| 【発明の名称】 |
レッグニット類およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠崎 篤史
【氏名】本田 秀信
【氏名】齋藤 公一
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| 【要約】 |
【課題】低温低湿時の保湿効果に優れ、かつ靴の中で滑らない特徴を持つレッグニット類を提供すること。
【解決手段】保湿剤がバインダーにより付着し、着用したときレッグニット類の着用時静摩擦係数が0.6〜1.0の範囲であるレッグニット類とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】保湿剤がバインダーにより付着されてなり、着用時静摩擦係数が0.6〜1.0の範囲であることを特徴とするレッグニット類。 【請求項2】保湿剤がスクワラン、スクワレン、ホホバオイル、ラノリン、オリーブ油、ミリスチル酸アルキルエステル、ミンクオイル、グリセリン、ワセリン、馬油、マカデミアンナッツ油およびシソ油から選ばれた少なくとも一種からなり、かつその付着量がレッグニット類の重量に対して0.5〜10重量%の範囲であ ることを特徴とする請求項1記載のレッグニット類。 【請求項3】バインダーがアクリル樹脂またはウレタン樹脂を主体とするものからなり、かつその付着量がレッグニット類の重量に対して0.5〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のレッグニット類。 【請求項4】保湿剤とバインダーの付着割合が、固形分比で1:4〜4:1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレッグニット類。 【請求項5】乳化した保湿剤とバインダーエマルジョンからなる処理剤にレッグニット類を浸漬して50〜100℃の温度で浴中処理し、レッグニット類に保湿剤とバインダーを付与させることを特徴とするレッグニット類の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レッグ部の低温低湿時の肌荒れを防止し、かつレッグニット類が靴の中で滑らないレッグニット類に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、レッグニット類の保湿加工はバインダーとしてシリコーン樹脂を主体に行われてきた。このシリコーン樹脂主体の保湿加工は柔軟であり肌触りも良いが、この方法で加工したレッグニット類は靴の中で滑ることが多い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低温低湿時の肌荒れを防ぐ保湿効果と共に、靴の中で滑らない特徴を持つレッグニット類およびその製造方法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明のレッグニット類の一態様は、保湿剤がバインダーにより付着されてなり、着用時静摩擦係数が0.6〜1.0の範囲であるレッグニット類である。 【0005】また、本発明のレッグニット類の製造方法の一態様は、乳化した保湿剤とバインダーエマルジョンからなる処理剤にレッグニット類を浸漬して50〜100℃の温度で浴中処理し、レッグニット類に保湿剤とバインダーを付与させるレッグニット類の製造方法である。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明のレッグニット類は保湿剤がバインダーにより付着しされてなり、着用時静摩擦係数が0.6〜1.0の範囲であることが重要である。着用時静摩擦係数が0.6より小さい場合、保湿剤とバインダーを付与したレッグニット類が靴の中で滑り、靴が脱げたりするので本発明の特徴を生かせない。一方、1.0より大きい場合、風合いの粗硬化の原因になる。さらに、靴を履く時の適度な滑りを保ちつつ、実際に歩くときに靴の中で滑らず良好な着用感を奏するために、着用時静摩擦係数は0.7〜0.9の間にあることが好ましい。 【0007】本発明における着用時静摩擦係数とは、レッグニット類と靴の中敷きの接触面にはたらく摩擦力の大きさと接触面に対して垂直にかかる力(垂直荷重)の大きさとの比のことをいい、具体的には後述する方法で測定される値のことをいう。 【0008】本発明におけるレッグニット類とはパンティストッキング、タイツおよびソックスなどのことをいう。また、本発明におけるニット素材としては、ナイロン、ウール、アクリル、ポリエステルなどが挙げられるが、使用される素材については何ら制限しない。 【0009】本発明において保湿剤とは、肌に接近して存在させた際に肌の角質水分率を低下させないように作用するものをいう。従って、必ずしも保湿剤自身の平衡水分率が高い必要はないが、一般的には、絶乾状態から20℃、30%RHの環境下に移して平衡状態に達したときの水分率が2〜30%、さらには8〜20%であるものが好ましく使用される。 