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【発明の名称】 パンティストッキング
【発明者】 【氏名】阿武 克也

【要約】 【課題】着用安定性を向上することができるほか、腹部やヒップ部分の整容性を向上するとともに着用者の体形に適応し、動きに応じた高度の着用感を有することができるパンティストッキングを提供するものである。

【解決手段】ストッキング部3とパンティ部2とを一体的に編成したパンティストッキング1において、パンティ部2を履き口部分において強い締め付け力を備えたウエストバンド部4と、その下方で全周を覆い充分な締め付け力を備えたずり下がり補強部5と、その下方で腹部に位置し充分な締め付け力を備えた腹部締め付け部6と、その後方でヒップ部に位置し締め付け力の少ないヒップ覆い部7と、腹部締め付け部6とヒップ覆い部7の下方に位置し全周を覆い保形力を備えたヒップアップ部8と、その下方において全周を覆い腹部締め付け部6と同程度の締め付け力を有するガーターライン部9とからなるように構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ストッキング部とパンティ部とを一体的に編成したパンティストッキングにおいて、パンティ部を履き口部分において強い締め付け力を備えたウエストバンド部と、その下方で全周を覆い充分な締め付け力を備えたずり下がり補強部と、その下方で腹部に位置し充分な締め付け力を備えた腹部締め付け部と、その後方でヒップ部に位置し締め付け力の少ないヒップ覆い部と、腹部締め付け部とヒップ覆い部の下方に位置し全周を覆い保形力を備えたヒップアップ部と、その下方において全周を覆い腹部締め付け部と同程度の締め付け力を有するガーターライン部とからなることを特徴とするパンティストッキング。
【請求項2】 ずり下がり補強部と腹部締め付け部とは、ポリウレタン糸を芯糸としてウーリーナイロン糸を一方向より巻き付けたシングルカバリング糸とウーリーナイロン糸を交編したタック編み組織からなる請求項1記載のパンティストッキング。
【請求項3】 シングルカバリング糸は、30デニールのポリウレタン糸を芯糸とし、30デニールのウーリーナイロン糸をカバー糸とした糸を、また、交編ウーリーナイロン糸を40デニールのウーリーナイロン糸を用いてなる請求項2記載のパンティストッキング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ずり下がり防止機能と適宜な補整効果を備えるとともに着用者の体形に適応し、動きに応じた高度の着用感を有するパンティストッキングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】伸縮糸の編成によってストッキング部分とパンティ部分とが一体的に編成されるパンティストッキングは、そのパンティ部の存在により着用安定性、フイット性に優れ、また保温性を有するなどの利点があるため多用されている。
【0003】このようなパンティストッキングにおいて、ウエストバンド部とパンティ部に弾性力を大きくした弾性糸を編み込んで着用時のパンティ部のずり下がりを防止するようにしたものが考案されている(実公平1−29201号公報)。即ち、図4に示すように、パンティ部11の履口部のウエストバンド部12の下部をパンティ上部13とパンティ下部14とに区分し、それぞれポリウレタンカバリング糸とナイロン糸との交編による伸縮部分とし、上部にデニール数の大きいポリウレタンカバリング糸を用いて大きい強い伸縮力を与えるように下部のポリウレタンカバリング糸のデニールと変更させて編成されている。
【0004】しかしながら、パンティ部の上下にデニール数の異なるポリウレタンカバリング糸とナイロン糸との交編により伸縮を変更しただけでは、着用時のずり落ちを防止することができない。
【0005】上記考案を改良して、図5に示すように、パンティ部21の履口部にウエストバンド部22を設け、その下部をパンティ上部23は、ポリウレタンにナイロンをカバリングした糸を編成して伸縮部分とし、パンティ上部23の下部のパンティ下部24は、ポリウレタンカバリング糸とナイロン糸とを交互に配置した前半部24aと後半部24bとの編成方法を異ならしめ、前半部24aはタック編み組織、後半部24bは平編組織としたものも公知である(実用新案登録第3014862号公報)。
【0006】上記考案は、パンティ部についてのずり下がりだけを考慮しているだけで、ストッキング部に連続する部分ではしわやたるみを生じ、特にミニスカートを着用した場合に、レッグ部の上部にしわやたるみが現出し醜いものである。更に、パンティ部のウエストバンド部と、その下方の腹部とその後方のヒップ部と、その下方のヒップアップ部と、その下方におけるガーターライン部の締め付け力についてのバランスを考慮していないため、着用時のみならず着用者の全体の動きに応じた高い着用感は実現されていない。
