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【発明の名称】 顆粒状ラフィノース
【発明者】 【氏名】名倉 泰三

【氏名】有塚 勉

【氏名】鳥山 要

【氏名】恵本 司

【要約】 【課題】

【解決手段】ラフィノース濃厚液を噴霧処理するか、あるいは、ラフィノース結晶を押出し造粒法等の顆粒化処理することによって顆粒状ラフィノースを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ラフィノース濃厚液を噴霧処理することにより顆粒化すること、を特徴とする顆粒状ラフィノースの製造方法。
【請求項2】 ラフィノース結晶を顆粒化処理すること、を特徴とする顆粒状ラフィノースの製造方法。
【請求項3】 顆粒化処理が押出し造粒法であること、を特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造してなる、顆粒状ラフィノース。
【請求項5】 口溶け、甘味度、甘味の切れの少なくともひとつが向上した、請求項4に記載の顆粒状ラフィノース。
【請求項6】 請求項4又は5に記載の顆粒状ラフィノースを打錠加工してなるあるいはカプセルに充填してなる、ラフィノース含有製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顆粒状ラフィノースの製造及びその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラフィノースは、ビフィズス因子や肝機能改善作用等のすぐれた生理活性作用を有する機能性オリゴ糖であって、最近になって工業的製造が開始されるようになった。しかしながら、結晶ラフィノースは、溶解度が低く、針状結晶であるため、これを経口摂取する際、口中で結晶が残留して、口溶け、食感が悪く、乳幼児や高齢者、病弱者はもとより、成人にあっても摂取しにくいものであり、この欠点は、ラフィノース単独の場合はもちろんのこと、他の食品と混合した場合にも認められ、当業界においては、その改善が強く希求されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ラフィノースは機能性オリゴ糖として非常に有用な天然物であるにもかかわらず、上記したような欠点を有し、可食性の面で問題がある点に鑑み、本発明者らは、ラフィノースの経口摂取を容易ならしめる必要性をはじめて認識し、経口摂取しやすいラフィノース製品を開発することとした。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した性質を有するラフィノース製品を新たに開発する目的でなされたものであって、代表的な糖であるスクロースについて、結晶スクロースと顆粒スクロースとでは単位時間当りの溶解量(以下、溶解量と記す)に格別の相違がないことが当然に予想され、そして後記するところからも明らかなように(図1参照)、実際の溶解量測定の結果、予想どおり結晶と顆粒とでは溶解量に格別の相違が認められない。
【0005】したがって、ラフィノースについても、結晶と顆粒との間で溶解量に格別の相違がないものと予想されるところ、本発明者らは、あえてこのような予想に対して、結晶ラフィノースと顆粒ラフィノースの溶解量を測定したところ、全く予期せざることに、予想とは全く逆に結晶と顆粒とでは溶解量に大きな相違があり、しかも結晶に比して顆粒の方が著しく溶解量が高いというきわめて有用な新知見を得た。
【0006】そこで本発明者らは、顆粒状ラフィノースにはじめて着目し、各方面からその性質を検討した結果、結晶ラフィノースに比して、口溶け、甘味の切れが向上して食感が著しく改善され、また甘味度も増強されるという、特に経口摂取する際に有用な諸性質が得られることも実際に併せ確認し、遂に本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は顆粒状ラフィノースの創製にはじめて成功したものであって、可食性にすぐれ、特に経口摂取するのに好適なラフィノース、及び、それを用いた錠剤等の製剤をはじめて提供するものであって、ラフィノースが有する生理活性を多くの人々が利用できることを可能にしたものである。以下、本発明について詳述する。
【0008】本発明を実施するには、ラフィノースを顆粒化処理する必要があるが、顆粒化処理としては、湿式造粒法と乾式造粒法のいずれもが使用可能である。
【0009】湿式造粒法は、ラフィノースの結晶(無水結晶でもよいし、一水塩〜五水塩等の含水結晶のいずれでもよいが、五水塩が最も安定しており、工業的には五水塩を使用するのが有利である。)を粉末化し、粉末粒子を湿潤させて個々の粒子を相互に凝集させ、形状を大きくする方法であって、例えば、次のような方法が例示されるが、これらの内、工業的には押出し造粒法が好適である。
