トップ :: A 生活必需品 :: A41 衣類




【発明の名称】 抗菌性を有する塩化ビニル手袋
【発明者】 【氏名】三上 修三

【要約】 【課題】塩化ビニル手袋を家庭、食品工場、研究所、病院等で利用することを想定し、人体に安全で抗菌性を有する手袋について開示する。

【解決手段】手袋本体の主材である塩化ビニル等の配合液に0.1〜1.0%の割合で抗菌剤をもつセラミックス混合物を添加した。前記セラミックス混合物は空気中の酸素から活性酸素を作成することにより殺菌及び脱臭をおこなうもので、その効果は長期間にわたって安定である。さらに、粘着性の大きい可塑剤が手袋の表面に露出するのを防ぐために、手袋の内面をポリ塩化ビニル5〜15%、アクリル系樹脂8〜23%、マイカ粉末あるいはシリカ粉末等の充填剤5〜25%及び残部がポリエステルを添加してなるポリウレタンからなる混合液で処理した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】抗菌性を持つセラミックス混合物を0.1〜1.0%(重量%、以下同じ)の割合で添加した塩化ビニルを主成分とする配合液を原料として成形された手袋の表面に、ポリ塩化ビニル5〜15%、アクリル系樹脂8〜23%、マイカ粉末あるいはシリカ粉末等の充填剤5〜25%及び残部がポリエステルを添加してなる混合処理液を一様に塗布し、前記処理液を100℃前後で加熱して固化したことを特徴とする塩化ビニル手袋。
【請求項2】セラミックス混合物の主成分が、シリカ、アルミナ、酸化チタンである請求項1記載の塩化ビニル手袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脱臭及び抗菌効果を持ち、併せてパウダー等を使用することなく内面の滑りを良好にした手袋であって、長期間清潔かつ快適に使用できる塩化ビニル手袋に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来から、簡易な塩化ビニル手袋が家庭、食品工場、研究所、病院等で利用されている。塩化ビニル手袋の一例としては、ペースト状の塩化ビニルに可塑剤や安定剤を添加して配合液とし、前記配合液に手型を浸漬し、表面に薄膜を形成させこれを加熱固定したものが採用されている。さらに、前記手袋は粘着性が強く手袋の着脱に手間がかかる為、これを排除すべく、前記手袋の内面に滑り特性を持つパウダーを塗布したり、前記配合液に処理剤を添加して手袋の表面に凹凸面を形成させたり、あるいは手袋内面をさらに粘着性のない物質でコーティングする方法が採用されている。
【0003】しかしながら前記の手袋は、衛生面において問題がある。特に前記パウダーを手袋内面に塗布する方法は、パウダーが取り扱う物品に付着してしまう。また、前記の手袋の表面に凹凸面を形成させたり、手袋内面をさらに粘着性のない物質でコーティングする方法においては、手袋表面で細菌等が繁殖するおそれがある。そこで、本発明では塩化ビニル手袋を家庭、食品工場、研究所、病院等で利用することを想定し、人体に安全で抗菌性を有する手袋について開示することにした。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明では上述した目的を達成するために、塩化ビニルを主成分とし、ほかに可塑剤や安定剤を加えて調整した配合液に、さらに脱臭及び抗菌作用を持つセラミックス混合物を0.1〜1.0%の割合で添加した。そして、前記セラミックス混合物を含む配合液をペースト状にし、その中に手型を浸漬し、引揚げ、適当な温度で加熱ゲル化し、さらに冷却して手袋本体とした。また、手袋の脱着を容易にする手段として、手袋が手に密着する原因となっている可塑剤が手袋内側表面に露出しないよう加工した。すなわち、特定の混合処理液を前記の手型に被着した状態の手袋の表面に一様に塗布し、前記混合処理液を100℃前後で加熱して固化した。そして、前記の表面処理をした手袋を上縁から反転するように剥がすことにより、手袋内面が前記混合処理液で処理された手袋とした。尚、前記混合処理液とは、ポリ塩化ビニル5〜15%、アクリル系樹脂8〜23%、マイカ粉末あるいはシリカ粉末等の充填剤5〜25%及び残部をポリエステルとするポリウレタンとなるように配合したものである。また、前記セラミックス混合物は前記配合液に混入することを想定して、微粒子状の粉体を採用した。
【0005】セラミックス混合物の一例として、抗菌性があり、脱臭効果を示し、人体に安全でさらに安定性の高いシリカ、アルミナ、酸化チタンを主成分とするものを採用した。また、セラミックス混合物とは、必ずしも前記3種共を採用するものではなく、そのうちの1または2種のみを採用するものも含まれると定義する。さらに、ゼオライト、大谷石のようにセラミックスが混合した石を粉末化したものでもよい。
【0006】
【発明の実施形態】以下、本発明の好ましい実施形態を具体的に述べる。本発明で採用される手袋の特徴は、手袋本体の主原料となる塩化ビニル及び可塑剤や安定剤等を含む配合液に、脱臭及び抗菌作用を持つセラミックス混合物を添加したことである。次に、前記のセラミックス混合物を含む配合液をペースト状にし、その中に手型を浸漬し、引揚げ、加熱ゲル化し、さらに冷却して手袋本体とした。前記加熱及び冷却温度は特に定めるものではなく、手袋の作成に影響を与えない範囲であればよい。また、手袋の脱着を容易にする手段として、手袋が手に密着する原因となっている可塑剤が手袋内面に露出しないよう、特定の混合処理液を手型に被着したままの手袋の表面に一様に塗布し、前記混合処理液を100℃前後で加熱して固化した。そして、前記の処理をした手袋を上縁から、反転する様に剥がすことにより手袋内面に可塑剤が露出しない手袋とした。
【0007】前記セラミックス混合物は、一般プラスチック等における抗菌剤として調整されたものであって、前記セラミックス混合物は塩化ビニル等手袋本体の原料と混合しても影響のない材質である。セラミックス混合物は、空気中の酸素より活性酸素を形成することができる。従って、前記手袋本体の表面に露出したセラミックス混合物はその働きが著しい。そして、セラミックス混合物によって形成された活性酸素は細菌、カビ等の代謝等を阻害すると共に、悪臭の原因となる物質を酸化、還元する。従って、セラミックス混合物は抗菌及び脱臭効果を示すと共にその効果は、長期間安定である。さらに、前記手袋は、家庭、食品工場、研究所、病院等で日常的に使用することを目的とするものであるから、水及び弱酸、弱塩基に対して不溶であって、耐熱温度が高く、不燃性であり、熱、湿度等に対しての安定性が高く、加えて有害な重金属その他の有害な不純物を含まないことが必要である。従って当該セラミックス混合物に採用するセラミックスは、具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタンを混合したものが好ましい。しかしながら、前記の条件を適応するセラミックスであればこれに限るものではなく、前記3種類のセラミックス中の1又は2種類のみを混合したり、全く別種のセラミックスを採用してもよい。以下、前記のセラミックス混合物の抗菌効果について表に従って説明する。
【0008】
【表1】

