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【発明の名称】 和そば用粉及び和そば
【発明者】 【氏名】横山 公一

【氏名】菅野 祥三

【要約】 【課題】和そばに於ける外観、風味、食感などの品質上の問題点を総合的に改善すること。

【解決手段】そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉を和そばを製造する際の原料粉として使用すること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉。
【請求項2】和そばを製造する際の原料粉として、そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉を20重量%以上用いたことを特徴とする和そば。
【請求項3】和そばを製造する際の原料粉として、そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉を50重量%以上用いたことを特徴とする和そば。
【請求項4】加工そば澱粉が、α−化そば澱粉20〜70重量%とα−化されてない加工そば澱粉80〜30重量%からなる加工そば澱粉である請求項1に記載の和そば用粉。
【請求項5】和そばを製造する際の原料粉として、請求項4の和そば用粉を用いた請求項2又は3の和そば。
【請求項6】加工そば澱粉の蛋白質含量が、2重量%以下である請求項1又は4に記載の和そば用粉。
【請求項7】加工そば澱粉の蛋白質含量が、2重量%以下である請求項1又は4の和そば用粉を用いた請求項2の和そば。
【請求項8】加工そば澱粉の蛋白質含量が、2重量%以下である請求項1又は4の和そば用粉を用いた請求項3の和そば。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は和そば、更に詳しくは風味、外観、食感が良好で、品質的に優れた和そば及びその製造に用いる和そば用粉に関する。
【0002】
【従来技術】和そばの原料であるそば粉は、そば種実からそば殻を除去した内実を粉砕して得られる。良質のそば粉は、そば種実の胚乳部を主体にしたそば粉であるが、収率が悪くてコスト高になる。収率を上げた安価なそば粉は、そば種実中の甘皮部、胚芽部、殻の細粉の混入が多くなり、これを和そばに用いると、食感的には滑らかさ、弾力に欠け、外観的には透明感、つや、白さに欠け、肌荒れが見られる和そばとなる。
【0003】そば粉に含まれる蛋白質は大半が水溶性で、小麦粉の蛋白質の如き麺帯を形成する結合力がなく、和そばの製造にはつなぎ粉として小麦粉を混ぜて使用するのが一般的である。この場合、麺帯を容易に形成せしめる上からは、小麦粉の比率が概ね50重量%以上であることを要し、小麦粉の比率が多くなると麺帯の形成は容易となり、安価なそば粉を使用した場合でもある程度滑らかさ、弾力、白さ、肌荒れの改善につながるが、和そばとしての風味、食感が悪くなる。小麦粉の比率が概略50重量%より少ない場合には何らかのつなぎの働きするものを要し、山の芋を使用する、或はそば粉に熱湯を加えてその一部を糊化してつなぎの働きをさせるなどの工夫がされている。しかし、山の芋は高価であるし、澱粉の部分的糊化を一定にするのは困難であることから、後者では一定の品質が得難い問題がある。
【0004】また、昨今では食品全般に亙って即席性が求められ、暖める程度或は熱湯を注ぐだけで食せる茹で和そば、冷凍和そば、ロングライフ和そば、即席和そばが商品化されている。これらのタイプの和そばに於ては、上述の問題点の他に製造直後の品質が良くても保存中に風味の低下や食感の劣化などの品質低下を生じる問題、即席麺では調理性の点で熱湯を注ぐ程度では復元が困難或は復元に時間を要するなどの問題を残していた。
【0005】これらの問題点の一部を解消する為にいくつかの方法が提案されている。例えば、そば内実の胚乳の外層部、甘皮部及び胚芽部を40〜80メッシュに挽砕した粗挽きそば粉を小麦粉などの穀粉中に5〜50重量%混合して外観、食感、風味の良好なそば麺を得る方法(特開平1−235554号)、蛋白質含量5.5%以下のそば粉を原料にしてロングライフそばに生じる異味、異臭の発生を軽減する方法(特開平8〜140608号)が開示されている。
