| 【発明の名称】 |
食品用保存剤および食品の保存方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢嶋 瑞夫
【氏名】福田 泰樹
【氏名】村田 幸作
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| 【要約】 |
【課題】天然物に由来し、安全性が高く、しかも食品の品質を損なうことのない食品用保存剤を提供すること【解決手段】 納豆菌や大腸菌などの原核微生物の細胞から抽出したDNAと、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコール並びにバクテリオシン類からなる群より選ばれた1種または2種以上とを含有する。
【解決手段】納豆菌や大腸菌などの原核微生物の細胞から抽出したDNAと、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコール並びにバクテリオシン類からなる群より選ばれた1種または2種以上とを含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAと、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコ−ル類並びにバクテリオシン類からなる化合物群より選ばれた1種または2種以上とを含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項2】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAおよび有機酸および/またはその塩類を含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項3】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAおよびアミノ酸類を含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項4】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAおよび抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類を含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項5】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAおよびアルコール類を含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項6】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAおよびバクテリオシン類を含有することを特徴とする食品用保存剤。 【請求項7】 DNAの大きさが1kbase以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の食品用保存剤。 【請求項8】 DNAがCpGジヌクレオチド配列を多く含む請求項1〜7のいずれか1項記載の食品用保存剤。 【請求項9】 原核微生物の細胞より抽出されたDNAと、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコ−ル類並びにバクテリオシン類からなる化合物群より選ばれた1種または2種以上とを添加することを特徴とする食品の保存方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、食品用保存剤および食品の保存方法に関する。 【0002】 【従来の技術】食品の流通過程、店頭または家庭における貯蔵・保存は、人間の歴史とともに常に解決を求められる課題としてあり、そのための対策として、あらゆる物理的あるいは化学的方法が考案されてきた。例えば、冷凍、冷蔵、乾燥、塩蔵、糖蔵、加熱減菌、加熱殺菌(壜、缶詰)、包装加熱、包装内部の気相置換、などのほかに酢漬け、乳酸醗酵、さらには安息香酸やソルビン酸などの化学的保存料の使用などがそれらの対応策として採られてきた。 【0003】食品の貯蔵や保存方法の開発は、古くより続けられたものとはいえ、食品自体に対する要求は、時代の流れに伴い変化する。安全性はいつの時代においても第一に要求されるが、近年特に、健康と食物に対する関心が深まり、それと共に、天然または自然に近い食品に対する関心が高まってきている。 【0004】このような近年の食品に対する指向は、食品の保存方法にも著しい影響を与えている。安全性指向からは食品にできるだけ合成保存料の添加を減らし、天然指向からは冷凍や冷蔵、乾燥や塩蔵などもあまり好まれず、グルメ指向からはできるだけ新鮮なものが求められ、健康指向からはできるだけ食塩濃度を減らしたいという様々な要求に対して、種々の方法の開発が行われてきている。 【0005】さらに現代の食品の抱える問題は、食品類の国境が無くなってきていることであり、世界中のあらゆる所から食品素材あるいは食品そのものが輸入されて来ていることである。このことは食品とともに、食品に付着ないし汚染している各種の微生物が広く食品市場に入ってきていることを意味し、多くの新しい食中毒菌例えば、E. coli O-157:H7や、幾つかのサルモネラ菌、従来あまり日本では検出されなかったボツリヌスAあるいはB型菌などによる食中毒の危険性が指摘されるに到っている。 