表1は、シリカ、アルミナ、酸化チタンを主成分とするセラミックス混合物を0.1%添加したサンプル1及び前記セラミックス混合物を0.5%添加したサンプル2の殺菌効果についてそれぞれ示したものである。本試験では、最適培地で、35℃、24時間培養した黄色ブドウ状球菌を最終濃度が106CFU/ml(試料1ml当たりの生菌数、以下同じ)になるようにリン酸緩衝液で調整したものを試験菌試料として用いた。そして、前記試験菌試料0.2mlを前記のサンプル1及び2に接種しその上に被覆フィルムを被せ、35℃、相対湿度90%以上の条件下で放置した。そして、放置から24、48、72時間後に、それぞれ接種した試験菌試料を取り出し、滅菌水で適宜希釈したものを標準寒天培地に接種し、35℃で24〜48時間培養後、培地に形成されたコロニー数をカウントし、生菌数を算出した。その結果、サンプル1において24時間放置した時点で95%以上の細菌が阻害された。また、サンプル1の5倍量のセラミックス混合物を添加したサンプル2においても同様の抗菌効果が得られた。すなわち、黄色ブドウ状球菌に対するセラミックス混合物の持つ抗菌性は、最低限度はあるとしても、添加量が抗菌性を左右するというものではない。むしろセラミックス混合物の添加量が多すぎると手袋本体の原材料の組織の均一性を壊す。また、サンプル1及び2において放置時間が48時間までは時間の経過に従って生菌数は激減しているが、その後は大差がなく、72時間放置してもその生菌数は48時間の時点と比較して変化はない。しかしながら、これは菌体の種類にある程度左右されことは当然である。
【0009】
【表2】

