| 【発明の名称】 |
ブラジャーカップ材 |
| 【発明者】 |
【氏名】中島 千恵
【氏名】中東 登志子
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| 【要約】 |
【課題】身体から発生する熱を積極的に放熱させ、熱のこもりの少ない、接触冷感が有り、通気性も高く、ブラジャーカップ内の最高湿度が低く、着用時における蒸れ感や濡れ感がなく快適に着用でき、さらに乾燥性が良いことから洗濯取扱性に優れ、肌触り感、ボリューム感、バストの保型性とクッション性に優れた、美しいバストシルエットを作り出すことが可能であるブラジャーカップ材を提供する。
【解決手段】表裏二枚の編地と該二枚の編地を連結する連結糸からなる三層構造体によるブラジャーカップ材。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表裏二枚の編地と該二枚の編地を連結する連結糸からなる三層構造体によるブラジャーカップ材。 【請求項2】 表裏二枚の編地の少なくとも肌側の糸としてセルロース系長繊維50〜150デニールを用いた請求項1記載のブラジャーカップ材。 【請求項3】 連結糸として単糸繊維が4〜7デニールかつ繊度が20〜50デニールを用いてなる三層構造編地であり、しかも該三層構造編地の厚みが2〜6mm、かつ繊維充填率が4〜13%である請求項1記載のブラジャーカップ材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャーカップ材に関する。さらに詳しくは、三層構造編地からなる、バスト部が洗濯等の外圧に耐えうる保型性とボリューム感に優れ、しかも夏季の着用時に蒸れ感や発汗時の濡れ感を抑え快適に着用できるブラジャーカップ材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来からブラジャーカップ材にボリューム感を付与しようとして短繊維等を積層してなる不織布を何層か重ね合わせてパット材とし、さらに表面材としてトリコット等の編地を縫製によって積層したものが用いられている。しかしながら、従来の不織布をパット材としたものは、不織布の積層部に身体から発生する熱や汗や水蒸気が溜り、特に夏季などは着用者に蒸れ等の不快感を与えることになる。また、不織布を積層しているため、洗濯等でカップが揉みを加えられると型崩れしてしまうという問題点があった。すなわち、保型性、ボリューム感と着用感の相反する機能を両立させたブラジャーカップ材はなかった。 【0003】また、特開平1ー177211号公報には、カップを構成する生地の上方部を透視可能な生地により形成し、乳頭部を含む下方部を非透視性生地により形成すると共に、上方部生地と下方部生地を一体の生地として編織成してなる生地を用いて形成したブラジャーが提案されているが、着用時の乳頭部の透け防止と縫製工程及び縫製コストの削減は可能であるが、着用感と保型性は充分とはいえず、蒸れ感や濡れ感が生じ、バスト部の保型性が低く不充分である問題点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を解決し、ブラジャーカップ材として用いたとき、バスト部の保型性とボリューム感に優れ、また洗濯を繰り返しても型崩れせず、洗濯取り扱い性が良く、しかも身体から発生する熱を放熱させ、かつ身体から発生する汗、水蒸気を速やかに吸汗、吸湿し、発散させることにより、蒸れ感や濡れ感等の不快感を改善した、ブラジャーカップ材を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、着用感と保型性に優れたブラジャーカップ材を開発する為に鋭意研究を重ねた結果、表裏二枚の編地と該二枚の編地を連結する連結糸からなる三層構造編地が、その目的に適合することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。 【0006】すなわち、本発明は、表裏二枚の編地と該二枚の編地を連結する連結糸からなる三層構造体によるブラジャーカップ材、である。本発明でいう表裏二枚の編地と該二枚の編地を連結する連結糸からなる三層構造体とは、2枚の針床を有する編機で製造され、緯編では両面丸編機、経編ではダブルラッセル編機、ダブルトリコット編機によって得られる三層構造編地のことをいい、連結糸によって間隔を開けて表裏の編地が連結された、厚みのある立体的編地のことをいう。 