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【発明の名称】 トレーニングパンツ
【発明者】 【氏名】尾崎 眞一郎

【要約】 【課題】膝の防護性に優れるとともに、運動機能も損なわず、また快適に着用することができ、しかも外観的な見栄えも良好に保つことができるトレーニングパンツを提供する。

【解決手段】パンツの前身頃1の膝の部分の内側に裏当て布3を設け、この裏当て布3はその両側縁をパンツの前身頃と後身頃との縫い合わせ部分に縫い込み、上端縁を前身頃に縫い付け、この裏当て布3の内側に、前身頃の膝の外下側の部分に対向してその部分をカバーする比較的面積の小さい緩衝用のパッド4を縫い付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】パンツの前身頃の膝の部分の内側に裏当て布を設け、この裏当て布はその両側縁をパンツの前身頃と後身頃との縫い合わせ部分に縫い込み、上端縁を前身頃に縫い付け、この裏当て布の内側に、前身頃の膝の外下側の部分に対向してその部分をカバーする比較的面積の小さい緩衝用のパッドを縫い付けてなることを特徴とするトレーニングパンツ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として小・中・高校において着用するトレーニングパンツに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のトレーニングパンツは、学校での体育の授業やクラブ活動に限らず、一般の授業中にも校内着として着用されることが多く、その着用頻度が高い。このようなトレーニングパンツは、着用時の快適性とともに、運動中に転倒したときの身体に対する良好な防護性が求められる。
【0003】従来のトレーニングパンツにおいては、身体に対する防護性が低く、運動中の不意の転倒や意識的に行なうスライディング等の際に打撲や擦過傷等の怪我を負うことが多く、特に膝の怪我が目立っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】サッカーのゴールキーパー用パンツや競技スキー用パンツ等のようなその競技専用のパンツにおいては、膝の防護性を重視して、パンツを構成する身頃の膝部分に緩衝用のパッドを縫い込むようにしたものが提供されている。
【0005】しかし、この場合のパンツは、パンツ着用者の膝からその周辺の広範囲の部分をカバーする大型形状のパッドを身頃に縫い付けており、したがって膝の防護機能は向上するがその大型のパッドにより運動機能の面では不利となる。
【0006】特定の競技を対象とし、その競技専門の高度な競技者が着用するパンツであれば、膝の部分に大型のパッドが縫い付けられていてもそれほど運動機能に影響することはないが、各種の一般スポーツを対象とし、また校内着として着用されることの多い学校用のトレーニングパンツにおいては、膝の部分に大型のパッドが縫い付けられていると、運動機能に大きく影響し、また校内着として着用するときの快適性が損なわれてしまう。そしてパッドの全体が身頃に直接縫い付けられていると、その縫い目が身頃の表面の広範囲の部分にそのまま露出し、外観的な見栄えが悪くなる。
【0007】この発明は、このような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、膝の防護性に優れるとともに、運動機能も損なわず、また快適に着用することができ、しかも外観的な見栄えも良好に保つことができるトレーニングパンツを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決するめに、本発明者はまず運動中に転倒して膝に怪我を負うときのその怪我の箇所を学校の多数の生徒を対象とするモニター調査により検証し、この検証に基づいてパンツの身頃に取り付けるパッドの位置および大きさを割り出すようにした。
【0009】モニター調査によれば、膝の怪我の箇所は中学、高校で約85%の頻度で膝の外下側に集中していることが判明した。これは、次の諸条件によって引き起こされるものと考えられる。
(1)足の腿から踵にかけての軸は膝の外側に5〜10度程度傾いているため、体が前傾姿勢となり、転倒時に膝の部分から地面についてしまう。
(2)膝骸骨(膝の皿骨)は通常、外側に位置するが膝が曲がると腿部内股の筋肉(内外拡筋)がさらに盛り上がり、筋肉に押されるように膝骸骨はさらに外側に位置する傾向が強くなり、膝骸骨中心は外側になる。このため膝の出っ張りが外側になり、転倒時に膝外下側から地面についてしまう。