【0010】・転動造粒法:傾斜ドラムまたは傾斜皿型容器を回転し、その中に原料粉体と水とを連続的に供給する造粒方法。
・押出し造粒法:原材料に加水、加熱、捏和らの前工程をおこなうことにより造粒に適した物性を与え、適当な押出し機構によってスクリーン、ダイスの孔より材料を押出し成形する方法。
・破砕造粒状:原料粉体にやや多めの水分を添加して大きい凝集体をつくらせ、これを高速回転羽根でせん断して球形または不規則状の顆粒にする方法。
・攪拌造粒法:加湿した粉体に混合作用を与えて造粒する方法。
【0011】また、ラフィノース結晶を溶液となし、これを顆粒状にしてもよく、例えば、次のような方法が例示されるが、これらの内、工業的には噴霧造粒法が好適である。
・流動乾燥型:結晶を熱風によって流動状態におき、同じ物質の水溶液を流動層内に噴霧して結晶表面を被覆するとともに、水分を蒸発させて結晶の粒度を増大させる方法。
・噴霧造粒法:向流または並流気流中に液状材料を噴霧して、液滴と気流との間の熱と物質の移動によって球状の粒子を得る方法。なおこの場合、ラフィノース溶液としては、各種濃度の水溶液が適宜利用可能であるが、可能な限り濃厚な液を使用するのがよく、工業的には飽和溶液を使用するのが好適である。
【0012】また、上記した湿式造粒法のほか、乾式造粒法も使用可能であって、例えばラフィノースを高圧ローラーで圧延して成型した後、粗砕して整粒する方法や、ラフィノースを粉末化しこれを型に入れて打錠したりする方法が適宜使用可能である。
【0013】このようにして製造した顆粒状ラフィノースは、口溶け、食感、甘味度、甘味の切れが結晶ラフィノースよりは大幅に向上しており、これを口中に入れてもザラザラした食感がなく、しかも甘味度は上昇し、それでいて後味はサッパリしており、経口摂取するのにきわめて適している。
【0014】したがって、顆粒状ラフィノースは、それ自体で機能性オリゴ糖として、直接あるいは他の飲食品に添加して、乳幼児、高齢者、病中や病後の患者、はもとより、健常者においても保健用に適宜経口摂取することができる。
【0015】また更に、本発明に係る顆粒状ラフィノースは、必要な添加料を加え、打錠して錠剤の形態に製剤することも可能である。あるいは、必要な添加料を加えて混合し、カプセル等の容器に充填して製剤することも可能である。
【0016】製剤化に当っては、主薬である顆粒状ラフィノースに必要あれば添加料を加えた後、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの錠剤やカプセル剤の製剤技術分野において通常使用される既知の補助剤を用いて製剤化すればよい。
【0017】打錠に加工するには、湿式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、直接粉末圧縮法等一般の打錠技術が適宜使用可能であるが、ラフィノースについては本発明によってはじめてその顆粒化技術が確立されたため、前二者の打錠技術の利用が可能となった。その内、特に湿式顆粒圧縮法によるタブレットは、その強度がすぐれている。
【0018】添加料としては、ビタミンC等のビタミン類;カルシウム等のミネラル類;グルコース、ラクトース、マルトース、シュークロース、ステビア等の甘味料;マルチトール等の糖アルコール;クエン酸等の酸味料;各種オリゴ糖;乳製品;その他の食品添加物が適宜使用される。
【0019】ラフィノース錠剤やカプセル剤の製造において、顆粒状ラフィノースの含有量については、その使用目的や使用者の年齢等によって左右され、厳密に規定されるものではないが、顆粒状ラフィノース50%以上、添加料50%未満1%以上とするのが好適である。以下、本発明の実施例について述べる。
【0020】
【実施例1】ラフィノース結晶を乳鉢で微粉砕した後、ラフィノース100に対して水10を加え、均一に混合した。これを押出し造粒機(不二パウダル(株)製、FINERYUZER 型式EXR-60、処理能力40-150kg/hr)にて粒造し、70℃の送風定温恒温機(ヤマト科学(株)型式DN910)で3時間乾燥し、顆粒状ラフィノースを製造した。
【0021】結晶ラフィノースと微粉砕ラフィノース、顆粒状ラフィノースの官能試験を実施した。得られた結果を下記表1に示した。表1に示すように、微粉砕ラフィノースは結晶ラフィノースより甘味が強くなり、口溶けや甘味の切れが向上し、総合的に好ましいという結果が得られた。さらに顆粒状ラフィノースでは微粉砕ラフィノースに対して甘味の強さは変わらないものの、口溶けや甘味の切れが向上し、総合評価も高かった。
【0022】
【表1】