表2は、黄色ブドウ状球菌のほか、大腸菌及び枯草菌におけるセラミックス混合物の殺菌効果を、ポリスチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂に組み込んだ場合の抗菌効果を示したものである。すなわち、前記セラミックス混合物0.5%を含むポリスチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂を成型し、前記3種の菌体について試験菌体試料をそれぞれ接種した。さらに前述と同様に時間毎に試験菌体試料を取り出し、シャーレに接種することによりその生菌数を算出したものである。試験菌体試料の調整はそれぞれの菌種に関して最適条件下で培養し、前記同様緩衝液に懸濁して採用した。表2中の+はセラミックス混合物を0.5%添加した樹脂に接種した場合であり、−は無添加、すなわち樹脂のみの場合である。その結果、前記2種類の樹脂どちらを採用しても、セラミックス混合物を0.5%添加した場合には、樹脂表面に接種された菌体は、その放置後24時間で菌体の99.9%以上が阻害された。従って、細菌の生育速度及び当該手袋の用途を考慮すると、当該セラミックス混合物は十分に本発明の抗菌作用を果たしている。
【0010】一方、セラミックス混合物のカビに対する抗菌効果については示していないが、同様に抗菌作用を示す。さらに、カビはその生育速度の遅さを考慮すると当該セラミックス混合物は十分にその要をなしている。
【0011】前述の結果より、前記セラミックス混合物の濃度は最低0.1%とし、上限は前記手袋本体の主材である塩化ビニル等の配合液の均一性を壊さないことを考慮して1.0%とした。前記添加濃度は、黄色ブドウ状球菌、大腸菌、枯草菌等の一般的な細菌及びカビを抑制し、手袋を衛生的に保つのに十分な濃度である。また、前記セラミックス混合物を均一に混合することはいうまでもない。
【0012】前記混合処理液とは、ポリ塩化ビニル5〜15%、アクリル系樹脂8〜23%、マイカ粉末あるいはシリカ粉末等の充填剤5〜25%及び残部をポリエステルとしたポリウレタンとなるように配合したものである。また、マイカ粉末あるいはシリカ粉末を配合することにより、手袋内面の滑りをさらに促進するという効果も有する。
【0013】
【発明の効果】本発明は、家庭、食品工場、研究所、病院等で日常的に使用することを目的とした簡易な手袋に係るものであって、手袋本体の主材である塩化ビニル等の配合液に0.1〜1.0%の割合でセラミックス混合物を添加することにより、取り扱う物品を衛生的に保ち、かつ作業者が害なく作業を行うことを可能にした。また、セラミックス混合物は空気中の酸素より活性酸素を作成することにより、殺菌及び脱臭をおこなうものであるため、その効果は長期間にわたって安定である。さらに、手袋の内面をポリ塩化ビニル5〜15%、アクリル系樹脂8〜23%、マイカ粉末あるいはシリカ粉末等の充填剤5〜25%及び残部がポリエステルを添加してなるポリウレタンからなる混合液で処理することにより、粘着性の大きい可塑剤が手袋の表面に露出するのを防ぐことにより手袋の脱着を容易にした。その結果、使用感を快適に保つと共に脱臭及び抗菌効果を持つ手袋の作成が可能になった。
【出願人】 【識別番号】391054718
【氏名又は名称】千代田化成工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開平11−93008
【公開日】 平成11年(1999)4月6日
【出願番号】 特願平9−273848