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【発明の名称】 寝 巻
【発明者】 【氏名】山本 敏子

【要約】 【課題】寝巻やパジャマの裾が臀部までめくれ上がったとしても、おしめやパンツを覆い隠すことができ、たやすくおしめやパンツを取り去るのを防いで、介護者の負担を減らす。

【解決手段】前合わせになった一対の前身頃11a,11bと後身頃12を有する寝巻本体10に、前記後身頃12の内面に、被装着者の股部を後方から前方に掛けて覆う略三角形状の股当て片20を備え、当該股当て片20を被装着者の前方(下腹部)に位置した状態に保持する少なくとも一対の保持紐30a、30bを設けて、本発明に係る寝巻1を作製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前合わせになった一対の前身頃と後身頃を有する寝巻において、前記後身頃に、被装着者の股部を後方から前方に掛けて覆う股当て片を設け、当該股当て片を被装着者の前方に位置した状態に保持する保持手段を備えたこと特徴とする寝巻。
【請求項2】 略三角形状をした前記股当て片の一辺を前記後身頃にほぼ水平に固定すると共に前記保持手段として一対の保持紐を備え、当該一対の保持紐の一方を当該股当て片の先端に備えたことを特徴とする請求項1記載の寝巻。
【請求項3】 前記股当て片を、前記後身頃の下端部に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の寝巻。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寝巻に関する。具体的には、寝たきり老人など介護を必要をする人に着用させる介護用の寝巻に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、老人や身体障害者などの介護が問題となって来ており、中でも寝たきり老人に関する問題が増加する傾向にある。これらの人は、ほぼ24時間ベッドに伏した状態で動くことができず、おむつを利用する機会が多くなっている。したがって、おむつを交換する必要性から、いわゆる前合わせになった寝巻を着用させるのが、介護者にとっては好都合である。
【0003】しかしながら、従来の寝巻にあっては、寝巻の裾がめくれ上がりやすく、寝巻を閉じる紐(若しくは帯)が解けたりして、すぐにおむつが露出してしまうという恐れがあった。このため、介護者は頻繁に寝巻の裾を戻したり、紐等を結び直したりする必要があった。
【0004】さらに、痴呆症等の患者にあっては、おむつをされている不快感等から、無意識のうちにおむつを取ってしまう場合があり、寝巻やベッド等を汚してしまうという問題点もあった。特に、上記したようにおむつが露出してしまうと、簡単におむつを取ることができ、介護者の負担を増加させる原因となっていた。
【0005】このとき、前合わせになった上衣とスボン等の下衣とからなるパジャマを着用させ、上衣を下衣の中に入れ込んでしまうという方法も考えられるが、この方法でも、すぐに下衣がずり下がり、上衣の裾が外に引き出されてしまい、結果として寝巻の場合と同様の問題点があった。また、下衣もゴムによって着用させるものが多く、これだけでは、下衣の中に手を入れたり、下衣を引きおろしたりして、たやすくおむつを取ることができるという問題があった。
【0006】本発明は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたものであり、寝巻やパジャマ上衣の裾が臀部までめくれ上がったとしても、おしめやパンツを覆い隠すことができ、たやすくおしめやパンツを取り去るのを防いで、介護者の負担を減らすことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記載の寝巻は、前合わせになった一対の前身頃と後身頃を有する寝巻において、前記後身頃に、被装着者の股部を後方から前方に掛けて覆う股当て片を設け、当該股当て片を被装着者の前方に位置した状態に保持する保持手段を備えたこと特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の寝巻は、上記請求項1記載の寝巻において、略三角形状をした前記股当て片の一辺を前記後身頃にほぼ水平に固定すると共に前記保持手段として一対の保持紐を備え、当該一対の保持紐の一方を当該股当て片の先端に備えたことを特徴としている。
【0009】さらに、請求項3記載の寝巻は、上記請求項1又は2記載の寝巻において、前記股当て片を、前記後身頃の下端部に設けたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る寝巻の一実施の形態を示す正面図、図2は、当該寝巻の前身頃を開いた状態を示す正面図、図3は、当該寝巻を着用した状態を示す正面図、図4は、当該寝巻を着用した状態であって、前身頃を開いた状態を示す正面図、図5は、本発明に係る別な実施の形態を示す正面図であって、前身頃を開いた状態を示す正面図である。以下、各図に従って、本発明について詳細に説明する。
【0011】本発明に係る寝巻1は、寝巻本体10と股当て片20とから構成されている。寝巻本体10は、後身頃12と左右一対の前身頃11a,11bとを有しており、身体の前方で左右の前身頃11a,11bが重ね合わせられる。各図に示す寝巻1は、左の前身頃11aが右の前身頃11bの上に位置されるようになっている。当該寝巻1は、いわゆる「寝巻」と称されるものであり、着丈が比較的長く、膝のあたりまであるものである。なお、本発明においては、前合わせになった前身頃11a,11bと後身頃12とを有していればよく、着丈の長さ如何は問われず、着丈が足首辺りまである長着様のものや、図5に示すように着丈が腰ないし臀部辺りまでしかないいわゆる「パジャマ」の上衣様のものを含む広い概念である。
