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【発明の名称】 運動用シャツ
【発明者】 【氏名】高島 嘉守

【氏名】南里 美佐子

【要約】 【課題】ゴルフスイングのように、両腕を大きく振り上げる動作を伴うスポーツにおいて、後身頃部の特に肩甲骨に対応する部位に生じ易い引き攣れを軽減する運動用シャツを提供する。

【解決手段】セットインタイプのシャツの場合、後身頃2と肩合せ部3及び後袖付部4の縫合部近傍に、伸縮性に富む素材からなる布地小片5を介して縫合形成した運動用シャツ1である。ラグランタイプのシャツの場合、ラグラン袖の後袖付部4にかかる領域に後身頃2との縫合部近傍に、伸縮性に富む素材からなる布地小片5を介して縫合形成した運動用シャツ1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後身頃と肩合せ部及び後袖付部の縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片を介して縫合形成したことを特徴とする運動用シャツ。
【請求項2】 ラグラン袖の後袖付部にかかる領域と後身頃との縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片を介して縫合形成したしたことを特徴とする運動用シャツ。
【請求項3】 前記布地小片は、シャツ本体を形成する生地よりも伸縮性に富む生地からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動用シャツ。
【請求項4】 前記布地小片は、シャツ本体を形成する生地と同一組成からなり、シャツ本体よりも伸縮性に富む生地からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の運動用シャツ。
【請求項5】 前記布地小片は、幅をecm、伸長率をd%とした時、e×d/100≧4cmの関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運動用シャツ。
【請求項6】 前記布地小片は、シャツの幅方向に2〜6cmの幅を有する生地からなることを特徴とする請求項5に記載の運動用シャツ。
【請求項7】 前記布地小片は、シャツの幅方向に70〜200%の伸長率(JIS L 1096,6,14,1,A法(定速 伸長法)1.8kg)を有する生地からなることを特徴とする請求項5に記載の運動用シャツ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にゴルフに用いられる運動用シャツであって、ゴルフスイング中に腕を振り上げた際、後身頃の特に肩甲骨に対応する部位に生じ易い引き攣れを軽減し、引き攣れによる違和感や窮屈さを解消することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】従来より、ゴルフシャツと呼ばれる運動用シャツは、綿やウールといった天然繊維、又はポリエステル、ポリウレタン、アクリルといった合成繊維及びそれらを適宜混紡した繊維を用いて、天竺編み、鹿の子編みなど伸縮性を有する生地を用いて作られるのが一般的であった。又、形状の上ではカマ底を深く設計することにより、アームホールにゆとりを持たせ、腕の振り上げ及び振り下ろしを阻害しないよう工夫されたものも開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のゴルフシャツと呼ばれる運動用シャツは、上述のように動き易さに主眼を置いて設計されていた。しかし、前記天竺編みや鹿の子編みの伸縮性のある生地を用いた運動用シャツであっても、ゴルフのスイングのように両腕を大きく振りあげる動作を伴うスポーツにおいては、後身頃の伸縮性が十分とはいえず、後袖付部から後身頃の肩甲骨に対応する領域に引き攣れを生じ、違和感や窮屈さを感じさせていた。そのため、ゴルフスイングのスムーズな動きを阻害したり、また、精神的な面で集中力が散漫になり、結果的にプレーに悪影響を及ぼすといった不都合も報告されていた。又、カマ深く設計された運動用シャツは、腕の振り上げによる後身頃の引き攣れは緩和されていたが、設計上腕を平常の状態に降ろしているときには、袖付部がだぶついて皺が生じたり、脇下がごわつくなど着心地や美観の面で不都合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明に係る運動用シャツは、ゴルフスイング中に腕を振り上げた際、後身頃の特に肩甲骨に対応する部位に生じ易い引き攣れを軽減し、引き攣れによる違和感や窮屈さを解消するとともに、着心地や美観の面においても優れた運動用シャツを提供するために開発されたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に係る運動用シャツに関し、以下のような測定を行った。まず、運動用シャツの後身頃に対応する人体の皮膚の伸びについて次のように測定した。
■図3に示すように、裸体状態の人体の頚椎の棘突起部をA点、肩関節部をB点、袖口部をC点とする。ここで袖口部とは、通常の半袖の運動用シャツを着用した状態で、袖口の線と上腕部後中心線との交点を言う。
■人体を直立状態に静止させた状態でA点からB点を経てC点に至る3点間の皮膚の距離を測る。
■人体をゴルフのスイングでトップスイングの姿勢に静止させた状態で、A点からB点を経てC点に至る3点間の皮膚の距離を測る。
以上の結果、■と■を比較したところ、トップスイングの姿勢での3点間の距離が直立時の距離よりも略10cm長い事がわかった。この事から、直立した状態からトップスイングの姿勢にかけて、A点からC点の間で略10cm伸びている事がわかった。
