| 【発明の名称】 |
記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する飲食物 |
| 【発明者】 |
【氏名】関 哲哉
【氏名】滝口 俊男
【氏名】鈴木 義久
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| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、安価でかつ安全性、安定性に優れ、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する機能を十分に発現でき、しかも日常気軽に喫食できる呈味性に優れた飲食物を提供することにある。
【解決手段】エピガロカテキンガレートを飲食物に配合させることにより記憶力および学習能力を増強させ脳機能を活性化さ得る飲食物を提供する。また、エピガロカテキンガレートをチューインガムに配合することにより、脳機能の活性化において他の飲食物と比較して顕著な優れた効果を有するチューインガムを提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エピガロカテキンガレートを有効成分とする記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する飲食物。 【請求項2】 飲食物がチューインガムである請求項1記載の飲食物。 【請求項3】 エピガロカテキンガレートを0.05%以上、好ましくは0.1%以上配合した請求項1または2記載の飲食物。 【請求項4】 エピガロカテキンガレートを一日あたり5mg以上、好ましくは10mg以上摂取できるように配合した請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の飲食物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する飲食物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する天然成分としては、乳酸菌発酵成分(特開平9−23848号)、テアニン(特開平8−73350号)、γ−リノレン酸(特開平1−279827号)などが知られている。しかしながら、従来の天然物は高価であったり、その効果も曖昧であった。また、一般的にそれら天然物は、光、熱などに不安定であり、飲食物に配合して使用する場合には、安定性の面で問題が生じている。このため、安価でかつ安全性、安定性に優れ、その機能を十分に発現でき、しかも呈味性に優れている日常気軽に喫食できる飲食物の開発が望まれていた。 【0003】一方、マウスの実験で咀嚼運動が脳機能を活性化させ、学習能力を高めることが明らかになっている(歯科基礎医学会誌、第31巻、第72〜82頁、1989年)。人(小児)における実験でも、咬合力の強い小児は知能指数も高いことにより、人(小児)の咬合力と知能指数との間に高い相関があることが示唆され(小児歯科学雑誌、第32巻、第3号、第494〜504頁、1994年)、人においても咀嚼運動と脳機能との間に関係があることが解明されてきている。さらに、チューインガムを咀嚼することにより脳血流が増加し、脳機能を活性化されることが明らかになっている(宇宙航空環境医学、第26巻、第91〜96頁、1989年および日本咀嚼学会雑誌、第2巻 No.1、第49〜54頁、1992年)が、より記憶力の増強および学習能力を増強させる効果を有する飲食物の開発が望まれていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価でかつ安全性、安定性に優れ、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する機能を十分に発現でき、しかも日常気軽に喫食できる呈味性に優れた飲食物を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究したところ、日常飲用に供している緑茶の可溶性成分の一種であるエピガロカテキンガレートが記憶力および学習能力を増強させ脳機能を活性化させる効果を有することを初めて見出し、本発明を完成するに至った。 【0006】即ち、エピガロカテキンガレートを飲食物に配合させることにより記憶力および学習能力を増強させ脳機能を活性化さ得る飲食物を提供するものである。 