【0006】さらに最近の食品の問題は、調理済食品の増加で、例えば、サラダ類、サンドイッチ類、玉子焼き、カスタ−ドクリ−ム、チキンナゲット、チキンバスケット、フライ類など、さらにそれらを組み合わせた、いわゆるおかずの類が、それなりに一定期間の微生物に対する安定性の保証を求められながら市販されるに至っていることである。 【0007】さらに食品の健康指向から、あらゆる保存性食品において食塩濃度を低下させることが行われており、たとえば、イカの塩辛の食塩濃度は10数%あったものが、4〜5%に低下され、漬物では12〜3%のものが4〜6%に、肉製品では2.5〜3%のものが1〜2%に、味噌では13%程度のものが4〜8%に、魚介類の干物では2〜3%のものが0.6〜1%に低下してきている。このことは食品類の微生物に対する安定性が著しく低下することになり、単に腐敗し易いのみならず、各種の食中毒菌に対する安全性も低下することになってきている。 【0008】このような食品類の貯蔵・保存策として、先ず第一に食品類を製造する環境を清潔にし、生産と食品の包装工程において微生物の汚染をできるだけ少なくする、微生物の汚染度の出来るだけ少ない食品材料を使用する、製造工程から包装工程を出来るだけ低温に管理する、製品は低温に保存するなどの基本的な対策を行うのが通例である。しかしながら、食品原材料中の微生物の数を、完全にゼロにすることは極めて困難であり、通常生の肉や魚介類であれば、最低でも、103/g程度の微生物が存在するし、また製造工程中に60〜80℃程度の加熱殺菌工程があっても、耐熱性の細菌芽胞が残留することは避けられない。 【0009】さらに、食品を低温に置いた場合でも細菌類のなかには低温でよく発育するものがある。食中毒細菌のなかにも低温で発育するものがあり、Yersinia enterocolitica , Listeria monocytogenes, Clostridium botulinum E 型菌などは、5℃位の低温に保存しても次第に発育し、食中毒を起こすに足る菌量や毒素の産生を行うに到る。もちろん通常の低温細菌は、時間の経過とともに発育し食品を腐敗させる。食品の保存と微生物的な安全性の確保は、単に食品の製造者や流通業者の問題だけではなく、消費者の手元に移った後も温度と時間の経過によって左右される。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】このような理由から、生産、流通過程において微生物的な管理を十分実施するとしても、なお食品それ自体に微生物に対する安定性ないしは抵抗性を持たせることが必要である。そのために所謂化学的保存料の利用がある。しかし合成保存料の安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、パラベン類などの使用は、安全性に対する疑問を持つ消費者もあるため、天然に存在する酢酸や乳酸などの有機酸またはその塩類の利用、グリシンなどのアミノ酸の利用、魚の白子タンパク質であるプロタミンの利用などが図られている。しかし、これらの天然系の物質は、安全性の利点はあるものの、食品保存の効果上からは,例えば抗菌スペクトルが狭い、添加量を多くしなければならない、色や特有の匂いがつくなどの問題点があった。 【0011】従って、安全性が高く、しかも食品の保存と微生物に対する安全性の向上を図ることのできる物質の探索が、鋭意実施されてきており、例えば、乳酸菌の生産するペプチドまたはタンパク質で、抗菌性を有しながら、しかも人間の消化酵素で分解消化されるバクテリオシンの利用が検討されている(例えば、Food Technology 164〜167, Jan. 1989) 。しかし、バクテリオシンは、一般的に抗菌スペクトルの範囲が狭く、それ単独で広い範囲の食品を保存することは困難であった。 【0012】そこで、本発明は、より広範な食品の保存性を高めることができ、天然物に由来し、安全性の高い、しかも食品の品質を損うことのない食品用保存剤を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、原核微生物の細胞より抽出されたDNAと、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコ−ル類並びにバクテリオシン類からなる化合物群より選ばれた1種または2種以上とを含有することを特徴とする食品用保存剤であり、またそれらを添加する食品の保存方法である。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、原核微生物としては、例えば、納豆菌として知られているバチルス・ナットー、大腸菌(E.coli)、ラクトバチルス・アシドフィルス等の細菌を挙げることができる。制限酵素などで分解したDNAも用いることができるがDNAの大きさとしては約1kbase(核酸塩基)以上であることが微生物の増殖抑制効果の点から好ましい。また、同様な点から、CpGジヌクレオチド配列を多く含むものが好ましい。なお、CpGジヌクレオチド配列とは核酸の配列でCの次にGが並んでおり、これらをp(リン酸)で結合させている配列をいう。 