| 【発明の名称】 |
ストッキング |
| 【発明者】 |
【氏名】田村 健治
【氏名】工藤 彰
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| 【要約】 |
【課題】仕上がり寸法を大きくしても締め付け力が低下しないストッキングを提供する。
【解決手段】少なくともレッグ部がカバーリング弾性糸のみで編成されるストッキングにおいて、上記カバーリング弾性糸が、高応力のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、該芯糸を低ドラフト倍率で牽引しつつ被覆繊維を巻き付けて形成した。このようにすることによって、熱セット後の仕上がり寸法が大きくなり、締め付け力も低下しない。したがって、履き易く、しかも締め付け感の良いストッキングとなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともレッグ部がカバリング弾性糸のみで編成されるストッキングにおいて、上記カバリング弾性糸が、高応力のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、該芯糸を低ドラフト倍率で牽引しつつ被覆繊維を巻き付けて形成したことを特徴とするストッキング。 【請求項2】 上記ポリウレタン弾性糸の100%伸長時におけるデニールあたり応力が、0.3g/d以上で、上記ドラフト倍率が1.3〜2.5倍であることを特徴とする請求項1記載のストッキング。 【請求項3】 上記ポリウレタン弾性糸が、溶融紡糸法により形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のストッキング。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、少なくともレッグ部がカバリング弾性糸のみで編成されるストッキングに関し、特に、履き易く、かつ、適度な締め付け感を得ることができるストッキングに関する。 【0002】 【従来の技術】女性用のストッキングは、従来は、ナイロンフィラメント又はナイロンフィラメントに仮撚り加工を施したテクスチャードナイロンを使って編み立てた製品が使用されてきた。しかし、このようなストッキングは、伸縮性はある程度認められるが、締め付け力に乏しく、足首、ひざなどの部分にたるみが入り易い。また、着用時摩擦により引きつれ、糸切れの発生が起き、耐久性に乏しい。 【0003】このような問題を解決するものとして、ポリウレタン弾性糸を芯糸にしてナイロンフィラメントをカバリングした糸と、ナイロンフィラメントを交互に編み立てた、交編タイプのストッキングが一般化した。 【0004】しかし、この交編タイプのストッキングは、適度なフィット性と締め付け力を持っているが、収縮性の違う2種類の糸で交互に編み立てているため、肌触りが粗く、又、耐久性においても向上はしているが、まだ不十分である。 【0005】そこでこの対策として、全てをカバリング糸で編み立てたストッキングも市販されている。このタイプは、肌触りが滑らかで耐久性も向上している。 【0006】しかしながら、かかるストッキングにも問題がある。通常、ストッキングの製造工程は、編立、縫製、染色を行ったのち、板状の脚型に入れて蒸気又は熱風でセットを行う。この熱セットの工程では、ストッキングの風合いの点より、余り高い温度条件では行えない。その結果、ジアミン類等のアミノ基を有する化合物を主成分とする鎖長剤を使用し、乾式紡糸を行ったポリウレタンウレアがハードセグメントを形成する弾性糸を芯糸として使ったカバリング糸のみで編成された場合、熱セット性が悪いため、通常のストッキング製造工程では仕上がり寸法が小さくなってしまう。 【0007】仕上がり寸法が小さいストッキングは、丁寧に伸ばしながら着用しないと、編地の伸ばし斑による濃淡の斑が目立ち、外観が悪く、また、着用時手で強く編地を引っ張る結果、初期破損も多くなる。また、芯糸の弾性回復力も強いため、過度に脚を圧迫する。 【0008】これらの欠点を防止するため、例えば、ポリウレタン弾性糸を細くしたり、構成フィラメント数を減じたりする対策が取られているが、いずれもポリウレタン弾性糸の摩擦耐久性を落とす結果となり、満足な解決策となっていない。 【0009】更に、別の解決策として、熱セット性の良好なポリウレタン弾性糸、例えば、低分子量ジオールとジイソシアネートから作られるポリウレタン基を、ハードセグメントとし、かつ、実質的に線状の分子から構成されたポリウレタン弾性体を使用し、一度固化させた後、再溶融して紡糸を行ったものを使用する試みもある。この場合、できたストッキングは仕上がり寸法が大きく、履き易い特徴を持っている。 