【0007】また、エピガロカテキンガレートをチューインガムに配合することにより、脳機能の活性化において他の飲食物と比較して顕著な優れた効果を有するチューインガムを提供するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の飲食物としては、チューインガム、チョコレート、キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚肉練り製品、畜肉製品、冷菓ならびに飲料など、従来一般的に食用に供される飲食物が適宜利用できる。 【0009】本発明で使用するエピガロカテキンガレートは、緑茶の呈味性分の一種であるカテキンの一つで、乾燥緑茶中に10〜20%程度含まれ、口臭除去作用ならびに虫歯菌などに対する抗菌作用を有することが知られている。また、長い間緑茶として日常摂取されているので、その安全性については問題がないことは明らかである。 【0010】エピガロカテキンガレートは、緑茶などから公知の方法で抽出、精製したものを使用することができ、必要であれば合成したものを使用することもできる。本発明で使用したエピガロカテキンガレートは、栗田工業株式会社製の(−)−エピガロカテキンガレートで、その純度は95%以上である。 【0011】エピガロカテキンガレートの飲食物への配合量は、0.05%以上、好ましくは0.1%以上である。0.05%未満では十分な効果は期待できず、0.1%以上飲食物へ配合することが好ましい。5%以上を飲食物へ配合して使用すると、エピガロカテキンガレートが有する特有の苦味および収斂味のため、嗜好性の面で好ましくない。また、5%以上飲食物に配合して使用しても、効果の向上はあまり期待できず、経済的な面で好ましくない。 【0012】エピガロカテキンガレートの1日あたりの摂取量としては、5mg未満の摂取量では十分な効果が期待できないので、5mg以上、好ましくは10mg以上摂取できるように飲食物に配合するのが好ましい。 【0013】以下に試験例、実施例を挙げて本発明について説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。 【0014】 【実施例】 試験例11.実験方法実験にはマウス(Balb種)を使用する。マウスは生後20日目に離乳し、同腹を2群に分け、それぞれ水のみ摂取させる対照群(24匹)ならびにEGCg(エピガロカテキンガレート)0.1%水溶液摂取群(24匹)とした。動物は、固形飼料(日本クレア製 CE−2)を自由摂取、室温22±2℃、湿度55±5%、6〜18時点灯ならびに18〜6時消灯の明暗周期条件下で飼育した。 【0015】実験には、群馬大学型条件回避反応実験装置(小原医科産業)を使用した。この実験装置は、コンピューターで実験スケジュールを制御し、一度に8匹のマウスに条件回避学習を実施することができる。 【0016】実験スケジュールは、試行間隔25秒毎に5秒間警告ブザー音と光の条件刺激が提示され、その直後にケージの金属製格子に5秒間電流が流れるようにした。ただし、5秒間の条件刺激提示中に動物がケージ内のレバーを押すと電気ショックを回避することができる。さらに、通電中に動物がレバーを押した場合にも電気ショックを途中から免れることができる。 【0017】実験は、100回の警告のうち何回回避したかを百分率で表し、これを回避率(%)とした。実験は、100試行を1セッションとして、生後8週より1日1セッション、20セッションまで実施した。 【0018】2.実験結果【表1】
【0019】8セッションまでは、両群とも同じような学習成績であったが、9セッション目よりEGCg0.1%水溶液摂取群の回避率が水摂取群より高くなり、成績が良好となった。t検定を行った結果、13セッション以降では有意(p<0.05)にEGCg0.1%水溶液摂取群の回避率が水摂取群より高い結果となった。 【0020】また、マウス1匹あたりの1日飲水量は、水摂取群:6.6±1.6g、EGCg0.1%水溶液摂取群:6.4±1.9gであり、両群に有意な差は認められなかった。マウスの体重の変化については、実験開始時(8週齢)において、水摂取群では21.3±2.5g、EGCg0.1%水溶液摂取群では21.4±2.2gであり、実験終了時ではそれぞれ23.8±2.1g、24.0±2.6gに増加していたが、実験期間中を通じて両群間の体重の変化には有意な差は認められなかった。 【0021】3.結論EGCg0.1%水溶液摂取群は水摂取群に対し、9セッション目から高い回避率を示し、13セッション目以降においては有意な差(p<0.05)が認められた。このことからEGCgの摂取により学習効果と記憶力が増強されることが明らかとなった。 【0022】実施例1 チューインガムガムベースをニーダーに入れ、約120℃で溶解撹拌し、これを50℃まで冷却したところで混合機に投入し、混合中のガムベースに還元麦芽糖、還元麦芽糖水飴、軟化剤、色素、香料、EGCgを表2に示す混合比で投入し、次いでこれを射出成形機によりシート状に押し出すとともに、圧延し、裁断機により1枚当たり3.33gのチューインガムを得た。 【0023】 【表2】