【0007】また、図6に示すように、パンティ部Aにおける腹部31、腹部31の左右に続くサイド部32、腹部31とサイド部32及び臀部33におけるストッキング部Bとの境界部からそれぞれストッキング部Bに続くストッキング部の一部34a,34b,34c、臀部33におけるストッキング部Bとの境界部に沿う部分であって、臀部33からストッキング部Bに続くストッキング部の一部34c及び臀部33におけるウエストラインに沿う臀部上方部33bよりなる部分aが、ストッキング部Bと異なる編み方によって伸長力が大きく形成され、臀部33cは前記部分aに比べて伸長力が小さく形成されたパンティストッキングも公知である(実開昭61−64107号公報)。
【0008】上記考案において、臀部上方部33aが臀部を下方から上方へ持ち上げる作用をして、臀部の整容をしたものであるが、前記部分aが全体として厚地とされ、着用状態ではパンティストッキングが下半身を強く締め付けるガードル機能を奏しているので、着用者の運動機能に劣り、全体としてずり下がり防止機能と適宜な補整効果のみならず着用者の動きに応じた着用感について配慮されていないものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、伸縮糸の編成によって、ストッキング部分とパンティ部分とが一体的に編成されるパンティストッキングにおいて、従来のものにおいては、ウエスト部分の締め付け力を大きくして着用安定性の向上、ずり下がりの防止をするようにしたものであるか、あるいは全体を締め付けるように編成したものが存在するに過ぎなかった。
【0010】そのため、着用者によっては、腹部、ヒップ部の締め付け性、ヒップアップ性等のバランスが適切に行われず、必ずしも良好な整容効果を望むことはできないばかりでなく、ずり下がりの防止についても、ウエスト部の締め付け作用のみによっては、例えば、しゃがんだとき或いは腰掛けたとき等、腰を曲げたときにはパンティストッキングがずり下がりを生じる等、必ずしもその効果は十分ではなかった。また、パンティ部のウエストバンド部と、その下方の腹部とその後方のヒップ部と、その下方のヒップアップ部と、その下方におけるガーターライン部の締め付け力についてのバランスを考慮していないため、着用時のみならず着用者の全体の動きに応じた高い着用感は得られていなかった。
【0011】したがって、本発明は、着用安定性を向上することができるほか、腹部やヒップ部分の整容性を向上するとともに着用者の体形に適応し、動きに応じた高度の着用感を有することができるパンティストッキングを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、ストッキング部とパンティ部とを一体的に編成したパンティストッキングにおいて、パンティ部を履き口部分において強い締め付け力を備えたウエストバンド部と、その下方で全周を覆い充分な締め付け力を備えたずり下がり補強部と、その下方で腹部に位置し充分な締め付け力を備えた腹部締め付け部と、その後方でヒップ部に位置し締め付け力の少ないヒップ覆い部と、腹部締め付け部とヒップ覆い部の下方に位置し全周を覆い腹部締め付け部より強い締め付け力を有し保形力を備えたヒップアップ部と、その下方において全周を覆い腹部締め付け部と同程度の締め付け力を有するガーターライン部とからなるようにしたものである。
【0013】本発明においては、履き口部におけるウエストバンド部の強い締め付け力によってパンティストッキングのずり落ち防止作用を行い、その下方のずり下がり補強部において、ウエスト部を充分な締め付け力で全体から包むようにして締め付け、ずり下がりの補強作用を生じるので、例えばしゃがんだとき或いは腰掛けたとき等、腰を曲げたときのずり下がり防止作用が向上する。また、腹部締め付け部は、腹部を包み込むように充分に締め付け、腹部が出ることを防止しこの部分の整容効果を向上する。ヒップ覆い部は締め付け力は少なく、ヒップアップ部でアップされたヒップの容量吸収作用をなす。ヒップアップ部は、腹部締め付け部より小さいがウエストバンド部に次ぐ締め付け力を有し、伸縮性が大きいので、この部分のヒップを上方に持ち上げ、前記ヒップ覆い部のヒップ容量吸収性により、この部分のヒップが垂れるのを防止する。ガーターライン部はヒップ覆い部より大きく腹部締め付け部と等しい締め付け力を有し、締め付けを緩めてバランスをとるとともに、この部分でランの防止作用も行う。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に添って説明する。図1は本発明のパンティストッキングの編成状態を示す側面図であり、全体が一体的に編成されるパンティストッキング1は、上部のパンティ部2と、その下方のストッキング部3とからなる。パンティ部2は、糸の種類及び編み組織並びにその作用の違いにより、6カ所の部分に分けられる。即ち、最上部はウエストバンド部4であり、その下方に連続して編成し全周に位置するずり下がり補強部5、ずり下がり補強部5の下方において腹部のみに位置する腹部締め付け部6、ずり下がり補強部5の下方において腹部締め付け部6の後方でヒップ部に位置するヒップ覆い部7、腹部締め付け部6とヒップ覆い部7の下方において全周に位置するヒップアップ部8、及び、その下方に位置しストッキング部3に接続するガーターライン部9の部分に分けられている。