【0010】しかし、上記の弾性糸は、ストッキングを熱セットする程度の温度でも、不可逆的に糸が伸長されてしまう。その結果、できたストッキングの締め付け力が低下する。また、ストッキング製造工程でしばしば起きる再染色等の必要が生じた場合、弾性糸物性の変化がより大きい。 【0011】更に別の解決策として、溶融紡糸されかつ三次元架橋構造を持つポリウレタン弾性糸を芯糸に使う方法もある。 【0012】かかるポリウレタン弾性糸は、ソフトセグメントであるポリマージオールとジイソシアネート成分を反応させたプレポリマーとブタンジオール等の低分子量ジオールを溶融状態で連続的に反応させ、ポリウレタンを合成し、引き続き固化させることなく紡糸することによって得られる。また、別の紡糸方法として、ポリウレタンペレットを定法とおり溶融紡糸するにあたり、溶融したポリマーに多官能イソシアネート化合物を添加、混合して紡糸する方法もある。 【0013】低分子量ジオールを鎖長剤に使用して溶融紡糸されたポリウレタン弾性糸の三次元架橋構造の有無は、常温のジメチルホルムアミド(DMF)に対する溶解性で判定できる。すなわち、常温のDMFに1日以上浸漬した後、まだ糸状構造がはっきり認められるとき、三次元架橋構造を持つと判定できる。 【0014】この架橋構造を持つポリウレタン弾性糸を使ったストッキングは、締め付け感が適度で耐久性、肌触り、着用時の美観に優れている。しかしストッキングの熱セット後の仕上がり寸法は、やや小さく、履き易いストッキングにはなっていない。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事実から考えられたもので、仕上がり寸法が大きくて履き易く、かつ、適度な締め付け感を得ることができ、さらに、耐久性、肌触り、着用時の美観に優れたストッキングを提供することを目的としている。 【0016】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、少なくともレッグ部がカバリング弾性糸のみで編成されるストッキングにおいて、上記カバリング弾性糸が、高応力のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、該芯糸を低ドラフト倍率で牽引しつつ被覆繊維を巻き付けて形成したことを特徴としている。 【0017】たとえば、上記ポリウレタン弾性糸の100%伸長時におけるデニールあたり応力が、0.3g/d以上で、上記ドラフト倍率が1.3〜2.5倍とすることができる。また、上記ポリウレタン弾性糸が、溶融紡糸法により形成されることが望ましい。 【0018】本願の発明者は、溶融紡糸された三次元架橋構造を持つポリウレタン弾性糸を使い、カバリング糸を製造するときの、ポリウレタン弾性糸のドラフト倍率を低下させることにより、セット後の仕上がり寸法(編地を板上に置いた際の寸法)の大きいストッキングを作ることを試みた。 【0019】しかし、ドラフト倍率が低くなると、ストッキングの編目が不揃いになり易く、又、弾性糸がスピンドルを通過するときの摩擦による芯糸伸ばし斑が発生し、外観の良いストッキングを得ることはできなかった。又、締め付け力も不十分であった。 【0020】そこで、従来のポリウレタン弾性糸の範囲から大きく外れた、高応力のポリウレタン弾性糸を使うことを試みた。その結果、目的を達成することが可能となった。 【0021】すなわち、従来のポリウレタン弾性糸の100%伸長時の応力が0.1〜0.2g/d(デニール)程度であるのに対して、0.3g/d以上のものを使うことにより、1.3倍〜2.5倍の低ドラフト倍率でもカバリング糸が問題なく製造でき、こうして得られたカバリング糸でストッキングを編むと、外観が美しく、かつ、締め付け力が適当で、しかも仕上がり寸法が大きくて履き易いストッキングが得られることを見いだした。高応力糸としては、上記の100%伸長時の応力が0.75g/d程度のものまで得ることができたが、これについても、同じ結果であった。 【0022】本発明の高応力糸は、溶融紡糸法で製造されることが望ましい。乾式紡糸法の場合、このような応力の高い糸を紡糸することは、一般的に紡糸原液の性状又は紡糸条件の大幅な変更が必要であり、困難である。それに対して溶融紡糸法では例えば、原料ポリマージオールの分子量を低くしたり、又ノズルから吐出されるポリマーの粘度を高くすること等により容易に高応力糸を得ることができる。ポリマーの粘度を高くするには、紡出ヘッドの温度を下げるか、イソシアネート基濃度を下げる等の方法がある。 【0023】また、三次元架橋構造を持っているため、ストッキングを熱セットした場合でも、ポリウレタン弾性糸が不可逆的に糸が伸長されてしまうことは少なく、その結果として、できたストッキングの締め付け力は良好に保たれる。 