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【発明の名称】 プロポリス粉末及びその製造方法
【発明者】 【氏名】金枝 純

【氏名】渡辺 泰宏

【要約】 【課題】粘着性及び固化性を低減して流動性を向上させた加工特性の良いプロポリス粉末及びその製造方法を提供する。その他、打錠及びカプセル充填に適し、健康食品や医薬品として期待される摂取量に足るだけの有効成分を含有するプロポリス粉末及びその製造方法を提供する。

【解決手段】プロポリス粉末は、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末とプロポリスの水抽出物の粉末を混合してなる粉末である。また、プロポリス粉末は、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙にプロポリスの水抽出物の粉末が介在する。このプロポリスの水抽出物の粉末は凍結乾燥粉末である。さらに、プロポリス粉末は、エタノール抽出液を賦形剤に含浸させた後、これを乾燥して得られるプロポリスのエタノール抽出物含有粉末とプロポリスの水抽出物粉末を混合し、この混合粉末を混捏して製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末とプロポリスの水抽出物の粉末を混合してなるプロポリス粉末。
【請求項2】 プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙にプロポリスの水抽出物の粉末を介在してなるプロポリス粉末。
【請求項3】 プロポリスの水抽出物の粉末が凍結乾燥粉末である請求項1又は請求項2に記載のプロポリス粉末。
【請求項4】 プロポリスのエタノール抽出液を賦形剤に含浸させた後、これを乾燥して得られるプロポリスのエタノール抽出物含有粉末とプロポリスの水抽出物粉末を混合し、この混合粉末を混捏するプロポリス粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、健康食品や医薬品等に利用される流動性に優れ、加工特性の良いプロポリス粉末及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロポリスは蜜蜂が植物から採取してくる樹脂状物質であり、フラボノイド類、 p−クマル酸や桂皮酸等の有機酸やそのエステル、各種のミネラル、ビタミン類等が含まれており、古くから民間療法薬として利用されてきたものである。従来、プロポリスを利用するプロポリス製品は、その殆どがエタノール抽出液であり、さらに乳糖、デキストリン等の賦形剤を添加して粉末化され、それらが錠剤やカプセル加工された形態になって使用されている。
【0003】しかし、プロポリスのエタノール抽出液が濃縮されると、抽出液に含まれる樹脂状物質の影響により粘性のある樹脂状の褐色溶液に変化してしまう。従って、この粘性溶液を賦形剤に加えて乾燥後、粉末化したプロポリスの加工用粉末は、粘着性が強いため固化しやすく、そのため流動性も悪くなり、さらに健康食品や医薬品等の素材として使用するには極めて取扱い難い。
【0004】このような粉末製品の固化を防止するために、食品添加物の微粒二酸化珪素を添加して流動性の改善を図る方法が考えられる。しかし、微粒二酸化珪素は、結局のところ二酸化珪素、つまりシリカゲルであるので、通常、濾過助剤として使用されるのが一般的であり、健康食品や医薬品等の素材としては好ましくない。しかも、微粒二酸化珪素の使用量は法律によって食品の2%以下に制限されており、この量をプロポリス粉末に添加しても、流動性改善の十分な効果は得られない。
【0005】ところで、最近、プロポリスを水溶媒中で加熱して得られる水抽出プロポリスが、顕著な免疫賦活活性を持つこと等から注目を集めている。水抽出プロポリス製品は、通常、液体製品の形態で販売されており、試験的に粉末化された例はあるが、その物理的性質に関してはほとんど知られていない。従って、プロポリスの水抽出物の粉末に流動化剤としての特性があるかどうかについても知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】現在、プロポリス抽出物の含有量の高い健康食品、医薬品用プロポリス粉末が所望されているが、前述したように、プロポリス抽出物の含有量が高くなる程、樹脂状物質の影響力が大きくなり、プロポリス粉末の粘着性、固化性の問題が生ずる。
【0007】従って、プロポリス抽出物の含有量の高いプロポリス粉末を製品化するには、まずその流動性の悪さを改善し、加工特性を向上させる必要がある。しかし、流動化剤を既存の食品添加物の中に捜し求めても、十分な効果を発揮できる物を見い出すことはできない。また、プロポリス粉末が健康食品、医薬品素材であることを考慮すると、プロポリス粉末と流動化剤が、あまりに異質であっては適性でない。
