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【発明の名称】 固形塩辛及びその製造法
【発明者】 【氏名】杉野 芳人

【氏名】清田 稔

【要約】 【課題】塩辛特有の旨みを有する固形塩辛を提供する。

【解決手段】魚介類からなる塩辛の所要量と該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品の所要量とを混練りして乾燥させてなる固形塩辛。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 魚介類からなる塩辛の所要量と該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品の所要量とを混練りして乾燥させてなる固形塩辛。
【請求項2】 魚介類からなる塩辛の所要量と該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品の所要量とを混練りして腸に詰めて乾燥させてなる腸詰め固形塩辛。
【請求項3】 粉粒状穀類加工食品が、パン粉、α化米粉及び植物蛋白粉から選ばれる一又は二以上の粉粒物であり、当該粉粒物が塩辛100 重量部に対して5〜70重量部含有されている請求項1又は2記載の固形塩辛。
【請求項4】 魚介類からなる塩辛100 重量部に対して該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品を5〜70重量部加えて混練りして該塩辛と該粉粒状穀類加工食品とが一体となった混合物を得た後、当該混合物を偏平に伸ばして乾燥させて乾燥歩留りを40〜60%とすることを特徴とする固形塩辛の製造法。
【請求項5】 請求項4記載の固形塩辛の製造法において、乾燥歩留り40〜60%の固形塩辛を、さらに、粉末状に加工することを特徴とする固形塩辛の製造法。
【請求項6】 魚介類からなる塩辛100 重量部に対して該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品を5〜70重量部加えて混練りして該塩辛と該粉粒状穀類加工食品とが一体となった混合物を得て該混合物を腸詰めした後、乾燥させて乾燥歩留りを40〜60%とすることを特徴とする腸詰め固形塩辛の製造法。
【請求項7】 粉粒状穀類加工食品が、パン粉、α化米粉及び植物蛋白粉から選ばれる一又は二以上の粉粒物である請求項4乃至6のいずれかに記載の固形塩辛の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類の肉、内臓、卵巣等を塩漬けにし、熟成発酵させた塩辛に粉粒状穀類加工食品を加えて混練りして乾燥させた固形塩辛及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】魚介類からなる塩辛は周知であり、市販もされている。なお、特開平2−92256号公報には、いかの内臓を含まない調味液にいか細断物を漬け込んだ後、通風乾燥させる乾燥塩辛の製造法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記塩辛は珍味食品として酒席や食卓に供されているが、封を開けてしまうと品質劣化が進むため、早めに食べてしまわなければならないという問題点があった。なお、前記乾燥塩辛は、乾燥段階で腐敗するという問題点を解決するためにいかの内臓を含まない調味液に漬け込んだ後、当該調味液から取り出して水切りしているため、旨み成分が溶け込んだ遊離水が存在せず、塩辛が本来もっている珍味を得られ難いという問題点があった。
【0004】そこで、本発明は、旨み成分が溶け込んだ遊離水が存在する塩辛を腐敗させることなく乾燥させることができ、旨み成分を含んだ状態の固形塩辛を得ることを技術的課題として研究、実験を重ねた結果、塩辛と粉粒状穀類加工食品とを混練りすれば、粉粒状穀類加工食品が塩辛の遊離水を吸い取り、塩辛の水分率が低下するので、乾燥段階でも品質劣化による腐敗が起こらず、しかも、旨み成分を含んだ状態で塩辛と粉粒状穀類加工食品とが一体化できるという刮目すべき知見を得、当該課題を達成したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。即ち、本発明に係る固形塩辛は、魚介類からなる塩辛の所要量と該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品の所要量とを混練りして乾燥させてなるものである。
【0006】また、本発明に係る腸詰め固形塩辛は、魚介類からなる塩辛の所要量と該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品の所要量とを混練りして腸に詰めて乾燥させてなるものである。
【0007】また、本発明は、前記固形塩辛において、粉粒状穀類加工食品を、パン粉、α化米粉及び植物蛋白粉から選ばれる一又は二以上の粉粒物とし、当該粉粒物が塩辛100 重量部に対して5〜70重量部含有されているものである。
【0008】また、本発明に係る固形塩辛の製造法は、魚介類からなる塩辛100 重量部に対して該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品を5〜70重量部加えて混練りして該塩辛と該粉粒状穀類加工食品とが一体となった混合物を得た後、当該混合物を偏平に伸ばして乾燥させて乾燥歩留りを40〜60%とするものである。