【0006】しかし、これらは和そばの問題点の一部を改善するに過ぎず、和そば全体に見られる問題点の解消につながるものではない。即ち、前者はそば種実の内で香りの強い部分を用いるが、生そば麺、干そば麺にのみ有効で、他の形態の和そば、例えば茹でそば麺には効果を有さないだけでなく、ロングライフ(L.L)そばでは後者の考え方からすると逆効果となる。また、後者はロングライフそばに於ける異味、異臭の問題解消を目的とするもので、和そば一般に適用できないだけでなく、ロングライフそばの長期保存に於ける食感の劣化などは考慮されていない。
【0007】一方、麺類に種々の加工澱粉を使用することは良く知られている(例えば、特開昭48−39657号、特開昭51−121540号、特開昭59−74960号、特開昭59−71657号、特開平3−143361号、特開平6−54657号、特開平6−209729号など)。これらには、単に麺類と表現しているものから、和そばを含めた麺類に関するものまでも含むが、殆どの場合和そばも中華そばやうどんと同じ麺類としてとらえられている。一般には形状から同じように麺類と呼ばれているにしても、和そばはそば粉を原料にし、そば粉に由来する風味、食感が大切であり、和そば以外は小麦粉を原料にして小麦粉に由来する風味、食感が基本である本質的な違いがあり、同じ麺類といっても実質的には全く異なったものである。上記各従来方法は、この本質的な違いがあることの認識に立っていない。
【0008】これら従来の加工澱粉を麺類に使う方法に於て、和そばがうどん、中華そばなど他の麺と一応区別されているのは特開平6−54657号、特開平6−209729号ぐらいで、それらの場合では加工澱粉などを用いてロングライフ麺の食感改良が論じられている。これらの方法によってロングライフ麺の食感改善の効果は認められるにしても、一般的な加工澱粉ではそばの風味を強化する効果はなく、むしろ添加量に比例的に風味を減退させる問題があった。また、これら加工澱粉を使用する麺類に関する提案に於ては、種々の原料澱粉が挙げられているが、そば澱粉の作用効果に触れたものは見られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、和そばが抱える上述の種々の問題点、即ち、■小麦粉の使用比率を概ね50重量%以下にしても麺帯が容易に形成されて外観、風味、食感に優れ、■小麦粉の使用比率の多い場合にも風味、食感が改善され、■安価なそば粉を使用しても外観、食感が改善され、■チルド保存、冷凍保存の茹で和そば、ロングライフ和そばでは保存中の品質劣化の抑制、即席和そばに於ける食感、湯戻りの改善など、和そばに於ける外観、風味、食感などの品質上の問題点を総合的に改善することを可能にした和そば用粉及びそれを用いた和そばの提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは斯かる現状に鑑み、上述の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定量の加工そば澱粉を用いることにより本発明の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、和そばを製造する際の原料粉として、そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉を20重量%以上、好ましくは50重量%以上用い、更に好ましくは加工そば澱粉がα−化そば澱粉20〜70重量%とα−化されてない加工そば澱粉80〜30重量%からなり、更に好ましくは加工そば澱粉の蛋白質含量が2重量%以下である加工そば澱粉を用いた和そば用粉及びそれを用いた和そばに関する。
【0012】
【発明の作用並びに構成】本発明に於て和そばとは、そば粉を使用した麺であって一般に”そば”と呼ばれている麺を指称し、その形態としては原料粉に水或は湯を加えて混練し、圧延して麺帯とし、これを適宜裁断した生麺、裁断したものを乾燥した乾麺、裁断後茹で上げた茹で麺、茹で麺を冷蔵庫に保存するチルド麺、冷凍保存する冷凍麺、静菌処理して長期保存を可能にしたロングライフ麺(L.L麺)、裁断後蒸煮して乾燥した即席麺を包含する。