【0010】本発明に用いる保湿剤としては、スクワラン、スクワレン、ホホバオイル、ラノリン、オリーブ油、ミリスチル酸アルキルエステル、ミンクオイル、グリセリン、ワセリン、馬油、マカデミアンナッツ油およびシソ油より選ばれた少なくとも一種が使用されることが好ましい。これらの保湿剤はバインダーとの相溶性が良好であり、洗濯耐久性が良好であるという特徴を発揮する。これらの保湿剤を乳化分散させるために非イオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤を用いることも好ましく行われる。その際、非イオン界面活性剤としては、HLBが9〜16であることが好ましく、親油性、親水性のバランスをとりやすく安定したエマルジョンを形成するためには10〜12であることがより好ましい。 【0011】また、本発明において保湿剤がレッグニット類の重量に対して保湿剤の本来持つ保湿性を有効に用いるため0.5重量%以上付着していることが好ましく、また染色堅牢度を維持するため10重量%以下付着していることが好ましい。保湿性能や染色堅牢度などの安定のため、より好ましくは1〜8重量%である。 【0012】また、本発明のレッグニット類は、保湿剤とバインダーの他に帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤などを含むものであっても良い。 【0013】本発明に用いるバインダーはアクリル樹脂またはウレタン樹脂を主体とするものであることが好ましい。アクリル樹脂またはウレタン樹脂を主体に用いることにより従来のシリコーン樹脂よりも静摩擦係数は高く、靴の中で滑らないレッグニット類になる。 【0014】本発明に用いるバインダーがアクリル樹脂またはウレタン樹脂を主体にするということは、使用するバインダーの中で最も多量に使用するか、もしくはバインダーの固形分割合で4割以上を占めることをいう。主体となる成分以外のバインダーはシリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂および酢酸ビニール系樹脂から選ばれた少なくとも一種であればよい。 【0015】また、バインダーがレッグニット類の重量に対して保湿性の耐久性を維持するために0.5重量%以上付着していることが好ましく、柔らかなレッグニット類の風合いを保つために10重量%以下付着していることが好ましい。保湿性の耐久性やレッグニット類の風合いの安定のため、より好ましくは1〜8重量%である。 【0016】そして、本発明における保湿剤とバインダーの付着割合は、保湿性を良好に保つ観点から固形分比で1:4〜4:1であることが好ましい。 【0017】次に本発明のレッグニット類を製造する方法を説明する。 【0018】乳化した保湿剤とバインダーエマルジョンからなる処理剤にレッグニット類を浸漬して50〜100℃の温度で浴中処理し、レッグニット類に保湿剤とバインダーを付与させることにより本発明に係るレッグニット類を製造できる。 【0019】ここで、浴中処理とは保湿剤とバインダーをある一定の浴比の水の中に入れ50〜100℃まで加熱し、曇点を利用してレッグニット類に付着させる方法である。 【0020】また、染色の際に用いる加工機械は低速回転の染色機が好ましい。パッケージ染色機や液流染色機などの高速回転や水流ポンプで強く攪拌する染色機は保湿剤やバインダーの乳化破壊を起こす可能性がある。したがって、保湿剤やバインダーの乳化破壊を防ぐため、たとえば、レッグニット類の染色に用いられるドラム染色機やパドル染色機などの低速回転染色機が好ましい。 【0021】バインダーによってレッグニット類に付着した保湿剤はバインダーと混ざり合った状態が主体であるが、バインダー薄膜で覆われたものもあれば一部分のみにバインダーが付着しているものもあり、いずれの状態でも本発明の効果は達成される。耐久性の面からはバインダーの多い方が好ましいが、保湿剤の薬剤効果の面からはバインダー被膜をきわめて薄くするか、保湿剤の固形分付着量をバインダーよりも極力多くするのが好ましい。 【0022】本発明のレッグニット類は必ずしもその全面に保湿剤が付着されている必要はなく、少なくとも直接肌に接する部分に保湿剤が付着されていればよい。 【0023】 【実施例】本発明における肌荒れ防止効果の評価は次の方法で行った。 【0024】<角質水分率>角質水分率測定器(内外電気(株)製)で測定して評価した。 【0025】<肌荒れの有無>肉眼により肌荒れの有無を判定した。 【0026】<着用時静摩擦係数の測定方法>より実着用に近い静摩擦係数を測定するために次の方法を採った。 【0027】表面均一なポリエステルフィルムを水平なところへ貼る。実着用時に標準的な女性の片足にかかる平均圧力は0.066MPaであるので、同じ大きさの垂直荷重のかかる重りを用意し、その重りにレッグニットを張り付ける。張り付ける時の張力は着用時と同じように3.92Nのテンションをかけて張り付ける。 