【0008】本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、粘着性及び固化性を低減して流動性を向上させた加工特性の良いプロポリス粉末及びその製造方法を提供することにある。
【0009】また、その他の目的とするところは、打錠及びカプセル充填に適し、健康食品や医薬品として期待される摂取量に足るだけの有効成分を含有するプロポリス粉末及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のプロポリス粉末では、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末とプロポリスの水抽出物の粉末を混合してなることを特徴とする。
【0011】請求項2に記載の発明のプロポリス粉末では、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙にプロポリスの水抽出物の粉末が介在することを特徴とする。
【0012】請求項3に記載の発明のプロポリス粉末では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記プロポリスの水抽出物の粉末が凍結乾燥粉末であることを特徴とする。
【0013】請求項4に記載の発明のプロポリス粉末の製造方法では、プロポリスのエタノール抽出液を賦形剤に含浸させた後、これを乾燥して得られるプロポリスのエタノール抽出物含有粉末とプロポリスの水抽出物粉末を混合し、この混合粉末を混捏することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。プロポリス粉末は、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末とプロポリスの水抽出物の粉末を混合したものである。すなわち、プロポリスの水抽出物の粉末を流動化剤とするものである。この流動化剤として用いられるプロポリスの水抽出物の粉末は、河合らによる水溶性プロポリス粉末及びその製造方法(特開平8−214797号公報)が知られており、この方法に則って製造されるのが好ましい。
【0015】この方法によると、プロポリスの水抽出物の粉末は、(1)プロポリス原体を水に浸漬し、プロポリス中の水溶性成分を取得し、それを粉末化することによるか、又は、(2)あらかじめプロポリス原体をエタノール又は含水エタノールに浸漬して洗浄した後に、水に浸漬して水抽出を行い、それを粉末化することによるか、何れかの方法により得られる。このように、二通りの抽出方法により得られるプロポリスの水抽出物の粉末は、各々その中に含まれる構成成分は異なるから、その結果、異なる作用効果を発現すると推定される。従って、本発明の実施においては、上記(1)及び(2)の抽出方法で得られる何れの粉末をも使用する。
【0016】次に、プロポリスの水抽出液の粉末化の方法であるが、常圧での加熱による直接濃縮法、減圧濃縮法、スプレードライ法又は凍結乾燥法等が知られており、何れの方法も用いることができる。
【0017】特に、凍結乾燥法により得られる粉末は、他の方法によるものに比べて、充填状態の空隙が大きな、すなわち見かけの比重が小さい粉末になる。見かけの比重とは、粉末の粒子の隙間も含めて全体の単位体積当たりの見かけの重量のことをいう。その値は、充填状態によって著しく影響されるので一義的に定まるものではないが、振動や加圧をしない通常の測定条件下で、この凍結乾燥粉末の場合、0. 01〜0. 3g/cm3 の範囲に調整される。このような小さい見かけの比重を有するプロポリスの水抽出物の粉末が、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙に介在すると、その粒子同士の粘着を低減させる作用がより効果的に発現される。従って、プロポリスの水抽出物の粉末の乾燥方法としては、凍結乾燥法によるものが最も好ましく、次にスプレードライ法によるものが好ましい。
【0018】また、粉末化に当たって、水抽出液にデキストリンや乳糖等の賦形剤を必要に応じ添加してもよいが、プロポリスの水抽出成分を100%含有する粉末を得るために、賦形剤は添加しない方が良い。
【0019】以上のようにして製造されるプロポリスの水抽出物の粉末は、粘着性が極めて低くなって又吸湿性もほとんどない。一方、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の製造法は、平下らによるプロポリス抽出物の粉末及びその製造方法(特開平8−70797号公報)に基づいて実施することができる。
