手袋は、2枚の手袋生地をその皮膜ラミネート面が対面する状態で、手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着させて成形している。尚、この薄シート状手袋は、裏返しにして使用される。
【0011】ところで、この種の薄シート状手袋では、従来技術の項で説明したように、手袋外周縁部の熱接着部に伸縮性が乏しいので、該熱接着部に引っ張り応力が集中して該熱接着部が他の部分より早期に損傷し易いという難点があるが、これに対して本願では次のように対処している。即ち、本願の薄シート状手袋では、両手袋生地を熱接着させた熱接着部における少なくとも親指袋と人差し指袋間の股部に熱溶融性のある薄手の樹脂シートを熱溶着させている。
【0012】この樹脂シートには、例えばポリウレタン樹脂製(熱溶融性がある)で薄手の細幅シートが採用可能である。この樹脂シートによる熱溶着部分は、少なくとも親指袋と人差し指袋間の股部(大きな引っ張り力が発生する部分)にあればよいが、その他の各指股部の全部、あるいは熱接着部の全長さ範囲(手挿入口部分を除く外周縁部の全部)であってもよい。尚、この樹脂シートは、熱接着部が内側になるように手袋本体を裏返した状態で、使用箇所(例えば指股部の熱接着部)に平面状に被せた状態で上下から熱圧着装置で加熱しながら挟圧することで当該使用箇所の外側に溶着される。
【0013】このように、薄シート状手袋における熱接着部(特に親指袋と人差し指袋間の股部)に樹脂シートを熱溶着させると、引っ張り応力に対して比較的弱い熱接着部を該樹脂シートで補強できる。尚、この樹脂シートは、薄手であるので、該熱接着部に熱溶着させても装着時の違和感はほとんど生じない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図3〜図6を参照して本願実施形態の薄シート状手袋を説明する。この実施形態の薄シート状手袋は、図3に示すように2枚の手袋生地2,2の外周縁部同士を熱接着(熱接着部5)させて成形した手袋本体1における、各指股部分21(4箇所)にそれぞれ樹脂シート6を熱溶着させている。尚、図3〜図5には、手袋外周縁部の熱接着部5が内側となる使用状態で表示している(即ち、図1又は図2の裏返し状態である)。
【0015】手袋生地2は、図5に示すように細繊維をループ編成して伸縮可能にしたトリコット生地3の片面に例えばポリウレタン樹脂のような伸縮性と熱溶融性のある皮膜4をラミネートしたものが採用されている。尚、皮膜4の材料は、トリコット生地3の各網目内にも充填されている。
【0016】そして、本願実施形態の薄シート状手袋は、2枚の手袋生地2,2を各皮膜4の形成面が接合するように重合させた状態で、手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着(熱接着部5)させて手袋本体1を成形している。この手袋本体1は、装着状態で手にフィットするような大きさ(余分な弛みが出ない大きさ)に成形されている。尚、この手袋本体1は、図1の従来例の薄シート状手袋と同じものでよく、且つ従来の製法で製作される。
【0017】この実施形態の薄シート状手袋では、手袋本体1の熱接着部5における各指股部21,21・・にそれぞれ樹脂シート6,6・・を熱溶着しているが、この樹脂シート6は、例えば皮膜4と同じポリウレタン樹脂製で薄手の細幅シートが使用されている。尚、この実施形態では、樹脂シート6は、細幅(例えば5〜8mm幅)で所定長さ(例えば10〜20mm長さ)に切断したものを使用している。
【0018】そして、この樹脂シート6は次のようにして熱溶着される。即ち、図6に示すように、手袋本体1を裏返した状態(熱接着部5が手袋内側になる)で手袋内側に受け台8を配置し、使用箇所の外面に樹脂シート6を平面状態で被せ、上から熱圧着装置7で加熱しながら押圧することで、該樹脂シート6を当該熱接着部5に溶着させている。この樹脂シート6の溶着部は、図5に示すように該樹脂シート6の厚さ分だけ厚くなるが、樹脂シート6は薄手のものを使用しているので、装着時にさほど違和感(ゴワゴワ感)はない。
【0019】尚、この樹脂シート6による熱溶着部分は、熱接着部5の全長さ範囲(手挿入口部分を除く外周縁部の全部)に形成してもよく、あるいは使用時に大きな引っ張り力が発生する親指袋11と人差し指袋12間の股部21だけでもよい。
【0020】この実施形態の薄シート状手袋は、図3に示す裏返し状態(皮膜4が外面に現れる状態)で装着される。このとき、皮膜4が防水機能及び透湿機能を果たすとともに、トリコット生地3が補強材として機能する。又、この薄シート状手袋を手に装着して作業を行うときに、指の屈伸・開閉に伴って熱接着部5にも引っ張り応力が働く。そして、この熱接着部5の引っ張り応力は、特に指股部21において大きく働くが、該指股部21の熱接着部5部分には樹脂シート6が熱溶着されているので、該樹脂シート6が引っ張り応力に対して補強作用を発揮する。従って、この薄シート状手袋では、熱接着部5に補強用の樹脂シート6を熱溶着することにより、耐久性を向上させることができる。
【0021】
【発明の効果】本願発明は、2枚の手袋生地2,2における手挿入口部分を除く外周縁部同士を熱接着させて成形した薄シート状手袋において、熱接着部5の適所(少なくとも親指袋11と人差し指袋12間の股部21)に熱溶融性のある薄手の樹脂シート6を熱溶着させているので、使用時に損傷し易い熱接着部5(特に熱接着部5における指股部分)を樹脂シート6で補強できる。従って、本願の薄シート状手袋では、使用時の引っ張り応力に対して樹脂シート6を熱溶着させた熱接着部5の耐久性が向上し、使用可能期間が長くなるという効果がある。又、補強用の樹脂シート6は、薄手の材料が使用されているので、熱接着部5部分を補強したものであっても装着感覚がさほど悪くならない。
【出願人】 【識別番号】390038715
【氏名又は名称】株式会社中虎
【出願日】 平成10年(1998)3月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開平11−247010
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−53425