【0028】図1のようにポリエステルフィルムの上でレッグニットを張った重りを、ばねばかりで矢印の方向へ水平に1cm/sec未満の速さで引く。そのレッグニットを張った重りが最初に動いたときのばねばかりの示す値が最大静摩擦力の大きさである。その最大静摩擦力の大きさをFと、重りによって接触面に垂直にかかる力(垂直荷重)の大きさPの比を算出し、「着用時静摩擦係数μ」として表した。 【0029】着用時静摩擦係数 μ=F/P実施例1スクワランと白色ワセリン、ミリスチル酸2−オクチドデシルの3種を1:1:1の割合で乳化剤を用いて水を加えて乳化させた。これを乳化保湿剤とした。 【0030】次に下記のような配合で加工剤を秤量した。 【0031】 乳化保湿剤 5%owfアクリル樹脂 10%owfシリコーン樹脂 2%owfウレタン樹脂 2%owf秤量した加工剤を浴比1:20の水の中に入れ、ナイロン6加工糸からなるストッキングと加工剤をドラム染色機にて80℃まで加熱し、30分キープした後、ストッキングを染色機から取りだし水洗し、120℃で乾燥、セットした。この加工したストッキングの重量を測定したところ、加工剤が7.0重量%付着していた。 【0032】この保湿剤を付着させたストッキングの着用時静摩擦係数は0.75であった。 【0033】この保湿剤を付着させたストッキングを右脚に、通常のナイロン6からなるストッキングを左脚にして縫製して、右脚のみに保湿剤を付着させたパンティストッキングを作った。このパンティストッキングを1〜2月の冬場に20〜50歳の5名の女性パネラーにより着用試験を行った。2週間ごとに2ヶ月間、角質水分率を測定したところ、左脚の角質水分率は2.8%(5名の平均値)と大幅に低下しており、著しい肌荒れが見られたが、右脚は角質水分率が8.5%(5名の平均値)と小さく、肌荒れは観察されなかった。また、5名のパネラーにアンケートを取り集約したところ、パンティストッキングが靴の中で滑る等の意見はなかった。 【0034】結果を表1に示す。 【0035】比較例1スクワランと白色ワセリン、ミリスチル酸2−オクチドデシルの3種を1:1:1の割合で乳化剤を用いて水を加えて乳化させた。これを乳化保湿剤とした。 【0036】次に下記のような配合で加工剤を秤量した。 【0037】 乳化保湿剤 5%owfシリコーン樹脂 10%owf秤量した加工剤を浴比1:20の水の中に入れ、ナイロン6加工糸からなるストッキングと加工剤をドラム染色機にて80℃まで加熱し、30分キープした後、ストッキングを染色機から取りだし水洗し、120℃で乾燥、セットした。この加工したストッキングの重量を測定したところ、加工剤が6.8重量%付着していた。 【0038】この保湿剤を付着させたストッキングの着用時静摩擦係数は0.4であった。 【0039】この保湿剤を付着させたストッキングを右脚に、通常のナイロン6からなるストッキングを左脚にして縫製して、右脚のみに保湿剤を付着させたパンティストッキングを作った。このパンティストッキングを1〜2月の冬場に20〜50歳の5名の女性パネラーにより着用試験を行った。2週間ごとに2ヶ月間、角質水分率を測定したところ、左脚の角質水分率は2.8%(5名の平均値)と大幅に低下しており、著しい肌荒れが見られたが、右脚は角質水分率が8.3%(5名の平均値)と小さく、肌荒れは観察されなかった。しかし、5名のパネラーにアンケートを取り、集約したところ5人の内4人が「靴の中で足が滑る」「このパンティストッキングを着用していたら靴が脱げた」等の意見があった。 【0040】結果を表1に示す。 【0041】実施例2〜7次の(a)〜(f)の保湿剤をそれぞれ乳化させて用いる以外は実施例1と同一の処理をし、同じ縫製方法で右脚のみに保湿剤を付着させた6種類のパンティストッキングを作った。 【0042】保湿剤(a)ホホバオイル(b)ラノリン(c)オリーブ油(d)ミンクオイル(e)グリセリン(f)マカデミアンナッツ油このパンティストッキングを1月中旬から2月中旬に5人の女性パネラーで着用試験を行った。 【0043】結果を表1に示す。 【0044】比較例2〜7実施例2〜7で使用した(a)〜(f)の乳化した保湿剤と比較例1のバインダーを用いる以外は比較例1と同一の方法で、右脚のみに保湿剤を付着させた6種類のパンティストッキングを作った。 【0045】結果を表1に示す。 【表1】
【0046】 【発明の効果】本発明のレッグニット類は、低温低湿時の皮膚の角質水分率の低下を防止する効果が高く、肌の潤いを保持し肌荒れ防止効果に優れ、かつ靴の中で滑らないレッグニット類である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月29日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−81001 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−233977 |
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