【0020】すなわち、プロポリスのエタノール抽出物を高濃度に含有するプロポリス粉末の場合は、賦形剤として薄片状の澱粉加水分解物(例えば、松谷化学工業(株)製の商品名パインフロー)を添加して乾燥したものを使用することができる。具体的には、賦形剤に所定量のプロポリス原体のエタノール抽出液を低速で攪拌しながら少しずつ添加し、得られる混合物を乾燥した後、粉砕して粉末化し、粒度を整えるために80メッシュの篩で篩分けして製品化される。
【0021】賦形剤としては、薄片状の澱粉加水分解物のほかに乳糖を使用することができる。プロポリスのエタノール抽出物の固形分濃度に応じて、これらの賦形剤を適宜組み合わせるか又は単独で使用することができる。例えば、プロポリスのエタノール抽出物の50重量%含有粉末(以下、PEEP50と呼称する)には、賦形剤として薄片状の澱粉加水分解物が使用され、10重量%含有粉末(以下、PEEP10と呼称する)には、賦形剤として乳糖がそれぞれ使用される。これら賦形剤の使用基準は、プロポリスのエタノール抽出物の固形分濃度が20重量%までのプロポリス粉末には乳糖を単独で使用することができ、それ以上の濃度で50重量%までは澱粉加水分解物を使用するのが好ましい。また、粉末化後に打錠等を行って製品化するために、精密な使い分けが必要とされる場合がある。このようなときは、薄片状の澱粉加水分解物の見かけの比重が乳糖の見かけの比重よりも小さいので、これら賦形剤の混合により見かけ比重を調整することにより、プロポリスのエタノール抽出物の吸着能を調整して粉末化させる。
【0022】また、抽出に使用されるエタノール溶液はプロポリス原塊の種類にもよるが、通常はエタノール含有量が60重量%〜100重量%の濃度範囲であれば、これを抽出溶媒として使用することができる。エタノール溶液中の含水量が40重量%を越えると、エタノールにより本来抽出されるべき成分が抽出されてこないので、エタノール含有量を60重量%以上の濃度とする。
【0023】こうして製造されるプロポリスの水抽出物の粉末とエタノール抽出物を含有する粉末は、流動化剤としてのプロポリスの水抽出物の粉末の作用が有効に発揮されるように混合される。すなわち、プロポリスの水抽出物の粉末は、粘着性の強いエタノール抽出物を含有する粉末の粒子表面を被覆し、さらに粒子間隙を埋めることにより、粒子同士の固着を防止し、摩擦抵抗を減少させてプロポリス粉末の流動性を向上させることができる。従って、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙に水抽出物の粉末が、効果的に介在できるように混合されるのが好ましい。
【0024】プロポリスの水抽出物の粉末とエタノール抽出物を含有する粉末の混在比率は、以下のように設定される。すなわち、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末中のエタノール抽出物が高濃度の場合(例えばPEEP50)は、水抽出物の粉末が5重量%以上混在されるのが好ましい。プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末中のエタノール抽出物が低濃度の場合(例えばPEEP10)は、プロポリスの水抽出物の粉末が1重量%以上混在されるのが好ましい。
【0025】一般的にプロポリス原体から、エタノール抽出と水抽出の抽出比は、重量固形分比でおよそ4:1になる。従って、賦形剤を含まないと仮定する系でのプロポリスのエタノール抽出物の粉末と水抽出物の粉末の混在比率(重量比)が4:1で製造される製品が、作業効率の上で好ましい。
【0026】はたして、賦形剤を含まないと仮定する系でのプロポリスのエタノール抽出物の粉末と、水抽出物の粉末の混在比率が、4:1に設定されると好ましい結果が得られる。従って、この混在比率の数値が2種の粉末の混合比を設定するときの判断の基準になる。すなわち、プロポリスの水抽出物の粉末が、2種の粉末の合計量に対して事実上、20重量%混在するとき最も好ましい結果が得られる。また、流動性改善の作用効果を発揮するには、プロポリスの水抽出物の粉末が、2種の粉末の合計量に対して事実上、2. 0重量%以上混合させる。
【0027】また、プロポリスの水抽出物の粉末の添加量は、特に上限を限定されないので、商品設計の目的や予算に合わせて適宜、設定することができる。しかし、商品化するプロポリス粉末がエタノール抽出物の有効成分(例えばケルセチン等のフラボノイド類)を指標にして摂取する必要があるならば、プロポリスの水抽出物の粉末は、30重量%までが好ましい。なお、この添加量は、当然、粉末中のエタノール抽出物の固形分濃度によって変わってくるので、例えばPEEP10のようなエタノール抽出分の低濃度の粉末と混合する場合には、10重量%までが好ましい。