【0024】 【実施例】以下本発明を実施例によってさらに説明する。以下の例の中で各数値の測定方法及びストッキングの作成方法は、次による。 【0025】〔100%伸長力〕25℃×60%RHの雰囲気中で、送り出し速度25m/分、巻き取り速度50m/分にてポリウレタン弾性糸を引き延ばし、その張力を連続的に測定し、1分間の平均値を求めた。送り出し部分と巻き取り部分の間隔は50cmである。 【0026】〔伸度及び強力〕定速伸長試験機を使用し、把握長8cmと4cmで破断までの伸びを測定した。伸長速度は毎分750%とした。把握長8cmでの伸びをL1cm、把握長4cmでの伸びをL2として伸度は次式より計算した。 伸度%=(L1−L2)/4×100同時に破断強力についても測定を行った。 【0027】〔カバリング糸試作〕被覆糸としてナイロン10d/5f(2デニールのフィラメントを5本合わせた糸)を使用した。撚数は1800回/mとした。 【0028】〔ストッキングの編立て〕積極糸送り装置を付けた針数400本、4口の編機を使い、このカバリング糸S撚2本、Z撚2本をレッグ部に交互に編み込んだ編地を作成した。パンツ部には乾式紡糸法によるポリウレタン弾性糸30dにテクスチャードナイロン30d/10fをカバリングした糸と、テクスチャードナイロン30d/10fを交互に編み込んだ。 【0029】〔ストッキングの仕上げ〕得られた編地を80℃×30分スチーム加熱によりプリセットした後縫製し、パンティストッキングの形とした。その後95℃×60分の条件で染色し、レッグ部の長さが80cm、太股部分の幅が12cmの板状の脚型を入れて110℃で約10秒間スチームセットを行った。 【0030】〔締め付け力の測定〕セット後のストッキングの太股部分から幅200コース分のリング状試料を取った。この試料を定速伸長試験機にセットし、コース方向に30cmまで2回繰り返し、縦軸に応力、横軸に伸長率を取ってグラフに表し、2回目の戻り曲線と横軸との間の面積を測定した。そして、標準品について測定したときの面積を1とし、比率で表した。 【0031】〔ポリウレタン弾性糸の製造方法〕本実施例ではポリマージオールとしてポリエステルジオールを使用したが、ポリテトラメチレングリコールの様なポリエーテルジオールを使用しても、また、両ジオールを混合して使用しても本発明は実施できる。なお、ここで使用する「部」とは重量部である。 【0032】〔実施例1〕ポリマージオールとしてエチレングリコールとプロピレングリコール及びアジピン酸から合成した分子量2000のものを使用した。エチレングリコールとプロピレングリコールの重量比率は9:1であった。ジイソシアネート成分としてジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、そして低分子量ジオールとして1.4ブタンジオールを使用した。 【0033】上記ポリエステルジオール100部を窒素ガスでシールした80℃の反応釜に仕込み、MDI39.5部を添加し、1時間反応させてプレポリマーを合成した。ジオールとMDIのモル比は1:3.16であった。 【0034】このプレポリマーと1.4ブタンジオールを1:0.061の重量比で連続的に攪拌翼を有する内容積1000mlの円筒形反応機に注入した。反応は190℃で約1時間とした。 【0035】できたウレタンポリマーは、固化されることなく、186℃に保たれた紡糸ヘッドに導入し、0.4mm1個孔を有するノズルから、毎分1.33gの速度で空気中に押し出し、600m/分の速度で巻き取り、20dのウレタン弾性糸を得た。巻き取る前にオイリングローラで油剤を付与した。この糸は1日空気中に放置したところ、常温のDMFに不溶となった。 【0036】〔実施例2,3〕実施例1と同様の方法で、ただし、紡糸ヘッドの温度を実施例2では184℃実施例3では182℃と変更し20dの弾性糸を巻き取った。この糸も1日空気中に放置したところ常温のDMFに不溶となった。 【0037】〔実施例4〕ポリエステルジオールとしてエチレングリコールとプロピレングリコール及びアジピン酸から合成した分子量1500のものを使用した。エチレングリコールとプロピレングリコールの重量比率は実施例1と同じものを使った。ジイソシアネート成分及び低分子量ジオールも実施例1と同じである。 【0038】上記ポリエステルジオール100部を、窒素ガスでシールした80℃の反応釜に仕込み、MDI52.6部を添加し1時間反応させプレポリマーを合成した。ポリエステルジオールとMDIのモル比は1:3.16であった。 【0039】このプレポリマーと1.4ブタンジオールを1:0.077の重量比で、連続的に攪拌翼を有する内容積1000mlの円筒形反応機に注入した。