(3)転倒時には、膝の部分が曲がった状態となっているため、膝骸骨の下側がすれる。
(4)腿部の内側広筋が盛り上がっているため、トレーニングパンツが内側に引っ張られ、膝中心がずれる。
【0010】このような諸条件で膝の外下側において最も怪我が発生しやすいことが検証された。そこで、この発明においては、パンツの前身頃の膝の部分の内側に裏当て布を設け、この裏当て布はその両側縁を前身頃と後身頃との縫い合わせ部分に縫い込み、上端縁を前身頃に縫い付け、この裏当て布の内側に、前身頃の膝の外下側の部分に対向してその部分をカバーする比較的面積の小さい緩衝用のパッドを縫い付けるようにしたことを特徴としている。
【0011】このような構成によれば、必要最小限の小型のパッドにより転倒時における膝の怪我に対して有効に防護でき、またパッドが小型であるから運動機能を損なわず、かつ快適に着用することができ、さらにパッドが前身頃に直接縫い付けられていないから、前身頃の広範囲の部分に縫い目が露出するようなことがなく、外観的な見栄えが良好となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1にはこの発明のトレーニングパンツの正面図を、図2にはトレーニングパンツの一部を破断した状態の斜視図を示してある。このトレーニングパンツは、ジャージ等の生地からなる左右の前身頃1と左右の後身頃2とを縫い合わせてなる。
【0013】このトレーニングパンツの両脚の膝部分の各前身頃1の内側にはそれぞれ裏当て布3が設けられている。この裏当て布3は前身頃1の膝の部分の全体を覆う大きさの布片で、その両側縁は図4に示すように前身頃1と後身頃2との縫い合わせ部分にとじ合わされて縫い込まれ、また上端縁は図3および図4に示すように前身頃1に縫い付けられ、下端縁はそのまま解放された状態となっている。
【0014】そしてこの裏当て布3の内側に衝撃の吸収性に優れる素材からなる緩衝用のパッド4が縫い付けられている。図1には、トレーニングパンツの膝の中心の位置Pおよびその中心の上下左右側のa〜dの4つの領域を示してある。トレーニングパンツの膝の中心の位置Pは、適正なサイズのトレーニングパンツを着用したときにその着用者の膝蓋骨の中心が合致する位置である。
【0015】前記モニター調査によれば、転倒による膝の怪我は前記a〜dの領域のうちのdの領域、すなわち膝の外下側の部分において最も高い頻度で生じている。そこでこの発明においては、前記パッド4を、膝の周辺の全体の領域ではなく、膝の中心からdの領域に偏ったほぼ膝の外下側の部分に対向して配置するように前記裏当て布3に縫い付けてある。そしてこのパッド4はほぼ膝の外下側の部分をカバーする程度の比較的小さな面積としてある。
【0016】このようなトレーニングパンツにおいては、最も怪我をしやすい膝の外下側の部分のみを対象として面積の小さな小型のパッド4を前身頃1の内側に設けてあるから、パッド4により運動機能が損なわれることがほとんどなく、また快適に着用することができる。そして、最も怪我をしやすい膝の外下側の部分はパッド4によりカバーされており、したがってパッド4が小型であっても転倒時における膝の怪我に対して有効に機能し、良好な防護性が得られる。
【0017】さらに、パッド4は前身頃1に直接縫い付けられているのではなく、前身頃1の膝の部分の内側に裏当て布3を設け、この裏当て布3の両側縁を前身頃1と後身頃2との縫い合わせ部分に縫い込み、上端縁を前身頃1に縫い付け、この裏当て布3の内側にパッド4を縫い付けているものであり、したがって裏当て布3の上端縁の縫い目3aだけが前身頃1の表面に露出するだけで、広範囲に縫い目が露出することがなく、外観的な見栄えを良好に保つことができる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のトレーニングパンツによれば、膝の防護機能に優れるとともに、運動機能も損なわず、また快適に着用することができ、しかも外観的な見栄えも良好に保つことができる。
【出願人】 【識別番号】595003381
【氏名又は名称】尾崎商事株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開平11−61515
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−231108