【0028】このように本発明は、プロポリス粉末の流動性の向上という本来の目的に加えて、プロポリス原体からの水抽出部とエタノール抽出部の両成分を、有効成分を含めて完全に利用できる点で、商品設計上においても優れている。また、従来のようにプロポリスのエタノール抽出物と全く異質な流動化剤を使用していないので、プロポリス由来の有効成分を効果的に摂取することができる。
【0029】なお、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末と水抽出物の粉末は、乳鉢等のかたい容器の中で軽く混合させた後、さらに乳棒による混捏のように、2種の粒子間に圧力をかけて混合されるのが好ましい。プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末は、粘着性が強いので、水抽出物の粉末を有効に介在させるには、このように圧力をかけながら混捏(すなわち混練)する方法が効果的である。
【0030】また、2種の粉末を容器に入れる際は、その順番の先後は特に問われず、何れが先であっても作用効果及び作業上に支障はない。以上のような実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 実施形態のプロポリス粉末においては、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末とプロポリスの水抽出物の粉末を混合することにより、プロポリスのエタノール抽出物の粘着性、及び固化性を低減して流動性を向上させ、加工特性を改善させることができる。
・ 実施形態のプロポリス粉末においては、プロポリスのエタノール抽出物を含有する粉末の粒子間隙にプロポリスの水抽出物の粉末を介在させることにより、前記エタノール抽出物の粒子同士の固着が効果的に防止され、摩擦抵抗が減少して流動性を向上させることができる。
・ 実施形態のプロポリス粉末においては、プロポリスの水抽出物の粉末が凍結乾燥粉末であることにより、見かけの比重が小さい乾燥粉末となるので、プロポリスのエタノール抽出物の粒子同士の粘着を低減させる作用がより効果的に発現される。
・ 実施形態のプロポリス粉末においては、打錠及びカプセル充填に適し、健康食品や医薬品として期待される摂取量に足るだけの有効成分を含有するプロポリス粉末を製造することができる。さらに、前記プロポリス粉末は、プロポリス原体からの水抽出部とエタノール抽出部の両成分を完全に利用できるので、プロポリスの有効成分を充分に摂取することができる。
・ 実施形態のプロポリス粉末の製造方法においては、プロポリスのエタノール抽出液を賦形剤に含浸させた後、これを乾燥して得られるプロポリスのエタノール抽出物含有粉末とプロポリスの水抽出粉末を混合し、この混合粉末を混捏することにより、所望のプロポリス粉末が効率良く得られる。
・ 実施形態のプロポリス粉末において、賦形剤を含まないと仮定する系でのプロポリスのエタノール抽出物の粉末と、水抽出物の粉末の混在比率が、4:1であるときに作用効果が充分に発揮され、作業効率上においても好ましい。
【0031】
【実施例】
(参考例1)
プロポリスの水抽出物の粉末の製造例ブラジル産のプロポリス原塊15kgを粉砕機(不二パウダル(株)製、パルベライザー)で粉砕し、振動ふるい(晃栄産業(株)製)で篩分けして5メッシュパスの粉末10. 5kgを得た。この粉末10kgに50℃の水80kgを加えミキサーで攪拌しながら、45℃で5時間、低速で攪拌してプロポリスを水に抽出した。抽出液は、粗濾過用布(ポリエステル生糸織物)を用いて、残渣の水気がなくなるまで濾過し、粗濾過液77kgを得た。
【0032】この粗濾過液に珪藻土(中央シリカ(株)製、商品名シリカ100F)1kgを加えて攪拌した後、No2濾紙(アドバンテック東洋(株)製)を備えた多段式加圧濾過機により濾過し、濾過液77kgを得た。この濾過液45kgを低温度濃縮機((株)大川原製作所製)にて、固形分20%まで減圧濃縮した。その後、凍結真空乾燥機(日本真空技術(株)製)により凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物を粉砕することにより、淡褐色で見かけの比重0. 1のプロポリスの水抽出物の粉末870gを得た。
(参考例2)
プロポリスのエタノール抽出残渣からの水抽出物の粉末の製造例ブラジル産のプロポリス原塊10kgを粉砕機で粉砕し、無水エタノール10kgを加え、室温で1週間放置した。エタノールをNo2濾紙(アドバンテック東洋(株)製)を用いて濾過することにより除去し、エタノール洗浄されたプロポリス原塊10. 2kgを得た。