【0009】また、本発明に係る固形塩辛の製造法は、前記固形塩辛の製造法で得られた乾燥歩留り40〜60%の固形塩辛を、さらに、粉末状に加工するものである。
【0010】また、本発明に係る腸詰め固形塩辛の製造法は、魚介類からなる塩辛100 重量部に対して該塩辛の遊離水を吸い取ることができる粉粒状穀類加工食品を5〜70重量部加えて混練りして該塩辛と該粉粒状穀類加工食品とが一体となった混合物を得、当該混合物を腸詰めした後、乾燥させて乾燥歩留りを40〜60%とするものである。
【0011】さらに、本発明は、前記いずれかの固形塩辛の製造法において、粉粒状穀類加工食品を、パン粉、α化米粉及び植物蛋白粉から選ばれる一又は二以上の粉粒物としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態【0013】魚介類からなる塩辛としては、いかの塩辛、うにの塩辛、酒盗(かつおの塩辛)、コノワタ(なまこの塩辛)、ウルカ(アユの塩辛)、メフン(サケの塩辛)、ウロ漬け(アワビの塩辛)、ガンヅケ(カニの塩辛)、ホヤの塩辛、アミの塩辛等があり、その外、カキ、アジ、タラコ、サザエ、アサリ、エビ等も塩辛に加工することができることが知られており、これら各種の塩辛を使用すればよい。
【0014】塩辛の製造方法として具体例をあげれば、いかの塩辛は、先ず、スルメイカの胴から足とワタを取り出し、ワタはベタ塩をして冷蔵庫に一晩ねかせる。身は皮を剥き、細引きにして薄塩をして冷蔵庫に一晩ねかせる。次に、一晩ねかせたワタの塩を取り除き、ワタ袋を破って中のワタを取り出し、裏ごしする。そして、塩をした身と合わせ、塩加減を調整した後、よく攪拌して約三週間熟成させることにより得られる。
【0015】また、酒盗は、カツオの胃と腸を取り出して開き、水洗いをして水気を切り、包丁で粗目に叩き、塩をしてすいのうに載せ、1〜2時間おき、水気をきって冷蔵庫に入れる。一日に2〜3回かき混ぜ、2〜3か月熟成させることにより得られる。
【0016】粉粒状穀類加工食品は、パン粉、α化米粉、植物蛋白粉のように粉粒状に加工された食品を用いればよく、α化米粉としては、寒梅粉、かきやま粉、そして、煎餅のような固まり状加工食品を細かく粉砕した粉粒物があり、植物蛋白粉としては例えば、粒状大豆蛋白やきな粉等がある。これらの粉粒状穀類加工食品を一種使用してもよく、複数種組み合わせて使用してもよい。また、粉粒状穀類加工食品の配合量は塩辛100 重量部に対して5〜70重量部であればよく、5重量部以下及び70重量部以上では型成形が難しい。特に、パン粉は嵩高いので10〜20重量部で充分である。
【0017】固形塩辛の形状は、薄板状、ブロック状、角棒状、粉体状とすればよい。薄板状、ブロック状及び角棒状固形塩辛であれば、つまみや保存食品とすることができ、粉体状固形塩辛であれば、ふりかけ食品とすることができる。
【0018】次に、固形塩辛の製造法をいかの塩辛を例にとり説明する。
【0019】先ず、いかの塩辛を粗目のミジン切りにする。次に、いかの塩辛の旨み成分を含んだ遊離水を吸い取るために、ミジン切りしたいかの塩辛にパン粉、α化米粉、植物蛋白粉の一種又は二種以上をいかの塩辛100 重量部に対して5〜70重量部加えて混練りする。
【0020】続いて、いかの塩辛と粉粒状穀類加工食品とが一体となった混練り物を乾燥させ、乾燥歩留りを40〜60%とする。
【0021】前記混練り物の乾燥方法は、薄く(3〜7mm)偏平(シート状)に伸ばして温度40〜60℃で熱風乾燥すればよく、また、ブロック状固形塩辛を得る場合には、厚さ1cm前後の偏平に伸ばして40〜60℃で仮乾燥させた後、矩形に切断して同じく40〜60℃で本乾燥させればよい。
【0022】また、腸詰め固形塩辛を得る場合は、前記混練り物を羊腸や豚腸等のケーシングに詰めて温度40〜60℃で熱風乾燥した後、万力等で押圧して薄く(3〜7mm)偏平(シート状)にすればよい。
【0023】得られた固形塩辛は、所要の大きさに細断でき、また、所要の粒度に、粉砕できる。さらに、流通に載せるために、真空包装することもできる。
【0024】本実施の形態では、塩辛と粉粒状穀類加工食品とを混練りして粉粒状穀類加工食品に塩辛の遊離水を吸い取らせて塩辛の水分率を低下させているので、旨み成分が溶け込んだ遊離水が存在する塩辛を腐敗させることなく乾燥させることができ、塩辛と粉粒状穀類加工食品とが旨み成分を含んだ状態で一体となった固形塩辛を得ることができる。また、乾燥させた固形塩辛であるから保存食にも適している。
【0025】
【実施例】
実施例1:いかの塩辛(株式会社北食製:東京都)を粗目のミジン切りにした。次に、ミジン切りにしたいかの塩辛100 重量部にパン粉20重量部、唐辛子0.1 重量部及び還元糖5重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を厚さ5mmのシート状に伸ばし、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度50℃で20時間温風乾燥させた。得られた固形塩辛の厚さは3mm、乾燥歩留りは50%であった。この固形塩辛を幅6mm,厚さ3mm,長さ60mmに切断して短冊状固形塩辛とした。