【0015】原核微生物のDNAの抽出方法としては、例えば、バチルス・ナットー(IFO3336)を200mlのL−ブロース培養液(0.1%グルコース、0.5%イーストエクストラクト、1.0%ペプトン、0.5%食塩、pH7.2)を含む500ml坂口フラスコで30℃で30時間培養し、遠心分離器(8000rpm、10分)にて集菌し、2回、0.85%生理食塩水で洗浄後、40ml蒸留水で菌を懸濁して20mgリゾチームを添加して37℃、20分放置してから65℃に温度を上昇させて菌体を破壊させ、−20℃に冷却されたエタノールを徐々に添加して不溶化してくるDNAをガラス棒で巻き取ると500mgのDNAを得ることができる。得られたDNAを70%エタノールから、80%エタノール、90%エタノールの溶液へと次第に濃度を上昇させたエタノール溶液で洗浄したのち、真空下で乾燥させ、蒸留水で2mg/mlになるように溶解させると高純度のDNA溶液が得られる。 【0016】食品保存剤としては、DNA抽出物は、添加される食品重量に対し、通常10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppm添加するとよい。10ppm未満では食品の保存効果が十分でなく、好ましくない。 【0017】本発明の食品用保存剤においては、前記DNAとともに、有機酸およびその塩類、アミノ酸類、抗菌性を有するペプチドもしくはタンパク質類、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類並びにその部分分解物、香辛料もしくは植物成分、アルコ−ル類並びにバクテリオシンからなる化合物群より選ばれた1種または2種以上を併用すると、原核微生物のDNAの抗菌スペクトルがさらに広くなり、その保存効果をさらに向上させることができる。 【0018】本発明で用いる有機酸およびその塩類としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマ−ル酸、修酸、コハク酸、アジピン酸、グルコン酸、イタコン酸、ソルビン酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、ビタミンB1 ラウリル硫酸塩、などを挙げることができる。なかでも、酢酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、ソルビン酸、ビタミンB1 ラウリル硫酸塩が好ましい。 【0019】これらの有機酸類をともに含有させることにより、原核微生物のDNAが有機酸の非解離分子が菌体内に透過するのを助長して、菌体内のpHが変わり、菌体が代謝異常を起こしてしまうため相乗作用が出てくるものと考えられる。有機酸類は原核微生物のDNA1に対し、0.1〜100の割合(重量比)で配合することが好ましい。 【0020】また、アミノ酸としては、グリシン、アラニン、シスチン、スレオニン、ヴァリン、リジンおよびアルギニンを挙げることができるが、殊にグリシンおよびアラニンが望ましい。これらのアミノ酸類は、細菌類の細胞壁の合成阻害を起こすので、原核微生物のDNAの細菌菌体内部への浸透が促進され、その抗菌作用が大幅に増強されるものと推定される。アミノ酸は該DNA1に対し0.1〜100の割合(重量比)で含有させると効果的である。 【0021】また、抗菌性を有するペプチドまたはタンパク質としては、プロタミンおよびその分解物、リゾチ−ムおよびポリリジンを挙げることができる。プロタミン、ポリリジンは細菌細胞の細胞膜と結合して細胞内容物を漏出させ、リゾチ−ムはグラム陽性細菌の細胞壁成分の分解酵素で、作用の結果細菌細胞の溶解を起こす。いずれの場合も原核微生物のDNAの細菌細胞内部への侵入を高めるものと推定される。これらのペプチドまたはタンパク質は原核微生物のDNA1に対し、0.01〜50の割合(重量比)で含有させることが好ましい。 【0022】さらに、糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物としては、ペクチン、ペクチン分解物、オリゴガラクチュロン酸、ガラクチュロン酸、キトサン、キトサン分解物を挙げることができる。これらの物質を併用することによる微生物に対する阻害作用の理由についてはまだ明確でない部分が多いが、実際の食品中においては、明らかに相乗的な作用の現れることが多く、従って有用に組み合わせて使用することができる。糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物は原核微生物のDNA1に対し、0.01〜10の割合(重量比)で含有させることが好ましい。 【0023】また、本発明において、香辛料としては、抗菌性を有する香辛料、例えば、シンナモン、ロ−ズマリ−、メ−スなどを併用することができる。また、植物成分としては、香辛料のアルコ−ルなどの有機溶媒抽出物、例えば唐辛子抽出物、甘草抽出物、ワサビ抽出物、ホップ抽出物、孟宗竹抽出物;茶タンニン、茶カテキン類、桂皮酸、フェルラ酸、コ−ヒ−酸、ヒノキチオ−ルおよび精油などを挙げることができる。これらの物質の作用は、フェノ−ル性の成分による微生物の細胞膜に対する損傷が多く、従って原核微生物のDNAの微生物細胞への侵入を助けるものと推定される。これらの香辛料または植物成分は原核微生物のDNA1に対し、0.01〜100の割合(重量比)で含有させることが好ましい。 【0024】さらに、アルコ−ル類としては、プロピレングリコ−ルとエタノールを挙げることができる。