【0033】このエタノール洗浄されたプロポリス原塊10kgに水80kgを加えてミキサーで攪拌しながら、45℃で5時間、低速で攪拌してプロポリスを水に抽出した。抽出液は、粗濾過用布(ポリエステル生糸織物)を用いて、残渣の水気がなくなるまで濾過し、粗濾過液80kgを得た。
【0034】この粗濾過液に珪藻土(中央シリカ(株)製、商品名シリカ100F)1kgを加えて攪拌した後、No2濾紙(アドバンテック東洋(株)製)を備えた多段式加圧濾過機により濾過し、濾過液79kgを得た。この濾過液45kgを低温度濃縮機((株)大川原製作所製)にて、固形分20%まで減圧濃縮した。その後、凍結真空乾燥機(日本真空技術(株)製)により凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物を粉砕することにより、見かけの比重0. 1のプロポリスの水抽出物の粉末440gを得た。
(参考例3)
PEEP50の製造方法澱粉加水分解物(松谷化学工業(株)製の商品名パインフロー)10kgをケーキミキサーへ投入し、低速で攪拌しながら、ブラジル産のプロポリス原体のエタノール抽出液(95重量%エタノールで抽出後、固形分濃度60重量%まで濃縮)16. 7kgを少しずつ添加した。全体が均一の混合物となってから、この混合物を棚式の熱風乾燥機にて50℃で24時間乾燥した。乾燥物は、冷却後、衝撃式粉砕機で粉砕した。次いで、これを80メッシュの篩で篩分けしてPEEP50(見かけの比重0. 85)18. 4kgを得た。
(参考例4)
PEEP10の製造方法乳糖9. 0kgをケーキミキサーへ投入し、低速で攪拌しながら、ブラジル産のプロポリス原体のエタノール抽出液(95重量%エタノールで抽出後、固形分濃度60重量%まで濃縮)1. 67kgを少しずつ添加した。全体が均一の混合物となってから、この混合物を棚式の熱風乾燥機にて50℃で24時間乾燥した。乾燥物は、冷却後、衝撃式粉砕機で粉砕した。次いで、これを80メッシュの篩で篩分けしてPEEP10(見かけの比重0. 80)9. 3kgを得た。(実施例1〜7)参考例3により調製したPEEP50の40gに対して、参考例1により調製したプロポリスの水抽出物の粉末の0. 4g(実施例1)、1. 0g(実施例2)、2. 0g(実施例3)、3. 0g(実施例4)、4. 0g(実施例5)、5. 0g(実施例6)、6. 0g(実施例7)それぞれを乳鉢の中に入れ十分に混捏した。
(評価試験1)
実施例1〜7の混捏した粉末及び対照例1としてPEEP50のみで水抽出物の粉末無添加の粉末をそれぞれガラス製のサンプル瓶の中に入れ、30℃で1ヶ月間保存した。1ヶ月経過後、各サンプルの固化状態を4段階に評価した。すなわち、その判定の基準は、各ガラス製のサンプル瓶に衝撃を与えたときのサンプル瓶内の粉末状態の変化についてその外観を観察し、以下のように表現した。
◎ … 衝撃を与えないでも、軽くサンプル瓶を振ることにより粉末の粒子がすべりはじめる状態。
○ … 軽い衝撃を与えることにより、粉末の塊が崩壊する状態。
△ … 軽い衝撃を与えても、容易に粉末の塊は崩壊せず、さらに強い衝撃を与えることにより、多少の塊は残るが大部分が崩壊する状態。
× … 強い衝撃を与えても粉末の塊を崩壊することができない状態。
(結果1)評価試験1の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

表1の実施例1〜7に見られる通り、プロポリスの水抽出物の粉末を含有することにより、PEEP50の粘着性及び固化性は効果的に抑制された。特に実施例3〜7のプロポリスの水抽出物の粉末の混在比率が5. 0%以上を含有する場合、明らかに粘着性及び固化性が低減されて流動性が顕著に改善された。
(実施例8〜10)参考例3により調製したPEEP50の40gに対して、参考例2により調製したプロポリスの水抽出物の粉末の2. 0g(実施例8)、4. 0g(実施例9)、6. 0g(実施例10)それぞれを乳鉢の中に入れ十分に混捏した。調製したそれぞれの粉末はガラス製のサンプル瓶の中に入れ、30℃で1ヶ月間保存した。
(結果2)実施例8〜10の固化状態の評価は、いずれも実施例3、5、7に相当する良好な結果を示した。すなわち、実施例8〜10は、参考例2に見られるように、エタノール処理後のプロポリスの水抽出物の粉末を使用した点で、その処理をしていない実施例3、5、7と異なるが、固化状態に両者の違いはなかった。