【0023】以上のことから、口溶け感や甘味のきれなど、食味や食感において敬遠される面があった針状結晶ラフィノースは、微粉砕後、更に顆粒化することで、これらの点を改善することができた。
【0024】
【実施例2】結晶および顆粒状に加工したラフィノースとスクロースの経時的な溶解量を比較した。37℃に調整された振とう恒温槽に100gの脱塩水を入れた500ml容三角フラスコをセットし、37℃に馴化させた後、糖50gを加え、150rpmで振とうした。経時的に上清を採取し、直ちに0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、糖濃度を測定した。図1に示したように、スクロースは短時間でほぼ完全に溶解したが、結晶ラフィノースは緩慢な溶解を示した。一方、顆粒状ラフィノースは、短時間で高い溶解量を示し、120秒後にはほぼ飽和濃度に達していた。
【0025】
【実施例3】図2に示すフローチャートにしたがって、ラフィノース錠剤を製造した。顆粒状ラフィノース70重量部及びビタミンC30重量部を秤量し、充分に混合した。バインダーとして0.3%グアーガム溶液を20%(w/w)噴霧して、流動層造粒(商品名:フローコーター FLO−120型使用)により造粒した。なお、バインダーには1.5% β−カロチン末を溶解せしめておいた。
【0026】これを水分6%以下にまで乾燥した後、円型シフターでふるい分けした(16メッシュで篩過)。次いで、コニカル型混合機を用い、香料、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム)を添加して二次混合を行った。
【0027】打錠処理は、打錠機FY30(富士薬品機械株式会社商品名)を用い(剤型18φ;充填量1500mg;錠厚5.0±0.3mm;硬度7kg±3;水分8%以下)、ラフィノース含有錠剤を製造した。
【0028】
【実施例4】顆粒状ラフィノース400重量部、結晶グルコース10重量部、クエン酸7重量部、Na-Caseinate7重量部、アスコルビン酸5重量部、硬化油3重量部を用い、常法にしたがってラフィノース含有錠菓を製造した。
【0029】
【実施例5】顆粒状ラフィノース125重量部、精製炭酸カルシウム20重量部、ラクトース103重量部、ステアリン酸マグネシウム2重量部を用い、これらの混合物を250mgずつ1号カプセルに充填し、1カプセル内に125mgのラフィノースを含有するカプセル剤を製造した。
【0030】
【発明の効果】本発明によって顆粒状ラフィノースの製造がはじめて可能となった。顆粒状ラフィノースは、結晶ラフィノースに比して、甘味度が高いだけでなく、口中においてザラつくこともなくなめらかで口溶けがよく、食感もすぐれ、さわやかな後口があって非常に摂取しやすくなっている。
【0031】したがって、従来摂取しにくかったラフィノースを、乳幼児、高齢者、病中や病後の人でも容易に摂取することができ、本来ラフィノースが有している各種の生理活性を充分に利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000231981
【氏名又は名称】日本甜菜製糖株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男
【公開番号】 特開平11−56292
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−231867