【0024】実施例2 チョコレートチョコレートの製造は定法に従い、まずカカオマス、カカオ脂、粉糖、レシチン、全脂粉乳、香料、EGCgを表3に示す混合比でミキサーで混合し、リファイニングおよびコンチング終了後、テンパリングを行った。その後、型流し、冷却工程、切断工程を経て、一粒当たり3.33gのチョコレートを得た。 【0025】 【表3】
【0026】実施例3 キャンディー砂糖、水飴および水を鍋に入れて煮沸し、煮沸温度が125℃に達した後、撹拌しながら練乳を加えた。その後、撹拌しながら更に煮沸し、煮沸温度が130℃に達したらバターを加え、引き続き煮沸し、130℃に達した後に火から下ろし、バニラエッセンス、EGCgを添加した。撹拌しながら冷却板に流し込み、80℃まで冷却した後に、棒状にして適当な長さに切断し、一粒当たり3.33gのキャンディーを得た。 【0027】キャンディー一粒当たりの各材料の混合比を表4に示す。 【0028】 【表4】
【0029】実施例4 飲料300mlの精製水を70℃に加熱し、これにミネラル、調味料、酸味料およびEGCgを加え、撹拌・混合した。これに砂糖、ぶどう糖果糖液糖および1500mlの精製水を加えて撹拌・溶解し、1μmのフィルターで濾過し、適量の水を加えて最終的に3000mlに適量調節し、香料を加えて撹拌した。中間タンクで糖度および酸度を調整し、85℃まで加温した後、80℃にて缶に充填した。 【0030】一缶(190g)当たりの各材料の混合比を表5に示す。 【0031】 【表5】
【0032】試験例2エピガロカテキンガレート配合チューインガムの咀嚼による小児の学習能力増強効果を検討する目的で、幼稚園に在籍する5歳6カ月〜6歳6カ月までの園児120名(男60名、女60名)を対照に試験を実施した。 【0033】1.試験方法120名の園児を非摂取群(24名)、対照群(24名)、実験A群(24名)、実験B群(24名)ならびに実験C群(24名)の5群に分け、非摂取群には何も与えず、対照群には実施例1のEGCg無添加の対照品であるチューインガムを、実験A群には実施例1によるEGCg0.1%配合チューインガムを、実験B群には同じくEGCg1.0%配合チューインガム、実験C群には実施例3によるEGCg0.1%配合キャンディーをそれぞれ1日3枚(キャンディーは1日3粒)ずつ28日摂取させた。 【0034】摂取方法は、チューインガム、キャンディーともに1日3回、午前9時、午後12時、午後3時とし、チューインガムは1回当たり5分以上咀嚼させ、キャンディーについてはなくなるまで舐めさせた(約5分)。 【0035】本試験で用いたガムは、実施例1による非う蝕性の還元麦芽糖を使用したシュガーレスチューインガムであり、ガムの硬さは一般市販品と同等で、香味はミックスフルーツ味である。チューインガムの重量は1枚当たり3.33gである。 【0036】また、本試験で用いたキャンディーは、実施例3による非う蝕性の還元麦芽糖を使用したシュガーレスキャンディーであり、香味はミックスフルーツ味で1粒当たりの重量は3.33gである。 【0037】数唱テストは、日本版WISC−R知能検査法の問題を採用した。表6に数唱テストの問題を示す。なお、テストは本発明品の摂取の前と後に各1回、合計2回実施した。 【0038】 【表6】
【0039】これは、テスターが読み上げた数字を、被験者が直ちにその順に答える順唱、その逆に答える逆唱で構成され、順唱の7問、逆唱の7問、合計14問である。採点方法は日本版WISC−R知能検査法の1989年の修正尺度に基づき、それぞれ第1系列、第2系列ともに正答を2点、いずれか正解を1点、正解なしを0点とした。最高得点は、順唱14点、逆唱14点である。なお、これらの検査は児童心理学に精通し、知能テストに熟練したテスターが個別に行った。 【0040】2.試験結果各被験者の数唱テストの結果を表7(非摂取群)、表8(対照群)、表9(実験群A)、表10(実験群B)ならびに表11(実験群C)に示す。 【0041】 【表7】
【0042】 【表8】
【0043】 【表9】
【0044】 【表10】
【0045】 【表11】
【0046】また、テストの平均点を表12に示す。 【0047】 【表12】