【0013】本発明の和そばに用いるそば粉は、そば種実のそば殻を除いた内実を粉砕したもので、主に胚乳部よりなる良質のそば粉から、胚乳部の他に甘皮部、胚芽部或は一部そば殻の細粉を含むそば粉まで、一般にそば粉と呼ばれているものを指称する。
【0014】また、和そばの本質をなす原料を原料粉と呼称する。従来の和そばでは原料粉として一般にそば粉と小麦粉が使用されているし、本発明では原料粉としてそば粉と加工そば澱粉、又は両者を20重量%以上、好ましくは50重量%以上使用し、残部は所望により小麦粉及び/又は加工そば澱粉以外の澱粉、加工澱粉を使用することができる。
【0015】加工そば澱粉を製造するのに用いるそば澱粉としては、そば種実のそば殻を除いた内実の内、胚乳部を粉砕した蛋白質含量が5重量%以下の粉末を用いることもできるが、好ましくはそばの内実を粉砕して水に分散させ、粒度、比重差、水への溶解性などの違いを利用して蛋白質含量が2重量以下になるように澱粉質濃度を高めたものである。
【0016】加工そば澱粉は、一般に加工澱粉を製造する際に行われている澱粉の加工手段を用いて、上述のそば澱粉を加工したものを指称する。具体的には、一般的にα−化澱粉、可溶性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉及びこれらを適宜組み合わせて加工したもの、例えば架橋エーテル化澱粉、架橋エステル化澱粉、エーテル化可溶性澱粉、α−化エーテル化澱粉、α−化エステル化澱粉、α−化架橋エーテル化澱粉などと呼称されているものを包含する。
【0017】α−化そば澱粉は、そば澱粉の水分を約20〜80重量%に調整して、ドラムドライヤー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどを用いてそば澱粉を糊化し、乾燥し、粉末化して得られる。他の加工処理をした後、同様にα−化処理したそば澱粉を含めてα−化そば澱粉と呼称し、これらは冷水で糊化ないしは膨潤する性質を有する。
【0018】また、可溶性そば澱粉はそば澱粉を水に懸濁して次亜塩素酸ソーダ、又は塩酸、硫酸等の無機酸を作用せしめて澱粉分子の一部を分解したものである。
【0019】エーテル化そば澱粉は、プロピレンオキサイドを常法に従ってそば澱粉に反応したヒドロキシプロピルそば澱粉を指し、エステル化そば澱粉は無水酢酸、酢酸ビニールモノマー、無水コハク酸、無水オクテニルコハク酸などの常用のエステル化剤を用いてエステル化したそば澱粉を指称する。これらの加工度合いは、置換度(澱粉の無水グルコース基当たり置換した官能基のモル数で表す)が0.01〜0.2程度になるように反応する。
【0020】架橋そば澱粉は、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸、エピクロルヒドリンなど常用の架橋剤を用いてそば澱粉を架橋したそば澱粉を言い、このような架橋と上述のエーテル化、エステル化を組み合わせた架橋エーテル化そば澱粉、架橋エステル化そば澱粉を包含する。
【0021】尚、所望によって原料粉の一部(通常0〜40重量%)として用いることのできる加工そば澱粉以外の澱粉及び加工澱粉とは、未処理の澱粉、例えばそば澱粉、小麦澱粉、米澱粉、糯米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチなどの澱粉、及びそば澱粉を除くこれらを原料にして上述の加工をした澱粉を指称する。
【0022】本発明はそば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉及びこれを原料粉として20重量%以上、好ましくは50重量%以上用いた和そばに関し、両者をこの範囲の比率及び原料粉としての使用比率で用いることにより、本発明の目的とする和そばが得られる。和そば用粉として加工そば澱粉が95重量部を越えて多くなると、和そばとしての風味が逆に減退してくるし、5重量部より少なくなってくると本発明の目的とするところが何れも達せられなくなってくる。
【0023】本発明の和そば用粉としては、そば粉と加工そば澱粉が上述の比率の範囲にある中で、加工そば澱粉としては上述の加工そば澱粉の何れをも用い得るが、好ましくはα−化そば澱粉20〜70重量%とα−化されてない加工そば澱粉80〜30重量%の割合で用いることにより、本発明の目的がより顕著に具現された和そばが得られる。尚、α−化されていない加工そば澱粉とは、β−澱粉の状態にあるα−化処理以外の加工処理をしたそば澱粉を呼称し、冷水では糊化ないしは膨潤をしない性質を有する(以後β−加工そば澱粉と略称する)。