これらのアルコ−ル類が、微生物細胞の膜組織の損傷によって微生物の増殖阻害または、死滅させるのはよく知られたところであるが、本発明の原核微生物のDNAと組み合わせて使用するとき、顕著な保存効果を奏する。これはやはり、微生物菌体内部への原核微生物のDNAの侵入を助けることがその理由であろうと推定される。特にエタノールと併用すると、エタノール耐性の高いとされている黄色ブドウ球菌などに対しても強い殺菌効果を期待できる。アルコ−ル類は原核微生物のDNA1に対し、0.1〜1000の割合(重量比)で含有させることが効果的である。 【0025】本発明において、原核微生物のDNAと併用して保存効果を向上できる化合物としてバクテリオシン類がある。バクテリオシン類は、細菌の産生する抗菌性を有する蛋白質またはペプチドである。バクテリオシン類は、いずれも人間の消化酵素のペプシン、トリプシン、キモトリプシンなどによって、完全に分解消化される。これらは、熱に対する安定性が高く、いずれも100℃で20分以上の加熱によっても活性を失わない。さらに、基本的にはグラム陽性細菌類、特に乳酸菌に対して抗菌作用を示すと共に、ブドウ球菌、枯草菌、クロストリジウム菌、リステリア菌に対しても抗菌性を示す。 【0026】このようなバクテリオシン類としては、例えばLactococcus lactis subsp. lactisによって生産された、ナイシン(Nisin) 、ラクテイシン (Lacticin) 481 およびラクトストレプシン(Lactostrepcins)、Lactococcus lactis subsp. cremorisによって生産されたデイプロコシン(Diplococcin)、Lactococcus lactis subsp. diacetilactis によって生産されたバクテリオシン(Bacteriocin)S50などの乳酸菌ラクトコッカス・ラクテイス(Lactococcus lactis) によって生産されたもの;ペデイオシン(Pediocin) と称される乳酸菌ペデイオコッカス(Pediococcus)属により生産されるもの;Lactobacillus helveticus LP27 によって生産されたラクトシン27(Lactocin 27)、Lactobacillus reuteri によって生産されるロイテリン(Reuterin)などの乳酸菌ラクトバチルス(Lactobacillus)属によって生産されるもの; Leuconostoc paramesenteroides によって生産されるロイコノシンS(Leuconocin S)等の乳酸菌ロイコノストック(Leuconostoc)属の生産するもの;Propionibacterium jensenii P126 によって生産されるジェンセニンG(Jenseniin G )などの乳酸菌プッピオニバクテリウム(Propionibacterium )属によって生産させるもの、を挙げることができる。 【0027】これらのバクテリオシン類を原核微生物のDNAと併用する場合、バクテリオシンの種類によって一該にその量を規定しにくいが、原核微生物のDNA1に対し、0.01〜100の割合(重量比)とすることが好ましい。 【0028】本発明の原核微生物のDNAと併用して、その保存効果を向上させることのできる各物質については、必ずしも一つだけではなく、幾つかのものを組み合わせて使用してもよい。対象となる食品の種類、組成、予想される汚染ないし変敗原因微生物、pH、水分活性、要求される保存温度、保存期間などに応じて、適宜二つないし三つの、時にはそれ以上の物質を組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の原核微生物のDNAとプロタミンを組み合わせ使用するときには、この他に酢酸もしくは乳酸、さらにはグリシンを配合すると、多くの肉製品、例えばソ−セ−ジ、ハムまたは蒲鉾類の保存期間を延長することができるととに、微生物的な安定性を向上させることができる。 【0029】本発明の原核微生物のDNAを食品に使用するに当たっては、食品中の食塩濃度と効果の関係に注意することが必要であり、食塩濃度が比較的高いと効果が大きい。このような場合、特に乳酸ナトリウムやリンゴ酸ナトリウムとの併用、ならびに数%以下(食品中)のアルコ−ル類を組み合わせると、絶大な保存効果を得ることができる。このような時に、さらにリゾチ−ムもしくはポリリジンの併用によりさらに効果を高めることができる。 【0030】本発明の原核微生物のDNAは、肉のスラリ−中では加熱に対して不安定であるが、一般に熱に対して極めて安定であり、120℃、10分の加熱に耐える。従って、食品を加熱することによって生存している菌数を減らし、さらに本発明の原核微生物のDNAを含有する保存剤を使用することによって、効果的に保存性を高めることが出来る。このような保存剤としては、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、重合リン酸塩類、糖などを併用することが好ましい。 【0031】 【実施例】以下、本発明の効果を実施例によってさらに具体的に説明する。実施例中、%は特に断らないかぎり、重量%である。 【0032】なお、下記実施例に用いた原核微生物のDNAは下記のように製造した。