【0006】次に、シャツ本体の生地が伸長率60%である運動用シャツを着用し、人体が直立した状態とトップスイングの姿勢の状態のC点の位置を比較したところ、直立した状態のC点に比べてトップスイングの姿勢の状態のC点が3〜4cm、B点側にずりあがっている事がわかった。この事より人体の皮膚が略10cm伸びているのに対して、シャツ本体の生地自体の伸びとパターン上のゆとりにより6〜7cmの伸びを吸収出来る事がわかった。
【0007】従って、運動用シャツがトップスイング時のA点〜C点の引き攣れは、皮膚の伸びの10cmからシャツ本体の生地自体が吸収できる6〜7cmを差し引いた3〜4cmあり、この引き攣れを解消するためには、後身頃にあと略4cmの伸びが必要となることがわかる。本発明は上記課題を解決するために、後身頃の特に袖付部から肩甲骨に対応する部位の伸縮性を十分に確保できるように、以下に示す手段を用いる。すなわち、本発明に係る運動用シャツは、セットインタイプのシャツの場合、後身頃と肩合せ部及び後袖付部の縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片を介して縫合形成した事を特徴とする運動用シャツである。
【0008】一方、ラグランタイプのシャツの場合は、ラグラン袖の後袖付部にかかる領域と後身頃との縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片を介して縫合形成した事を特徴とする運動用シャツである。
【0009】前記布地小片は、素材や編み方または織り方について特に限定されるものではないが、シャツ本体を形成する生地よりも伸縮性に富む生地を用いて形成される事が好適である。
【0010】又、例えばシャツ本体を綿、布地小片をポリエステルと言ったように、異なった組成の生地を用いる事により、同一色でありながら発色性が異なる等の理由で、前記布地小片のみが目立ってしまい美観を損ねたり、デザイン上の制約を受けるといった不都合があった。このような不都合を解消するため、前記布地小片は、シャツ本体を形成する生地と同一組成からなり、且つシャツ本体よりも伸縮性に富む生地を用いて形成する事も可能である。
【0011】更に、前記布地小片は、その機能を有効に発揮させるため、幅をecm、伸長率をd%とした時、e×d/100≧4cmの関係を満たすものである。又、運動用シャツの美観、形状を損なわないために、幅は6cm以下、伸長率dは200%以下とした。この事により、幅eが6cmの場合、伸長率dは最低70%必要となり、伸長率dが200%の場合、幅eは最低2cm必要となる。例えばシャツの幅方向に、布地小片の幅が4cm、伸長率が120%の場合、e×d/100=4cm×120%/100=4.8cmの伸びの有する布地小片であることが言える。以上の事により、前記布地小片はシャツの幅方向に2〜6cmの幅を有し、シャツの幅方向に70〜200%の伸長率を有する生地からなることが望ましい。
【0012】
【実施例】本発明に係る運動用シャツ1の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示すように、後身頃2と肩合せ部3及び後袖付部4の縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片5を介して縫合形成した運動用シャツ1である。又、図2に示すように、ラグラン袖の後袖付部4にかかる領域と後身頃2との縫合部近傍に、伸縮性に富む生地からなる布地小片5を介して縫合形成した運動用シャツ1である。
【0013】前記布地小片5は、シャツ本体を形成する生地よりも伸縮性に富む生地からなり、又、シャツ本体6を形成する生地と同一組成からなる運動用シャツ1である。
【0014】前記実施例の運動用シャツ1において、シャツ本体6を形成する生地に、綿40/2、鹿の子編み、伸長率60%からなる生地を用い、布地小片5を形成する生地に、綿40/2、フライス編み、シャツの幅方向に3cmの幅を有し、シャツの幅方向に140%の伸長率を有する(3cm×140%/100=4.2cm)生地を用いた。その結果、それら各部材を縫製してなる運動用シャツ1を着用し、人体が直立した状態とトップスイングの姿勢の状態の前記袖口部C点の位置を比較したところ、本発明の運動用シャツ1は、肩甲骨に対応する部位に布地小片5を介在しているので、前記布地小片5がシャツの幅方向に4.2cm伸びることにより、C点の位置のずれはなかった。よって、A点〜C点の3〜4cmの引き攣れは解消されたことがわかる。
【0015】
【発明の効果】本発明に係る運動用シャツは、上記構成を有するため特にゴルフスイングのように、両腕を大きく振りあげる動作を伴うスポーツにおいても、後身頃の伸縮性が十分確保されており、後袖付部から後身頃の肩甲骨に対応する領域に引き攣れが軽減されて違和感や窮屈さを感じさせない。そのため、ゴルフスイングのスムーズな動きを阻害する事がなく、プレーに集中する事ができるといった効果を奏する。
【0016】又、平常状態で腕を降ろしているときにも、不格好な皺を生じたり袖付部がだぶついたりする事もなく、スマートな外観と快適な着心地を維持する事ができる。更に、同一組成の生地を用いて形成する事ができるため、伸縮性を損なわずに美観をも向上させる事ができるといった効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月19日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−61530
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−239036