【0024】加工そば澱粉としては、上述するように多くの種類を包含するが、和そばの形態、或は好みの食感に応じて適宜選択して用いることが好ましい。例えば、冷凍和そば、ロングライフ和そばなどにはエーテル化そば澱粉、エステル化そば澱粉及びそれらの架橋品が好ましい食感を維持する上から適している。食感的にソフトな和そばを望む場合は可溶性そば澱粉、歯切れを強調したい場合には架橋そば澱粉、滑らかさを強調したい場合にはエーテル化そば澱粉やエステル化そば澱粉を選択するのが好ましい。それにより、全体的に風味、外観、食感が良好となる中で、強調された食感が得られる。また、α−化そば澱粉の場合も、和そばの形態、食感的に望まれる要点に従って、これらの観点で予めこれらの加工処理をした後にα−化処理したものを用いると、これらの特徴をより強調することができる。
【0025】本発明の和そばは、和そば製造時の原料粉として上述の和そば用粉を20重量%以上、好ましくは50重量%以上用いることにより得られ、所望によっては和そば用粉のみを原料粉とすることもできるし、和そば用粉20重量%以上、好ましくは50重量%以上と小麦粉及び/又は澱粉、加工そば澱粉以外の加工澱粉を適宜組み合わせて用いることもできる。和そば用粉の使用量が原料粉として20重量%に満たないと、和そばとしての風味、食感が劣ったものになってくる。尚、ここで用いる小麦粉は一般に麺類の製造に使用されている小麦粉である。
【0026】本発明の和そばは、原料粉としてそば粉と加工そば澱粉からなる和そば用粉を20重量量%以上、好ましくは50重量%以上用いることに特徴があり、その他の製造条件は従来の方法を踏襲することができる。即ち、そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなる和そば用粉を原料粉として20重量%以上、好ましくは50重量%以上用い、これに水約30〜35重量部を加えて混練し、圧延して麺帯とし、これを適宜裁断して麺線とする。これはそのまま生和そばとすることもできるし、これを乾燥して乾麺に、或は茹でて茹で和そばに、更に茹で和そばを静菌処理してロングライフ和そばにすることができる。また、生和そばを蒸した後乾燥して即席和そばにすることもできる。
【0027】本発明の和そば用粉は和そばの原料粉として用いる他に、和そば製造時の麺線どうしの付着を防止するための打ち粉としても有用である。この場合、特に加工そば澱粉として可溶性そば澱粉を用いれば、風味、食感に影響することなく生和そば、半生和そばなどの白さ、衛生性が向上し、茹で湯の濁りも軽減できてより好ましい。
【0028】本発明の和そば用粉は、そば粉5〜95重量部と加工そば澱粉95〜5重量部からなるが、これは両者がこの比率でなることを意味し、必ずしも両者が混合されたものを意味するものではない。和そば製造時に、両者をこの比率で添加する場合も包含される。
【0029】本発明の和そばの製造に際し、水以外の副材料は特別必要としない。しかし、所望により食塩、山の芋、天然ガム類(例えばキサンタンガム)、リン酸塩、合成糊料(例えばCMC)、小麦蛋白などを和そば製造時に添加することもできるし、予め和そば用粉にプレミックスすることもできる。また、生理機能の付与や栄養素強化が望まれる場合、それぞれの機能を有する成分、例えば各種食物繊維、各種オリゴ糖、多価不飽和脂肪酸、ペプチド類、配糖体類、ビタミン類、ポリフェノール類、ミネラルなどを添加することもできる。
【0030】かくして得られた本発明の和そば用粉は、特別のつなぎ粉を使用しなくても麺帯の形成が容易であるなど作業性に優れ、これを用いて製造した和そばは、何れの形態のものに於ても外観、風味、食感が顕著に改善され、品質的に優れた製品となる。
【0031】次に参考例、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。尚、参考例、実施例に於て部は重量部、%は重量%を表す。
【0032】
