| 【発明の名称】 |
香味増強・改善剤及びその利用 |
| 【発明者】 |
【氏名】西山 浩司
【氏名】川本 満美
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】紫さつまいも色素を含有する飲食品の香味増強・改善剤、及び紫さつまいも抽出物を飲食品に、0.005〜5重量%添加することを特徴とする該飲食品の香味増強・改善方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】紫さつまいも色素を含有することを特徴とする飲食品用香味増強・改善剤。 【請求項2】請求項1記載の香味増強・改善剤を含有することを特徴とする飲食品。 【請求項3】紫さつまいも色素の添加量が0.005〜5重量%である請求項2記載の飲食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、飲食品に添加することによって、飲食品の香味を増強・改善する香味増強・改善剤、及び該改善剤を添加することにより香味が増強・改善された飲食品に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、嗜好性の多様化に伴い、種々の機能を持った飲食品が開発されている。また、これらの飲食品の多くは、食品にあった香り付けのため香料が、また、見た目を綺麗にする目的や食品中の色の安定化のため、着色料が使用されている。これら飲食品の香味は、食品本来が持つ風味に加えて、香料の添加によりその香味を付与させている。一方、着色料は、本来食品を着色するという機能を利用し、食品添加物として着色の目的だけで用いられている。 【0003】着色料について、天然由来のものに関しては、その原料である植物や動物から抽出し、色素をより不純物の少ない形で精製された物を使用しており、色素の風味や色素以外の物質に由来する不快臭の成分の除去は極度にされていないのが現状である。これは、精製を極度に上げるには、経済的な問題も生じてくるからである。 【0004】これらの着色料の不快臭の除去方法として、アントシアニン系色素の精製方法(特開平4−154871)等が提案されているように、着色料の風味や色素以外の物質に由来する不快臭の成分が、嗜好性飲食物の本来の味、塩味、酸味、甘味や食品自体の香味や香り付けのために用いられた香料由来の香味等の妨げになっていた。すなわち、着色料は、飲食品に添加する際、その成分由来の不快臭が問題となることはあったが、色素が風味を増強・改善するという知見は従来は無かった。 【0005】また、クロロゲン酸、カフェー酸およびフェルラ酸から選ばれる少なくとも1種以上よりなる抗酸化成分と、プロアントシアニジン少量体よりなる抗酸化成分を結合した飲食品のフレーバー劣化防止剤が提案されている(特開平6−38723)。しかし、前記提案は飲食品に含まれるフレーバーの劣化を防止するために、抗酸化効果を期待して飲食品中に含有されるフレーバー劣化防止剤であるため、フレーバーの増強・改善効果は見られなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、飲食品に関し、香味が増強・改善された飲食品を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上記課題を解決するために、赤色を呈する天然色素として汎用されているアントシアニン系色素について、香味との関係を検討したところ、本来、酸性の食品に赤色の着色料として使用されている紫さつまいも色素が食品の香味を著しく増強・改善することを見いだし、本発明を完成した。従って、本発明は、各種飲食品に紫さつまいも色素を添加して、該飲食品の香味を増強・改善された飲食品を提供するものである。 【0008】以下に本発明を詳細に説明する。紫さつまいも色素は、ブラジル原産紫さつまいも(Ipomoea batatas,POIR.)、山川紫、種子島在来、穎娃紫、知覧紫、ナカムラサキ等数多くの色素原料が知られているが、本発明者が農林水産省九州農業試験場畑地利用部甘しょ育種研究室と交流共同研究で開発した農林47号、「アヤムラサキ」(以下アヤムラサキと記す。)が色素の生産性を経済的に有利にするため、本発明に使用することが好ましい。 【0009】また、紫さつまいも色素は、成分として化1に示す報告がされている(「傾斜磁場NMRによるムラサキイモ色素の構造解析」日本薬学会第115年会講演要旨集2(仙台)p.199,1995)。色素の主成分のYGM−2,−5bは、3−(6−caffeylsophorosyl)−5−glucosyl−anthocyanidin(aglycon:YGM−2,cyanidin:YGM−5b,peonidin)、他の色素成分は、YGM−2,5bのsophoroseの6‘位にcaffeic acid(YGM−1b,4),ferulic acid(YGM−3,6),4−hydroxybenzoic acid(YGM−1a,5a)が結合したものである。しかし、本発明に係る香味増強・改善効果に紫さつまいも色素のどの成分が寄与しているのか、現時点では不明である。 【0010】 【化1】