【0012】左の前身頃11aの胸の位置付近と寝巻本体10の右脇付近(前身頃11b又は後身頃12のいずれであってもよい)には、一対の結び紐13a,13bが設けられており、また、左の前身頃11aの裾付近と寝巻本体10の右裾(前身頃11b又は後身頃12のいずれであってもよい)付近にも、一対の結び紐13a,13bが設けられている。これらの結び紐13a,13bは、着用時に前合わせになった前身頃11a,11bを閉じるためのものである。
【0013】当該寝巻1には、図2及び図4に示すように、股部を後方から前方に掛けて覆う股当て片20が備えられている。当該股当て片20は、略三角形状に作製されており、三角形状に作製された一片が、ほぼ水平となるように後身頃12内側の腰の辺りに縫い合わせられ固定されている。また、当該固定部位においては、容易に後身頃12が破れないように、縫いしろ21が設けられている。この股当て片20は、股部を後方から前方に掛けて覆うことができる程度の充分な大きさに作製される。
【0014】さらに、股当て片20の先端と寝巻本体10内面の腰付近には、一対の保持紐30a,30bが備えられている。当該保持紐30a,30bは、着用時に股当て片20を被着用者の臀部から股部に掛けて覆うようにして保持するためのものであり、被着用者の身体の大きさに合せて、緩くもなくきつくもなく自由に調製できる程度の長さに作製される。この一対の保持紐30a,30bのうち、前身頃11b側の保持紐30bは、前身頃11bとの縫い合わせが破れて保持紐30bが外れないよう、補強布31を介して例えば右側の前身頃11bの腰付近に取付けられている。さらに残る一方の保持紐30aは、股当て片20の先端に縫い合わせられている。このとき、当該股当て片20側の保持紐30aは、股当て片20と一体に作製してもよい。
【0015】当該寝巻1を着用する際には、図4に示すように股当て片20の固定部位をちょうど被着用者の腰の付近に位置させ、股当て片20を後方から前方に回し、股部を覆うようにして保持紐30a,30bを結ぶ。この結果、股当て片20はちょうど臀部の部分では臀部を包み込むようになり、被着用者の下腹部において股当て片20の先端が位置される。従って、着用時には、被着用者がはいたおむつやパンツの上に股当て片20若しくは保持紐30a,30bが位置され、おむつ等が隠されて、被着用者は簡単におむつ等を外すことができない。また、股当て片20は後身頃12の臀部付近に固定されているため、寝巻本体10の裾部がめくれ上がっても、臀部より上には上がらない。
【0016】このように、本発明の寝巻1にあっては、簡単におむつ等が露出されない構造となっているので、被着用者はおむつ等を取り去ることもできず、介護者の負担を減らすことができる。
【0017】また、図5に示す寝巻1にあっては、いわゆるパジャマの上衣に適用したものであり、寝巻本体10の着丈が臀部の辺りまでしかなく、左右の前身頃11a,11bはボタン14とボタン穴15で合わせ閉じるようになっている。当該寝巻1において、股当て片20は後身頃12の下端部に設けられている。このように本発明は、パジャマのような形態をした寝巻1にも応用できるものであり、さらにズボンをはかせ、寝巻1の裾をズボンの中に入れ込むようにすると、より一層好都合である。
【0018】なお、本発明においては、上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々の実施の形態が考えられる。例えば、図示はしないが、股当て片20の形状も略三角形状ではなく、臀部をすっぽりと包み込めるよう、臀部に位置する部分を大きくした略五角形状にしてもよい。また、保持紐30bも左右いずれか一方の腰部だけでなく、2対の保持紐を備えて左右双方の腰部と股当て片20とを結ぶようにしてもよい。さらに、保持紐30a,30bを結ぶようにするのではなく、保持紐30a,30bの幅をやや広くして、一対の保持紐30a,30bをボタンや面ファスナーでつなぐこともできる。
【0019】また、本発明において用いられる保持手段としては、一対の保持紐30a,30bに限られるものではなく、例えば、略三角形状をした股当て片20の先端と右の前身頃11bの内面とを直接ボタンや面ファスナーでつなぐこともでき、股当て片20を被装着者の前方に位置した状態に保持する種々の方法が考えられるのは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】本発明の寝巻は、前合わせになった一対の前身頃と後身頃を有する寝巻において、前記後身頃に、被装着者の股部を後方から前方に掛けて覆う股当て片を設け、当該股当て片を被装着者の前方に位置した状態に保持する保持手段を備えているので、当該寝巻を着用した際には、股当て片が被着用者のおしめやパンツを覆い隠すことになる。従って、被着用者は簡単におしめやパンツを外すことができず、介護者の負担が軽減される。
【0021】このとき、略三角形状をした前記股当て片の一辺を前記後身頃にほぼ水平に固定すると共に前記保持手段として一対の保持紐を備え、当該一対の保持紐の一方を当該股当て片の先端に備えておくと、ちょうど略三角形状の股当て片の広がった部分が臀部を包む込み、その先端が股部に位置し、被着用者の前方で括ったり解いたりできるので、寝巻の着脱が非常に容易になる。
【0022】また、本発明にあっては後身頃の下端部に股当て片を備えることができ、例えば、パジャマのように着丈が短いものにでも、応用ができる。
【出願人】 【識別番号】597122275
【氏名又は名称】山本 敏子
【出願日】 平成9年(1997)8月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志村 尚司
【公開番号】 特開平11−61520
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−230219