【参考例1】そば種実からそば殻を除いた丸抜きないしは挽き割りの状態の内実を軽く粉砕し、これから粉砕され易い胚乳中心部を篩い出して蛋白質含量4.1%のそば澱粉(試料No.1)を得た。この一部に水を加えてスラリーとし、水洗した後、約35%濃度に調整し、表面温度約150℃のドラムドライヤーを用いて糊化すると共に乾燥し、粉砕して蛋白質含量1.4%のα−化そば澱粉(試料No.3)を得た。また、試料No.1のそば澱粉の一部に水を加えて約35%濃度のスラリーとし、同様にドラムドライヤーで処理して蛋白質含量4.4%のα−化そば澱粉(試料No.2)を得た。
【0033】
【参考例2】参考例1で得たそば澱粉(試料No.1)100部に水150部を加えたスラリーを2点調製し、これらに3%苛性ソーダ水溶液を加えてpH8−9.5に保持しながら無水酢酸1.8部と8部を加えて室温で3時間反応した後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.4(置換度0.017、蛋白質含量1.1%)、試料No.5(置換度0.072、蛋白質含量1.3%)のエステル化(アセチル化)そば澱粉を得た。
【0034】
【参考例3】水150部に硫酸ソーダ25部を溶解し、これに参考例1で得たそば澱粉(試料No.1)100部を分散してスラリーとし、3%苛性ソーダ水溶液30部、プロピレンオキサイド9部を加えて41℃で20時間反応後二分割し、一方にトリメタリン酸ソーダ0.01部を加えて更に5時間反応後塩酸で中和し、十分に水洗し、脱水、乾燥して試料No.6(置換度0.149、蛋白質含量0.3%)のエーテル化架橋そば澱粉を得た。もう一方はそのまま塩酸で中和して十分水洗し、脱水、乾燥して試料No.7(置換度0.147、蛋白質含量0.4%)のエーテル化そば澱粉を得た。
【0035】
【参考例4】参考例1で得たそば澱粉(試料No.1)100部に水150部を加えてスラリーとし、3%苛性ソーダでpH10に維持しながら、次亜塩素酸ソーダを有効塩素で0.8部加えて常温で4時間作用させた後、塩酸で中和し、十分に水洗し、脱水、乾燥して蛋白質含量0.2%の可溶性そば澱粉(試料No.8)を得た。
【0036】
【参考例5】参考例3で得た試料No.7のエーテル化そば澱粉の一部を参考例1に従ってドラムドライヤーで処理して、試料No.9のエーテル化したα−化そば澱粉を得た。
【0037】
【参考例6】参考例1で得たそば澱粉(試料No.1)100部に水150部を加えてスラリーとし、3%苛性ソーダでpH11.0〜11.3に維持しながら、トリメタリン酸ソーダ0.01部を加えて39℃で7時間反応後、塩酸で中和し、水洗、、脱水、乾燥して蛋白質含量0.6%の架橋そば澱粉(試料No.10)を得た。
【0038】
【実施例1】試料No.2又は試料No.3のα−化そば澱粉55%と試料No.4〜8及び10のβ−加工そば澱粉45%からなる加工そば澱粉50部に、市販のそば粉(蛋白質含量11.2%)50部を加えて混合し、和そば用粉を調製した。この和そば用粉80%と小麦粉20%からなる原料粉100部(そば粉を40部含有)に水35部を加えて撹拌混練後、圧延ローラーで麺厚1.25mmに圧延し、切刃20番にて麺線として生和そばを得た。これを沸騰浴中で3分間茹で、流水で冷却し、冷しそばにして試食し、下記の基準で評価してその結果を用いた加工そば澱粉の種類と併せて表1に示す。尚、対照例として小麦粉60部とそば粉40部からなる原料粉を用いて同様に製造した。
【0039】
<評価基準>製麺性 ◎:良好 ○:やや良好 △:やや不良 ×:不良外観 ◎:滑らかで艶があり、適度の白さを有する ○:やや滑らかで艶があり、好ましい範囲の白さを有する △:やや肌荒れがあって艶に欠け、やや黒っぽい、或はそばらしさにやや欠け る ×:肌荒れがあって艶に欠け、黒っぽい、或はそばらしさに欠ける風味 ◎:好ましいそばの風味が強い ○:好ましいそばの風味がある △:好ましいそばの風味がやや乏しい ×:好ましいそばの風味が乏しい食感 ◎:そばとしての弾力、歯応え、歯切れ、のど越しが非常に良好 ○:そばとしての弾力、歯応え、歯切れ、のど越しが良好 △:そばとしての弾力、歯応え、歯切れ、のど越しの少なくともいずれかが悪 い ×:そばとしての弾力、歯応え、歯切れ、のど越しのいずれも悪い【0040】
【表1】

【0041】