【0026】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。また、得られた固形塩辛は見た目は塩昆布のようであり、味覚は塩辛そのものであった。さらに、直接手に持って食しても塩辛が手に着くことはなかった。
【0027】実施例2:いかの塩辛(株式会社北食製:東京都)を粗目のミジン切りにした。次に、ミジン切りにしたいかの塩辛100 重量部にパン粉20重量部、唐辛子0.1 重量部及び還元糖5重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を羊腸に詰め、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度50℃で20時間温風乾燥させた後、万力で押圧して得られた腸詰め固形塩辛の厚さは4mm、乾燥歩留りは55%であった。
【0028】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。味覚は塩辛そのものであり、実施例1の固形塩辛と比較して、特に、風味が良かった。
【0029】実施例3:キムチ風味のいかの塩辛(株式会社北食製:東京都)を粗目のミジン切りにした。次に、ミジン切りにしたいかの塩辛100 重量部に寒梅粉15重量部、唐辛子0.3 重量部及び還元糖4重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を厚さ7mmのシート状に伸ばし、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度60℃で15時間熱風乾燥させた。得られた固形塩辛の厚さは5mm、乾燥歩留りは55%であった。この固形塩辛を幅7mm,厚さ5mm,長さ70mmに切断して短冊状固形塩辛とした。
【0030】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。また、得られた固形塩辛は見た目は塩昆布のようであり、味覚はキムチの味がする塩辛そのものであった。
【0031】実施例4:雲丹の塩辛(株式会社北食製:東京都)100 重量部にきな粉20重量部及びきくらげ10重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を厚さ3mmのシート状に伸ばし、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度40℃で30時間温風乾燥させた。得られた固形塩辛の厚さは2mm、乾燥歩留りは47%であった。この固形塩辛を幅5mm,厚さ2mm,長さ50mmに切断して短冊状固形塩辛とした。
【0032】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。また、得られた固形塩辛の味覚は塩辛そのものであった。
【0033】実施例5:鰹の塩辛(株式会社北食製:東京都)100 重量部にかきやま粉50重量部及びソルビトール10重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を厚さ1cmのシート状に伸ばし、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度50℃で30時間熱風仮乾燥させた。得られた厚さ7mmの仮乾燥塩辛を7mm角に切断し、同じく定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度50℃で15時間熱風乾燥させた。得られた固形塩辛の厚さは5mm乾燥歩留りは47%であった。この固形塩辛をさらに5mm角に切断してブロック状固形塩辛とした。
【0034】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。また、得られたブロック状固形塩辛をご飯にのせ、茶漬けにしたところ、美味であった。
【0035】実施例6:たこの塩辛(株式会社北食製:東京都)を粗目のミジン切りにした。次に、ミジン切りにしたたこの塩辛100 重量部に煎餅の粉砕粉60重量部及び唐辛子0.2 重量部加えて混練りした。続いて、混練り物を厚さ5mmのシート状に伸ばし、定温乾燥器(DS400 :型式:ヤマト科学株式会社製)に入れ、温度50℃で20時間熱風乾燥させた。得られた固形塩辛の乾燥歩留りは50%であった。さらに、電気ミキサー(MX-915C :型式名:松下電気産業株式会社製)で粉末に加工し、粉末状固形塩辛のふりかけ食品を得た。
【0036】乾燥段階で塩辛が腐敗することはなかった。また、得られた粉末状固形塩辛をご飯にかけて食したところ塩辛の味がするふりかけであった。
【0037】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、塩辛特有の珍味を有する固形塩辛を提供することができ、さらに、所要の形状とすることにより利用範囲が広がる新規な食品を提供することができる。
【0038】従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【出願人】 【識別番号】000132172
【氏名又は名称】株式会社スギヨ
【出願日】 平成9年(1997)8月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
【公開番号】 特開平11−56228
【公開日】 平成11年(1999)3月2日
【出願番号】 特願平9−231722