ヘッド温度190℃で比較例1と同様に20d弾性糸を紡糸した。この糸も1日空気中に放置したところ、常温のDMFに不溶となった。 【0040】〔比較例1〕実施例1と同様の方法で、ただし、紡糸ヘッドの温度を188℃とし20dの弾性糸を紡糸して巻き取った。この弾性糸も1日空気中に放置したところ、常温のDMFに不溶となった。 【0041】〔比較例2〕実施例1と同様の方法で、ただし、紡糸ヘッドの温度を180℃に変更し、20dの弾性糸を紡糸することを試みたが、吐出ポリマーの曳糸性が悪く、巻き取り不可能であった。 【0042】〔比較例3〕比較例1と同じ条件で反応機からウレタンポリマーを径3mmのストランド状に吐出させ、水中で冷却後、カットしペレットとした。このペレットを乾燥機を使用して100℃で2時間乾燥した後、径40mm、L/D20の単軸エクストルーダで溶融し、温度190℃の紡糸ヘッドに供給した。そして比較例1と同様に20dの弾性糸を紡糸した。この糸は、1日放置後でも常温のDMFに容易に溶解した。 【0043】表1は、本発明の実施例1から4、及び比較例1から3の糸の物性を示す。 【表1】
100%伸長時応力が、実施例1から4では、6.2g〜12.2g(デニール当たりに換算すると、0.31〜0.61g/d)であるのに対し、比較例1及び3では、3.5g(同じく0.175g/d)及び3.8g(同じく0.19g/d)と大きな差があった。 【0044】表2は、上記の各糸を芯糸としてカバリング糸を作り、それらを100%使用して編んだストッキングを比較した表である。 【表2】
比較例1は、カバリング糸を製造する際のドラフトを従来どおりの3倍としている。この糸から編んだストッキングは、仕上がり寸法が57cmと小さく、締め付け力があるものの、非常に履きにくいものであった。 【0045】比較例1−2は、比較例1と同じ弾性糸を芯糸とし、ドラフトを2倍に下げてカバリング糸としたものである。この糸で編んだストッキングは、セット後の仕上がり寸法が69cmと大きくなり、履き易くはなったが、その反面、締め付け力が0.73と低下し、フィット感が悪くなってしまった。また、編目も不揃いとなった。これは、芯糸となるポリウレタン弾性糸が高応力糸ではないため(表1の100%伸長時応力が低い)と考えられる。 【0046】実施例1から4のものは、いずれも100%伸長時の応力が6.2gから12.2gと大きく、そのため、カバリング糸に加工する際のドラフト倍率を2.4倍から1.6倍程度まで下げても、締め付け力はほぼ比較例1(これが従来品であり、かつ標準品である)と同程度あり、しかも、仕上がり寸法が、65から73cmと、比較例1の57cmに比べて8から16cmも大きくなり、履き易さに格段の改良が見られた。また、編目の不揃いもなく、良好であった。特に、最も高応力を示した実施例3では、締め付け力は若干さがったものの問題になることはなく、仕上がり寸法が最大であり、履き易さに大変優れていた。 【0047】比較例3は、ポリウレタン弾性糸としての物性は、表1に示すように比較例1と似ているが、紡出方法が異なるためか、ストッキングとしたときは、比較例とはかなり相違している。すなわち、セット後の仕上がり寸法は71cmと大きく履き易かったが、締め付け力が比較例1の0.71しかなく、締め付け感が悪化してしまった。 【0048】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、少なくともレッグ部がカバリング弾性糸のみで編成されるストッキングにおいて、上記カバリング弾性糸が、高応力のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、該芯糸を低ドラフト倍率で牽引しつつ被覆繊維を巻き付けて形成したので、ストッキングの仕上がり寸法が大きくなって履き易くなり、しかも、締め付け力も低下することなく、従来どおりのフィット感を保持することができるようになった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004374 【氏名又は名称】日清紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月29日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】中倉 和彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−81002 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−233494 |
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