【実施例2】実施例1に於て、α−化そば澱粉として試料No.3、β−加工そば澱粉として試料No.4のエステル化そば澱粉を用い、α−化そば澱粉とβ−加工そば澱粉及びそば粉を表2に示す割合(部)の和そば用粉を使用し、表2に示す加水量とした他は同様(和そば用粉80%と小麦粉20%の原料粉)にして冷しそばを製造し、同様に評価した結果を表2に示す。尚、表2の( )内はα−化そば澱粉とβ−加工そば澱粉の比率(%)を示す。また、β−加工そば澱粉100%の実施例では和そば用粉40部と小麦粉部60部の原料粉を使用した。
【0042】
【表2】

【0043】
【実施例3】そば粉50部、試作品No.5のβ−加工そば澱粉30部、試料No.9のα−化そば澱粉20部からなるそば用粉を調製し、これと小麦粉を表3に示す比率の原料粉を用い、これに食塩1部を溶解した水35部を加えて混練し、麺生地を調製した。この生地を圧延ロールにかけて麺帯とし、#20の角切刃を通して麺線とした。これを蒸し機にて2分間常圧蒸煮し、1.5%乳酸溶液に浸漬して約pH4.0にした。この麺線を180gづつ小分けし、少量の白絞油を加えてパウチに封入した。これをスチーマーで30分間加熱処理した後、流水中で冷却してロングライフ和そばを得た。得られたロングライフ和そばを室温に3か月間保存後、熱湯を加えて戻して評価した結果を表3に示す。尚、対照区は表3に示す比率の小麦粉とそば粉を使用した。
【0044】
【表3】

【0045】
【実施例4】そば粉60部、試料No.4のβ−加工そば澱粉25部及び試料No.3のα−化そば澱粉15部を混合して和そば用粉を製造した。この粉60部と小麦粉40部に水35部を加えて混練し、常法に従って得た麺線を飽和水蒸気で2分間蒸煮した後、約75℃の熱風中で水分約7%に乾燥してノンフライ麺を得た。得られたノンフライ和そば即席麺に熱湯を注加して復元して試食したところ、外観的に適度な白さ、つやを有し、食感的には良好な弾力、歯切れ、のど越を有してそば風味に富む優れた即席和そばであった。
【0046】
【実施例5】そば粉65部、試料No.6のβ−加工そば澱粉15部及び試料No.9のα−化そば澱粉20部を混合して和そば用粉を調製した。この粉100部に水33部を加えて混練し、常法に従って得た麺線を沸騰浴中で2分間茹でた後冷却し、−40℃で冷凍して−20℃に保存した。1か月保存後、熱湯中で茹で戻して試食した。得られた冷凍和そばは外観、食感、風味とも良好で、優れた品質の和そばであった。
【0047】
【実施例6】そば粉30部、試料No.5のβ−加工そば澱粉40部及び試料No.9のα−化そば澱粉20部、加工澱粉「パーフェクトアミールAC」(馬鈴薯澱粉のエステル化澱粉、アベベ社、オランダ)10部を混合し、これに水33部を加えて混練し、常法に従って得た麺線を沸騰浴中で茹でた後冷却し、分割して密封し、冷蔵庫に保存した。これを3日後に冷水中でさばき、水切りして冷やし和そばとして食したところ、外観、食感、風味ともに優れた和そばであった。
【0048】
【実施例7】そば粉30部、試料No.7のβ−加工そば澱粉23部、試料No.3のα−化そば澱粉7部、小麦粉40部を混合し、これに水35部を加えて混練し、常法に従って得た麺線を冷風で乾燥して和そばの乾麺を得た。これを沸騰浴中で茹で戻して食したところ、外観、食感、風味とも優れた和そばであった。
【0049】
【実施例8】そば粉70部、試料No.4のβ−加工そば澱粉10部、試料No.9のα−化そば澱粉20部からなるそば用粉100部に水34部を加えて混練し、圧延ロールにかけて麺帯を調製した。これを#20の角切刃を用いて麺線とし、小分け、密封して生和そばを製造した。これを冷蔵庫に1週間保存後、沸騰浴中で茹でて食したところ、外観、食感、風味とも優れた和そばであった。尚、麺帯の調製時、そば粉10部と試料No.8のβ−加工そば澱粉90部を混合して別に調製したそば用粉を打ち粉として用いたところ、生和そばの白さが向上し、茹で湯の濁りも少なく、そば湯の風味も良好であった。
【出願人】 【識別番号】000188227
【氏名又は名称】松谷化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 弘
【公開番号】 特開平11−75747
【公開日】 平成11年(1999)3月23日
【出願番号】 特願平9−252911