すなわち、原核微生物バチルス・ナットー(IFO3336)、大腸菌エスシェルヒア・コリK−12(IFO14410)のそれぞれを200mlのL−ブロース培養液(0.1%グルコース、0.5%イーストエクストラクト、1.0ペプトン、0.5%食塩、pH7.2)を含む500ml坂口フラスコで30℃で30時間培養し、遠心分離(8000rpm、10分)にて集菌し、2回それぞれの菌を0.85%生理食塩水で洗浄後、40ml蒸留水で菌を懸濁して、20mgリゾチームを添加して37℃、20分間放置してから、65℃に温度を上昇させて菌体を破壊し、−20℃に冷却したエタノールを徐々に添加して不溶化してくるDNAをガラス棒で巻取り、それぞれの菌のDNAが共に500mg得られた。 【0033】それぞれのDNAを70%エタノールから80%エタノール、90%エタノールの溶液へと次第に濃度を上昇させたエタノール溶液で洗浄したのち真空下で乾燥させた後蒸留水で2mg/mlになるように溶解させ、DNA溶液とした。 【0034】なお、実施例中、ナイシンは APLIN & BARRETT LTD. より、プロタミン、ペクチン分解物および唐辛子抽出物はいずれもアサマ化成(株)より、リゾチームはエーザイ(株)より、ポリリジンはチッソ(株)より販売されているものを用いた。 【0035】参考例1上記バチルス・ナットーのDNA2mg/ml溶液を用い、種々の細菌に対する抗菌力を調べた。即ち、トリプトソイ寒天培地(pH6.0)を用い、30℃、3日間培養後の下記被検菌の生育状況を調べた。結果を表1に示す。表中、+:生育、−:非生育を示す。なお、被検菌は次のものである。 【0036】1.Bacillus subtilis IAM 10692.Staphylococcus aureus FDA 209P3.Salmonela typhimurium IFO 125294.Escherichia coli IFO 33015.Saccharomyces cerevisiae OC-26.Hansenula anomala IFO 0141(p)7.Pichia membranaefaciens IFO 01288.Lactobacillus plantarum IAM 10419.Streptococcus lactis IAM 124910.Penicillum decumbens IAM 726011.Aspergillus niger【0037】 【表1】
【0038】実施例1合い挽き肉1,000g、玉ねぎ300g、小麦粉60g、水50gを配合したハンバ−グの基本組成に対し、表2左欄に示す各種の保存剤成分(DNAはバチルス・ナットーのものを使用)を表2に示す割合になるように添加し、塩酸またはカ性ソ−ダでpHを5.8に調整した後、30gづつ成型して、25分間蒸し上げし、冷却した。これを一試験区あたり5個づつ用意し、25℃に保存して、外観と臭いのチェックによる保存試験を行った。試験結果を表2右欄に保存日数として5個の平均値で示す。 【0039】本発明の保存剤を添加した試験区は、保存試験前、色、味、臭い、形態等については対照区と差が認められず、添加による品質上の悪影響は認められなかった。 【0040】 【表2】
【0041】実施例2塩蔵大根(タクアン)を食塩含量が3%になるまで流水下で脱塩し、表3の処方の調味液に3日間冷蔵庫中で調味漬けした。次に、表3の調味液に、表4左欄の保存剤(DNAは大腸菌よりのもの)を4倍の濃度で添加し、このもの100mlに対して調味漬けしたタクアン300gを加えて袋詰めした。同様の方法で各種の試験群を調整し、20℃に保存して、タクアン液部の濁り、袋の膨れなどの観察により保存日数を調べた。その結果を表4右欄に示す。 【0042】 【表3】
【0043】 【表4】
【0044】実施例3スケソウダラSA級冷凍すり身2.5kg、食塩75g、みりん50g、グルタミン酸ソ−ダ25g、砂糖25g、馬鈴薯澱粉175g、および氷水1kgを配合した基本組成に、表5左欄に組成を示す保存剤(DNAはバチルス・ナットーよりのもの)を、基本組成に対する添加剤の各成分の割合が、表5に示す割合(重量%)となるように、各種添加剤を添加し、30分擂潰後、塩化ビニリデンフィルム(折径50mm)に約100gづつ充填し、90℃の熱水中で30分加熱して得た蒲鉾を、同様にして得た保存剤無添加の蒲鉾とともに保存試験標本とした。保存試験は、ケ−シング蒲鉾を一試験区当たり5本づつ15℃の恒温器で保存し、保存性を肉眼で観察し、防腐効果を判定した。結果を表5右欄に示す。 【0045】 【表5】
【0046】 【発明の効果】本発明によれば食品の保存性及び安全性の高い、しかも食品の品質を損うことのない食品用保存剤およびそのような食品の保存方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000101215 【氏名又は名称】アサマ化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月8日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】坂口 啓子 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−318405 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−142232 |
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