【0011】上記紫さつまいも色素原料を生のまま、または冷凍にしたものの破断物、粉末にしたものの何れかを原料とし、紫さつまいも色素を抽出する。抽出する溶媒として、酸性条件下の水及びまたは含水エタノールを使用し、抽出液のpHを約5以下の酸性とし浸漬できる量を用意する。抽出液のpHを5以下とするのは、アントシアニン色素成分がこれ以上であると不安定で退色するためである。このとき使用するpH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、あるいは、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸のいずれでもよく、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 【0012】使用する色素原料と抽出液の割合は、例えば、原料1重量部に対して、抽出液2〜20重量部、好ましくは、5〜10重量部である。また、系の温度は、室温でもよいが、澱粉がα化(糊化)しない温度(64℃以下)で、例えば、50〜60℃で設定することで時間を短縮できるなど抽出効率が良くなる。また、前記温度に設定することで、色素原料に含まれている紫さつまいも色素は、抽出液に短時間で色素の全量が抽出液に移行する。 【0013】色素の移行が終わった時点で抽出操作を止め、残渣を取り除いて色素のみを採取する。残渣の除去は、濾過、遠心分離等の固体と液体を分離する手段を用いればよい。なお、濾過された抽出液は、そのままでもよく、吸着樹脂や膜を利用し色素以外のタンパク質、糖質、脂質等を除去した液を用いてもよい。このようにして得られた液を、バッチ殺菌またはプレート殺菌などの加熱処理を行うことで変色や菌の増殖を防止することができる。これらの温度は、バッチ殺菌で約80〜100℃、30〜60分間程度の加熱で充分であり、プレート殺菌においては、約100〜120℃、20〜30秒程度の加熱で充分である。 【0014】このようにして得られた色素液はそのままでもよいし、あるいは濃縮して濃縮色素としてもよい。更には、噴霧乾燥法等で粉末化することもできる。また、濃縮した紫さつまいも色素を乳化することもできる。乳化方法は通常、アラビアガム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を添加して乳化することにより行うことができる。 【0015】この紫さつまいも色素の製造方法に関してはいくつか提案されている。そこで、アヤムラサキを色素原料とすることにより、紫さつまいも色素を高収率で得る方法(特開平7−126544、特開平7−227246)を提案したが、これらの方法で得られた色素を利用することでも、本発明の香味の増強・改善効果を期待することが出来る。 【0016】紫さつまいも色素は、そのまま飲食物に添加して飲食物の香味を増強・改善する香味改善剤とすることができる。しかし、紫さつまいも色素は、本来着色料としての機能が優先するため、使用する食品は、紫さつまいも色素の安定な酸性域の食品でなければ変色や退色の問題で食品そのものの商品価値を損なうこととなる。 【0017】本発明に係る飲食品は、紫さつまいも色素の色調からして、赤色または赤色を配合する色調を呈する飲食品が好ましい。赤色を配合する色とは、例えば赤色と黄色で橙色系の色調や、赤色と青色で紫色系の色調のことであり、例えば、リンゴ、イチゴ、ベリー類、アセロラ、ブドウ、ブラッドオレンジ等の色調の飲食品や漬物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0018】本発明に係る飲食品で、特にフレーバー増強・改善効果を著しく発揮するものの例として、以下のものが挙げられる。まず、果汁飲料、醗酵乳飲料、スポーツ飲料、野菜飲料、茶飲料等の飲料類が挙げられる。その中でも、特に、果汁飲料等については、原料として使用されている果汁の香味増強効果やフレーバーの爽快感の付与等の効果があり、かき氷のシロップ等の果汁無添加の食品においては、より自然な果汁感や爽快感を付与することができる。また、梅干しのような漬物、酢漬け類、食酢、ドレッシング、スープ類等においては、塩味を和らげ酸味に爽やかさを付与した香味として改善することができる。 【0019】他には、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、氷菓等において、コク味やフレーバーの増強などができる。例えば菓子類の打錠菓子、キャンデー、ガム、グミキャンデー、ソフトキャンデー等に添加することにより、コク味の付与、清涼感の増強などの効果がある。また、本発明に係る香味の増強・改善剤は、飲食品中に含まれるステビア、甘草、ショ糖、異性化糖等の甘味料の甘みをより自然なコク味のある香味にすることができる。 【0020】本発明の紫さつまいも色素を飲食品に添加する際の添加量は、その色素の濃さ、すなわち色価により添加量が左右される。色価とは、分光光度計にて測定され、測定値を10%濃度の値に換算したものである。本発明は色価80を基準としたときの添加量で、飲食品に対して、0.005〜5重量%、好ましくは、0.01〜3重量%の添加量を示することができる。0.005重量%よりも少ないと効果が得られず、5重量%よりも多いと紫さつまいも色素自体の呈味が強く感じられる。添加の時期および方法に関しては何ら制限されるものでなく、任意の時期に任意の手段で添加し、均一に混合すればよい。 【0021】また、紫さつまいも色素は、アントシアニン系色素の一種であり、他のアントシアニン系色素として、赤キャベツ、ブドウ果汁、ブドウ果皮、紫トウモロコシ、ベリー類、赤ダイコン、赤カブ、シソ等から抽出されるものがある。しかし、紫さつまいも色素以外のアントシアニン系色素では、本発明のような飲食品中の香味の増強・改善効果は期待できない。詳細は、実施例で詳述する。 【0022】ここで、本発明者は、現在市販されているアントシアニン系色素について、その各々の色素成分と風味の関係を調査した。表1に厚生省生活衛生局食品化学課編 食品衛生法改正に伴う既存添加物名簿関係法令通知集平成8年5月 日本食品添加物協会 に記載されているアントシアニン系色素主要成分の比較を示す。 【0023】 【表1】