【0048】数唱テストの平均点において、性差ならびに月齢との有意な相関関係は認められなかった。 【0049】非摂取群の順唱の平均点の第1回目は4.88±1.06、28日経過後の第2回目が4.88±1.06、逆唱の平均点の第1回目は3.00±0.42、第2回目が2.96±0.64であった。対照群の順唱の平均点のガム摂取前の第1回目は4.75±1.42、ガム摂取後の第2回目が5.13±1.56、逆唱の平均点はガム摂取前が2.71±0.90、ガム摂取後が3.25±0.83であった。実験A群の順唱の平均点はガム摂取前が4.92±1.42、ガム摂取後が6.00±1.17、逆唱の平均点はガム摂取前が2.63±0.76、ガム摂取後が3.63±0.91であった。実験B群の順唱の平均点はガム摂取前が4.92±1.26、ガム摂取後が6.71±0.82、逆唱の平均点はガム摂取前が3.04±0.64、ガム摂取後が4.13±0.58であった。実験C群の順唱の平均点はキャンディー摂取前が4.75±0.88、キャンディー摂取後が5.21±0.84、逆唱の平均点はキャンディー摂取前が2.88±0.58、キャンディー摂取後が3.29±0.47であった。 【0050】ガムまたはキャンディー摂取前後における得点の差(ガム咀嚼後の粗点−ガム咀嚼前の粗点またはキャンディー摂取後の粗点−キャンディー摂取前の粗点)のベアードt検定を行った結果、非摂取群には有意な変化は認められなかったが、対照群、実験A群、実験B群および実験C群において、順唱、逆唱ともに危険率5%にて有意な得点の上昇が認められた。 【0051】ガムまたはキャンディー摂取前後における得点の差について、各群の平均点につてt検定を行ったところ、順唱においては非摂取群と対照群、実験A群、実験B群および実験C群の間に有意な差が認められた。同時に、対照群と、実験A群および実験B群の間、実験A群と実験B群および実験C群の間、実験B群と実験C群の間に有意な差が認められた。 【0052】逆唱については、非摂取群と対照群、実験A群、実験B群および実験C群との間に有意な差が認められ、同時に、対照群と実験A群および実験B群の間、実験C群と実験A群および実験B群との間において危険率5%にて有意な差が認められた。 【0053】3.結論本試験において、以下のような結論が得られた。 【0054】(1) チューインガムの摂取により、数唱テストの順唱および逆唱の得点は有意に増加した。 【0055】(2) 一般のチューインガムである対照群と比較して、EGCg配合チューインガム摂取群では、数唱テストの順唱および逆唱の得点が有意に増加した。 【0056】(3) EGCg0.1%配合チューインガム摂取群と比較して、EGCg1.0%配合チューインガム摂取群は、数唱テストの順唱において、有意に得点が増加した。 【0057】(4) EGCg0.1%配合キャンディーの摂取により、数唱テストの順唱および逆唱の得点は有意に増加した。 【0058】(5) EGCg0.1%配合チューインガムの摂取群は、同量のEGCg配合量であるEGCg0.1%配合キャンディー群よりも、数唱テストの順唱、逆唱ともに有意に得点が上昇した。 【0059】以上のように、EGCgを0.1%および1.0%配合したチューインガム(1枚当たり3.33g)を、1日当たり3枚ずつ連続28日間摂取すると数唱テストの得点が有意に増加したことから、このようなチューインガムは小児の記憶力の増進効果を有し、学習能力増強効果を有すると結論される。また、その効果は、EGCgの配合量が多いチューインガム(1.0%配合)が少ないチューインガム(0.1%配合)より顕著であった。そしてこの効果は、EGCg配合量が同じであっても、キャンディーよりもチューインガムに顕著な効果が認められた。 【0060】 【発明の効果】本発明の記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する飲食物は、安価でかつ安全性、安定性に優れ、記憶力および学習能力を増強させる効果を有する脳機能を活性化する機能を十分に発現でき、しかも日常気軽に喫食できる呈味性に優れているという効果を有する。 【0061】また、エピガロカテキンガレートをチューインガムに配合することにより、脳機能の活性化において他の飲食物と比較して顕著な優れた効果を有するチューインガムを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390002990 【氏名又は名称】株式会社ロッテ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】浜田 治雄
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| 【公開番号】 |
特開平11−18722 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−178706 |
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