【0015】本発明は、特に上記パンティ部に特徴を有し、各部の糸の種類及び編み組織について説明すると、ウエストバンド部4は、パンティストッキングのずり落ち防止の基本となる部分であり、従来のパンティストッキングと同様に、履き口部分にゴム糸を挿通したもの等を使用する。その下方のずり下がり補強部5と腹部締め付け部6は、締め付け力が大きな同じ糸及び編み組織からなり、例えば、ポリウレタン糸を芯糸としてウーリーナイロン糸を一方向より巻き付けたシングルカバリング糸とウーリーナイロン糸を交編(1×1)したタック編み(メッシュ編み)組織からなる。
【0016】このような組織からなるずり下がり補強部5においては、その上方の履き口部分におけるウエストバンド部4よりは締め付け力は小さいものの、全体を包み込むような比較的強い締め付け力を生じ、パンティストッキングのずり落ち防止補強作用を生じるので、例えばしゃがんだとき或いは腰掛けたとき等、腰を曲げたときのずり下がり防止作用が向上する。また、この部分と同じ糸及び編み組織からなる腹部締め付け部6は、縦方向の伸びが小さいタック編組織であるので、腹部を包み込むように充分に締め付け、腹部が出ることを防止しこの部分の整容効果を向上する。
【0017】ヒップ覆い部7は腹部締め付け部6と同じく、例えば、ポリウレタン糸を芯糸としてウーリーナイロン糸を一方向より巻き付けたシングルカバリング糸とウーリーナイロン糸を使用し、その編成方法は縦横両方向に伸縮性に優れる平編(プレーン)組織とする。そして、下方に向かって編目を徐々に大きくするように度目を調節して編成する。これにより、この部分の締め付け力は小さくなり、また、腹部締め付け部6と異なる編組織としたことで、膨らみのある形状となり、後述するヒップアップ部8でアップされたヒップの容量吸収領域となる。
【0018】ヒップアップ部8は、例えば、シングルカバリング糸3本に対してウーリーナイロン糸1本の割合でタック編みした組織からなり、腹部締め付け部6より大きくウエストバンド部4に次ぐ締め付け力を有し、伸縮性を大きくし保形性を向上させ、それによりこの部分のヒップを上方に持ち上げ、前記ヒップ覆い部7のヒップ容量吸収性により、この部分のヒップを上方のヒップ覆い部7に持ち上げる作用をする。
【0019】ガーターライン部9は、前記腹部締め付け部6と同じく、例えば、ポリウレタン糸を芯糸としてウーリーナイロン糸を一方向より巻き付けたシングルカバリング糸とウーリーナイロン糸を交編(1×1)したタック編み(メッシュ編み)組織からなる。締め付け力は腹部締め付け部6と等しく、ヒップ覆い部7より大でヒップアップ部8より小さい。それにより、ヒップ覆い部7より伸縮性が大きいが締め付けを緩和し、着用感を向上させ、ランの防止作用も行うことができる。
【0020】上記各部において使用するシングルカバリング糸としては、各種実験の結果、30デニールのポリウレタン糸を芯糸とし、30デニールのウーリーナイロン糸をカバー糸とすることが好ましく、また、交編ウーリーナイロン糸としては、40デニールのウーリーナイロン糸を用いることが好ましい。また、締め付け力は、相対的にウエストバンド部4>ヒップアップ部8>ずり下がり補強部=腹部締め付け部6=ガーターライン部9>ヒップ覆い部7の順序に小さくなるように編成する。
【0021】
【発明の効果】本発明においては、パンティストッキングのウエストバンド部でのずり落ち防止作用に加えて、その下方のずり下がり補強部において、ウエスト部を充分な締め付け力で全体から包むようにして締め付け、ずり下がりの補強作用を生じるので、例えばしゃがんだとき或いは腰掛けたとき等、腰を曲げたときのパンティ部のずり下がり防止作用が向上する。また、腹部締め付け部は、例えばタック編組織として縦方向の伸びを抑え、腹部を包み込むように充分に締め付け、腹部が前方に張り出すことを防止しこの部分の整容効果を向上する。さらに、ヒップ覆い部は例えば伸びの大きい平編組織とし、膨らみのある立体形状とすることにより締め付け力は少なく、ヒップアップ部でアップされたヒップの容量吸収作用をなす。また、ヒップアップ部は、伸縮性が大きく保形性が良いので、この部分のヒップを上方に持ち上げ、前記ヒップ覆い部のヒップ容量吸収性により、この部分のヒップを上方のヒップ覆い部に持ち上げることができる。かつ、ガーターライン部は伸縮性が良く、この部分の締め付けを緩和し着用感を向上させ血行の低下を防止するとともに、この部分でランの防止をすることができる。なお、かかる締め付け力は相対的なものであり、その程度を変えることにより体形にソフトフィットするもの、あるいは適宜補整効果の高いものへとバリエーションを展開することができる。
【出願人】 【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】草野 浩一
【公開番号】 特開平11−61507
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−225616