【0024】本発明方法によれば、かくして得られる紫さつまいも色素を各種飲食品に添加することにより、飲食品の本来の好ましい風味や、フレーバー添加により得られる香味など増強もしくは改善することができる。更に酸性の食品であれば着色効果と風味改善を同時に行うことができる。 【0025】以下に本発明に係る実施例及び比較例をあげてさらに詳細に述べる。 【0026】 【実施例】実施例1、比較例1下記処方により果汁入り清涼飲料を調製した。また、比較例として他のアントシアニン系色素(赤キャベツ色素、エルダベリー色素、赤ダイコン色素、ブドウ果汁色素)添加区も同様に調製した。この飲料について良く訓練された20名の官能検査員による官能評価で紫さつまいも色素と他の色素の2点比較法(両側検定)を、その結果を表2に示す。 【0027】 処方砂糖 7.50(Kg) 果糖ブドウ糖液糖 5.00クエン酸(結晶) 0.201/5リンゴ濃縮透明果汁 2.00色素 0.035ベリーフレーバー 0.05 水にて全量100.0Lとする。 【0028】 色素: 色素名 色価(10%E) a. 紫さつまいも色素 80 b. 赤キャベツ色素 80 c. エルダベリー色素 80 d. 赤ダイコン色素 80 e. ブドウ果汁色素 80【0029】 【表2】
【0030】表2より、紫さつまいも色素を添加した本発明方法による果汁入り清涼飲料は、赤キャベツ色素、エルダベリー色素、赤ダイコン色素、ブドウ果汁色素の添加区と比べて有意水準0.1%で優れていた。 【0031】実施例2、比較例2下記処方によりかき氷シロップを調製した。氷と混合した後かき氷として評価した。また、比較例として他のアントシアニン系色素(赤キャベツ色素、エルダベリー色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素)添加区も同様に調製した。このかき氷について良く訓練された18名の官能検査員による官能評価で紫さつまいも色素と他の色素の2点比較法(両側検定)を、その結果を表3に示す。 【0032】処方砂糖 12.00(Kg) 異性化糖 18.00食塩 0.06安定剤 0.24クエン酸(結晶) 0.12色素 0.15ストロベリーフレーバー 0.18水にて全量を100Lにする。 上記シロップ100Lに対して、かき氷は50Kgの割合で混合し、急冷する。 【0033】 色素: 色素名 色価(10%E) a. 紫さつまいも色素 80 b. 赤キャベツ色素 80 c. エルダベリー色素 80 d. ブドウ果皮色素 80 e. ブドウ果汁色素 80 【0034】 【表3】
【0035】表3より、紫さつまいも色素を添加した本発明方法によるかき氷は、赤キャベツ色素、エルダベリー色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素の添加区と比べて有意水準1.0%で優れていた。 【0036】実施例3、比較例3下記処方により下記処方により梅干しを調製した。また、比較例として他のアントシアニン系色素(赤キャベツ色素、シソ色素、 赤ダイコン色素、紫トウモロコシ色素)添加区も同様に調製した。この梅干しについて良く訓練された20名の官能検査員による官能評価で紫さつまいも色素と他の色素の2点比較法(両側検定)を、その結果を表4に示す。 【0037】 処方食塩 14.00(Kg) クエン酸(結晶) 1.50DL−リンゴ酸 1.50L−グルタミン酸ナトリウム 1.00リンゴ酸ナトリウム 0.50色素 0.4 水にて全量100.0Lとする。 梅60Kgに対して調味液100L入れ、10日間10℃の冷蔵庫で漬け込む。 【0038】 色素: 色素名 色価(10%E) a. 紫さつまいも色素 80 b. 赤キャベツ色素 80 c. シソ色素 80 d. 赤ダイコン色素 80 e. 紫トウモロコシ色素 80 【0039】 【表4】
【0040】表4より、紫さつまいも色素を添加した本発明方法による梅干しは、 赤キャベツ色素、 紫トウモロコシ色素、 赤ダイコン色素、シソ色素添加区と比べて有意水準5.0%で優れていた。 【0041】 【発明の効果】本発明に係る香味増強・添加剤は、飲食品に添加することによって、その飲食品の持つ本来の風味を損なうことなく、清涼感を付与し、フレーバーを増強させ嗜好性の高いものに改善することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000175283 【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月18日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−146766 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−317080 |
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