(実施例11〜14)参考例4により調製したPEEP10の40gに対して、参考例1により調製したプロポリスの水抽出物の粉末の0. 4g(実施例11)、1. 0g(実施例12)、2. 0g(実施例13)、3. 0g(実施例14)それぞれを乳鉢の中に入れ十分に混捏した。調製したそれぞれの粉末はガラス製のサンプル瓶の中に入れ、30℃で1ヶ月間保存した。
【0036】また、対照例2としてPEEP10のみで水抽出物の粉末無添加の粉末を調製して、同様に保存サンプルとした。
(結果3)評価試験1を行った結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

表2の実施例11〜14に見られる通り、プロポリスの水抽出物の粉末を含有することにより、PEEP10の粘着性及び固化性は効果的に抑制された。特に実施例13、14のプロポリスの水抽出物の粉末の混在比率が5. 0%以上を含有する場合、明らかに粘着性及び固化性が低減されて流動性が顕著に改善された。また、実施例11、12のプロポリスの水抽出物の粉末の混在比率が1. 0%と2. 5%の保存サンプルに関して、流動性の程度は対照例と比較して顕著に改善された。
(実施例15〜18)参考例4により調製したPEEP10の40gに対して、参考例2により調製したプロポリスの水抽出物の粉末の0. 4g(実施例15)、1. 0g(実施例16)、2. 0g(実施例17)、3. 0g(実施例18)それぞれを乳鉢の中に入れ十分に混捏した。調製したそれぞれの粉末はガラス製のサンプル瓶の中に入れ、30℃で1ヶ月間保存した。
(結果4)実施例15〜18の固化状態の評価は、それぞれ実施例15は実施例11、実施例16は実施例12、実施例17は実施例13、実施例18は実施例14に対応する同様の結果を示した。すなわち、プロポリスの水抽出物の粉末に関してエタノール処理を施したか直接水抽出を行ったかで、両者間で固化状態の違いを認めなかった。従って、前記したPEEP50のときも同様の結果であったことから、プロポリスの水抽出物の粉末は、エタノール処理を施したものでも直接水抽出を行ったものでも、どちらを用いても同様の結果を期待することができる。
【0038】次に、前記各実施形態から把握される技術的思想について以下に記載する。
・ プロポリスの水抽出物の粉末を、1. 0〜30重量%含有する請求項1〜3の何れかに記載のプロポリス粉末。
【0039】このように構成した場合、表1のサンプル実施例1に見られる通り、プロポリスのエタノール抽出物が高濃度であるPEEP50のような場合においても、有効に流動性改善の効果が発揮できる。また、商品化するプロポリス粉末が、エタノール抽出物の有効成分(例えばケルセチン等のフラボノイド類)を指標にして摂取する必要があるならば、30重量%までに調整されるのが好ましい。
・ プロポリスの水抽出物の粉末を、5. 0〜30重量%含有する請求項1〜3の何れかに記載のプロポリス粉末。
【0040】このような構成のプロポリス粉末は、流動性改善の効果を最大限に発揮できるとともに、作業効率上においても好ましい。
・ プロポリスのエタノール抽出物含有粉末の中の賦形剤が、澱粉加水分解物又は乳糖である請求項4に記載のプロポリス粉末の製造方法。
【0041】この方法によれば、プロポリスのエタノール抽出物を高濃度に含有するプロポリス粉末を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏する。請求項1に記載のプロポリス粉末によれば、プロポリスの水抽出物の粉末を流動化剤として混合することにより、プロポリスエキスのエタノール抽出物を含有する粉末の粘着性及び固化性が低減され、流動性が向上するので、加工特性の良いプロポリス粉末が得られる。従って、プロポリス粉末は打錠及びカプセル充填に適するとともに、健康食品や医薬品として期待される摂取量に足るだけの有効成分を含有する。
【0043】請求項2に記載のプロポリス粉末によれば、プロポリスの水抽出物の粉末が効果的に前記エタノール抽出物の粉末の粒子間隙に介在することにより、摩擦抵抗が有効に減少されたプロポリス粉末を提供することができる。
【0044】請求項3に記載のプロポリス粉末によれば、プロポリスの水抽出物の粉末が凍結乾燥粉末であることにより、見かけの比重が小さくなり、粒子同士の粘着が効果的に低減されるので、加工特性の良いプロポリス粉末を提供することができる。
【0045】請求項4に記載のプロポリス粉末の製造方法によれば、2種の混合粉末を混捏することにより、所望の加工特性の良いプロポリス粉末を効率よく製造することができる。
【出願人】 【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開平11−9201
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−171957