【0007】本発明に用いる三層構造体は、ダブルラッセル編機を用いたものが最も安価でかつ容易に作成可能であり好ましい。本発明において、ブラジャーカップ材は、三層構造編地からなり、それぞれの層の編地の構成糸(編糸)としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系再生繊維、ポリアクリロニトリル繊維、木綿、絹、ウール等の天然繊維等、及びこれらの混繊繊維等が挙げられ、特に限定されるものではない。 【0008】ブラジャーカップ材の保型性、ボリューム感、洗濯取り扱い性、耐久性を考えるとポリエステル等合成繊維が好ましいが、発汗時の吸汗、吸湿性及び放熱性等の着用快適性を考慮するとブラジャーカップ材の少なくとも肌側の糸はセルロース系長繊維を用いることが好ましい。本発明に用いるセルロース系長繊維は、繊度が50〜150デニールであることが好ましい。セルロース系長繊維の繊度が50デニール未満である場合には、製編性や強度等の編地物性が低下する。また、繊度が150デニールよりも大きくなると、編地の風合いが硬くなり、ブラジャーカップ材として使用することが困難になる。このようなセルロース系長繊維は吸湿性、吸水性、放熱性に優れているため、セルロース系長繊維を肌側に用いたブラジャーカップ材を有するブラジャーを着用した場合、身体より発生する汗や水蒸気を速やかに吸い上げ、肌から除去することができる。そして吸い上げられた汗や水蒸気そして熱は、連結糸からなる中間層を通過し表面層から外側に放出される、蒸れ感や濡れ感等の不快感がなく、しかも着用時における接触冷感があり適度なヒンヤリ感があるので夏季などの高温時に着用しても清涼感に富み快適である。さらには肌との滑りが良く、装着し易く、肌触りが良好であり、編地表面は光沢感があり美観性に富んでおり、着用、洗濯を繰り返しても毛羽やピリングの発生も極めて少なく、着用感、外観品位に優れている。 【0009】本発明で用いるセルロース系長繊維としては、キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等が挙げられるが特に好ましくはキュプラである。単糸(フィラメント)数や断面形状は特に限定されるものではない。本発明のブラジャーカップ材に用いる三層構造編地の連結糸は、単糸繊度が4〜7デニールかつ繊度20〜50デニールであることが好ましい。単糸繊度が4デニール未満であると圧縮回復性が小さくへたりやすく、かつ保型性が悪いものとなる。また7デニールを超えると反撥力が大きく、粗硬感があるのみならず、単糸端が肌に刺激しチクチク感等の不快感がある。一方、繊度が20デニール未満であると編立不良となり、編地強度が低い。また50デニールを超えると編地表面の粗硬感が大きいものとなってしまう。 【0010】本発明のブラジャーカップ材に用いる三層構造編地の厚みは2〜6mm、繊維充填率は4〜13%であることが好ましい。厚みが2mm未満であるとブラジャーカップ材に良好なボリューム感を付与することができず、しかもバストの形を美しく整えることができない。また6mmを超えるとクッション性には優れるが、嵩高になりバストに過度のボリュームを与えすぎるため、バストの自然な膨らみを失うものとなる。また繊維充填率が4%より小さいと表裏編地の密度が粗になり、従って表裏の編地を連結する連結糸の密度も粗になり、表裏の編地間隔を保持することができず、十分なボリューム感を得ることができない。また13%を超えると表裏編地の密度が密になると共に、連結糸の密度も密になり、身体から発生する熱の外側への放熱がスムーズに行われるのに必要な空間が減少し、通気性が悪く、熱がこもり、着用感が悪いものとなる。 【0011】連結糸は表裏の編地の間隔を保持し、かつ柔らかさを損なわない限り、傾斜して配列したり、X状に交差して配置してもよい。また連結糸は表裏二層の編地中にループ状編目を形成していてもよく、あるいは表裏二層の編地の編目にタック組織で引っかけられていてもよい。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。物性評価は次の方法で求めたものである。 (1)放熱量熱板全体が12cm角、その内、計測用熱板が10cm角で周囲に幅1cmのガード熱板がある、カトーテック(株)製サーモラボIIを使用し、20℃65%RH環境下で、30℃の熱板に試料15cm角の裏側面(ブラジャーカップの人体側になる面)を接触させるようにのせ、さらに15cm角、中央に10cm角の穴有り、厚み3mmの発砲スチロール枠を乗せ、上からドラフティングテープ(ニチバン(株)製)で固定し、風速目盛と風速の検量線校正表から風速0.2m/secになるよう適正目盛り値を読み取り目盛りをその値に合わせて、熱板を30℃に保つときの必要熱量W1(W/m2 ・℃)を測定した。 【0013】次に、30℃の熱板に10cm角の濾紙を熱板の中央にのせ、水2.5mlを濾紙全体に含浸させる。その上から試料15cm角の裏側面を接触させるようにのせ、さらに前記と同様の発砲スチロール枠を乗せ、上からドラフティングテープ(ニチバン(株)製)で固定し、風速目盛と風速の検量線校正表から風速0.2m/secになるよう適正目盛り値を読み取り目盛りをその値に合わせて、熱板を30℃に保つときの必要熱量W2(W/m2 ・℃)を測定した。 【0014】W1は肌が乾燥した状態、すなわち汗をかいていない状態での放熱量を表わすものであり、W2は肌が濡れている状態、すなわち汗をかいた状態での放熱量を表わすもにである。着用中の蒸れ感、熱のこもり等の不快感を解消するには、W1が32W/m2 ・℃以上、W2が52W/m2 ・℃以上が好ましい。 (2)接触冷温感20℃65%環境下で精密迅速熱物性測定装置(カトーテック(株)製、商品名、KES−F7−サーモラボ2型)を使用し、熱を貯えた銅板(貯熱板)に試料(7cm×7cm)を接触させ、その熱量が試料に移動する熱量のピーク値(最大熱流速Qmax)を測定する。熱源板(5cm×5cm)を室温プラス10℃にセットし、貯熱板(3cm×3cm)に接触させ、熱を与える。 【0015】次いで、試料を発砲スチロール製の試料台(10cm×10cm)に置き、貯熱板をその上にすばやく重ね置きし、Qmax値を読み取り、測定試料3枚の平均値から次式により算出する。この時のセット圧力は10g/cm2 とする。ピーク値が大きい程接触冷感があり、着用時の清涼感を有するには100W/m2・secであるのが好ましい。 【0016】接触冷温感=Qmax×10000/10(W/m2 ・℃) (3)厚みカトーテック(株)製KES−FB3圧縮試験機を使用し、試料を面積2cm2 の円形表面を持つ銅板間(圧縮速度20μm/sec)で圧縮し、圧縮力P=6.0g/cm2 における試料の厚みを測定する。 (4)繊維充填率次式より算出する。 【0017】繊維充填率(%)=目付/{(厚み×(比重a×混率a+比重b×混率b+‥‥)}×100(5)通気性JIS−Lー1096、1018通気性試験方法(A法空気量)に準じてフラジール型試験機にて行なう。蒸れ感、熱のこもりを解消するには100cc/cm2 /sec以上が好ましい。 (6)ピリングJIS−L−1076ピリング試験方法A法(ICIピリング試験方法)に準じて行なう。 (7)乾燥性試料(15cm×15cm)を水浸漬30分後、遠心脱水(遠心脱水機3500rpm×5分)した後、20℃65%RH環境下で吊り干しし、含水率の時間変化を測定し、含水率が平衡に達するのに要する時間、すなわち乾燥に要した時間を測定した。 (8)ブラジャーカップ内最高湿度30℃65%rh環境下にて、京都電子工業(株)製、サーマルマネキンを使用し、ブラジャー製品状態でのブラジャーカップ内湿度を測定した。サーマルマネキンの胸部皮膚温を30℃に設定し、サーマルマネキンの胸部に、30℃100%RH中にて調湿したカップ状の吸湿濾紙を取り付け、その上にブラジャーカップ状に作成した試料とブラジャーレース(市販品からカップ部を取り除いたもの)を取り付け、湿度センサーをブラジャーカップの内側中央部に取り付けた。さらにサーマルマネキンにポリエステル100%長袖ブラウスを着用させ、ブラジャーカップ内側湿度の経時変化を測定し、最高湿度を求めた。 (9)肌触り感カトーテック(株)製KES−SE表面特性試験機を使用し、試料と人工皮革(ラムース、スエードタイプ)との摩擦係数を測定する。荷重は25g/cm2である。表面摩擦係数が、0.75以下であると優れた肌触り感を有する。 (10)ボリューム感カトーテック(株)製KES−FB3圧縮試験機を使用し、試料を面積2cm2 の円形表面を持つ銅板間(圧縮速度20μm/sec)で圧縮し、試料の圧縮剛さ、圧縮仕事量、圧縮回復性を測定した。ボリューム感を有するには、圧縮剛さが0.8以上、圧縮仕事量が1.5gf・cm/cm2 以下、圧縮回復性が65%以上が好ましい。 (11)保型性試料をブラジャーカップ状に縫製し、ブラジャーレース(市販品からカップ部を取り除いたもの)に取り付け、JIS−L−0217製品の洗濯試験方法(家庭用洗濯機法103法)に準じて評価した。洗濯による変化(収縮、皺、型崩れ、風合変化)がないものを○、やや変化しているものを△、変化が著しく着用に耐えないものを×として評価した。 【0018】 【実施例1】24ゲージの二列の針床を有するダブルラッセル編機を用い、表裏の編地を形成する繊維糸条に120デニール60フィラメントのキュプラ繊維を使用し、又連結糸には30デニール6フィラメントのポリエステル繊維を2本引き揃えて厚さ3mmの三層構造編地を作成した。得られた編地を60℃10分の熱水リラックス処理の後、180℃30秒のプレセットを行ない、引き続き吸水仕上剤と柔軟仕上剤を施した後、170℃30秒のファイナルセットを行なった。この結果を表1に示す。 【0019】 【実施例2】裏層の編地を形成する繊維糸条にポリエステルと綿の混紡糸80/ーS双糸を使用した以外は実施例1と同様の方法で厚さ3mmの三層構造編地を作成した。仕上加工は実施例1と同様の方法で行なった。この結果を表1に示す。 【0020】 【実施例3】裏層の編地を形成する繊維糸条に50デニール30フィラメントのポリエステル繊維W型断面のものを使用した以外は実施例1と同様の方法で厚さ2mmの三層構造編地を作成した。仕上げ加工は実施例1と同様の方法で行なった。この結果を表1に示す。 【0021】 【比較例1】裏層の編地を形成する繊維糸条に30デニール24フィラメントのキュプラ繊維を使用し、連結糸には10デニールモノフィラメントのポリエステル繊維を使用した以外は実施例1と同様の方法で厚さ3mmの三層構造編地を作成した。仕上げ加工は実施例1と同様の方法で行なった。この結果を表1に示す。 【0022】 【比較例2】裏層の編地を形成する繊維糸条に250デニール60フィラメントのキュプラ繊維を使用し、連結糸には75デニール30フィラメントのポリエステル繊維を使用した以外は実施例1と同様の方法で厚さ8mmの三層構造編地を作成した。仕上げ加工は実施例1と同様の方法で行なった。この結果を表1に示す。 【0023】 【比較例3】32ゲージダブル丸編機を用いて50デニール30フィラメントのポリエステル繊維をスムース組織を編成する際に、同一給糸口において別のガイドを設置してダイヤル側のみ50デニール30フィラメントのキュプラ繊維を給糸し、さらにポリエステル繊維とキュプラ繊維をプレーティング編成することにより表面がポリエステルで内部がキュプラである三層構造編地を作成した。仕上加工は実施例1と同様の方法で行なった。この結果を表1に示す。 【0024】 【比較例3】ポリエステル短繊維を積層してなる不織布を重ね合わせてパット材に用い、さらに肌側はポリエステルと綿の混紡糸のトリコット編地とし、外側はナイロン100%のレース生地よりなる市販のブラジャーを用いた。 【0025】 【表1】
【0026】 【発明の効果】本発明のブラジャーカップ材は、従来のものに比べて、身体から発生する熱を積極的に放熱させ、接触冷感が有り、通気性も高く、ブラジャーカップ内最高湿度が低く、蒸れ感や熱のこもりの少ない、清涼感に富む快適なものである。さらに乾燥性が良いことから洗濯取り扱い性に優れ、肌触り感、ボリューム感、保型性が優れていることから、快適な着用感と美しいバストシルエットを作り出すことが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月13日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−200106 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−5107 |
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